マンション管理人になるには

マンション管理人になるまでの道のり

マンション管理人になるにあたって、どこかの学校に通って専門知識を身につけたり、資格を取得したりといった何らかの段階を踏む必要は一切ありません。

求人募集を行っているマンション管理会社や管理組合の採用試験を受けて、合格すればマンション管理人として働くことができます。

ただし、応募すれば誰でも採用されるように思う人もいるかもしれませんが、実際はそういうわけではありません。

筆記試験では読み書きの能力や計算力、一般常識などが問われますし、面接試験ではさまざまな住人に対応できるだけの対人スキルかあるかどうかが審査されます。

マンション管理人になるには、社会人にふさわしい教養と礼儀作法、コミュニケーション能力を備えていることが条件です。

なお、マンション管理人という呼び名が一般的ですが、あくまで通称であり、募集時においては「マンション管理員」という正式名称で求人がなされますので、混乱しないよう注意してください。

マンション管理人になるまでのルート

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マンション管理人の資格・難易度

マンションの管理に関する資格としては、「管理業務主任者」と「マンション管理士」の2つがあります。

参考:一般社団法人マンション管理業協会 管理業務主任者

参考:公益財団法人マンション管理センター マンション管理士試験

ただし、どちらもマンション管理人の業務に必要になるわけではありません。

管理業務主任者は、管理組合と業務委託契約を締結したり、理事会を運営したりするなど、マンション管理人の上司にあたるマンション管理会社社員に求められる資格です。

同じように、マンション管理士は、マンションの管理運営方法や維持修繕方法などについてアドバイスを行う、コンサルティング会社社員に必要となる資格です。

マンション管理人として働く限りは資格は不要ですが、将来的に転職したり、キャリアアップすることを視野に入れているなら、資格試験にチャレンジしてみてもいいでしょう。

マンション管理士の仕事

マンション管理人におすすめの資格

管理業務主任者

管理業務主任者は、マンション組合と管理委託契約を締結する際の内容を取りまとめた「重要事項説明書」と呼ばれる書類を作成したり、組合に管理結果を報告したりするための国家資格です。

参考:一般社団法人マンション管理業協会 管理業務主任者

マンション管理会社では、法律により、社員数ごとに一定以上の管理業務主任者を配置しなければなりません。

このため、マンション管理人からすると、上司にあたるマンション管理会社社員が資格をもっているケースが一般的です。

資格を取得できれば、たとえば管理会社の正社員となってほかの管理人を統率する立場になるなど、キャリアアップにおおいに役に立つでしょう。

試験は、民法や区分所有法、借地借家法など、広範な法律知識が求められる難関であり、合格率は例年20%前後です。

マンション管理士

マンション管理士は、管理規約の見直しや運営方法の改善、建物設備の改修など、管理組合や住民に対して、マンション管理に関するアドバイスや提案を行うための資格です。

参考:公益財団法人マンション管理センター マンション管理士試験

マンション管理会社社員やコンサルタント会社社員が取得するケースが一般的であり、資格を生かして独立し、フリーでコンサルティングを手掛ける人もいます。

試験では、管理業務主任者と同じ民法や区分所有法などの法律知識に加え、管理組合の運営や設計、建築設備など、かなり専門的な内容が多数出題されます。

近年の合格率は8%前後と低く、民間資格でありながら、難易度としては国家資格である管理業務主任者よりかなり上です。

宅地建物取引士(宅建士)

宅建士は、不動産の売買契約や賃貸契約を締結する際に必須となる「重要事項説明」を作成するなど、不動産取引を仲介するための国家資格です。

参考:一般財団法人不動産適正取引推進機構 宅建試験

宅建士は不動産業界を代表するメジャーな資格であり、資格保有者にはさまざまな仕事があります。

たとえばマンション管理人としての清掃業務が体力的にきつい場合、宅建士資格を取得して、マンションの入居者などに対する賃貸契約を担当する事務スタッフにまわるといったことも可能です。

試験では、上述の2つと同じく、民法や都市計画法、宅建業法など、おもに法律知識が出題されます。

合格率は例年15%前後であり、独学でチャレンジする人もいますが、民間の資格学校に通ったり、通信講座などを利用して合格を目指す人も大勢います。

宅建士の仕事

マンション管理人におすすめの講習

上記にあげた資格は、いずれも数ヶ月ほどの試験勉強が必要となります。

たとえば勉強があまり得意ではない人などは、かなりハードルが高く感じられるかもしれません。

そういう場合は、事前に勉強する必要のない、各種講習を受講してみることをおすすめします。

講習は社内で実施しているものや民間のものなど多数ありますが、「認知症サポーター養成講座」や「防災セミナー」「接遇・接客セミナー」などは、マンション管理人の仕事に非常に役に立つでしょう。

「普通救命講習」「上級救命講習」といった救急関連の講習も、いざというときのために受けておいて損はありません。

就職試験を受ける際も、「〇〇講習受講済」と履歴書に記載して、アピール材料にすることができますので、積極的に受講してみるとよいでしょう。

マンション管理人になるための学校の種類

マンション管理人は学歴不問の職業であり、マンション管理人になるための専門学校や大学というものは存在しません。

未経験の人については、マンションに派遣されて管理人として働き始める前に事前研修や現場実習が実施されるケースが一般的であり、そこで一通りの仕事を覚えることができます。

研修があるとはいえ、まったく何も知らないまま就職することに不安を感じるという場合は、都道府県や市町村が開催している講習会を受講してみることをおすすめします。

およそ1週間ほどかけて、丁寧にマンション管理人の実務を学ぶことができますので、初心者でも安心して働き始めることができるでしょう。

なお、上述の管理業務主任者の資格を取得して、ゆくゆくは管理人を束ねる側になりたいという場合は、民間の資格予備校などで約3か月ほどの受験コースを受けるという方法があります。

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マンション管理人に向いている人

マンション管理人に向いているのは、他人のお世話をするのが好きな人です。

マンション管理人の業務は多岐にわたりますが、どの仕事も「住人が気持ちよく暮らせる環境を整える」という目的は同じです。

困っている人をみると放っておけない、おせっかいとはわかっていながらもつい手を差し伸べたくなるという人は、マンション管理人としての資質があるでしょう。

また、マンション管理人は、清掃が中心となる地味な仕事の連続ですので、性格的に真面目で、単純作業をコツコツと続けられるタイプの人が向いています。

マンション管理人に向いている人・適性・必要なスキル

マンション管理人のキャリアプラン・キャリアパス

マンション管理人は、正社員ではなく、契約社員やパート・アルバイトなど、非正規での採用がほとんどです。

このため、キャリアプランとしてはごく限られたものとなり、当初の契約期間が満了するとその企業でのキャリアも終了することになります。

ただし、勤務態度が良好であれば、再契約となるケースもよくあります。

人によっては、朝から夕方までひとつの物件を担当する「常勤」、1日に複数の物件をまわる「巡回」、建物内の部屋で生活する「住み込み」など、キャリアのなかでさまざまなスタイルの管理を経験するケースもあります。

なかには、通算で数十ものマンション管理を歴任したという人もいます。

しかし、どれだけキャリアが長くて経験豊富でも、給料はほとんど変わることはなく、また管理職などに昇進することもありません。

マンション管理人を目指せる年齢は?

マンション管理人の仕事は、専門的な知識やスキルが必要になるわけではなく、またそれほど体力的な負担が重いわけでもありません。

このため、何歳からでも仕事を始めやすく、実際の求人情報をみても、上限を70歳くらいまでと非常に高く設定しているところが目立ちます。

一般的な職業の場合、未経験者の就職できる上限はおよそ30歳くらいですので、マンション管理人の年齢制限はきわめて緩いといえるでしょう。

むしろ、20代や30代といった若い人は、社会経験が浅いとみなされることもあって避けられやすく、逆の意味での年齢制限、いうなれば「年齢下限」があるといえます。

若いうちからマンション管理の仕事がしたい場合は、管理人ではなく、マンション管理会社社員になるか、あるいは高級マンションなどの「コンシェルジュ」として就職したほうがよいでしょう。

マンション管理人は女性でもなれる?

マンション管理人として働いている人をみると、女性より男性のほうがかなり目立つ印象です。

住み込み形式で夫婦でマンション管理を手掛け、夫の仕事をサポートする「補助管理人」として働いている女性はいますが、単独で働いている女性はそう多くはありません。

ただ、これはクレーム処理や住民同士のトラブル仲裁といった業務が、タフな男性のほうが向いているとされることや、家庭の都合などで休みがちな女性が採用時に避けられやすいことなどがおもな要因です。

きつい言葉をぶつけられてもこたえない精神的タフさや、毎日必ず出勤できるという自信があるなら、女性でもマンション管理人として活躍できるでしょう。

女性でもマンション管理人になれる? 結婚後の生活は?