スタイリストになるには
スタイリストになるまでの道のり
スタイリストになるために、「絶対にこの学校へ通わなくてはならない」「絶対にこうしなくてはいけない」ということはありません。
しかし、通常プロのスタイリストとして活動する場合には、まず「スタイリストアシスタント」として経験を積むことが求められます。
アシスタントになるためには、服飾系の専門学校を卒業し、スタイリスト事務所の「アシスタント募集」に応募して採用される方法が最も近道といえるでしょう。
アシスタントになるためにとくに必要とされる資格等は無いため、専門学校を出てなくともフリーのスタイリストの専属アシスタントになることは可能です。
実際、それまで異業種で働いていた人が、急にスタイリストを目指してアシスタントを始めるといった事例もあります。
20代で正社員への就職・転職
スタイリスト事務所で働くには
スタイリスト事務所に入るためには、インターネットで検索したり、電話帳等でスタイリスト事務所を探し出し、電話をかけたりして応募する必要があります。
求人紙での募集は比較的少ないため、自分で探すしかありません。
雑誌のスタイリストのクレジット(名前)の後にカッコ書きがある場合、たいていはこの枠内が事務所名となります。
こういったところから検索し、問い合わせてみることもひとつの方法です。
スタイリスト事務所ではさまざまな仕事を経験できるため、将来への下積みとしては非常に有用です。
現場に出た場合、何度も同じスタッフと一緒に働いていけば次第に顔を覚えられ、自分がスタイリストになった時にも役立つ人脈作りができるでしょう。
アシスタント時代はアイロンがけ、リース、荷物持ちなどの雑務が基本となりますが、3年ほどで事務所専属のスタイリストになるか、フリーに転身する人が多いようです。
フリースタイリストのアシスタントになるには
フリースタイリストのアシスタントになりたい場合、基本的には人から紹介してもらうことになるでしょう。
ツテがない場合は、個人のブログやSNSなどを利用し、アシスタントの募集情報を探さなくてはなりません。
また、ファッション雑誌にも「○○さんがアシスタントを募集しています」などと書いてあることがまれにあります。
憧れのスタイリストがいるものの連絡先がわからない、ということであれば、そのスタイリストが仕事している雑誌を見つけ、出版社に尋ねてみるといった方法もあります。
必ずしも教えてもらえるとは限りませんが、あきらめずに行動を起こすことで、チャンスをモノにできるかもしれません。
なお、フリースタイリストのアシスタントは、自分が独立するまでは師匠となるスタイリストの仕事だけを手伝うことになります。
フリースタイリストは「自由業」であり、その個性や仕事に対する価値観はさまざまです。
「合わない」と感じることもあるかもしれませんが、一人のスタイリストに密着して行動を共にするため、1から10まで仕事の流れを覚えやすいことがメリットといえます。
また、「○○さんのアシスタントの△△さん」といったように周囲から名前を覚えてもらえやすく、将来の人脈作りにも役立つでしょう。
さらに、仕事ぶりが認められれば「この案件やってみる?」など、自分主導での仕事を振ってもらえることもあります。
人によって異なりますが、アシスタントからは2〜3年で独立する人が多いようです。
20代で正社員への就職・転職
スタイリストの資格・難易度
スタイリストはなるために絶対に必要とされる資格はありません。
ただし、スタイリストになるための資格は存在しなくても、スタイリストの仕事に役立てられる資格はいくつか存在します。
色彩検定
試験の内容と特徴
色彩検定は、スタイリングに大切な「色」の知識を証明する資格です。
スタイリストは、モデルやタレント一人ひとりに合った色や、撮影場所やコンセプトに合った色など、状況によって使用する色やその組み合わせを考えなければいけません。
色彩検定はもともと服飾系の団体が主催していた資格のため、ファッション分野に強いといわれています。
服飾関連の仕事に就いているほとんどの人が色彩検定をもっているので、スタイリストを目指す人は持っていると有利です。
受験資格・難易度・費用
色彩検定は、年に2回、全国の会場で受験することができます(1級試験は年1回)。
受験資格は特になく、勉強さえすれば年齢や職業に関係なく合格のチャンスがあります。
1級に進むにつれて難易度は上がっていき、3級の合格率は70%ほど、2級では60%程度、1級では30%未満となっています。
色彩検定の検定料は、3級受験で7,000円、2級では10,000円、1級では15,000円(1時免除者も同じ)です。
3〜1級のほかに、「UC級(色のユニバーサルデザイン級)」という級位も設けられています。
UC級では、色が見える仕組みや高齢者などの見え方、ユニバーサルデザインの配色における注意点などの知識が問われます。
UC級の検定料は6,000円、受験資格や制限は特にありません。
カラーコーディネーター検定試験
試験の内容と特徴
カラーコーディネーター検定試験も、色彩検定と同じく「色」の知識を問う検定試験です。
いずれの試験も幅広い分野から受験されていますが、カラーコーディネーター検定は商工会議所が主催しており、学術系・工業系の分野に強いともいわれています。
スタイリストを目指す人は、ファッション系に強いといわれる色彩検定を受験することが多いですが、色のスペシャリストとして幅広く活躍する人の大半は、両方の試験で1級を取得しています。
カラーコーディネーター検定の1級試験は「ファッション」「商品」「環境」の3つに分かれています。
受験資格・難易度・費用
カラーコーディネーター検定試験は、年に2回(1級は1回)全国で受験できます。
受験資格は特になく、年齢制限もありません。
級位が上がるにつれて難易度も上がりますが、分野ごとに分かれる1級試験はとくに難しく、環境分野では合格率が15%未満となっています。
同じく色の知識を問う「色彩検定」と比べると、論理的に覚えることが多く、少し難易度が高いといわれています。
受験料は、3級試験で5,340円、2級では7,480円、1級の場合は9,620円(2019年10月〜)となっています。
色彩技能パーソナルカラー検定
試験の内容と特徴
色彩技能パーソナルカラー検定は、実務上必要な「色の見分け」に重点を置いた試験です。
色そのものの知識というよりは、色彩学にもとづいて、パーソナルカラー(個人に似合う色)を見分ける能力を測る検定です。
NPOパーソナルカラー協会が主催しており、スタイリストだけでなく、メイクアップアーティストやネイリストなど、ファッションや美容関連の職業に就く人が多く受験します。
検定は級位制ではなく、モジュール1からモジュール3までを順番に受験していくシステムです。
モジュール1(初級)に合格すると合格証が授与されます。
その後、モジュール2(中級)を受験して合格すると「パーソナルカラーアシスタントアドバイザー」に認定されます。
さらにモジュール3(上級)に合格すると、晴れて「パーソナルカラーアドバイザー」となり、認定バッジをもらえる仕組みです。
受験資格・難易度・費用
色彩技能パーソナルカラー検定は年に2回、全国7つの都道府県で実施されます。
モジュール1の受験資格はとくにありませんが、モジュール2はモジュール1の合格者、モジュール3は1、2両方の合格者でなければ受験はできません。
ただし、モジュール1と2の併願は可能です。
合格率の正式な発表はありませんが、モジュール1〜3いずれも70%〜80%程度だといわれています。
受験料は、モジュール1の受験で7,000円、モジュール2で8,000円、モジュール1の場合11,000円となっています(モジュール1と2の併願は15,000円)。
ファッションビジネス能力検定
試験の内容と特徴
ファッションビジネス能力検定は、日本ファッション教育振興協会が主催する、ファッションに関するビジネスの知識を証明する検定です。
色やコーディネートなどファッションそのものの知識ではなく、生産や企画、流通、マーケティングなど、ビジネスをメインとした知識や技能が問われます。
ファッション業界では知名度が高い資格なので、幅広い視野を持って業界で活躍したい人や、将来的に独立をしたいと考えている人にとっては、とても役に立つでしょう。
受験資格・難易度・費用
ファッションビジネス能力検定は、3級・2級の場合は全国で年に2回、1級は年に1回、東京会場にて実施されています。
受験資格や年齢制限はとくになく、3級から1級まで合格した級に関係なく受験できます。
3級と2級の難易度はそれほど高くなく、合格率は3級で約70%、2級では約50%ほどです。
1級の難易度は、ファッションビジネスに関係する専門教育を2年以上履修し、さらに5〜6年の実務経験を積んだレベルと同等だと発表されています。
受験料は3級で5,500円」、2級では6,000円、1級では12,000円となっており、科目免除受験も可能です。
スタイリストに美容師資格は必要?
特別な資格は必要なし
現場に合わせて、俳優や女優、モデル、タレントなどの衣装をコーディネートするスタイリストですが、この職業に就いて働くうえでは、基本的に美容師免許は必要ありません。
服飾系の専門学校で学んでスタイリスト事務所に就職する人もいれば、早くからプロのスタイリストの弟子となって現場で仕事を覚えていく人もいます。
美容師免許以外にも、何か特別な資格が求められることはなく、どのような人でも意欲次第でスタイリストを目指せます。
美容師の「スタイリスト」との違いに注意
スタイリストに資格が必要かどうか考えるときに気を付けておきたいのは、美容師の世界では、見習いを終えた一般的な美容師のことを「スタイリスト」と呼ぶケースが多いことです。
この意味での「スタイリスト」であれば、美容師としてお客さまの髪の毛のカットやカラーなどの施術を行うため、美容師免許が必要です。
したがって、「スタイリスト」といったときに、果たしてそれが洋服やアクセサリをコーディネートするスタイリストという職業のことを指しているのか、それとも美容師の通称としてのスタイリストのことを指しているのかに関しては、きちんと確認してから判断したほうがよいでしょう。
美容師免許を持って仕事の幅を広げる
先に述べた通り、スタイリストという職業に就くうえで美容師免許は必要ありませんが、もし美容師免許を取得すれば、仕事の幅を広げられる可能性があります。
たとえば、スタイリストはフリーランスで活躍する人もいますが、もし美容師免許を持っていれば、ヘアメイクと洋服のスタイリングをすべて一人で担当することも可能になります。
スタイリストも専門性が問われる職業であるため、美容師と兼業で働くのは実際には難しいでしょうが、どちらも「人をより美しく魅せる」という点では共通しているところがあります。
スタイリストになるには専門学校に通うべき?
スタイリストになるために「専門学校卒業」が必須ではないものの、服飾系のスクールに通うことには大きなメリットがあります。
まず、講師となるのは業界の第一線で活躍する人が多いため、業界のツテをつくることができます。
また、座学のみならずアシスタントの現場研修も用意されており、より「現場感」を身につけやすい環境だといえます。
また、スタイリスト事務所やフリーアシスタントの中には、アシスタントの採用条件として「服飾専門学校卒業あるいは在籍中であること」を必要条件としていることもあります。
また、専門学校であれば現場での専門用語での会話、洋裁、メイクなどのファッション全般のことを学べるため、現場デビューしてからも、より早い成長が期待できるでしょう。
服飾系の専門学校に通う場合、年間の学費は90万円〜150万円ほどが目安です。
スタイリストになるためにはどんな学校に行けばいい?(大学・専門学校)
スタイリストに向いている人
ファッションセンスのある人がスタイリストに向いていることは言うまでもありませんが、センスがあるだけでは長く続かないのがこの仕事の特徴です。
スタイリストは、衣装を着てもらうモデルやタレントとのコミュニケーションだけでなく、ディレクターや編集者、撮影スタッフなどさまざまな人と関わりながら仕事を進める必要があります。
モデルやタレントに衣装のよさを引き出してもらうためには、スタイリストの細部にわたる気配りが大切ですし、複数のスタッフと協力して作品を作るにはコミュニケーションスキルも必要です。
また、激務といわれる労働に耐えられるだけの体力や精神力がある人も、スタイリストの適正があります。
スタイリストを目指せる年齢は?
スタイリストを目指す人の多くは、10代や20代のうちから専門学校に通い、事務所に所属したりアシスタント職を見つけたりしてキャリアをスタートさせます。
スタイリストになるまでのアシスタント時代は、労働時間が長くなりがちで、荷物持ちや徹夜での作業といった体力仕事も珍しくないため、若いうちにアシスタントになるほうが長く続けられるでしょう。
しかし、なかには30歳を過ぎてからスタイリストへ転職する人もいます。
それまでバイヤーやデザイナーなどファッション関連の職種に就いていた人が転職する場合は、専門知識があるためアシスタントを経ずにスタイリストとしてデビューするケースもあります。
体力面や収入面を考慮するとアシスタントの採用は20代のほうが有利になるため、30代や40代の人がまったくの未経験からスタイリストになるのは、不可能ではありませんが難しいといえるでしょう。
ただし、個人のファッションをスタイリングするパーソナルスタイリストであれば、30歳を過ぎても目指すことができます。
自分のホームページを立ち上げたり口コミを広めたりして集客ができれば、アシスタントを経験しなくてもスタイリストとして活躍できるでしょう。
スタイリストの雇用形態
スタイリストにはさまざまな雇用形態があります。
スタイリスト事務所や百貨店、アパレルショップなどに正社員として勤務している人もいれば、アルバイトやパートとしてアシスタント業務を担当している人、スタイリスト専門の派遣会社に登録して活躍している人もいます。
数は少ないですが、プロのスタイリストにアシスタントとして弟子入りをし、お小遣い程度の給料をもらって生活している人もいます。
また、フリーランスとして活躍する人が多いのもスタイリストの特徴です。
アシスタント時代を経て一人前のスタイリストとして認められるようになると、特定のお客さんから気に入ってもらえたり、モデルやタレントなどから専属スタイリストのオファーがかかったりと、個人に任される仕事が増えてきます。
フリーランスになる人は、アシスタントとしてキャリアをスタートさせてから1〜3年程度で独立することが多いでしょう。
フリーランスのスタイリスト
フリーランスのスタイリストになるには
スタイリストはフリーランスとして働く人が多い職業です。
しかし、いくらスタイリストが特別な資格や学歴が必要ない仕事だとはいえ、いきなりフリーになって仕事が勝手に舞い込んでくるわけではありません。
まずは業界で経験とスキルを積み上げ、一人でやっていけるだけの地位や人脈を築くことが大切です。
一人前のフリースタイリストを目指す場合、基本的にスタイリストのアシスタントからスタートし、「師匠」となる先輩スタイリストに付いて、さまざまな雑用をこなしながら仕事の流れを肌で覚えていきます。
ポイントは、できるだけ活躍している師匠に付くことです。
そのほうが仕事量も多く、多様な現場で経験を積むことができますし、いずれ独立する際にも「○○さんのアシスタント経験あり」といった風に、実績としてアピールしやすいからです。
また、自分の目指す方向性が決まっていれば、それに近いスタイリストに付くこともよいでしょう。
早い人は1年程度で独立しますが、全体としては2〜3年程度のアシスタント経験を経てから独立する人が多いようです。
フリーで成功するために大切なこと
スタイリストは年齢を重ねるほど実力の差が表れてくるため、若いうちに必死で努力してセンスを磨き、人脈を築き上げていかなければ、いくつになっても新人時代のような安価な仕事ばかりをやることとなり、大幅な収入アップは望めません。
フリーの売れっ子になれば、一般的な会社員よりも多くの収入を得ることが可能ですが、少し努力を怠ると一気に収入が落ちる可能性もあります。
自分の行動が全て自分に跳ね返ってくるという面が大きく、こういった不安定さは覚悟しておく必要があります。
フリーでやっていきたいのであれば、まず「自分の仕事は自分で見つける」いった強い精神力を持ち、精神面も含めてしっかりとセルフコントロールすること。
そしてすぐに結果が出なくても、目の前の仕事を一つずつしっかりとこなし、クライアントからの信頼を得ること。
こういった地道な努力を続ける姿勢が求められます。
正社員のスタイリスト
正社員のスタイリストの仕事内容
正社員としてスタイリスト事務所や百貨店、結婚式場などに勤務するスタイリストの仕事内容は、フリーのスタイリストの場合とほとんど変わりません。
ただし、フリーのスタイリストのように自ら仕事をとってくる必要はなく、会社と繋がりのある芸能プロダクションや制作会社から案件をもらうことになります。
スタイリスト事務所のなかには、未経験者でも試用期間付きの正社員としてスタイリストのアシスタント職を募集しているところもあります。
正社員といってもアシスタントの仕事は楽なものではありませんが、固定給を得ながらスタイリストを目指すことも不可能ではありません。
正社員のスタイリストの給料・待遇
正社員として働くスタイリストの給料の平均は、月給18〜25万円程度だといわれています。
基本的には固定給のため、フリーのスタイリストのように1つの仕事で数十万円を得られるといったことはほとんどありませんが、その反面、仕事がなくて収入がゼロになることもありません。
また、正社員であれば休暇や社会保険などの福利厚生が充実していることが多いです。
ただし、スタイリストは労働時間が長く不規則な勤務となるため、1日8時間勤務・週休2日制が必ず保証されているとは考えないほうがよいでしょう。
派遣のスタイリスト
派遣のスタイリストとして働く
スタイリストは、スタイリスト事務所などに所属して働いたり、フリーランスでお客さまと直接契約を結んで働いたりすることもできますが、派遣のスタイリストとして仕事をする人もいます。
派遣のスタイリストは、お客さまのさまざまな依頼に応じて指定の現場へ出向き、スタイリングのサービスを提供します。
仕事現場の種類は、雑誌や広告、CM、ムービーなどの撮影現場のほか、各種イベントや舞台など多岐にわたります。
衣装のスタイリングのほか、衣装製作やレンタル、ヘアメイクなどのサービスをトータルで提案する会社もあるようです。
派遣のスタイリストとして働くには
もし派遣のスタイリストとして働きたいと思った場合には、いわゆる「スタイリスト出張サービス」のようなものを手掛ける会社にスタッフ登録することが近道となるでしょう。
基本的には経験者やスキルのある人が求められますが、アシスタントという形であれば、現場経験がない人でも採用されることがあるようです。
実力や実績次第で、より難易度の高い案件に挑戦できるようになったり、給料がアップしたりする場合があります。
とくに多様な現場経験を積みたいという人には、派遣の働き方も適しているかもしれません。
パーソナルスタイリストの派遣の仕事も
近年需要が拡大しているのが、芸能人ではない一般の人に対してファッションのアドバイスやスタイリングを行う、パーソナルスタイリストの派遣サービスです。
パーソナルスタイリストは、特別な日のファッションや自分に似合う洋服を探したいと考えるお客さまの元へ出向き、お客さまのニーズに応えながら魅力を引き出すファッションを提案します。
もともとスタイリストといえば、芸能人など特別な人のみに技術を提供する存在として認識されていましたが、最近ではこうしたパーソナルスタイリストの派遣サービスを手掛ける会社も徐々に増えつつあり、今後はさらにニーズが増えていくものと考えられます。
アルバイト・パートのスタイリスト
アシスタントにはアルバイト・パートも多い
スタイリストを志望する未経験者をはじめから正社員として採用する事務所や企業もありますが、アシスタント職や見習いの場合、アルバイトやパートとして募集をかけているところが多いです。
一人前のスタイリストになるまでの下積み期間は、荷物持ちやアイロンがけなど、雑用のような仕事をこなすことになり、労働時間も長くなりがちです。
見習い期間に離職してしまう人も少なくないため、まずは正社員ではなく非正規の雇用形態で採用したいと考える企業が多いようです。
アルバイト・パートを掛け持ちする人も
スタイリストを目指しているアシスタントのなかには、ほとんど無給で仕事をしている人もいます。
アシスタントはあくまでスタイリストになるための修業期間であり、「働いてもらっている」のではなく「こちらが教えてあげている」という意識をもつスタイリストは多いようです。
そのため、給料はお小遣い程度しかもらえず、やむなく飲食店などでアルバイトやパートの仕事を掛け持ちながら、スタイリストを目指しているアシスタントも珍しくありません。
スタイリストのキャリアプラン・キャリアパス
スタイリストのキャリアパスはさまざま
アシスタントとしての下積み期間を経て、晴れてプロのスタイリストになった後のキャリアパスは人それぞれです。
はじめに所属した事務所でずっと頑張るスタイリストもいれば、経験を積んだ後に独立してフリーランスのスタイリストとして活躍する人もいます。
また、特定の芸能人や有名人に気に入ってもらえると、その人だけのスタイリングを担当する「専属スタイリスト」になることもあります。
何歳までスタイリストとして働ける?
最近では、あちこちで「スタイリスト」という職業名を耳にするようになりましたが、実は日本におけるスタイリストの歴史は、まだそこまで深くありません。
日本のスタイリストの草分け的な存在は、高橋靖子さんという女性スタイリストです。
高橋さんは1960年代からフリーランスのスタイリストとして活動を開始し、これまで世界的に有名なデザイナーの山本寛斎さんのファッションショーに携わったり、超有名ミュージシャンであるデヴィッド・ボウイ氏の衣装を担当したりするなど、華々しい実績を残しています。
公表されている彼女の生まれは1941年で、70歳を超えた現在も、まだ現役で活動されています。
若手が続々と出てくるこの世界において、超一流の地位を確立し、そのうえでさらなる高みを目指している姿に、多くの若手スタイリストが尊敬の念を抱いているようです。
もちろん高橋さんのような人はほんの一握りですが、自分の志次第では、何歳になってもスタイリストであり続けられることができるといえるでしょう。
息の長い仕事として続けていくために
スタイリストがファッションをコーディネートする相手は、決して10代や20代などの若い人ばかりではありません。
40代や50代、さらにはもっと上の世代の人にファッションを提案する機会も多くあります。
日々新しい感覚でトレンドを掴みつつ、自分の人生経験を生かしていけば、年齢を重ねるごとに深みの増したスタイリストとしての活躍ができるでしょう。
もしスタイリストを目指す場合、アシスタント時代は非常に給料も安く体力を要するため、できるだけ若いうちから修行をスタートし、一日も早く独立して安定した生活基盤を築くに越したことはありません。
しかし、この仕事は基本的に「何歳までしかできない」というものではありません。
年齢が上がればアシスタントとしての受け入れ条件などは厳しくなることも考えられますが、いくつになっても「やりたい」という強い想いがあれば、スタイリストの道を歩んでいくことは可能です。