農家の「農業経営継承事業」とは

農業経営継承事業とは

移譲希望者と継承希望者のマッチング

近年は高齢化による農家の後継者不足が社会問題になっています。

とくに年齢的な理由などで農業をやめざるを得ない経験豊富な農家は多くいます。

一方、親や3親等以内の親族が農家ではない非農家出身者のなかにも、新たに農業をはじめ、農家の後継者になりたいと希望する人は少なくありません。

こうした農業経営の移譲希望者と第三者の継承希望者を組み合わせて、資金面を含めた支援を行っているのが「農業経営継承事業」です。

技術や知識を継承する

こうした第三者による継承は、単に農地や器具だけの継承ではありません。

作物の栽培に関する知識やスキル、経営の仕方や販売ルート、地域における農家の役割などすべてを、第三者に受け継ぐことで「資産」を継承しようという考えです。

もちろん先祖代々受け継いできた土地を第三者に引き渡すことに抵抗を感じる農家も多いのですが、移譲する農家にとっても土地を手つかずの荒れ地にせず、有効活用してもらうことは大切なことなのです。

農業経営継承事業の流れ

1週間から2週間の「事前体験研修」のあと、最長2年の「技術・経営継承実践研修」があり、「継承方式」を選択して「継承合意書」を作成し、実際に経営を継承するという流れになっています。

事業主体は特別民間法人「全国農業会議所」で、そのなかに就農の相談窓口として設置されているのが「全国新規就農相談センター」です。

全国新規就農相談センターは農業経営継承事業に関する問い合わせや申し込みの窓口となっており、新たに新規就農したい人に対しさまざまな支援を行っています。

移譲希望者の要件や助成金

農業経営の移譲希望者が「農業経営継承事業」に参加するためには、

・後継者がおらず5年以内に経営を中止する意向があること
・経営を第三者に移譲する意志があること
・継承者が生活できる程度(目安:年間農業所得300万円程度)の経営規模であること

などいくつかの要件があります。

こうした要件をすべて満たせば、

・移譲希望者は2週間ほどの事前研修に対して2万円
・最長2年の実践研修のあいだは研修費の一部補助として月額最高9万7千円
・移譲者本人の研修費として年額最高3万6千円

の助成金を受けとることができます。

継承希望者の要件など

農業経営の継承希望者が「農業経営継承事業」に参加するためには、

・農業法人の従業員や研修生は別にして農業経営を行っておらず原則45歳未満であること
・法人ではないこと
・本事業の研修期間と重複して青年就農給付金(準備型)の給付を受けて研修をしていないこと

などいくつかの要件があります。

こうした要件をすべて満たして「農業経営継承事業」に参加したあと、実際に事業を継承するにあたっては

・研修終了後移譲方式
・共同経営後移譲方式
・継承法人設立による移譲方式

という3つのタイプにわかれます。

それぞれに利点と注意点がありますので自分がどれに適しているかをしっかりと調べることが大切です。

参考:一般社団法人 全国農業会議所

参考:農研機構 後継者不在の家族経営における第三者への事業継承に当たってのポイント