教師に休みはどれくらいある? 勤務時間・残業時間もあわせて紹介
早急な改善が必要な状況といわれていますが、実際はどうなのでしょうか。
この記事では、教員の勤務時間や休日の実態、教師がなぜ忙しいといわれるのかについても説明しています。
教師の勤務時間
公立校の教師は条例によって、通常、休憩時間を除いて1日あたり「7時間45分」と定められています。
また、週あたり5日勤務(週休2日制)で、週の合計勤務時間は約38時間45分が基本です。
勤務をする時間帯は、小・中学校教員の場合、おおむね午前8時00分から午後4時30分までとされています。(ただし、勤務する市町村の規定により若干異なることもあります)
しかしながら、実際には多くの教師が朝7時30分頃には出勤し、夕方6時、あるいはその時間を超えて働いているようです。
2022年に文部科学省が行った調査によると、公立校の教師の在校等時間(平日)は、平均して1日に小学校では10時間45分、中学校では11時間01分です。
なお、2018年に経済協力開発機構(OECD)が行った調査では、日本の小中学校教師の1週間当たりの勤務時間は小学校で54.4時間、中学校で56.0時間となり、調査に参加した国や地域のなかで一番長いことがわかりました。
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教師の休日
教師の休日について紹介します。
定められている休日のほか、有給休暇や長期休暇についても見ていきましょう。
休日は基本的に週休2日
公立学校の教師は、基本的に週休2日制で、土日、祝祭日、年末年始(12月29日~1月3日)が休みです。
年次有給休暇(採用された年を除き、原則として年間20日まで取得可能)や病気休暇、特別休暇、介護休暇などがあります。
夏季休暇も5日間与えられますが、これは特別休暇に含まれます。
私立学校では休日や休暇が学校ごとに異なることがあります。
有給休暇や長期休暇はどれくらい取れる?
有給休暇
教師にも有給休暇が付与されていますが、職場では、なかなか取りづらいのが実情といわれています。
というのも、有給休暇を使うと、授業を自習にしたり、他の教師にその埋め合わせをしてもらったりする必要があるからです。
ただ、最近は有給休暇を積極的に取ろうという動きも進んでいるようです。
実際、文部科学省が実施した教員勤務実態調査では、教師の1年間当たりの平均有給休暇取得日数は、2016の調査時には小学校で11.6日、中学校では8.8日だったのに対し、2022年の調査では、小学校で13.6日、中学校で10.7日と、どちらの学校でも増えています。
長期休暇
夏休みなどの長期休業期間は子どもたちにとっては休みですが、教師は通常通り出勤しなくてはなりません。
この間、部活動の顧問をしている場合はその指導、普段できないような雑務や教材研究、また研修や夏季講習など、教師には多くのやるべき仕事があります。
2002年に学校週5日制が完全導入された段階で、夏休みのまとめ取りが廃止されていました。
しかし、2019年6月に文部科学省より「夏季等の長期休業期間における学校の業務の適正化」を求める通知が出されたことを受け、この期間中にまとまった休日を確保しやすくなりました。
こうした背景もあり、この期間に有給休暇をまとめて取得して、夏季休暇と合わせて2~3週間の休みをとる教師もいます。
教師の残業時間
教師は、定められた勤務時間を超えて働く人が非常に多いです。
ここでは、残業の実態について紹介します。
教師の残業の実態
教師は、授業以外にも多くの業務を抱えています。
そのため、勤務時間内に仕事が終わらず、残業せざるを得ない状況になってしまっています。
2016年の文部科学省の調査によると、月に80時間以上の残業をしている教師の割合は、小学校では33.5%、中学校では57.7%に上りました。
実際、小学校では3割強、中学校では6割近くの教師が「過労死ライン」を超えるほど働いていることが分かります。
学級担任や部活動の顧問になっているかどうかによっても異なりますが、月に100時間以上の残業をしている教師が5人に1人いるという統計もあります。
教師の働き方改革
公立学校において、「給料月額の4%を『教職調整額』として支給する代わりに、時間外勤務手当を支払わない」という「給特法」が、教師の長時間労働を助長しているとの指摘があります。
そのため、2019年に「給特法」が改正され、文部科学省は公立学校教師の残業時間の上限を原則月45時間、年360時間までとし、特別な事情があっても月100時間未満、年720時間までと定めました。
この改正により、教師の業務や負担が軽減され、より働きやすい労働環境に改善されることが期待されています。
実際、現在は教員の働き方改革を進めるために、さまざまな改革が行われています。
たとえば、教員が担当する業務を減らすための取り組みが進められています。
たとえば、教員以外の人員を採用して特定の業務を任せたり、部活動の指導員を新たに採用することで教員の負担を軽減し、業務の質を向上させたりする自治体も出ています。
また、教員が行っている成績処理や学校行事の準備・運営などの業務を事務職員に任せるなど、業務を分担することで、効率的な運営をしようと努力している学校もあります。
加えて、最近は教育現場でICT(教育のデジタル化)を活用し、教師の業務負担を軽減しようという動きも強まっています。
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教師が激務になりやすい理由
ここでは、教師が激務になりやすい理由を探っていきます。
業務の種類が多く、量も多いこと
教師は、授業やその準備、生活指導や進路指導、成績処理、行事の準備、学校運営に関わる事務作業など、さまざまな業務を抱えています。
業務量が多すぎるため、夜遅くまで残業したり、仕事を家に持ち帰ったりすることもあります。
授業準備や教材研究は終わりのない作業であり、真面目で教育熱心な教師ほど手を抜くことができず、長時間労働を強いられる傾向があります。
クラス便りの作成や成績処理、給食費の徴収など、細かな業務もそれぞれは小さなものですが、すべてに対応すると大きな負担になります。
教師は、休日を返上して行う部活動の指導も大きな負担となっています。
とくに中学校の教員は部活動に費やす時間が多く、2022年の調査では、平日1日あたり平均37分、休日には平均1時間29分かかっています。
労働時間が適切に把握されづらかったこと
さらに、教員の労働時間が正確に把握されにくい点も、残業が増える要因のひとつでした。
教員は残業しても時間外手当が支給されないため、労働時間と給与の関連がありません。
そのため、学校側が実際の時間外労働を正確に把握することが難しく、長時間労働が生じやすくなっていたのです。
最近は、教員の労働時間を正確に把握し、データとして管理する取り組みがスタートし、ICカードやタイムカードなどで勤怠を把握している自治体が増加傾向にあります。
しかしながら、まだ全体に浸透しているわけではありません。
教師の休日の過ごし方
忙しい教師も、急ぎで片付けなくてはならない業務がない週末は、きちんと休みをとることができます。
家族と一緒に過ごしたり、趣味を楽しんだりする教師が多いです。
ただ、とくに新任などの経験の浅い教師は、休日でも学校に行き、残った事務作業や教材研究などをすることがよくあります。
また部活動の顧問をしている教師は、土日に練習や大会の準備をすることも多く、休みたくても十分に休むことができないこともあります。
文部科学省の調査によると、2016年度には小学校教師の12.5%、中学校教師の8.9%が土日に出勤していることがわかりました。
ベテランの教師になれば、仕事とプライベートのバランスを取り、休日にしっかりリフレッシュすることができる人もいます。
ただし、外出する際には生徒や保護者と偶然会う可能性も考慮し、教師としての役割を忘れないようにすることが重要です。
「教師の勤務時間・休日」のまとめ
教師の勤務時間は定められてはいるものの、その時間を超えて仕事をする人が非常に多いです。
教師は常に膨大な業務を抱えており、学校にいる時間だけでは片付かずに、自宅に持ち帰って仕事をしたり、休みの日も仕事をしていたりすることもあります。
ただし、最近は教師の過酷な労働実態を改善させるために、ICT化の活用などが少しずつ進んできています。