キャリアコンサルタントの仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
キャリアコンサルタント国家試験に合格した人だけが、キャリアコンサルタントと名乗ることができます。
この記事では、キャリアコンサルタントの仕事内容や役割、勤務先の種類などについて紹介しています。
キャリアコンサルタントの仕事とは
キャリアコンサルタントとは、人々が抱える職業選択の悩みや、職業能力に関する相談にのり、助言やアドバイスする専門家です。
キャリアコンサルタント国家試験に合格し、国家資格を取得した人だけが「キャリアコンサルタント」と名乗れます。
キャリアコンサルタントは、人々が自分の適性や能力、関心などに気づき、自己理解を深めて、自身に合う生き方・仕事選びができるよう支援します。
一般企業のほか、大学やハローワークなどの行政機関、人材派遣業界など、さまざまな場で活躍できる可能性がある職業です。
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キャリアコンサルタントの業務の内容
ここからは、キャリアコンサルタントの詳しい業務内容を説明します。
大きく以下の3つの要素があります。
- カウンセリング(相談者の話を聞く)
- 助言(アドバイスする)
- 情報提供(職業・仕事に関する情報を発信する)
カウンセリング(相談者の話を聞く)
キャリアコンサルタントは、相談者の抱える悩み・課題を把握したうえで、それに対しての助言をします。
キャリアコンサルティングの際には、まずコンサルタントは相談者について知るために、これまでに経験したことや、関心をもっていることをヒアリングします。
相談者は一人ひとり価値観や立場が異なることを理解し、相談者に寄り添いながら、相手の考えや思いを整理します。
この対話を通して、相談者自身も自己理解を深めていくことができます。
助言(アドバイスする)
キャリアコンサルタントは、相談者が抱えるキャリアに関する悩みに対して、一方的に「こうしなさい」と指示したり、勝手に結論を出したりすることはありません。
あくまでも最終的な結論を出すのは相談者自身であり、現状を整理したうえで、本人が満足いく結論を導き出すための支援することが、キャリアコンサルタントの役割です。
コンサルタントは、相談者の強みや目標、価値観を見つけながら、プロフェッショナルとして必要な情報を提供し、相談者にとって納得のいく自己実現ができるように助言します。
情報提供(職業・仕事に関する情報を発信する)
キャリアコンサルタントは、相談者に対して企業の求人やインターンシップ、職場体験や職場見学などの情報も提供します。
また、希望の仕事をするために学習やスキルアップが必要であれば、その方法を一緒に考えて計画を立てていくこともあります。
このように、キャリアコンサルタントは相談者に寄り添いつつも、仕事への理解と意識向上を促し、よりよい形で相談者が理想のキャリアを実現できるように手助けしていきます。
キャリアコンサルタントにとって大事なこと
キャリアコンサルタントにとって大事な3つのポイントを紹介します。
ポイント1.真摯に相手の話をじっくりと聞く(傾聴)
キャリアコンサルタントを目指す人には「人と接するのが好き」「コミュニケーションが得意」といった人も少なくありません。
しかしながら、キャリアコンサルティングの基本は「傾聴」、つまり「じっくりと相手の話に耳を傾けて聞くこと」です。
相手の話を聞こうと思っていても、いつの間にかうっかり自分ばかりが喋ってしまったり、相手が本心を出せない雰囲気を作り出してしまったりするようでは、相談者の課題・悩みに心底寄り添うことはできません。
信頼されるコンサルタントは、カウンセリングが終わった後、相談者から「こんなに話すつもりじゃなかったのに!」と言われるくらい、自然に話しやすい空気を作ります。
簡単なように思えるかもしれませんが、傾聴ができるようになるためには、きちんと訓練をしてスキルを身につける必要があります。
ポイント2.価値観を押し付けない
キャリアコンサルティングの目的は、それを通して、相談者自身の中にある「気づき」を引き出すことです。
相談者は、キャリアコンサルタントと話すことによって迷いや悩みが整理され、自分の強みや個性も理解して、自ら前に進めるようになります。
つまり、キャリアコンサルティングの場において、コンサルタントは、相談者自身が自身の理想や目標を見つけ、自ら行動できるようにサポートする必要があります。
そのため、コンサルタントが一方的に自分の価値観を押し付けたり、「こうすべき」「こうしなさい」のように指示してはいけません。
あくまでも相手の価値観や興味関心を尊重し、いま相談者がどのような状態にあるのか、どうすれば悩みが解決するのかなどを考え、適切な助言や情報提供をします。
そして、相談者の課題を一緒に解決していく姿勢が、キャリアコンサルタントには求められます。
ポイント3.どんなときにも相談者に寄り添う
キャリアコンサルティングは、一般的には「進路や就職・転職など仕事探しの支援」と認識されます。
しかし実際には、さらに広い意味で「相談者の人生を支援する」という意味も存分に含まれてきます。
人は誰しも、生きていくなかでさまざまな経験をし、自らの価値観や考え方を形成していきます。
キャリアの希望も、その人が経験したことや大事にしていることが基になっている場合が多いため、キャリアコンサルタントは、まず相談者の経験や興味関心を積極的に受け止めることが大切です。
そして「何を幸せだと感じるのか」は一人ひとり異なることを理解していなければなりません。
一般常識や大体数の意見に惑わされず、目の前にいる相談者の価値観を理解し、その人がより幸せな人生を送るにはどうすればいいのかを考える意識が、キャリアコンサルタントには求められます。
さまざまあるカウンセリング手法や知識を学ぶことも大切ですが、その根本として「相談者に寄り添う気持ち」を忘れてはなりません。
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キャリアコンサルタントの役割
キャリアコンサルタントは、国家資格を持った専門職として、人々のキャリアに関する悩みに寄り添います。
以下で、キャリアコンサルタントがどのような役割を担っているのかを詳しく説明します。
キャリアコンサルティングに関わる唯一の国家資格
かつて日本ではキャリアカウンセリングに関する民間資格が数多く存在しており、それぞれ資格を認定する団体が異なっていました。
そのため、団体によって「キャリアカウンセラー」と名付けていたり、「キャリアコンサルタント」と呼んでいたりと、名称がバラバラな状態でした。
一方、日本社会の働き方が多様化するなかで、より専門的なキャリアコンサルティングを行える人材の育成を目指し、2016年(平成28年)4月には「キャリアコンサルタント」が国家資格として新たに誕生したのです。
キャリアコンサルタントは「名称独占資格」に該当し、現在キャリアコンサルタントと名乗れるのは、この国家資格の有資格者のみとなっています。
相談者の自己実現をサポートする
多くの人にとって「どのように働くか?」は人生での大きな課題となりますが、一人ひとり能力や価値観も違えば、抱える問題の背景も異なります。
キャリアコンサルタントはキャリアのプロとして、相談者一人ひとりにきちんと向き合っていくことが重要です。
また、キャリアコンサルタントは相談者の自己実現をサポートする役割を担います。
もし、相談者が心の病気を抱えており、精神的な治療が必要と判断した場合には、速やかに医師や臨床心理士などの専門家に引き継がなくてはなりません。
相談者の心に寄り添いながらも、冷静に相手の様子や変化を観察することが求められる仕事です。
守秘義務や定期的な更新が求められる
キャリアコンサルタントには「守秘義務」があり、相談者の秘密を漏らしたり、信用を失う行為をしたりすることは禁止されています。
もしこれを守らなければ、30万円以下の罰金が処せられます。
また、キャリアコンサルタント国家資格は5年ごとに更新が必要です。
常に最新の知識・技能を取り入れて仕事に生かすことが求められます。
キャリアコンサルタントの勤務先の種類
キャリアコンサルタントのおもな勤務先と、そこでの仕事内容について説明します。
企業
近年、一般企業内にキャリアコンサルタントが配置されるケースが増えつつあります。
企業の従業員は、事業環境の変化や配置転換などによって、それまでとまったく異なる業務に携わることも珍しくありません。
キャリアコンサルタントは、企業で働く人々のキャリアの転機をサポートすると同時に、個々のキャリアアップの支援をします。
また、人材系の企業では「仕事をしたい人(求職者)」と「適切な人材を探している人(企業)」をつなぐために、キャリアコンサルタントが活躍します。
求職者に対しては、仕事紹介やキャリア面談、就職・転職活動サポートなどを実施します。
一方、企業に対しては求人内容のヒアリング、人材の提案などをし、両者をうまくマッチングさせます。
教育機関(大学・専門学校など)
大学や専門学校のような教育現場でも、キャリアコンサルタントは活躍しています。
ここでの業務内容は、学生の進路相談や就職支援が中心です。
まだ社会人経験がない若い学生と向き合うことが多いことが特徴で、学生一人ひとりのやりたいことや関心事を引き出しながら、理想の道へ進んでいけるようにサポートします。
行政機関
ハローワーク(公共職業安定所)の相談員として働くキャリアコンサルタントも多くいます。
ハローワークでの中心業務は、職業相談や情報提供です。
求職者の職務経歴や希望職種、勤務条件などを基に、求人情報を探して助言します。
また、必要に応じて知識・技能を身につけるための訓練制度の紹介なども行います。
行政機関では、民間の人材派遣会社とは異なり、障害をもつ人や高齢者などの就職困難者の就職支援も行うため、より幅広い人に対しての適切な支援スキルが必要です。
フリーランス、独立・開業
キャリアコンサルタントは、どこかの組織に雇われて働くのではなく、フリーランスとして個人で活動をしたり、自身の事務所を立ち上げたりして活動することも可能です。
このような形で働くキャリアコンサルタントは、たとえば個人のお客さまに向けてキャリアコンサルティングを行ったり、企業と業務委託提携を結んでコンサルティングやセミナー・研修業務に携わったりしています。
そのほか、講演会の開催や執筆活動など、おのおのの関心や専門性に応じてさまざまな活躍の仕方が考えられます。
キャリアコンサルタントの仕事の流れ
キャリアコンサルタントの仕事の流れは、勤務先の種類によっても多少変わってきますが、大きな流れは以下の通りです。
-
1.相談者の話を聞く
まずは傾聴を通して、相談者のキャリアに対する希望や考えを明確にします。 -
2.相談者の自己理解を深め、キャリアプランを立てる
相談者が自身の適性や能力を正しく把握し、自己理解できるように対話を進めていきます。キャリアプランを立てるお手伝いもします。 -
3.適切な助言や情報提供を行う
必要に応じて、キャリアコンサルタントは自身の専門知識を生かした適切な助言や情報を提供します。ただし、価値観の押しつけや指示はせず、あくまでも相談者が自主的に動けるようにサポートします。 -
4.希望のキャリア(就職・転職など)実現に向けて支援を続ける
1回のコンサルティングで理想通りにいくとは限りません。場合によっては何度も面談を重ねて、着実に目標に向けて進めるように支援を続けます。
キャリアコンサルタントと関連した職業
キャリアコンサルタントと関連した職業として、「キャリアカウンセラー」が挙げられます。
一般的に、キャリアカウンセラーは、進学、就職・転職、家庭生活など「幅広い意味での人のキャリア」を支援する仕事に就く人を指します。
この他にも、キャリアの相談にのる人のことを「キャリアアドバイザー」と呼ぶことがあり、キャリアカウンセラーやキャリアアドバイザーは、必ずしも資格を持っているとは限りません。
一方、先に挙げた通り、「キャリアコンサルタント」と名乗れるのは国家資格をもつ人のみです。
キャリアカウンセラーに関しては、身につけている知識や技能、取得資格の種類、相談者へのアプローチの仕方は十人十色と考えられます。
ただ、一般の人へのわかりやすさから、キャリアコンサルタントの有資格者が、あえて「キャリアカウンセラー」と名乗って働くケースもあります。
就職や転職を考える際は名称に左右されず、必要とされる資格の種類や、仕事内容をよく見るようにすることが大切です。
「キャリアコンサルタントの仕事内容」まとめ
キャリアコンサルタントは、人々が自身の能力や適性などを把握し、自己理解を深め、理想のキャリアを実現できるように支援する専門職です。
相談者一人ひとりの価値観や希望をきちんと把握し、その人が、自身のありたい姿に向かって生きられるように助言や情報提供などを行います。
なお、キャリアコンサルタントと名乗れるのは、国家試験に合格し、資格を取得した人のみとなっています。
キャリアコンサルタント資格を持つ人は、企業や公的機関などに勤務するほか、個人でフリーランスあるいは事務所を立ち上げるなどして働くことも可能です。