AIエンジニアになるための学校と学費(大学・専門学校・スクール)
AIエンジニアになるための学校の種類
学校の種類
AIエンジニアになるための学校の種類は、大きく以下3種類に分けられます。
1.大学(国立大学、私立大学、短期大学)
2.専門学校(高等専門学校を含む)
3.スクール(ITスクール、プログラミングスクール)
大学では、専門学校やITスクールよりもさらに深くAIを追及していくことができます。
授業形態も「学問」としてのアカデミックなものになることが多く、研究活動や論文などの実績も作りやすい環境です。
将来的に、研究機関の研究職を目指す場合などは、大学の環境は適しているでしょう。
対して専門学校やITスクールは、学問や理論というよりも、プログラミングスキルなどの現場重視の実践的なスキルを伸ばせる環境であることが多いです。
どちらかといえば、将来、現場のエンジニア職として開発業務に携わりたい人向けの環境となってきます。
学校に通う必要性
AIエンジニアになるために、特定の学校に通わなくてはならないという制限はありません。
実際には、さまざまなルートでAIエンジニアになっている人がいますし、独学でAIエンジニアになることも不可能ではありません。
また、AIエンジニアは働き手の絶対数が不足していることから、意欲や適性のある人であれば、経歴や学歴関係なく積極採用する企業というのも存在します。
同時にAIエンジニアには、プログラミングスキル、機械学習・ディープラーニングの知識、数学や統計学の知識など、幅広く高度な専門知識が必要となります。
学校に通うことで、そのような幅広い知識を一から体系的に学ぶことができますので、「何から手を付ければいいかわからない人」「独学では難しい人」「プロからしっかりと学びたい人」などであれば、学校に進んだ方がよいケースもあります。
学歴について
学歴については、大手と中小で事情が変わってきます。
誰もが知るような大手企業の新卒採用ですと、専門学校卒以上の学歴をもつ学生を採用対象としていることも多く、高卒者ではそもそもエントリーができない恐れがあります。
また、学歴での制限は明確には行っていなくとも、暗黙の了解で大学卒業レベルの能力を求める企業も大手企業の中には多い傾向です。
たとえばインターネット系大手の「DeNA」は、「AIスペシャリスト職」の新卒採用を行っていますが、学歴の制限はないものの、研究者としてトップレベルなのが前提であり、学生時代に国際会議に論文を通しているのはほぼ最低条件とされているようです。
大手企業には、AI教育の本場である海外のエリート大学を卒業した学生なども応募してくることもありますので、学歴はやはり高いに越したことはないでしょう。
対して、中小企業、ベンチャー企業、SES(システムエンジニアリングサービス)を主事業としている企業などですと、学歴はさほど厳しく見ていない会社が多いようです。
人手不足に悩んでいる会社であれば、「学歴一切不問」、「未経験歓迎」、「年齢不問」などの緩い条件で、窓口を広げている会社も珍しくはありません。
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AIエンジニアになるための大学
大学の特徴
大学では、AIやコンピュータサイエンスの分野における知識を、学問や理論としてアカデミックに深くまで掘り下げていく授業形態となることが多いです。
とくに、AI分野に力を入れている東京大学や早稲田大学などでは、高度な研究を行っている研究室などもあり、その分野の最先端に触れることができるでしょう。
また総合大学であれば、語学・経済学・心理学など、他の学部の授業もカリキュラムに組み込めるのが基本であるため、AIだけに限定せず、幅広い分野の教養を身に付けることもできるでしょう。
大学のメリット・デメリット
大学のメリットは、「より高度で専門的な知識を得やすい」ことが挙げられます。
大学は、その分野の著名教授などから、最先端のAI技術や理論を学ぶ機会に恵まれています。
研究室に入り本格的な研究活動を行ったり、技術論文を作成する機会もあり、そのための研究設備なども充実していることから、AIというものを惜しみなく追及していくことができます。
また、在学中に実績を残し、「職員」として採用されれば、その後も大学内で研究活動を続けられる道が用意されているのも大学ならではのメリットともいえます。
将来的に研究機関やメーカーの「研究職」に就き、基礎研究や応用研究を行っていきたい人にとっては、大学で学ぶ内容はその足掛かりとなってくれるでしょう。
対して大学のデメリットは、「学費が高い」ということです。
詳細は後述しますが、私立大学に通うと4年間で総計600万円もの学費が発生する恐れがあります。
大学の学費
「私立大学」の場合、文学部や経済学部などの文系学部は、学費は年間100万円程度です。
対してAIエンジニアを目指す学生が通うことの多い、理学部・工学部・コンピュータサイエンス学部などの理系の専門的な学部は割高となり、学費は年間150万円程度となるのが一般的です。
仮に年間150万円とした場合、4年間通うと単純計算で総額600万円もの学費が発生してしまいます。
対して「国立大学」においては、基本的に学部関係なく学費は一律であり、年間50万円程度に設定されております。
また、AIエンジニアを目指す大学生の場合、その後「大学院」に進学してより専門的に学ぶケースも多いため、その場合は、別途大学院2年間分の学費も用意する必要が出てきます。
有利な学部・学科
大学の次のような学部・学科に進むと、AI開発に関連する知識が学べることが多く、就職活動などにおいても好感されることがあります。
<AIエンジニアになる上で有利な学部・学科(大学)>
・理学部
・工学部
・情報学部
・情報工学部
・コンピュータサイエンス学部
・データサイエンス学部
・知能工学部
・AI人工知能学部
・情報知能工学科
・コンピュータ科学科
など
※学部・学科の名称は、学校によって若干異なる場合もあります。
上記のような学部学科では、数学・統計学・コンピュータサイエンス・機械学習・ディープラーニング等の、AIエンジニアとして必要な知識を専門的に学べることが多いです。
就職活動時にも、すでに基礎を身に付けた学生として見られますので好感されやすく、入社後の実務においても、学業で培った知識や経験はプラスに生かしやすいでしょう。
AIエンジニアになるための専門学校
専門学校の特徴
大学が学問としてアカデミックに追及するのに対し、専門学校の場合は、実際のAI開発現場を想定し、エンジニアとしてのより実践的なスキルを伸ばせる環境であることが多いです。
また、大学の場合はある程度自分の自由にカリキュラムを組むことができますが、専門学校の場合は基本的にはカリキュラムは学校側が組んでおり、中学校や高校のように、学校側が定めた通りのカリキュラム、授業日程に従って学習を進めていくのが一般的です。
専門学校のメリット・デメリット
専門学校のメリットは、「短期間で実践的なスキルを身に付けられる」ことが挙げられます。
専門学校は2年制コースの学校が多く、大学ほど期間も学費も要しません。
また、Pythonプログラミングの実習、データベースの運用実習など、実習形式の授業も多く、加えて関連資格の対策講座なども充実しています。
学問としてAIを学ぶよりも、エンジニアとしてできるだけ早く現場に出たいという人や、研究職ではなく開発業務に携わっていきたいという意思が強い人は、専門学校を選ぶことが多いようです。
対して専門学校のデメリットは、「学歴として弱い」ことが挙げられます。
専門学校は学歴としては大学より下に見られやすく、また大学のように研究実績や論文実績などがなかなか作りづらい部分もあります。
大手企業の採用面接などでは、難関大学で専門的な研究をしてきた学生も多々応募してきますので、専門学生は少々不利になってしまうこともやはりあるでしょう。
なお専門学校によっては、のちのち4年制大学に編入できる制度が用意されていることもあります。
専門学校の学費
専門学校の学費は、初年度は入学金なども含めて120万円程度、2年目以降は年間100万円程度の学費となるのが一般的です。
2年制コースの専門学校であれば、卒業までに総額220万円~250万円の学費が発生してくるでしょう。
なお専門学校の場合は、理系やAI系の学科だからといって、学費を特段割高にしている学校は少ないようです。
有利な学科・コース
専門学校の場合は、次のような学科・コースがAIエンジニア向きであり、エンジニアとしての基礎を固められ、就職活動などでも好感されやすくなります。
<AIエンジニアになる上で有利な学科・コース(専門学校)>
・情報処理科
・コンピュータ学科
・情報システム科
・高度情報技術科
・AIシステム科
・ITイノベーション科
・AIコース
・AIクリエーターコース
・AIシステムコース
など
※学科、コース名は学校によって若干異なる場合もあります。
専門学校の場合は、「AIクリエーターコース」や「AIシステムコース」のように、AI分野内で、より狭く、より細分化したコースを用意する学校も多いです。
夜間コースはある?
2020年現在では、AIエンジニア向けの「夜間コース」を用意している専門学校というのは、まだ存在していないようです。
とはいえ、AIエンジニア不足を解消すべく、国を挙げたAI教育も急ピッチで進められているため、AI分野に力を入れる専門学校は現在進行形で増加しています。
社会人などでAIについて学びたい人も増えてきているため、夜間コースを設置する専門学校が登場してくるのも時間の問題かもしれません。
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AIエンジニアになるためのスクール
スクールの特徴
「スクール」というのは、一般企業などが運営する民間の教育サービスです。
AI分野に特化し、ディープラーニングを基礎から学べるコースなどを用意するスクールも最近は増えて来ています。
スクールは、専門学校のようにエンジニアとしての実践的な教育が受けれ、かつ専門学校よりも短期的、低価格で学べるのが特徴的です。
スクールのメリット・デメリット
スクールのメリットは、「手軽に学べる」ということが挙げられます。
基本的には入学試験はなく、お金を払えば誰でも学ぶことができ、辞めたくなったら直ぐに辞めることもできます。
受講期間も1ヶ月~長くとも半年程度、学費も高くとも最大50万円程度であり、専門学校よりも手軽に学ぶことができます。
「Pythonプログラミングのみ受講」など、自分が必要としている知識のみに絞って学ぶ方法も採れますし、通学せずともオンラインで受講できるスクールもあり、使い勝手には優れます。
対してスクールのデメリットは、「学歴にならない」ということが挙げられます。
スクールはあくまで民間のサービスであり、公的な教育機関ではありません。
したがって、卒業しても学歴としては認められず、あくまで得られるのは知識とスキルのみです。
そのため、既に学校を卒業している社会人や、Wスクールの大学生など、学歴を必要としていない層に好まれている傾向です。
スクールの学費
スクールの学費は場所によってさまざまであり、授業内容、学習期間、通学orオンラインかでも、学費は異なってきます。
たとえば、オンライン型や一対多型の授業であれば、費用は安く、1ヶ月あたり数千円~1万円程度で受講できることもあります。
対して、通学型や一対一のマンツーマン型は割高となり、1ヶ月で10万円前後の学費が掛かることもあります。
なお、「最初の1ヶ月は無料」、「就職斡旋型で就職が成功したら学費を全て無料」など、独自の料金特典を用意しているスクールもあります。
AIエンジニアの学校選びのポイントは?
大学選びのポイント
大学を選ぶ上で特にポイントとなる点として、次のようなものが挙げられます。
<大学選びのポイント>
1.カリキュラムの内容、自分が学びたいものと合致しているか
2.AI研究に積極的な大学か、AI研究の実績
3.研究室や研究設備が充実しているか
4.学びたい教授などがいるか
5.偏差値の高い大学
将来的に研究職などの高みを目指す場合は、やはりそれ相応の研究実績や研究環境のある大学を選ぶのが効果的でしょう。
また、研究職を目指す場合は、採用時のライバルたちも高学歴になる可能性が高いため、できる限り偏差値の高い大学に進むのが賢明でしょう。
専門学校選びのポイント
専門学校を選ぶ上で特にポイントとなる点として、次のようなものが挙げられます。
<専門学校選びのポイント>
1.カリキュラムの内容、自分が学びたいスキルや知識が得られるか
2.就職率、先輩の就職先
3.就職サポート
4.学びたい講師がいるか
専門学校の場合は、大学に比べると就職のハードルが必然的に上がるため、就職を成功させるためにも、就職に対して熱心な学校で学びたいところです。
その判断要素として、「就職率」や「先輩の就職先」などは参考となります。
就職率の高い学校というのは、それに見合った水準の教育が行われ、同級生たちの意識も高い環境といえるでしょう。
先輩の就職先からは、企業と専門学校の独自のパイプなどがつかめることもあります。
また、「就職できなかった場合は学費を全額返却」などの制度を用意している学校もありますので、それらの保証制度も確認しておきたいところです。
スクール選びのポイント
スクールを選ぶ上で特にポイントとなる点として、次のようなものが挙げられます。
<スクール選びのポイント>
1.カリキュラムの内容、自分が学びたいスキルや知識が得られるか
2.通学方式:通学式orオンライン式
3.レッスン方式:一対多or一対一のマンツーマンレッスン
4.授業時間:平日のみか、土日祝日や夜間にも授業はあるか
5.就職サポート
スクールの場合、公的な教育機関でないため、教育の質はまちまちです。
まずは「自分の求めているスキルが本当に学べるカリキュラムであるか」をよく確認し、そのスクールの評判なども合わせてチェックしておきたいところです。
また、スクールの場合、通学方式・レッスン方式・授業時間などもルールはさまざまであるため、「自分の生活スタイルに合っているか」、「無理なく学べるか」などの部分も考慮して選びたいところです。