心理カウンセラーになるには
目次
心理カウンセラーになるまでの道のり
心理カウンセラーは、正確には職業名ではありません。
「心理学の知識をもって人の相談にのり、相手が抱える心の問題を解決に導く人」のこと全般を指して使われることが多く、実際にはさまざまな領域で活躍しています。
そのため、ひとくちに心理カウンセラーといっても、どのような場所で働くのか、どのような仕事をしたいのかによって、なるための道筋は異なります。
ただし、共通していえることは、この仕事では心理学の専門知識とカウンセリング技術が不可欠だということです。
そのため、これから心理カウンセラーの仕事を目指す場合、まずは大学などで心理学を学び、仕事に必要なスキルを身につけることが近道になるといえます。
心理カウンセラーの資格・難易度
心理カウンセラーとして働くうえで、絶対に必要とされる資格はありません。
無資格でも心理カウンセラーとして働くことは可能です。
ただし、心理カウンセラーに関連する資格は民間資格を中心にたくさんあり、資格を持っておくことは、自分の知識やスキルを証明するのにも役立ちます。
心理系の資格のうち、唯一の国家資格となるのが「公認心理師」です。
公認心理師は、それまで心理職のなかで最も社会的評価が高い資格とされていた「臨床心理士」と似たような役割を担う資格です。
この資格を得るための代表的なルートとしては、4年制大学の心理系学部・学科で必要科目を履修し、卒業したのち、大学院で定められた科目を履修するものになります。
大学・大学院ともに心理学を専門的に勉強し、公認心理師試験の受験資格を得て、その試験に合格すると公認心理師登録簿に登録されます。
公認心理師は、大学入学後、取得までに6年以上の時間がかかりますが、確かな専門性があることを証明できます。
心理カウンセラーになるための学校の種類
心理カウンセラーは、文系からでも理系からでも目指すことは可能です。
ただし、心理学の専門知識を学ぶための場所として、大学の心理学部・心理学科が挙げられます。
また、大学院まで進学すれば、心理系の資格の中では最も専門性が高いとされる「公認心理師」や「臨床心理士」の受験資格も得られます。
心理カウンセラーの仕事において、資格は絶対に必要なものではありませんが、公的機関や学校のスクールカウンセラーとして働きたい場合には、公認心理師や臨床心理士が求められることが多くなっています。
また、これらの資格を取得しておけば、心理の専門家としての知識・スキルを認めてもらいやすく、就職先の選択肢は広がるでしょう。
時間はかかりますが、本気で心理職を目指したいのであれば、基礎から体系的に心理学を学ぶという意味でも、大学や大学院に進学することは無駄にはならないはずです。
これ以外に、専門学校や民間のスクールでも、心理カウンセラーの基礎的な勉強ができるところもあります。
心理カウンセラーになるためにはどんな学校にいけばいい?(大学、専門学校、スクール)
心理カウンセラーに向いている人
相手に関心を示し、共感できる人
心理カウンセラーの仕事の基本は、カウンセリングです。
クライアントと1対1で向き合うカウンセリングにおいては、クライアントの声にしっかりと耳を傾け、共感する姿勢が不可欠となります。
温かな心を持ち、どのような人に対しても偏見や先入観を持たず、無条件で受け入れて話を聞けるような人が、心理カウンセラーには向いているといえます。
冷静さと、強い精神力を持っている人
心理カウンセラーは、クライアントに共感はしても、カウンセラー自身の精神がそれに引きずられてしまってはいけません。
カウンセラーはときに人間の嫌な部分に触れたり、重い話を聞くことも多いため、ちょっとしたことに動じない精神力を持っている人に適しているといえるでしょう。
向上心と知識欲にあふれる人
心理学は奥が深く、専門的な知識がたくさん必要になるからこそ、心理カウンセラーは常に自己研鑽に励むことが大切です。
また、クライアントが抱える悩みは複雑なものも多く、薄っぺらい知識だけでは到底解決できるものではありません。
しっかりと勉強を続け、日々の経験から学んでいく気持ちが欠かせません。
心理カウンセラーのキャリアプラン・キャリアパス
心理カウンセラーが求められる職場はさまざまあります。
学校のスクールカウンセラーとして、病院の医療ソーシャルワーカーとして、あるいは一般企業の産業カウンセラーとして。
「人」が生活するあらゆる場面で心理カウンセラーが必要とされているといっても過言ではありません。
そのほか、公務員の「心理職」として福祉関連施設などで働く人もいます。
この場合、関連する公務員採用試験を受けて合格し、採用されることが必要になります。
このように、心理カウンセラーの仕事は社会のあらゆる場所で必要とされていながら、まだまだ立場が確立しておらず、「非常勤」という不安定な雇用条件の下に働いている人も多いのが実情です。
公認心理師という国家資格ができたことで、この先は心理カウンセラーの仕事の社会的地位も変わってくるかもしれませんが、現状のところ、心理職を職業としてしっかりと続けていくためには、「専門性」を高めることを考えたほうがよいでしょう。
専門性は、決して一朝一夕で身につくものではありません。
人が抱える心の問題にアプローチするという責任ある仕事だからこそ、日々スキルアップしていく気持ちが欠かせません。
仕事に就いてからも心理カウンセラーに関連する資格を取得したり、専門書を読んだり研修会に参加するなどをして、自主的に勉強を続けていく努力が求められます。
心理カウンセラーを目指せる年齢は?
心理カウンセラーになること自体、年齢制限はありません。
この職業は、子どもからお年寄りまで幅広い世代の人の心の問題にアプローチしていきます。
いろいろな人の悩みを理解するうえでは自分の人生経験が生きる部分もあり、一概に「若いから有利」とも言い難いところがあります。
ただし、心理カウンセラーは経験や実力がないと、安定して働けない人も多いとされています。
実際、なかなか良い仕事が見つからずに、パートや非常勤の形で安い給料で働く人もいれば、仕事ではなくボランティアとして活動する人もいます。
年齢を重ねて一から心理カウンセラーを目指そうとすると、若い人よりも収入面などで生活に不安を感じやすくなるかもしれません。
このようなことも踏まえ、自身のキャリアについてよく考えることをおすすめします。
心理カウンセラーは高卒から目指せる?
ひとことで心理カウンセラーといっても、人によって持っている資格も異なれば、学歴やそれまでのキャリアなどにも違いがあります。
高卒の人でも、意欲があり、向上していこうとする気持ちがあれば、心理カウンセラーになることは可能です。
たとえば、実際に心理カウンセラーとして働く人のアシスタントとして経験を積み、自主的に勉強をして専門知識を身につけていくような人もいます。
あるいは、民間のスクールや通信講座などで心理カウンセリングの基礎を学び、それをきっかけに心理カウンセラーとして働ける場を見つけていく人もいます。
心理カウンセラーを求める施設・企業などの多くは、公認心理師や臨床心理士といった有資格者を優先的に採用しますが、なかには勉強をしていれば無資格でも働ける職場もあるようです。