宗教学とは? 大学で学ぶことや就職先は?
宗教学の概要・理念
宗教学の起源は意外にも新しく、ヨーロッパでは19世紀、日本においては20世紀に入ってから研究が本格化した学問です。
現代の日本では信仰を持たない人も多くいますが、国際的に見ると「宗教を持たない人は信頼されない」と言われるほど、信仰は世界の人々の間で重要な位置を占めています。
経済や資源をめぐる争いだけでなく、信仰の違いが発端となって戦争にまで発展している例は枚挙に暇がないことからも、この事実は明らかです。
グローバル化が進むにつれて、相互理解を深め多様性を受け入れることの重要性がこれまで以上に増しています。
宗教に対して正確な知識を持ち、客観的な立場で考えられることは、グローバル社会で活躍する人材として欠かすことのできない大切な資質の1つと言えるでしょう。
宗教学では特定の宗教に限定することなく、過去から現代に至るまでさまざまな宗教について研究し、人の心の在り方や死生観、倫理観などを学びます。
このようにして宗教現象を客観的に、ときに批判的な見地から探求し、その本質へと迫っていくのが宗教学なのです。
宗教学で学ぶこと
宗教は人々の歴史や時代状勢の影響を受けて発祥・発展していることから、宗教を学ぶためには歴史や思想についての知識を得ておくことは必須です。
また、哲学や倫理学といった宗教学とは異なる領域の思想との関係を学ぶことも、宗教学の立場で研究を進める上で重要になります。
世界三大宗教としてキリスト教、イスラム教、仏教を扱うだけでなく、民間信仰や新宗教についても幅広く研究していきます。
宗教学には大きく分けると宗教思想研究と宗教史研究があり、前者はさまざまな宗教の信仰・思想について研究し、後者は地域宗教学、比較宗教学、現代宗教学といった観点から宗教の歴史を包括的に研究します。
特定の宗教に限定して研究するのではなく、多様な宗教を比較しながら研究を進めていくのが大きな特徴です。
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宗教学の大学での授業科目の例
宗教思想学
さまざまな宗教の思想や精神、信仰について学び、理解を深めるとともに客観的な視点を育みます。
地域宗教学
宗教が広まり根付いた地域の歴史や文化、社会的背景について研究し、宗教と地域について考えます。
比較宗教学
さまざまな宗教の歴史や思想を比較し、特徴や類似点、相違点について客観的な視点で分析します。
現代宗教論
現代社会における宗教の役割や影響について学び、現代人の心の在り方や宗教に対する考え方について学びます。
宗教社会学
宗教が社会に及ぼしてきた影響や、社会との関わりに関する課題点について研究します。
宗教学のレポート・テーマの例
世界には多くの宗教がありますので、宗教学の研究対象も必然的に広範なものとなります。
宗教や信仰そのものにフォーカスしたテーマや、現代社会や身近な映画作品などと宗教との関わりを論じるテーマなど、レポートのテーマの実に多種多様です。
- ・古代日本の他界観
- ・ギリシア思想と仏教思想
- ・エヴァンゲリオンと神話の関係性
- ・ディズニー作品の宗教観
- ・ブラック企業とカルトの組織構造の比較考察
宗教学と関連する学問
信仰を持つのは人間だけですので、宗教について研究することは人間への理解を深めることにつながっていきます。
したがって、アプローチは違えど人間の在り方や思想について深く探求していく学問領域は、宗教学と深い関わりを持っているケースが少なくありません。
たとえば、哲学や心理学、社会学、歴史学といった分野の学問は、宗教学を研究を進める中で参照する場合があります。
文学作品や芸術作品の中にも宗教の影響が見られるものがありますので、文学や美術学に関する知識が必要になる場合もあるでしょう。
宗教学を学んで就職に有利な業界・仕事
宗教学を学んだことで就職に有利になる業界と聞くと、冠婚葬祭に関する業界をイメージするかもしれません。
しかし、実際には宗教学の知識を活かすためにこういった業界へ就職する人はかなり少数派です。
多くの人はメーカーや商社、公務員といった他の学問を研究してきた人と変わらない進路を選択するケースが大半となっています。
仕事内容についても宗教学を学んできたことで特段有利になることは考えにくいのですが、海外とのやりとりの多い企業や社員が多国籍の企業では多様性への理解が期待できる人材として評価される可能性はあります。
宗教学は実学ではありませんが、このようにグローバル社会で活躍していく人材として、持っておくべき教養の1つをしっかりと有している人材として見てもらえるはずです。
反対に、宗教学を専攻したことで就職に不利になるケースはほとんどないと考えていいでしょう。
国際感覚のある企業ほど、宗教について理解を深めておくことの重要性は理解していますので、「宗教学専攻で就職は大丈夫だろうか?」といった不安を感じる必要はありません。
宗教学の知識は人生でどう役立つ?
日々のニュースにおいても、宗教の違いに端を発する争いについての報道は後を絶ちません。
宗教に関する知識を十分に持っていないと、なぜこのような争いが起きてしまうのか、報道を目にするだけではよく理解できないケースも出てくるでしょう。
宗教学の知識を得ることで、世界に大きな影響を与え続けている信仰について客観的な見方ができるようになるでしょう。
さらに、グローバル社会を生きていくために必要な素養を身につけ、国際人として恥ずかしくない知見を得ることができるようになります。
宗教学の知識は、これからのグローバル社会を生きていく上で重要となる多様性への理解や、信仰を尊重する姿勢を持つ点において役立てられる場面が多々あるはずです。
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