住宅設備メーカー社員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「住宅設備メーカー社員」とは
調理機器や給湯機器など、住宅で使われる設備の企画、設計、生産などを行う企業に勤める人。
住宅設備メーカーは住宅設備の企画からメンテナンスまでを一貫して扱っています。
技術職が企画、設計、生産した商品を事務職の中心である営業担当が法人中心に販売します。
大手の場合はエントリーに大卒資格は必須であり、中でも技術職の場合は理系限定な上、部署によって専攻も指定されています。
基本給は新卒で22~24万円と比較的高額ですが伸び率はよくありません。
その分を補う成果給を含めると平均年収は600万円前後と高水準になります。
繁忙期には休日返上、残業必須であるため、心身共に健康管理が不可欠です。
人口の減少に伴い市場は縮小する一方ですが営業方針の転換やメーカー間の統合、メーカー直販システムの整備等で各社苦境を乗り切っています。
「住宅設備メーカー社員」の仕事紹介
住宅設備メーカー社員の仕事内容
さまざまな種類の住宅設備を取り扱う
住宅設備メーカーは、住宅を構成するあらゆる設備の企画、設計、生産、施工、メンテナンスなどを行う会社です。
取り扱う設備は企業によってさまざまで、厨房や浴室、給湯、空調などの機器類や、クロスや外壁といった内外装用建材など、多岐にわたります。
取引先は、大手住宅メーカーや工務店、水道工事店などの法人企業が主で、商品を現場に届ける仕事はもちろん、社員自らが設置工事を行うこともあります。
また、近年では、人口減少などによって住宅市場が縮小しつつあるために、各企業は法人相手だけでなく、個人客に対して直接営業する動きを活発化させています。
取り扱う設備の修理やメンテナンス、リフォームを請け負ったり、オンラインショップなどを開設して自社商品を直接販売するなど、手掛ける事業の種類は多様化しています。
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住宅設備メーカー社員になるには
採用は技術職と事務職に分かれる
住宅設備メーカー社員となるには、各社が行う採用試験を受ける必要があります。
募集職種としては、商品を作る「技術職」と、商品を売る「事務職」とに大別され、必要となる学歴も多少異なります。
事務職の中には、広報や経理といった部署も含まれますが、人数の大半を占めるのは営業で、新卒採用の場合は営業部署に配属されるケースが大半を占めます。
ショールームでの接客といった、住宅設備業界ならではの仕事を担当することもあります。
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住宅設備メーカー社員の学校・学費
大卒以上の学歴が必須になる
住宅設備メーカーの就職にあたっては、ほとんどが「大卒」か「大学院卒」が条件となります。
事務職は文系・理系問わず採用されることが一般的ですが、技術職の採用は理系出身者に限られる上、部署によって専攻が指定されている場合がほとんどです。
たとえば金属材料系の技術開発を行う部署なら、化学系や材料系を専攻しているなど、入社前にある程度の専門知識を身につけていることが求められます。
在学中に学んだ専門分野の知識や技術を就職後すぐ活かせることは、住宅設備メーカーで働くメリットであるともいえるでしょう。
住宅設備メーカー社員の資格・試験の難易度
就職後に資格取得する人もいる
住宅設備メーカーで働くために必須となる資格は特にありませんが、キャリアアップのために資格を持っていることが有効になる場合もあります。
事務職であれば、日本商工会議所が主催する「販売士検定」が代表的で、1級から3級までの区分が設けられており、小売業の販売員としての知識が問われます。
技術職の場合は、取り扱う設備によっても異なりますが、「建築設備士」という資格が一般的です。
また、職種を問わず、住宅設備メーカー社員は自動車を運転する機会が多いため、運転免許は必須です。
運転免許は必ず入社前に取得しておきましょう。
住宅設備メーカー社員の給料・年収
少ない基本給を資格や歩合給でカバーする
基本給に関しては、住宅設備メーカーの初任給は大卒で22~24万円と、比較的高めに設定されています。
しかし、勤続を重ねていっても、基本給の昇給するスピードが遅い傾向にあるようで、勤続10年で月収30万円に満たない会社も少なくありません。
その分を、資格取得による手当や、営業成績で上乗せされる成果報酬が補っているといえます。
すべてを合計した平均年収としては600万円前後となり、一般的には高水準の部類に入るといえますが、能力や成果による個人差が大きいかもしれません。
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住宅設備メーカー社員の現状と将来性・今後の見通し
業界再編が今後も進んでいく
少子高齢化による人口減少に伴い、住宅設備業界の市場規模は縮小していくと想定されます。
新規住宅の建設が減少していく中、住宅設備メーカー各社は、アフターサービスを充実させ、既存顧客を対象としたリフォーム営業を精力的に行っていく必要性がさらに高まっていくでしょう。
また、業界全体を見ると、メーカー間の統合や再編がさかんに行われており、住宅設備を総合的に請け負うグループ化の動きが強まっています。
経営基盤の安定化を求める企業は多く、今後もこの流れは続く見通しです。
住宅設備メーカー社員の就職先・活躍の場
企業によって特色が出る
住宅設備メーカーの中には、1種の設備に特化した専門企業もありますが、市場縮小に伴って企業の統廃合が進んだ影響もあり、複数の設備を取り扱う「総合住宅設備メーカー」が多くなっています。
また、企業によっては環境に配慮した商品を積極的に開発していたり、高齢化社会を見据えたバリアフリー商品に力を入れているなど、企業の目指す方向性はさまざまです。
取り扱う設備の種類も商品コンセプトも企業によって大きく異なりますので、就職先を選ぶ際にはしっかりと企業研究し、それぞれの特色を掴むことが必要です。
住宅設備メーカー社員の1日
忙しく動き回ることが多い
住宅設備メーカーの仕事は、自社のショールームや工場、納入先など、1日でまわる場所が多いという特徴があります。
このため、1日のうち移動時間に割く割合が大きくなる傾向にあり、段取りやスケジュール調整が重要になります。
9:00 出社
メールチェック、案件ごとの打ち合わせなどを行います。
10:00 設備搬入
取引先を訪れ、商品を搬入・設置します。
12:00 移動・休憩
13:00 接客
自社のショールームで、製品の特徴などを来店客に説明します。
15:00 打ち合わせ
取引先企業へ訪問し、納入設備内容について協議します。
17:00 移動・デスクワーク
打ち合わせ結果に基づき、プレゼン資料を作成します。
19:00 帰社
住宅設備メーカー社員のやりがい、楽しさ
人々の暮らしを豊かにできる
住宅設備メーカー社員は、取り扱う商材が、人々の暮らしにダイレクトに影響することに仕事の醍醐味を感じる人が多いようです。
今ではすっかり当たり前となっている、さまざまな身の回りの「便利さ」は、住宅設備メーカー各社が長年にわたって企画・開発してきたものの集積で成り立っています。
自分が行った仕事の成果が、人々の暮らしを便利にすることに直結するという点は、住宅設備メーカーで働くうえで、大きなやりがいになっているといえるでしょう。
住宅設備メーカー社員のつらいこと、大変なこと
プロを相手にする困難さ
住宅設備メーカーの主要取引先は住宅メーカーなどの法人です。
住宅設備に精通したプロフェッショナルに対して商談することは、相手を上回る豊富な知識を持っていることに加え、高いプレゼン能力が求められます。
また、住宅着工件数が減少し、新規取引先の獲得が困難さを増している状況を勘案すれば、絶対に既存取引先からの信頼を失うわけにはいきません。
営業担当者を筆頭に、各種技術職の担当者に対しても、プロを満足させなければならないという大きなプレッシャーがかかるでしょう。
住宅設備メーカー社員に向いている人・適性
柔軟にものごとを考えられる人
暮らしに役立つ、より便利な商品を生み出していくためには、その商品を使うさまざまな人の視点に立って考えることが必要です。
多角的な目線を持って、柔軟にものごとを考えられる人は、住宅設備メーカーに向いているといえます。
また、ファッションなどの他の業界と同じように、住宅設備にも流行り廃りがあり、消費者のニーズは刻一刻と移り変わっていきます。
そうした時代の流れに敏感であることも、よい商品をつくる上で重要になってくるでしょう。
住宅設備メーカー社員志望動機・目指すきっかけ
暮らしをより快適にしたい
住宅設備メーカーを目指すのは、人々の暮らしをより便利に、より豊かにしたいという希望を持つ人が多いようです。
住宅設備は機能やデザインの幅が広く、アイデアを形にしやすいため、自分のクリエイティビティを発揮できる点に魅力を感じる人も少なくありません。
企業ごとに取り扱う商品もその方向性もバラエティに富んでいますので、自分に合った商品に出会い、実際に使用した経験が、その住宅設備メーカーを志望するきっかけとなることもあるでしょう。
住宅設備メーカー社員の雇用形態・働き方
事務職も技術職もある程度ルートは定まっている
住宅設備メーカーは職種ごとにある程度働き方が決まっており、事務職であればまずは営業から、技術職であれば工場勤務から、それぞれキャリアをスタートさせることがほとんどです。
営業は法人に対するだけでなく、個人客を担当するなど徐々に業務の幅を拡げていき、いずれ管理職へとステップアップしていくキャリアが一般的です。
技術職の場合、生産ラインで一通りの経験を積んだ後は、自身の希望するキャリアに応じて、商品企画や開発などの部門に移っていく道があります。
住宅設備メーカー社員の勤務時間・休日・生活
営業担当の残業時間はかさみがち
住宅設備メーカーの残業時間は職種によって差がありますが、営業担当は日中の業務時間の大半を顧客対応に費やすため、事務は夕方以降にならざるをえず、残業が多くなってしまう傾向にあります。
技術職の場合、作業の進捗状況や繁忙期であるかどうかにもよりますが、営業職よりは残業が少ないようです。
また、休日については、工場が土曜日も稼働していることが多いため、職種に関係なく土曜日は勤務日となり、日曜日と平日に休みが設定されているケースが一般的です。
住宅設備メーカー社員の求人・就職状況・需要
職種によって事情が異なる
住宅設備メーカーの求人数は、募集する職種によって差があります。
営業担当者は他の職種よりも離職率が高いために、営業を含む事務職の採用人数が、退職者を見越して多めに設定されている一方、技術職の採用人数はそれほど多くありません。
また、グローバル化やデジタル化が住宅設備メーカー各社において今後の成長要素の一つとなっているため、語学力に長けていたり、IT分野の専門知識を持った人材は、歓迎される傾向にあるようです。
住宅設備メーカー社員の転職状況・未経験採用
勤務エリアを拡げることも必要
営業に代表される事務職は、転職市場における求人も多数あり、業界未経験者にも十分なチャンスがありますが、技術職については、ほとんどの募集が業務経験者に限定されています。
また、住宅設備メーカーの中途採用には地方営業所からの求人が多いという特徴があり、ゆかりのある地元で働きたい人や、地方での暮らしを希望する人には、他業界よりもチャンスがあります。
転職先を探す際には、希望勤務地を拡げてみることも有効かもしれません。