【2023年版】国税専門官採用試験の難易度は高い? 合格率・倍率を解説

国税専門官になるための「国税専門官採用試験」。

この試験の倍率は他の公務員試験と比較すると低く、難易度は低いといわれています。

ここでは試験の合格率や試験の概要について詳しく解説していきます。

国税専門官採用試験とは

国税専門官になるためには、国税庁が行う国税専門官採用試験に合格する必要があります。

国税専門官採用試験は毎年6月中旬から始まり、第1次試験は筆記にて教養試験と専門試験が行われ、第2次試験では人物試験と身体検査が実施されます。

第1次試験は全国の国税局の管轄内でそれぞれ行われ、こちらに合格した場合のみ、面接などの第2次試験を受験することができます。

国税専門官になるには

国税専門官採用試験の難易度・勉強時間

国税専門官採用試験の採用予定数は、例年約1,200名前後となっており、試験の申込者数は約13,000~17,000人、最終的な合格者数は4,000名前後となっています。

2022年は、採用予定が1,330名、申込者数14,867名、最終合格者は4,106名で、倍率は3.6倍でした。

この倍率は他の公務員試験と比べるとかなり低い水準で、難易度は低いといわれています。

近年では国税専門官の人数を増加させる目的で、採用予定者数を増加させているのも倍率が低くなっている要因です。

ただし、筆記試験では他の公務員試験にはない会計学の専門的な知識が問われるので、合格するためには時間をかけてしっかりと準備する必要があるといえるでしょう。

国税専門官の1次試験の合格者は7,283名となっており、受験者の約2人に1人は筆記試験に落ちてしまうことになります。

国税専門官の申込者数・合格倍率

国税専門官申込者数

国税専門官の申込者数は、年々減少傾向にあります。2022年度試験の申込者数は14,867人となりました。

国税専門官採用試験申込者数の推移_2022

国税専門官合格者数

国税専門官の合格者数は、2008年度をピークに減少に転じていましたが、2013年度から大幅に増加し、2022年度は4,106人となりました。なお、国税専門官の採用予定人数は1,400人となっています。

国税専門官採用試験合格者数の推移_2022

国税専門官合格倍率

国税専門官採用試験の合格倍率は下降傾向にありましたが、2022年度は前年度よりやや上昇し3.6倍でした。

国税専門官採用試験合格倍率の推移_2022

国税専門官採用試験は独学で合格できる?

第1次試験が合格へのカギ

国税専門官採用試験は、おもに筆記の「第1次試験」と面接の「第2次試験」に分かれており、配点比率は全体を9と配分すると筆記が7、面接が2となっています。

2022年度試験では、申込者数14,867名、受験者数11,098名、最終合格者は4,193名で、倍率は約3.6倍でした。

ただ、1次試験の合格者は7,283名となっており、受験者の半数近くは筆記試験に落ちていることがわかります。

そのため、合格したいのであれば筆記試験で十分な結果を残すことが必要不可欠になるといえます。

試験範囲は広い

国税専門官採用試験では、一般的な国家公務員採用試験に準じた教養問題(自然科学、人文科学、社会科学など)とは別に、民法・商法、会計学などに関する知識が問われる問題が出題されます。

出題範囲は非常に幅広いため、独学で試験対策をするのは困難なのではないかと思われがちですが、そうでもありません。

幅広い範囲を対象とした試験の場合、極端にマニアックな問題が出題されるケースが少なく、各分野から「広く浅く」出題されるケースがほとんどです。

そのため、かえって出題される問題に目星が付きやすく、各分野の基本的な事項や時事的なポイントを押さえておくことが非常に有効になります。

過去問題をよくチェックする

国税専門官採用試験の過去問については、書籍としてまとめられて数年分が売られています。

最初はまったくできなくても構いませんが、予備知識なしで数年分問題を解いてみましょう。

その後、各分野の基本的な参考書などを読み進めると、基本的な問題が幅広く出題されていることに気付くでしょう。

そして、学習のポイントを押さえてしまえば、通信教育やスクールを活用しなくとも独学で十分合格することは可能です。

ただし、暗記をするにもそれなりの時間が必要になるため、勉強のスケジュールを立てて毎日少しずつでも勉強時間を確保し、全体を網羅することが大切です。

国家公務員試験対策のスクールを活用

公務員志望者向けの専門学校やスクールでも、国税専門官採用試験に絞った講座はほとんど見られませんが、国家公務員採用試験の教養問題に関しては大手スクールがいくつかあります。

国税専門官採用試験の出題範囲は非常に幅広いため、教養問題の範囲についてはそうしたスクールを活用し、専門的な知識については参考書を利用しながら独学で対策を進めるのも効率的かもしれません。

国税局の面接に通ることが最終目標

国税専門官として働くためには、筆記の第1次試験と面接の第2次試験に通るだけではいけません。

各国税局の面接に通ることが最終目標であり、国税専門官の採用試験はあくまで国税専門官として国税局の面接を受ける切符となります。

そのため、面接で好印象を残すために面接の練習をしたり、説明会やインターンシップに参加したりして「この人と一緒に働きたい」という印象を残すことが大切です。

自分の強みや適性をきちんとアピールできるように、きちんと対策しておきましょう。

2023年度 国税専門官採用試験の概要

試験日 ・第1次試験:2023年6月4日(日)
・第2次試験:2023年6月30日(金)〜7月14日(金)
試験地

第1次試験

札幌市、盛岡市、仙台市、高崎市、さいたま市、東京都、新潟市、松本市、名古屋市、金沢市、京都市、大阪市、松江市、岡山市、広島市、高松市、松山市、福岡市、熊本市、鹿児島市、那覇市

第2次試験

札幌市、仙台市、さいたま市、東京都、名古屋市、金沢市、大阪市、広島市、高松市、福岡市、熊本市、那覇市

受験資格 1.1993年4月2日~2002年4月1日生まれの者
2.2002年4月2日以降生まれの者で、次に掲げるもの
(1)大学を卒業した者及び2024年3月までに大学を卒業する見込みの者
(2)人事院が(1)に掲げる者と同等の資格があると認める者
試験科目

第1次試験

◇基礎能力試験(多肢選択式)
公務員として必要な基礎的な能力(知識及び知能)についての筆記試験
出題数は40題
知能分野 27題
 (文章理解11、判断推理8、数的推理5、資料解釈3)
知識分野 13題
 (自然、人文、社会13(時事を含む。)

◇専門試験(多肢選択式)
国税専門官として必要な専門的知識などについての筆記試験
出題数は58題
<必須>(16題)
国税専門A:民法・商法、会計学(簿記を含む。)
国税専門B:基礎数学、民法・商法・会計学
<選択>
国税専門A:次の7科目42題から4科目24題選択
(憲法・行政法、経済学、財政学、経営学政治学社会学・社会事情、英語、商業英語)
国税専門B:次の42題から24題選択
(情報数学・情報工学統計学・物理・化学・経済学・英語)

◇専門試験(記述式)
国税専門A:次の5科目(各1題)のうち1科目選択
憲法、民法、経済学、会計学、社会学
国税専門B:必須1題
科学技術に関する領域

第2次試験

◇人物試験
人柄・対人的能力などについての個別面接

◇身体検査
主として一般内科系検査

合格発表 ・第1次試験:2023年6月27日(火)
・第2次試験:2023年8月15日(火)
最終合格者数 4,106人(2022年度)
合格倍率 3.6倍(2022年度)
採用予定数 国税専門A(法文系)約1,000名、国税専門B(理工・デジタル系)約100名
詳細情報 国税庁 国税専門官採用試験

国税専門官採用試験のまとめ

他の公務員と比べると倍率は低く、難易度も低めではありますが、筆記試験では会計学の専門的な知識が問われるので、時間をかけてしっかり準備をして臨むようにしましょう。