セラピストの仕事内容
セラピストの仕事とは
世間には、アロマセラピストやマッサージ師に代表されるような「ボディ系セラピスト」、メンタル面のセラピーを行う「メンタル系セラピスト」、気功などでエネルギーを送る「エネルギー系セラピスト」など、数多くのセラピストがいます。
これらのセラピストの仕事は、働きかけの方法は異なるものの、おもに「心身のバランスを取り体内の不調を整える」「精神面・心理面への働きにより人を癒す」ということです。
セラピストは、各々の持つ技術を使い、お客さまに癒しを提供します。
たとえばアロマテラピストならアロマオイルによるマッサージを提供しますし、カラーセラピストであれば色による癒しを提供します。
どのセラピストにも共通するのが、お客さまの話をよく聞き、相手の立場になった上で問題解決のために最も良い処方を見つけることです。
その過程において、技術や技法だけでなくカウンセリングなど心理面の療法を併用するセラピストも多いようです。
セラピストの業務の内容
カウンセリング
セラピストの多くが、サロンなどの店舗に勤務し、来店されたお客さまに対してセラピーを実施をします。
お客さまは、一人ひとり抱えている悩みや「こうなりたい」という思いが異なるため、まずはカウンセリングによって、お客さまの心身の状態やニーズを理解することからスタートします。
そして、その方に最も適した施術方針を決定します。
どのような施術をしていくかはセラピストの得意分野などによっても異なりますが、お客さまの話をよく聞き、相手が求めるものを提供することが何よりも大事になってきます。
また、施術ではアロマを使用したり身体に触れたりすることもあるため、アレルギーやケガなどがないかは念入りに確認しておきます。
施術
カウンセリングが終了し、施術メニューを決定したら、いよいよ施術をスタートします。
アロマオイルを使ったマッサージをすることもあれば、お客さまと1対1で向き合いながら心理カウンセリングを行い、メンタル面のセラピーに取り組むこともあります。
このほか、ヨガやスポーツ、動物などを取り入れながら、セラピーを実施することもあります。
セラピストは顧客との信頼関係が大切です。
いくら技術のあるセラピストであっても、信頼関係のないお客さまからは満足な情報が引き出せず、十分な施術ができません。
そのためセラピストには自分の専門分野以外にも、心理学や接客術の知識が必要となります。
施術をしながら話を聞き、お客さまが抱えている本当の悩みを知り、対応するのもセラピストの大事な仕事の一部といえるでしょう。
店舗運営
セラピストは、基本的にお客さまと直接コミュニケーションをとって施術することがおもな業務内容となりますが、それ以外にサロンなどの店舗を円滑に運営するための業務を担当することもあります。
とくに正社員として雇われている場合には、キャンペーンの企画立案や宣伝活動なども行い、より多くのお客さまに来店してもらえる店づくりに取り組みます。
また、マネジメントをするポジションになると、売上管理や部下の育成・管理などの業務まで任されることもあります。
セラピストの役割
セラピストの役割は薬や手術など医療行為に頼らずに、マッサージなどの物理療法、カウンセリングやセラピーなどの心理療法などを用いて、お客さまの不調を取り除くことです。
これらの行為は海外では医療の代替治療として認知されていますが、日本ではリラクゼーション効果は認知されているものの、医療代替行為としての認知度は低いのが現状です。
ひとことでセラピストといっても、その人ごとに得意とする施術や持っている専門知識には違いがあります。
いずれにしても、アロマを使ったり、お客さまの悩みを聞いたりするなかで相手に癒しを与え、心身の状態を良くしていくために働きかけるのがセラピストの役割といえます。
なお、マッサージや整体を行う「ボディ系セラピスト」をはじめ、「心理系セラピスト」や「エネルギー系セラピスト」以外にも、最近は「フードセラピスト(食事療法士)」「スポーツセラピスト(運動療法士)」など、過去に「○○療法士」と呼ばれていた人たちもセラピストと呼ばれるようになりました。
これは、セラピストの語源「セラピー」という言葉に「治療」「療法」の2つの意味があるためで、こういった幅広い解釈は今後も増えていくと思われます。
セラピストの勤務先の種類
セラピストが働く場所は数多くあります。
例を挙げると治療院、マッサージ店、エステサロンやリラクゼーションサロンなどです。
女性客をターゲットとした店舗が多いですが、男性向けにセラピーを提供する店舗もあります。
就業形態は正社員、契約社員、アルバイト、業務委託などさまざまですが、近年はセラピーのサービス提供会社の増加から競争も厳しくなり、セラピストを正社員として雇用する会社は少なく、アルバイトもしくは業務委託契約での雇用が多いようです。
人によっては、独立開業をして自らサロンを開いたり、スーパー銭湯やホテルなどの嘱託セラピストとして働く人もいます。
セラピストの仕事の流れ
セラピストの仕事の流れは勤務先によっても異なりますが、一般的なサロンであれば、来店されたお客さまの施術を中心に仕事を進めていきます。
お客さまがいらっしゃると、まずはカウンセリングを行って、どのようなメニューを希望されているのかや、現在の身体の状態、そしてセラピーによって状態をどう改善していきたいのかなどを確認します。
カウンセリングをしっかりとすることは、お客さまに満足感を与え、施術の効果をより高めることにもつながります。
施術は、セラピストによってアロマを取り入れたり、ストレッチやリフレクソロジーなどを行ったりと、さまざまな内容となります。
施術が終了したら改めてお客さまと対話をし、身体の状態を改めて確認し、会計を済ませてお見送りをします。
これが基本的な施術の流れですが、空いている時間ではタオルなどの洗濯をしたり、事務作業などをしたりすることもあります。
セラピストと関連した職業
セラピストとカウンセラーの違い
最近ではアロマセラピストやボディセラピストなど、セラピストの種類も多様化していますが、もともとセラピストは日本語で「治療士・療法士」という意味があり、精神医学の分野で、心理面や精神面でのトラブルに対する回復を手助けする人のことを指しています。
そういった意味では、何かしらの心の問題を抱える人の話を聞き、その人がより良い方向へ進んでいくためのサポートをするカウンセラーと似たところがあるといえるでしょう。
両者の違いとしては、心理カウンセラーは相談者との会話を重視して、問題解決を相談者本人の自発性に委ねるのに対し、心理セラピストの場合は相談者の「癒し」を目的とするため、問題解決になるような具体的なアドバイスを相談者に提示することが多いです。
ただし、実際には心理セラピストの業務の一部として、心理カウンセリングが含まれることがあります。
また、セラピストの場合には、心理系以外にもアロマセラピーやカラーセラピーなど、さまざまな分野を得意とするセラピストがいます。
セラピストと整体師の違い
セラピストと整体師の違いを考えるときにイメージされるセラピストは、「タイ古式マッサージ」や「リンパドレナージュ」「リフレクソロジー」などの施術者である、いわゆる「ボディ系セラピスト」でしょう。
整体師も、ボディ系セラピストも、身体のゆがみや自律神経、ホルモンバランスなどを整えるリラクゼーションを目的とした施術を行う点においては共通しているところがあります。
また、どちらも国家資格があるわけではなく、業務に関連する資格は民間資格のみとなっています。
整体師と名乗って働く人がアロマセラピストやリラクゼーションセラピストの民間資格を持っているようなこともありますし、逆にセラピストで整体のスキルを身につけている人もいます。
役割の境界はあいまいな部分がありますが、一般的に、整体師は骨盤の歪みなどにアプローチして身体の状態を改善させていくのに対し、セラピストは「癒し」に焦点を当てた施術サービスを提供することも多いです。
セラピストとエステティシャンの違い
セラピストとエステティシャンは、どちらも人々に「美」や「癒し」を提供する仕事です。
両者の活躍の場となるエステサロンやリラクゼーションサロンなどでは、「セラピスト」と「エステティシャン」の両方の求人が出されるケースも多くあります。
両者の施術が重なる場合も多々ありますが、セラピストがアロマセラピーを中心に、自律神経を整えたり、リラクゼーション効果のある施術を行うことが多いのに対し、エステティシャンはフェイシャルトリートメントやボディートリートメントなど、外見を美しくすることに重点を置くといった考え方ができます。
もっと簡単に表すと、セラピストは内面から心身の調子を整え、エステティシャンは美肌や美容、ダイエットなど、外からわかる美しさを追求するといえるかもしれません。
同じリラクゼーション業界に関わる職業でも、両者の施術内容には違いがあります。
セラピストとヒーラーの違い
「セラピー(therapy)」と「ヒーリング(healing)」は、どちらも「心身の癒し」を意味するという点において、両者のあいだに明確な違いは存在しないといえるでしょう。
セラピストの場合、その種類は専門分野や得意分野によっていくつかに分けられますが、一般的には「エネルギー系セラピスト」のことをヒーラーと呼んだり、エネルギー系セラピストのなかにヒーラーが含まれるといったニュアンスで解釈されることが多いようです。
エネルギー系セラピストやヒーラーが扱うのは、一般的に「スピリチュアル」といわれる分野になります。
どちらの職業でもほぼ同じ領域をカバーしていくため、どちらを目指しても大差はないといえるでしょう。
ただし、エネルギー分野以外に、たとえばリフレクソロジーやリンパマッサージといったボディ系などに属する分野の施術スキルも身につけたいのであれば、セラピストと名乗るのが自然かもしれません。