弁護士になるには?資格はどうやって得る?【弁護士になるまでの3ステップ】
さらに、そこから弁護士資格を得るには、司法試験合格後にも研修と試験を受けて合格しなくてはなりません。
この記事では、弁護士になる方法を3ステップでまとめています。
弁護士になるには【3ステップ】
弁護士になるルートは、以下の図のようになっています。
この章では弁護士になるための方法を以下の3つのステップに分けて詳しく解説します。
- 司法試験の受験資格を得る
- 司法試験に合格
- 司法修習1年+考試(二回試験)に合格
ひとつずつ見ていきましょう。
弁護士になるためのステップ1.司法試験の受験資格を得る
難易度の高い試験として知られる司法試験ですが、そもそも、司法試験の「受験資格を得ること」も難しいとされています。
司法試験の受験資格を得る方法は2種類あります。
- 法科大学院(ロースクール)課程を修了すること
- 司法試験予備試験に合格すること
司法試験を目指す人は、法科大学院に進学するのが一般的ですが、大学在学中や法科大学院在学中に予備試験を受けることで弁護士資格取得にかかる時間を短縮する人もいます。
司法試験を受けられるのは受験資格を得てから5年間に限られるうえ、受験回数も3回までである点には注意する必要があります。
それでは、それぞれのルートの特徴をみていきましょう。
司法試験の受験資格を得る方法1.法科大学院(ロースクール)課程を修了
法科大学院入試に合格することは容易ではなく、大学入試と同じように浪人して何度も受験するケースも珍しくありません。
司法試験の受験資格を得るための法科大学院での学習期間は、大学で専攻していた学部によって以下のように決められています。
✅ 法科大学院での学習期間
- 法学部卒業生:「既修者コース」2年間
- 法学部以外の卒業生:「未修者コース」3年間
既修者コースの入試内容は、法律科目・小論文・面接です。
一方、未修者コースの入試内容は法律科目が含まれず、小論文・面接です。
受験資格は、基本的には大卒もしくは大学卒業見込みであることです。学部を問わず法科大学院の試験に合格すれば入学できます。
なお、法科大学院を卒業して司法試験の受験資格を得ても、司法試験の受験回数である3回のうちに合格できなければ、受験資格を失い、もう一度法科大学院に入学しなおす必要があります。
司法試験の受験資格を得る方法2.司法試験予備試験に合格
法科大学院進学者よりかなり少ないものの、近年は、司法試験予備試験を受ける人も増えつつあります。
予備試験に合格することで、法科大学院修了者と同程度の知識があるとみなされて、司法試験が受けられます。
したがって、予備試験は法科大学院の入学試験以上に難易度が高いです。
✅ 司法試験予備試験の特徴
- 受験資格がなく誰でも受けられる
- 合格率は例年3%前後で難易度が高い
- 予備試験合格者の司法試験合格率は約8割と高め
予備試験は短答式、論文式、口述式の3段階で実施され、受験資格がなく誰でも受けられることが特徴です。
法科大学院に通う時間や金銭的に余裕がない人でも、予備試験の道を選んで弁護士を目指すことは可能です。
弁護士になるためのステップ2.司法試験に合格
「司法試験に合格すること」が、弁護士になるための第二の関門です。
司法試験は、裁判官・検察官・弁護士(法曹三者)になるための国家試験です。
✅ 司法試験の概要
- 毎年5月に実施
- 論文式試験3日間、短答式試験1日間の合計4日間
- 受験料28,000円
短答式試験はマークシートです。受験は論文式・短答式どちらも受ける必要がありますが、短答式合格者のみ論文式試験の成績を総合して合格判定が行われます。
詳しくは、法務省の「司法試験の実施について」で確認してください。
司法試験の合格率は以下の通りです。
✅ 令和3年司法試験合格者の合格率
- 全体:41.5%
- 予備試験合格者:93.5%
- 法科大学院修了者:69.4%
予備試験合格者のほうが、法科大学院修了者よりも合格率が高い状態が続いています。
司法試験の難易度・合格率は? 法科大学院と予備試験のルートを比較
弁護士になるためのステップ3.司法修習1年+考試(二回試験)に合格
司法試験に合格しても、すぐに弁護士として働けるわけではありません。
弁護士会に資格を登録して業務を請け負えるようになるためには、1年間にわたって司法修習を受け、最後に実施される「司法修習考試」に合格することが必要です。
司法修習考試は一般的に「考試」「2回試験」とも呼ばれています。
✅ 司法修習・考試の概要
- 司法修習は司法研修所での座学2ヶ月間+実務10か月の合計1年
- 考試は毎年11月の5日間
- 考試の合格率は90%超
司法修習を受け、考試を受験することは裁判所法に定められています。
この司法修習生としての期間はいわば実務を覚えるための「見習い」であり、給料などの待遇面はさほど期待できないでしょう。
考試の合格率は9割と高いですが、落ちてしまうともう1年間、司法修習生として研修することになります。
考試に合格すると、弁護士資格を得られます。
弁護士資格は更新などの必要はなく、一度取得しすれば生涯有効です。
なお、業務として弁護士の仕事をするには、弁護士会への登録が必要です。
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弁護士になりたい!年齢制限は?最短で何年かかる?
この章では、弁護士を目指すうえでの年齢制限や、弁護士になるまでの最短年数、そして社会人や高卒からも目指せるのか?について解説します。
ポイント1.弁護士になるのに年齢制限はない
弁護士資格に年齢制限はありませんが、現実的にはできれば20代のうちに、遅くとも30歳までには、勉強をスタートさせることが望ましいでしょう。
一般的な職業の未経験求人は、おおむね30歳~35歳がひとつの上限とされています。
しかし、弁護士の場合、30歳前後で働き始める人も多いため、30代はまだまだ若手という扱いです。
30代のうちに司法試験に合格できれば、十分に活躍できる余地があるでしょう。
問題なのはむしろ、何年勉強すれば司法試験に合格できるかということであり、受験資格を得るまでの期間も含めれば、どんなに早くても3年~5年、もしかしたら10年以上かかるかもしれません。
何歳から勉強をスタートさせれば間に合うのかは、自身の能力や法律知識の有無、あるいは勉強だけに集中できる環境をつくれるかどうかによって、大きく左右されるといえます。
ポイント2.弁護士に最短でなるには【司法試験の合格までの年数による】
先ほど述べた通り、司法試験合格後に1年間の司法修習期間があるので、司法試験合格までの年数+司法修習1年間が弁護士資格を得るまでの期間になります。
弁護士に最短でなるには、司法試験の合格までにかかる年数によるといえます。
司法試験の受験資格を得るには、法科大学院修了もしくは予備試験合格の必要があります。
法科大学院を終了するには、最短でも6年(4年制大学の法学部+法科大学院2年)かかるので、できるだけ早く弁護士資格を取りたいのであれば予備試験合格を目指すとよいでしょう。
予備試験に合格できれば、すぐに司法試験を受けられます。実際に、19歳で司法試験に合格した人もいます。
予備試験を含め司法試験に合格するまでの勉強時間の目安は10,000時間といわれています。
1日も欠かさず1日5時間勉強して5年以上、1日10時間で約3年かかります。
法律の基礎知識などによっても異なるため、一概にはいえませんが目安にしてみてください。
ポイント3.高卒・社会人も弁護士は目指せる【予備試験の受験資格に大卒は含まれない】
司法試験予備試験には学歴などの受験資格がなく、高卒であっても試験を受けることが可能です。
したがって、予備試験に合格して司法試験の受験資格を得て、司法試験本番に合格すれば、高卒でも弁護士になることができます。
また、法科大学院によっては、大卒の学歴がなくても、これまでの経歴や保有資格次第で入学を認めるというケースもあり、高卒者であっても大学院に進学できる可能性は残されています。
膨大な努力が求められることは間違いありませんが、高卒から弁護士を目指すことも十分に可能です。
社会人は仕事と予備試験や司法試験の勉強の両立が非常に大変ではありますが、独学も選択肢になります。
ただ、予備試験の難易度を勘案すれば、大学などの教育機関や民間の資格学校・予備校など、いずれかの学校に通うことが望ましいのは間違いないでしょう。
弁護士になるにはどんな学校に行けばいい?(大学・大学院・予備校)
法科大学院への入学と入試内容、予備校の活用方法
ここからは、司法試験志望者の大半が目指す「法科大学院」の入学方法や、入試の内容、また法科大学院志望者向けの予備校の活用方法について解説します。
法科大学院に入学する方法
司法試験の受験資格を得るには、予備試験を受ける方法もありますが、実際には「法科大学院(ロースクール)」に進学することを選ぶ人が大半で、受験者のおよそ9割を法科大学院出身者が占めています。
しかし、法科大学院に入学するにあたっては、大学入試の際と同じように、各大学院の入試を受けて合格しなければなりません。
試験の難易度は大学院によって異なるものの、いずれも専門的な対策が不可欠となる難関であるため、予備校を利用して受験対策を行う人も大勢います。
希望する大学院やコースがある程度定まったら、試験科目などに関する情報を収集したり、過去問に取り組んだりして、必要があると感じたら予備校の各講座の利用を検討してみてください。
なお、大学によっては、学部生向けに法科大学院入試の対策授業を実施しているケースもありますので、学生課などに一度問い合わせてみるとよいかもしれません。
法科大学院入試の内容
法科大学院には、「既修者コース」と「未修者コース」の2種類があります。
法学部出身者などを対象とした既修者コース入試の場合、憲法や民法、刑法などの六法に関する論述式試験が課されるケースが一般的です。
試験の成績に加えて、大学での学部成績、法曹資格を目指す志望動機や将来の展望などを取りまとめた「PS(パーソナルステートメント)」などを総合的に判断して、合否が判定されます。
一方、法律初学者を対象とした未修者コース入試の場合、課されるのは小論文試験や面接試験などであり、基本的に法律知識が問われることはありません。
学習への意欲や潜在能力、法曹資格への向き不向きを図るために、既修者コースよりも学部成績やPSの内容が重視されやすい傾向にあります。
なお、法科大学院制度創設当初から、論理力や読解力などを図る目的で、一次試験として「統一適性試験」が実施されてきましたが、法科大学院受験者の減少などを背景として、2019年から廃止されています。
予備校の利用方法
既修者コース
予備校で講座を受ける必要性が最も高いのは、既修者コースの論述式試験です。
とくに東京大学や京都大学、一橋大学など、司法試験合格実績の豊富な一流法科大学院は、試験の難易度・競争倍率ともに非常に高く、かなり入念に対策を実施しなければ合格できないでしょう。
大手予備校では、論述式試験単体、PS添削単体の講座もあれば、ロースクール入試すべての対策をひとまとめにしたパック講座や、各大学院の個別対策を行ってくれる講座もあります。
受講スタイルも、通学形式、web形式、DVD形式などさまざまなバリエーションがありますので、自分に合った勉強方法を選択することができるでしょう。
既修者コース入学を目指す人は、たとえ講座を受講していなくても、模擬試験や答練(答案練習会)については利用する人が大半です。
未修者コース
未修者コースの入試を受ける場合、予備校利用の必要性は既修者コースほど高くはありません。
ただ、小論文試験や面接試験などをこれまでに一度も受けたことがない人などについては、論文の書き方や面接の受け答えなどを教わることのできる基礎講座を受けたほうがよいかもしれません。
とくに小論文については、問われるテーマは人文科学や時事問題など、各大学ごとに一定の傾向があるため、あらかじめ対策しておくことが望ましいといえます。
自身の希望する大学院の過去問を調べて、自信がなければ予備校の添削講座を受講するとよいでしょう。
予備校を選ぶ際のポイント
全国展開している大手予備校としては、辰巳法律研究所、伊藤塾、Wセミナー、LEC東京リーガルマインドの4校が有名です。
また、近年はWeb上で講義を視聴したり添削指導を受けられる「オンライン予備校」も人気を集めています。
各校で、開講されている講座や価格に違いがあるため、よく比較検討してみることが大切です。
無料で講座の動画を公開している学校や、講座のサンプルを郵送してくれる学校、なかには資料を請求すると特典がもらえるケースもあります。
気になる学校があればぜひ資料請求してみてください。
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弁護士のキャリアプラン・キャリアパスは?
この章では弁護士資格を取得した人のキャリアプラン・キャリアパスについて解説します。
一般的には法律事務所に就職する人が多い
弁護士資格を取得した人の多くは、法律事務所に就職してキャリアをスタートさせます。
ただ、近年は司法試験合格者が増加していることもあって、法律事務所に就職できない人も少なくなく、一般企業に勤めたり、いきなり独立開業する人もいます。
法律事務所では弁護士の独特な呼び方があります。
- イソ弁(居候弁護士):サラリーマンのように事務所の代表者から月々決まった給料をもらう
- ノキ弁(軒先だけ借りている弁護士):自身の手掛けた案件に応じて変動制で給料を受け取る
- ボス弁(法律事務所経営者):弁護士としてのキャリアの到達点のひとつ
まずはイソ弁として実務を身に着け、勤めだして数年が経つと、ノキ弁として基本的に独立採算制となります。
ノキ弁として勤めてさらに数年が経つと、完全に独立して自分の事務所を立ち上げるか、あるいは企業などに就職し、元いた事務所からは離れるケースが一般的です。
企業内弁護士や裁判官・公務員になる人も
企業内に弁護士を置く大手企業は増えています。大手企業の正社員になるため、法律事務所よりも福利厚生が手厚いことが多いというメリットがあります。
自治体においても求人が出ていることもあり、公務員として働くことも可能です。
法律事務所から大手企業や地方自治体などに転職する人もいますし、新卒枠で採用されることもあるようです。
また、「弁護士任官制度」では弁護士経験のある人が裁判官にキャリアチェンジできる制度もあります。
国際弁護士とは?資格が必要?
「国際弁護士」という単語を聞いたことがある人も多いかもしれません。
厳密にいうと国際弁護士という資格はありません。
国際弁護士と呼ばれる人は次の3つのどれかに当てはまるケースが多いようです。
✅ 国際弁護士を名乗る3つのパターン
- 日本の弁護士資格+海外の弁護士資格を保有
- 日本の弁護士資格+国際案件を多く手がけた実績
- 海外の弁護士資格を持ち日本の「外国法事務弁護士」として登録
弁護士の資格は、アメリカやカナダ、中国、韓国といった国ごとに全く異なっており、弁護士資格を取得した国における法律の専門家ということになります。
近年は国をまたがった紛争も増えてきており、国際弁護士と呼ばれえる人の需要も高まっています。
詳しくは以下の記事にまとめています。
医療弁護士になるには
お医者さんと患者とのトラブルなどの医療問題を専門に扱う、医療弁護士と呼ばれる人がいます。
医療弁護士になるには、医療に関する問題を多く扱う法律事務所に就職する方法や、企業内弁護士のように医療法人で働く方法があります。
患者側、医師側のどちら側の弁護士になるかによっても、道が異なります。
弁護士の雇用形態
弁護士は、一般企業や中央省庁などの組織に勤める「インハウスローヤー」を除けば、キャリアの早期のうちに独立開業することが前提となっている職業です。
このため、法律事務所などに勤める場合であっても、一般的な職業とは違って「雇用契約」という概念は希薄であり、勤務弁護士が労働者とみなされるかどうかという点にも疑義があります。
実際の働き方をみても、勤務時間は個人の裁量に委ねられているうえ、雇い主であるボス弁から教育的観点から指導を受けることはあっても、実務は独自の判断で進めるケースがほとんどです。
さらに、独立開業に至らないまでも、数年の実務経験を積んだ後には独立採算制に移行することが一般的であり、正社員などにように固定給が支払われる期間は新人時代のごく一時に限られています。
弁護士は、その職業特性上、個人事業主・自由業としての色合いが非常に強いといえるでしょう。
大手法律事務所の雇用形態
数百人規模の大手事務所の場合、在籍する弁護士は「アソシエイト」と「パートナー」という2つの層で形成されています。
新人はまずアソシエイトという正社員に近い雇用形態での採用となり、パートナーの下働きや国選弁護などを担当しながら、数年間の修業を積みます。
やがてパートナーに昇格すると、基本的には自力で報酬を稼ぐことが求められるようになり、実務に加えてクライアント獲得などの営業活動もこなさなければならない立場となります。
給与については、アソシエイトは固定給、パートナーは自分が手掛けた案件で得た報酬のなかから決められた取り分を受け取る成果報酬形式です。
ただ、誰もがアソシエイトからパートナーに昇格できるわけではなく、早ければ入所2~3年目で退職を促されることもあり、またパートナーとなってからも、結果を出し続けなければ在籍することはできません。
一般的なサラリーマンと比べると、弁護士の雇用条件はかなり不安定といえるでしょう。
なお、大手事務所に勤務し、M&Aや海外訴訟などの案件を手掛けて高額報酬を受け取る弁護士は「ブル弁(ブルジョワ弁護士)」と呼ばれます。
中小法律事務所の雇用形態
数人~数十人規模の事務所であっても、雇用事情は基本的に大手事務所と大差ありません。
入所した新人は「イソ弁」として固定給を受け取り、ボス弁の指示を受けながら実務経験を積みます。
数年程度のキャリアを積んだ後には、「ノキ弁」として独立採算制で働くか、独立して自分の事務所を開業するケースが一般的です。
ノキ弁は、自分で顧客を獲得して売上をあげつつ、事務所に経費を支払わなければなりませんので、働き方としては独立開業と似たようなものですが、ボス弁の看板が集客に役立つという点はメリットです。
なお、大手事務所で働くブル弁に対し、離婚問題や相続などの個人案件を手掛ける中小事務所の弁護士は「マチ弁(街の弁護士)」と呼ばれます。
一般企業の雇用形態
一般企業や中央官庁、地方公共団体などに弁護士が勤める場合、正社員として雇用されるケースがほとんどです。
ほかの社員と同じように、各社の就労規則に従って働くことになり、歩合ではなく勤続年数や役職に応じた固定給、ボーナスなどが支払われます。
また、企業によっては、弁護士資格を保有していることで月々の給与に資格手当が付与されることもあるようです。
弁護士を必要とするのは上場クラスの大企業が多いため、雇用環境はかなり安定しているといえます。
アルバイト・パート
アソシエイトやイソ弁など、固定給を得られる勤務弁護士が限られていることからもわかるように、労働時間に対して一定金額を受け取ることのできるアルバイトやパート待遇での募集はほぼありません。
子育てや介護などと仕事を両立させるため、ボス弁と交渉し、勤務時間固定・残業原則不可で働く弁護士もいるようですが、あくまで例外的なケースです。
どんな案件にせよ、依頼人との面談や書類作成、交渉、裁判など多数の作業をこなさなければならないうえ、分業もしにくい弁護士業務は、アルバイトやパートとして時間を区切って働くには不向きです。
どうしてもアルバイトやパートとして働くなら、法律事務所の補助スタッフや秘書として法律知識を生かすという手もありますが、弁護士業務からは遠ざかるでしょう。
独立・開業
弁護士は、その大半が遅かれ早かれ独立する職業であり、なかには司法修習後すぐに開業する「即独」と呼ばれる人も一定数います。
また、その営業スタイルもさまざまであり、ボス弁としてほかの弁護士やスタッフを雇う人もいれば、単独ですべての作業をこなす人もいます。
さらに近年では、事務所費用を軽減するため、自宅と事務所を兼用する「タク弁」や、オフィスを持たずに携帯電話1本で仕事を受注し、カフェなどで作業する「ケー弁」と呼ばれる弁護士も増えつつあります。
弁護士数の増加によって、東京や大阪などの大都市圏を中心に競争が熾烈になっており、独立が成功する難易度は上昇傾向にあります。
弁護士になる難易度やかかる費用は?どんな人に向いている?
この章では弁護士になるための難易度や費用の目安、弁護士の適正について紹介します。
弁護士になる難易度は?【最難関資格のひとつ】
弁護士資格を得るためには、法科大学院ルートの場合、大学入試、法科大学院入試、司法試験、考試(2回試験)と、いくつもの難関をくぐり抜けなければなりません。
予備試験ルートの場合、試験自体は1回ですむものの、合格率は3%前後というきわめて狭き門です。
さらに、最大の関門である司法試験は、数年にわたって法律の勉強だけを専業で行ってきた法科大学院卒業生、予備試験を突破できる学力を備えた人であっても、4人のうち3人は不合格となる難易度です。
また、上述したように、司法試験には受験回数に制限がありますので、法科大学院を修了、あるいは予備試験に合格しても、期限内に合格できなければ、また受験資格を得るところからやり直しです。
弁護士は、公認会計士・不動産鑑定士と併せて文系3大国家資格に位置付けられており、資格取得に至るまでには険しい道のりをたどらなくてはなりません。
弁護士になるための費用の目安は?
- 法科大学院:学費は総額で300万~500万円、修了まで最低6年
- 予備試験:スクールの受講料など50万円~150万円、合格までは2年~
法科大学院の修了までには、金銭的負担が多いものの奨学金制度を設けている学校も多くあります。
予備試験合格には、人によってかかる費用は様々です。まれに独学で合格したという人もいますが、基本的には予備校などに通って対策することになります。
弁護士に向いている人・適性は?
- まじめで根気強い人
- 実現させたい理想がある人
- コミュニケーション能力の高い人
弁護士になるためには、法科大学院入試や予備試験、司法試験本番、司法修習後の2回試験と、いくつもの難関をくぐり抜けるために、長年にわたってコツコツと勉強に取り組み続けなくてはなりません。
従って、弁護士になるためには、まじめで、根性があり、忍耐強い性格であることが前提条件です。
また、弁護士になった後には、依頼者から事実関係を聴取する際、相手方と交渉する際、法廷で弁論を述べる際など、高いレベルのコミュニケーション能力が求められます。
相手の話を聞く力、相手に自分の意向を伝える力、その双方に秀でている人は、弁護士に向いているでしょう。
弁護士を目指す人向け|知っておきたいデータ
弁護士を目指す人向けに、弁護士の人数や年齢別・男女別の人数の統計データを紹介します。
弁護士数の推移【増加傾向で国内に4万人】
弁護士数は近年急速に増加しています。
令和3年時点で弁護士の資格を有する人数は43,206人となりました。
弁護士女性比率の推移【約2割が女性で増加傾向】
弁護士の女性比率は、1999年にはわずか8.4%でしたが年々女性の弁護士が増加傾向にあります。
令和3年時点では19.3%となっています。
弁護士の年齢別人数【30代が最多】
年齢別の弁護士数は、30代が最も多く、12866人となっています。
※2021年3月31日現在
弁護士の年齢別男女比率【若年層ほど女性比率が高い】
年齢別の男女比率は、年齢が若くなるほど女性の比率が上がっています。
20~29歳の弁護士の男女比率は、男性78.1%、女性21.9%になっています。
※2021年3月31日現在
弁護士になるには|まとめ
- 司法試験の受験資格を得る
- 司法試験に合格
- 司法修習1年+考試(二回試験)に合格
弁護士になるには、弁護士資格が必要です。弁護士資格の取得には、国内の資格試験でも最難関といわれる司法試験に合格する必要があります。
司法試験の受験資格を得るには、法科大学院を修了するか、予備試験に合格するという2つのルートがあります。
弁護士資格を取得するのは非常にハードルが高いですが、一度取得すれば一生有効であり、法律の専門家として信頼される立場になります。