ホームヘルパーの需要・現状と将来性

ここではホームヘルパーの現状と将来性について解説していきます。

ホームヘルパーの現状

わが国は平均寿命が世界一となり、総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は27.3%で「4人に1人は高齢者」の時代を迎えています。

平成29年版高齢社会白書(概要版)

「介護労働実態調査」によると、介護サービスに従事する従業員の不足感は6割を超え、「採用が困難である」と回答している人が9割近くを占めています。

平成29年度 「介護労働実態調査」

介護を必要とする高齢者の数は右肩上がりが続き、現場で介護サービスを提供するホームヘルパーが、高齢者の人数に追いついていない状況です。

とくに介護保険制度ができてからは「ホームヘルプサービス」「デイケアサービス」といったように、利用者がニーズに合わせて介護サービス選べるようになっており、それに合わせてホームヘルパーもさまざまな分野で活躍できる人が求められるようになっています。

現在は無資格であっても働きながら資格取得を目指せる事業所や施設もそれなりに多いため、介護職に就くための入り口も広がっていますが、重労働で低賃金なことや、人の命に係わる仕事であることから、求められる責任や負担が大きく職業選択の際に避けられやすいという面があります。

ホームヘルパーの需要

  • 在宅介護のニーズが急増し人手不足
  • 業務の範囲が広がっている
  • 常勤で働ける職場はまだ少ない

在宅介護のニーズが急増し人手不足

日本は高齢化が進み続け、在宅介護を必要とする高齢者の数も急激に増えています。

別養護老人ホームなどの施設は入所条件が厳しくなっていることもあり、施設ではなく、在宅で介護サービスを受けながら過ごす人の割合が大きくなっているようです。

そうした背景のなか、訪問介護ができるホームヘルパーの需要は急増し、訪問介護サービスを提供する事業所は人手不足となっているところも少なくありません。

さらなる高齢化が見込まれるいま、ホームへルパーの需要が大きく減ることは考えにくいといえます。

業務の範囲が広がっている

ホームヘルパーをはじめとする介護職は、人の身体に直接触れる仕事であることから、医療とも密接に関わり、連携をしていくことが欠かせません。

「医療行為」は、もともと医師など限定された職種の人だけが行えるものであり、基本的にホームヘルパーがやることは不可能でした。

しかし介護保険制度が改正され、現在では医療行為の一部が緩和され、体温測定や血圧測定、爪きり、自己導尿を補助するためのカテーテルの準備などは、研修を受けたホームヘルパーが行うことが認められるようになりました。

そのほか、医師や看護師が確認したうえであれば、皮膚への軟膏塗布(褥瘡の処置をのぞく)や湿布貼付、パッケージ化された内服薬の内服介助などの行為もホームヘルパーが携われるようになっています。

常勤で働ける職場はまだ少ない

ホームヘルパーの需要が増えているとはいえ、その勤務形態はまだ非常勤が多く、誰もが安定した収入を得られるわけではありません。

非常勤の場合、利用者宅への直行直帰の働き方が主となり、時給で給料を得ることが多いことから、正社員に比べてどうしても収入は少なくなりがちです。

介護職としてよりいっそう活躍したいのであれば、「介護職員初任者研修」の上位資格と位置付けられる「実務者研修」や「介護福祉士」の取得を目指す必要があります。

ホームヘルパーの担う役割は、以前にも増して重要なものとなっていますが、人の健康に直接的に関わってくるものとなるため、医療との連携については常に最新の正しい情報を得ておく必要があり、ホームヘルパーの責任や負担も大きくなっていると言わざるを得ないでしょう。

ホームヘルパーの将来性

介護サービスの受給者は年々増え、とくに居宅サービスを利用する人は急増しています。

こう考えると超高齢化を不安に思う人も多いかもしれませんが、逆を考えるとホームヘルパーの活躍の場もどんどん増え、介護業界はこれから成長産業になっていくといえます。

ホームヘルパーとして働いた経験や資格は一生使える仕事になりますし、出産や育児などで現場を離れても復帰する機会も多く、人材不足から転職先にも困ることがないでしょう。

非常勤が多い勤務形態は不安定とも言えますが、家事や育児などと両立しながらライフスタイルに合わせた生活ができる仕事ともいえます。

ホームヘルパーの今後の活躍の場

かつてはホームヘルパーというと現場で仕事をするだけの資格でしたが、資格についても改正が進み、現在は介護職においてキャリアを積むことも可能になりました。

介護職のキャリアパスを明確にすることで、介護職に就く人をどんどん増やしていこうという動きが進んでいます。

現在は、「介護職員初任者研修」を介護職のファーストステップの資格とし、そこから「実務者研修」「介護福祉士」「認定介護福祉士」とわかりやすい形でステップアップする道が開かれています。

さらに実務経験3年以上を積めば「介護福祉士」に、5年以上で「ケアマネジャー」へとステップアップすることが可能となり、これらの有資格者になることで、給与や待遇面についても優遇されるケースが増えていくでしょう。

今後も介護保険制度についてはさまざまな変更が予想され、介護職に就く人にとって安心して働きやすい環境がさらに確立されていくものと考えられます。

ホームヘルパーの現状のまとめ

「4人に1人が高齢者」のいま、ホームヘルパーの需要は高くなる一方です。

ホームヘルパーとしての経験や取得した資格は一生ものであり、出産や育児などで現場を離れても復帰することが可能です。人材不足から転職先にも困ることがない職種といえるでしょう。