ホームヘルパーのつらいこと・大変なこと・苦労
重労働であるのに低賃金であることが原因で離職する人が多いのも事実です。
ここではホームヘルパーの悩みや離職理由などについて解説していきます。
ホームヘルパーのつらいこと・大変なこと
きれいな仕事ではない
ホームヘルパーは、決してきれいとはいえない仕事です。
身体介護のなかには排泄の介助も含まれますし、自分で入浴ができない人の入浴介助も行います。
また利用者によっては思うように身体を動かせないことから日常的な掃除がままならず、どうしても家の臭いなどが気になってしまうことも少なくありません。
場合によっては排泄物に触る場面も出てくるため、そうしたことにも耐えられないとホームヘルパーの身体介護を行うのは難しいでしょう。
常に一人での仕事
「人の家で介護をする」ことは想像以上に大変なことです。
利用者宅によって置いてあるものは異なりますし、利用者の家族とのコミュニケーションも上手にとっていかなくてはなりません。
周囲に複数のスタッフがいる施設勤務とは異なり、在宅での介護中は基本的に一人で判断し、行動する必要があります。
慣れてくれば、どのような場所でも落ち着いて介護ができるようになりますが、経験が浅いうちは別の家に行くたびにあれこれと判断に迷ってしまうこともあるでしょう。
ホームヘルパーの悩み
- きつい仕事の割に低賃金
- 拘束時間が長い
- 腰を痛める
- 無理をして介護を行うことで身体に負担をかけてしまう
きつい仕事の割に低賃金
介護業界の仕事は、賃金が低く体力的にきついといわれています。
ホームヘルパーの職場は女性の割合が高く、その多くが短時間労働のパートです。そのためボーナスや手当がない場合が多く収入は高いとは言えません。
またホームヘルパーの特質上、利用者の都合でサービスのキャンセルが出るとホームヘルパーの仕事はその分なくなるので、収入にも直にひびきます。
希望収入額を事業所に伝えておくことで、それを考慮してホームヘルパーの勤務量を考えてくれる事業所もありますが、利用者からの急なキャンセルや契約終了などもあるため、確実な固定収入というのは期待できません。
拘束時間が長い
ホームヘルパーの仕事は自宅から利用者宅に直接向かい、介護が終わったら次の利用者宅へと移動して介護をするなど、一日に複数の利用者を担当する場合があります。
移動にかかる交通費は支給されることが一般的ですが、移動時間やサービス開始まで数時間、外で待たなくてはいけないような待機時間が発生しても、勤務時間に含まれません。
仕事により拘束される時間が長くてもサービス時間が勤務労働時間であるため、収入に反映されません。このことに不満を感じている人も多いようです。
ホームヘルパーの職業病
腰痛を抱える人が多い
ホームヘルパーの職業病で一番多いのは腰痛です。
たとえばベッドから車いすへの移乗や入浴介護、ベッド上でのおむつ交換や体位変換のとき、利用者の足腰が弱っていてホームヘルパーの支えなしでは立ち上がれない場合には、ホームヘルパーが利用者に接近して、利用者の動作援助を行います。
その際ホームヘルパーの腰にかなりの負担がかかります。
もともと腰痛をもっている人は、腰ベルトやコルセットをして腰痛予防となるように対策をとった方がよいでしょう。
無理せず安全な介助を
自分よりも身体の小さな利用者の方であれば、自分一人で抱きかかえてベッドから車イスへ移動できると思う人も多いのですが、これはとても危険な行為で利用者・ホームヘルパー双方にとって安全な介護とはいえません。
本来は利用者を安全に不安なく、その方の残された機能を使って自立援助につながるような介護が大事です。
しかし、いざ介護の現場で仕事をしていると一人で抱きかかえたり、中腰姿勢で長時間作業したりするなど、無理をして介護を行うことで身体に負担をかけてしまうことがあります。
どうしてもマンパワーが足りない、ボディメカニクス(人間本来の身体の機能を使って、最小限の力で、介護される方を動かしたり、支えたりすることのできる介護技術)を理解していないなどの理由で腰痛を起こしてしまう可能性が高いのです。
そのため近年では厚生労働省でもリフトなどの福祉機器などを積極的に活用して、介護や看護を行う人の腰痛予防に取り組んでいます。
ホームヘルパーを辞める理由で多いものは?
離職する人が多いのが現状
ホームヘルパーの仕事は辞める人も多く、常に人材不足と言われています。
実際に働いてみると、体力的にも精神的にも負担が大きく、その割には低賃金であることに不満がつのって辞めていくパターンが多いのです。
低賃金と無償労働
ホームヘルパーの低賃金という問題の根本には、単に時給が安くて不満というのだけではなく、労働とみなされず報酬がないまま働かざるをえない状況が問題なようです。
介護保険による介護サービスの内容で賃金は発生していますが、ホームヘルパーの移動時間や待機時間、報告書の作成などは無給で、拘束時間が長く給料に見合わないと考える人も多くいます。
事業所によっては、ホームヘルパー個人の車や携帯電話をあてにして、交通費や通信費なども支払われない場合があります。
ホームヘルパーが利用者宅から緊急連絡をしなくてはならないといったこともしばしば起こりますが、それもホームヘルパーが通信費用を自己負担していることも当たり前のように行われているのが現状です。
介護保険以前の措置制度の時代は「慈善事業にはボランティア精神が必要」だとよく言われてきました。
介護ビジネスが始まってから長らくした現在でも、まだまだホームヘルパーの無償労働を期待する雰囲気が絶えず、業界全体としてホームヘルパーに対し、正当な対価が支払われるよう職場環境の改善が期待されています。
正規雇用は少ない
ホームヘルパーは非常勤やパート・アルバイトとして働く人が非常に多い職業です。
常勤の求人はゼロではありませんが、パートタイムで1日に数時間だけ利用者宅へ出向くというスタイルで働く人も少なくなく、どうしてもホームヘルパーの仕事だけで生計を立てるのは難しいのが現状です。
ホームヘルパーの大変なことのまとめ
ホームヘルパーは人手不足のため重労働にも関わらず低賃金であることが課題です。
仕事内容に見合った報酬が貰えないのでは、離職してしまう人が多いのも致し方ないのかもしれません。
早急に正しく対価が支払われるよう職場環境の改善が行われることが望まれます。