保育士の働き方の種類とその特徴
保育士の雇用形態
保育士は、人によってさまざまな雇用形態で働いています。
代表的な雇用形態としては、以下のものが挙げられます。
・正社員(常勤・正規職員)
・派遣
・パート(非常勤・臨時職員)
このほか、仕事として収入を得るのではなく、ボランティアで保育士の資格・経験を生かして活動している人などもいます。
ここでは、それぞれの雇用形態の特徴やメリット・デメリットなどについて、詳しく紹介します。
正社員の保育士
正社員の仕事内容は?
正社員の保育士は、保育園などの保育施設でリーダーシップを発揮しながら子どもをまとめたり、子どもを率先して引っ張っていったりします。
職場によっては「常勤」や「正規職員」と呼ばれることもあります。
他の雇用形態と比べると最も責任ある役割を担うのが正社員で、保護者から預かった子どもたちを安全な環境下で保育し、保護者の元へしっかりと返すことが保育士の使命となります。
勤務時間中は、子どもたちに食事・排せつ・着替え・お昼寝などの援助をしながら、遊び・工作・運動などを通じて、子どもの感性や考える力を伸ばしていきます。
また、保育園で行われる行事やイベントごとの企画・準備も率先して行い、経験を積むと、新人保育士の教育やマネジメントなどにも携わることになります。
正社員のメリット・デメリットは?
正社員の保育士として働く最大のメリットは、責任ある立場で、保育士としてのキャリアを築いていけるということです。
正社員は、保育士として1から10まで幅広い仕事に携わることができ、経験を積むごとに難易度の高い仕事にも挑戦できるようになります。
また、給料や待遇面も、他の雇用形態と比べれば最もよいのが正社員だといえるでしょう。
正社員として身につけたスキルは、もし他の保育施設などへ転職する場合にも、プラスに評価されることが多いです。
一方、正社員は担う責任が重く、残務処理や打ち合わせなどによって残業が発生したり、ときに休日出勤を求められたりする可能性もあります。
また、もしパートの保育士が問題を起こした場合には、正社員の保育士が対応しなくてはならないという大変な一面もあります。
正社員の給料は?
正社員として働く保育士の給料は、勤務先によってもだいぶ違いがありますが、月に20万円~30万円程度がボリュームゾーンとなっているようです。
たいていの保育園では正社員にはボーナスの支給もあり、年収は300万円以上が見込めるでしょう。
また、長く働いていけば昇給や昇進も見込めます。
とくに公立保育園で働く場合は、勤続年数が増えると必ず昇給するため、長く働けば働くほど収入アップが期待できます。
このほか、社会保険やさまざまな福利厚生についても、他の雇用形態に比べると最も充実しているのが正社員です。
派遣の保育士
派遣の仕事内容は?
家庭の事情や就職難のために、なかなか正社員として勤務することが難しい場合、派遣で働く道を選ぶ人もいます。
派遣の保育士の仕事内容は、正社員の保育士の補助や、マイペースな子どもたちの対応が中心です。
ときには雑用のような作業をすることもあるでしょう。
ただし、正社員に多い事務作業は、派遣の保育士には少ない傾向があります。
残業もあまりなく、「仕事=子どもと一緒にいる時間」となるので、進んで派遣として働く保育士も少なくありません。
派遣会社をはじめ、公的機関(ハローワークなど)でも派遣の登録ができます。
派遣の保育士になろうと思っている人は、派遣会社やハローワークなどに登録しておくことをおすすめします。
正社員への道が開かれている紹介予定派遣というかたちを取ってくれる場合もあるので、登録しておいて損はありません。
派遣のメリット・デメリットは?
派遣の場合、勤務時間は自分の希望をある程度採用してもらえるため、家庭を持っている人や、忙しい人でも比較的働きやすい環境で仕事ができるでしょう。
しかし、勤務時間があまりにも短時間過ぎる場合や、保育園がその時間での勤務を望んでいない場合などは、希望が通らないこともあります。
派遣の場合、事前に決められた期間だけ働くことになり、契約期間が終わればまた別の派遣先を探さなくてはなりません。
長くひとつの職場で働き続けるというよりも、さまざまな職場で経験を積みたい人にとっては魅力的に感じられるかもしれません。
なお、派遣というと気軽なイメージがあるかもしれませんが、派遣の保育士でも子どもの前に立てば一人の「先生」となります。
子どもには「派遣だから」という言い訳は通用しませんし、職場でも責任を持って仕事をしていくことが重要です。
一歩保育園に入ったら、しっかりと自覚を持って行動をし、子どものお手本となるように心がけることが大切です。
派遣の給料は?
派遣の保育士の需要は高く、比較的よい条件で働けることが多いようです。
派遣の保育士は即戦力になれる人材が求められる傾向があり、時給に換算した給料が一般的な保育士よりも高く設定されている場合が多いです。
時給の相場はだいたい900円から1,200円くらいです。
保育士にしては高額ですが、ボーナスが支給されないという場合が多くあります。
パートの保育士
パートの仕事内容は?
パートなど、正規職員以外の雇用形態で働く保育士も多くいます。
このような雇用形態で働く人は、職場によっては「非常勤」や「臨時職員」という名称で呼ばれることもあります。
パートの保育士は、正社員や常勤の保育士のサポート業務にまわることが多く、正規職員の保育士が子どもを引っ張っていく際に、一人ひとりの子どもの様子を見極めて、適切にフォローしながら対応していくことがパートの保育士の大切な役目です。
日誌作成などの事務作業が少ないため、事務作業にうんざりしている正社員の保育士がパートに転身することもあるようです。
しかし、子どもたちや保護者からすれば、パートであっても「保育園の先生」であることに変わりはないため、責任感を持って仕事に臨まなくてはなりません。
パートのメリット・デメリットは?
パートの保育士のメリットとしては、働く時間の自由度が高いところです。
正社員や常勤であれば、週に5日・1日8時間程度の勤務を続けなくてはなりませんが、パートであれば自分の希望で出勤日や休日を決めやすく、「1日に4時間~6時間程度」だけといった時短勤務も可能です。
パートの場合、残業もほとんどしなくてよい場合が多いでしょう。
こうしたことから、結婚・出産をきっかけにフルタイム勤務からパート勤務に変更し、家庭と仕事を両立させている保育士もいます。
ただし、パートは正社員のような福利厚生や待遇が適用されないことが多く、収入は正社員よりも低くなるでしょう。
なお、最近では保育施設が増加によって保育士が不足していることから、保育士の数を確保するためにパートの保育士にも補助金の支給が行われる場合があります。
求人も増えているため、パート保育士として働くチャンスは広がっています。
パートの給料は?
パートで働く保育士の給料は、たいていの場合「時給制」となっています。
「1時間あたり〇〇円」という契約で、働く時間が多くなればなるほど、手元に入ってくる収入も増えます。
経験やキャリアによってはパートでも昇給が見込めますが、ボーナスなどの支給はない場合が多く、正社員や常勤の人に比べると、どうしても不安定な働き方になるでしょう。
その他の雇用形態・働き方もある
フリーランスの保育士
保育士の代表的な雇用形態は、ここまで挙げてきた通りですが、このほか最近では「フリーランス」として働く保育士が少しずつ増えているようです。
フリーランスの保育士の仕事内容としては、急に欠員が出た保育園に出向いて派遣のような形で保育に携わることや、ベビーシッターとして個人のお客さまの自宅で保育をすることが一般的です。
フリーランスになる人の理由はさまざまです。
たとえば、「子ども一人ひとりとよりしっかり向き合いたい」「保育士の資格や経験を生かしながらも、もっと自由に働きたい」などです。
まだフリーランスの保育士は数が多くありませんが、保育ニーズの多様化が進む現代において、個人としても保育士としてのスキルを発揮できる場は、さらに広がっていくかもしれません。
副業・在宅の保育士
保育士の知識・経験を生かして副業・在宅で働く人もいます。
副業・在宅の働き方で多いのは、ベビーシッターの仕事をするケースです。
ベビーシッター派遣会社にスタッフとして登録し、仕事の依頼を受けてお客さまの自宅で保育を行います。
このほか、Webライターとして保育や子育てに関する記事を執筆し、収入を得ている人もいます。
また、保育士は子どもと一緒に工作をしたり、行事のための小物づくりをする機会が多いため、ものづくり系の内職をする人もいるようです。
一般的には、多くの保育士が保育園などの保育施設に勤務していますが、在宅で仕事をすることも不可能ではありません。