ホームヘルパーになるには? どんな資格が必要?
ホームヘルパーになるまでの道のり
ホームヘルパー(訪問介護員)は、働くうえで必ず資格が必要とされる仕事ではありません。
資格がなくても、訪問介護事業所(ヘルパーステーション)などの介護現場でスタッフとして働いている人も大勢いますが、介護は決して簡単なことではなく、まったく知識がないところからいきなりスタートするのは不安も大きいものです。
また無資格の場合は在宅での身体介護ができないため、ホームヘルパーとして働く人の多くは、介護に必要な基本的知識・技術を証明する資格である「介護職員初任者研修」を受講し、資格を取得します。
無資格であっても介護関連の事業所・施設で採用されることはありますが、訪問介護をしたい場合は、介護職員初任者研修を先に取得しておくとよいでしょう。
ホームヘルパーの資格・難易度
講座を受講し試験に合格する
「介護職員初任者研修」は、従来の「ホームヘルパー2級」に相当する新しい資格です。
基本的に16歳以上であれば誰でも受講でき各都道府県の実施要綱に基づき、各都道府県が指定した養成機関で介護職員初任者研修の養成講座を受講し、試験にパスすれば資格を取得できます。
知識の習得
ホームヘルパーとして働くには、まず「介護」そのものについて知っておくことが大切です。
介護保険制度や社会のなかでの介護職の役割、介護に関する身体のしくみ、介護と医療との関わりなど、介護にまつわる基礎的な知識を勉強します。
また介護を必要とする人や、その家族とのコミュニケーションの取り方、高齢者や障害がある人の人権や尊厳についても学びます。
現代の日本において介護がなぜ必要なのか、ホームヘルパーがどのような役目をはたしていくべきかといったことを勉強し、知ることで、実際に働くための土台を作るのです。
ホームヘルパー2級からの変更点として「認知症の理解」や「障害の理解」が追加されています。
介護技術の習得
ホームヘルパーとして働くには、座学での勉強のほか、実習形式で覚えた技術を実践していくことも重要です。
実習では、食事・入浴・起き上がり・移動など、要介護者に対する基本的な介護技術を習得していきます。
学校やスクールでは、生徒同士が介助する側、介助される側の役になって実技を行うことが多いですが、介助ひとつとっても、慣れないうちはどのように動けばわからず苦労する人がほとんどのようです。
身体に大きな負担をかけずにスムーズに介助するための技術を身につけることで、体力に自信がない人でも安心して働けるようになるでしょう。
ホームヘルパーになるための学校の種類
通学制の学校や通信講座など
介護職員初任者研修は、介護職に就く人にとって最も基本とされる資格です。
介護職員初任者研修養成講座を開講している養成機関には、通学制の学校や通信講座などがあり、16歳から60代まで幅広い年齢層の人が受講しているようです。
介護施設によっては、働きながら無料で資格を取得させてくれるところもあります。
介護職員初任者研修養成講座の内容
講座内容は、講義と演習形式で合計130時間のカリキュラムとなっています。
講義と演習は一体で実施され、必要に応じて施設の見学などの実習も行われる場合があります。
カリキュラムの最後に、筆記試験による修了評価が行われ、これに合格すれば介護職員初任者研修が取得できます。
公的機関か民間か
受講期間は公的機関か民間かによって多少異なりますが、3ヵ月から6ヵ月程度が一般的で、受講費用は7万円から10万円程度です。
介護職員初任者研修は、公的機関(ハローワーク)などから受講すれば費用はかなり安くなりますが、人員の抽選があったり受講日を指定されたりします。
民間の場合、費用は少し高くなりますが、自分の都合に合わせて入校でき、さらに資格を取得後は介護施設の就職なども斡旋してくれることが多いようです。
介護職員初任者研修を取得するにはどんな学校やスクールに行けばいい?
ホームヘルパーに向いている人
ホームヘルパーは、利用者と信頼関係を築き密接に関わることができる職種です。
ときには家庭の悩み、経済的な悩み、将来の悩みなどを打ち明けてくれることもあります。
身体的なケアだけでなく、利用者の生活に寄り添い、悩みを傾聴するという精神面のケアも大切ですので、人と向き合い続けることが好きな方に適性があるでしょう。
ホームヘルパーのキャリアプラン・キャリアパス
ホームヘルパーは資格についても改正が進み、現在は介護職においてキャリアを積むことも可能になりました。
「介護職員初任者研修」を介護職のファーストステップの資格とし、そこから「実務者研修」「介護福祉士」「認定介護福祉士」とステップアップする道が開かれています。
これらの有資格者になることで、給与や待遇面についても今後優遇されるケースが増えていくでしょう。
ホームヘルパーを目指せる年齢は?
基本的には、16歳以上であれば年齢制限がなく誰でも介護職員初任者研修を受けることができます(ただし妊娠中の女性は受講できないとしているところが多いようです)。
そのため何歳からでもホームヘルパーを目指すことはできますし、実際60代や70代でホームヘルパーとして働いている人も多くいます。
ホームヘルパーは高卒から目指せる?
ホームヘルパーとして働く際には、16歳以上であれば可能としているところが多く、高卒からでも十分働けます。
介護職員初任者研修の多くが中学卒業後から受講(受験)できるため、学校によっては取得を奨励しているところもあり、在学中に資格を取得していう人も多いようです。
ホームヘルパーの雇用形態
- 正社員のホームヘルパー
- 派遣のホームヘルパー
- アルバイト・パートのホームヘルパー
- 副業のホームヘルパー
ホームヘルパーの雇用形態は正社員以外にも、非常勤(パート)として働いている方も多い職種で、家庭や子育てと両立したい女性は、時間に融通が利く非常勤として働く傾向があります。
身体介護や生活補助のできるホームヘルパーの数は足りない状況が続いており、これから超高齢社会を迎える日本にとって、ますます必要な職種といえるでしょう。
正社員のホームヘルパー
正社員として雇用される場合は非常勤よりも安定して働くことができ、給料や待遇の面でも優遇されています。
人と接する仕事になるため、定期的な健康診断や予防接種は欠かさず実施し、ストレスが溜まらないようにカウンセリングを行っている事業所や、スキル向上を図るために、事業所内外での研修や講習に力を入れているところも多くなっています。
派遣のホームヘルパー
派遣のホームヘルパーとは?
ホームヘルパーは派遣という雇用形態でも働くことができます。
派遣として働くには派遣会社に登録する必要があり、近年では派遣会社が資格を取得させてくれるケースも増えているようです。
また自治体の社会福祉協議会などが派遣のホームヘルパーを募集することもよくあります。
ホームヘルパーは需要の大きな仕事となっているため、たとえ派遣だとしても働き場所は見つけやすいでしょう。
派遣で働くメリット・デメリット
派遣で働く場合のメリット
派遣では、時給に換算したときの給料体系が恵まれていることが多く、非常勤として働くよりも給料が高いことが多いようです。
また比較的福利厚生が充実しているところが多く、健康保険や厚生年金に加入できたり、交通費が全額支払われたりするところもあります。
さらに派遣の場合は、仕事をする時間はある程度自由に選択できるため、自分の都合のよい時間、自分のペースで働けます。
派遣で働く場合のデメリット
派遣は契約期間が決められたなかで仕事をするため、その期間が終われば次の仕事先を探さなければなりません。
一般的には、利用者やその家族との人間関係に慣れた頃に契約が終わる場合が多いようです。
また派遣先でのトラブルや失敗などをした場合、契約を切られてしまいます。
派遣会社は信用が第一ですから、こうなればなかなか次の仕事は回ってこないでしょう。
アルバイト・パートのホームヘルパー
アルバイト・パートのホームヘルパーとは?
介護施設はとくに人手不足といわれており、アルバイト・パートの求人募集もたくさん出ています。
アルバイト・パートであれば、無資格者でも採用している事業所や施設はたくさんあります。
ただし在宅介護で行う「身体介護」は有資格者にしか認められておらず、食事や排せつ・入浴の介助をはじめ衣服の着脱・外出時の介助といった介護を行うには「介護職員初任者研修」を修了していなくてなりません。
就業時に資格を持っていなくても、働きながら資格を取得することは可能なため、まずはアルバイトやパートとして介護業界で働きはじめる人も多いようです。
アルバイト・パートで働く場合のメリット・デメリット
アルバイト・パートの場合は資格や経験がなくても就職しやすく、求人も非常に多くあります。
ただし賃金は時間給になり非常に安いことが多く、また移動にかかる交通費は支給されないと思ったほうがよいでしょう。
アルバイト・パートであっても利用者を送迎するための自動車の運転や調理経験を問われることもあり、正社員と同様の仕事が求められることが多くなっています。
副業のホームヘルパー
副業のホームヘルパーとは?
ホームヘルパーは登録制での雇用も多く、ニーズのある時間帯だけ利用者宅へ出向き、介護をするといったスタイルで働く人も少なくありません。
こうした働き方は副業としては働きやすい仕事だといえるでしょう。
ホームヘルパーの需要は急増しており、たとえ週に1日や数時間だけであっても、ホームヘルパーとして働ける人を求める事業所はたくさんあるようです。
本業が休みの週末を利用して、副業としてホームヘルパーをはじめることは十分に可能だといえます。
副業のホームヘルパーとして働くには?
副業でホームヘルパーをする場合も、一般的には訪問介護事業所の求人を探して、応募するところから始まります。
非常勤や登録制としての募集があれば、スケジュールに無理のない範囲でホームヘルパーの仕事ができます。
ただしホームヘルパーは利用者の生活に密着する仕事のため、たとえ副業であろうと強い責任感が求められますし、正しい知識やスキルを持って介護に臨まなくてはならないことを覚悟しておきましょう。
男性のヘルパーと女性のヘルパーの違い
男性ヘルパーと女性ヘルパーの現状
訪問介護の現場
訪問介護の大半は女性ヘルパーです。
これは炊事・洗濯・掃除などは女性が得意とすることが影響しているからではないでしょうか。
身体介護に関しても、女性の利用者は同性の介助を求めることが多いためやはり女性ヘルパーのニーズが高くなっています。
また訪問介護は非正規雇用が大部分を占めるため、どうしても女性ヘルパーの需要が多くなり、事業所も女性ヘルパーを求め雇用するケースが大半です。
ただし、訪問入浴に関してはどうしても力仕事になるため、男性ヘルパーを求める事業所が多いのが現状です。
介護施設の現場
グループホーム・特別養護老人ホーム・デイサービスなどの介護施設では、女性のほうが比率は多いものの、男性ヘルパーと女性ヘルパーの違いはあまりありません。
訪問介護と違い正社員が多いので、長く働く傾向のある男性ヘルパーを好んで雇用するところもありますし、介護施設は夜勤があるため体力のある男性ヘルパーに向いている面もあることから、徐々に男性ヘルパーの割合も増えてきています。
男性のホームヘルパー
男性のホームヘルパーも活躍している
男性だからといってホームヘルパーになれないわけではありません。
ホームヘルパーの業務のなかには、入浴の介助やベッドから起き上がる際の介助など力仕事もありますし、男性は女性に比べて体力のある人が多い分、男性を歓迎する職場も増えてきているようです。
まだ女性中心の世界ではあるものの、男性が力を発揮できる場面も多くあります。
男性のヘルパーのメリット・デメリット
男性ヘルパーの一番の強みは、力仕事ができることです。
近年は訪問介護でも利用者の介護度が重度になってきていることから、寝たきりの利用者を介護する場面も増えてきています。
どうしても女性では重労働となることから、力のある男性ヘルパーへの期待が高まっています。
男性ヘルパーはまだ少数のため、女性が多い環境の中でやっていくにはコミュニケーション能力が欠かせません。
また「ホームヘルパーは女性」という世間のイメージが強いことから、肩身の狭い思いをしたり、利用者から女性のヘルパーを求められたりすることもあります。
近年は男性の利用者が同性のヘルパーを希望するケースも増えてきており、今後は男性ヘルパーと女性ヘルパーがそれぞれの足りない部分をカバーし、協力しながら仕事をすることが求められていくでしょう。
収入や待遇の不安
男性でもホームヘルパーとして活躍しやすい環境が整いつつありますが、まだまだ給与や待遇面に関しては恵まれていない職場も多いようです。
ほかの職種と比較して決して高収入が得られる仕事とはいえず、また、年齢が上がっても大幅な収入アップは見込みにくいのが実情で、満足いく収入が得られないことから転職を考える人もいるようです。
キャリアアップのために
介護の仕事でよりよい待遇を求めてキャリアアップをする人も多くいます。
たとえば実務経験を3年以上積み、国家資格である「介護福祉士」の取得を目指すほか、5年以上の実務経験を積んで「ケアマネジャー」を目指すこともできます。
このような上位資格を取得すれば、よりよい待遇で働ける可能性は高まりますし、施設の管理職を目指していく道も考えられるでしょう。
ホームヘルパーの仕事をきっかけに専門的に介護を学び、結果的に収入アップにつなげることも可能です。
ホームヘルパーに必要な資格のまとめ
ホームヘルパーになるには特別な資格は必要なく、16歳以上であれば働くことが可能です。
しかし、無資格の場合は在宅での身体介護ができないため、介護に必要な基本的知識や技術を証明する資格である「介護職員初任者研修」を受講する人が多いのが現状です。