作業療法士に向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
作業療法士に向いている性格・適性
思いやりのある人
作業療法士が担当する患者は、病気やけがなどで、心身になんらかの不自由を負ってしまっている人たちです。
そうした患者の多くは、将来に対する不安や今後の生活についての悩みを抱えており、気持ちが敏感になってしまうケースも頻繁に見受けられます。
ときにはイライラして厳しい言葉を投げかけられたり、リハビリを行うこと自体を拒否されることもあるかもしれません。
しかし、作業療法士は、それぞれの患者が置かれたつらい立場を理解して、弱った気持ちにやさしく寄り添うことが必要です。
相手の感情に共感できる、思いやりのある人は、作業療法士に向いているでしょう。
忍耐力のある人
リハビリは、行ってすぐに効果が表れるというケースはどちらかというとまれであり、通常、数か月~数年という長い時間をかけて、徐々に成果を積み上げていくものです。
その間には、患者の状態によってプログラムを組み直したり、さまざまな作業を取り入れてみたりと、幾度となく試行錯誤を繰り返します。
また、どれだけ一生懸命がんばってみても、障がいの原因を取り除くことができず、リハビリの効果がほとんどみられないこともあります。
しかし作業療法士には、どんなときでもあきらめずに、粘り強く問題と向き合っていくことが求められます。
したがって、ひとつのものごとに対して辛抱強く取り組み続けられる、忍耐力のある人は、作業療法士に向いているといえます。
前向きな気持にさせられる人
リハビリは、一般的に非常につらいものであり、また身体的な痛みが伴うことも少なくありません。
病気やけがを負って、ただでさえ肉体的にも精神的にも傷ついている患者は、なかなか厳しいリハビリに取り組もうという気になれず、思うように訓練が進まないケースもあります。
だからこそ、作業療法士には、患者を前向きな気持ちにさせることのできる、明るく楽しい性格の人が向いています。
作業療法士にのせられてリハビリに取り組んでいるうちに、少しずつでも前進していけば、やがて患者はリハビリに手応えを感じて、やる気を出して自発的に訓練できるようになります。
日常生活において、相手を励ますことが得意だったり、嫌なことがあってもくよくよせず、いつでも笑顔でいられる人は、作業療法士の適性があるでしょう。
作業療法士に必要なスキル・能力
コミュニケーション能力
作業療法士に最も必要なスキルは、コミュニケーション能力です。
作業療法士は、患者と一対一で直接ふれあいながら、長い年月にわたって、つらいリハビリに取り組み続けます。
患者のなかには、発達障がいを抱えた小さな子どももいれば、高齢のお年寄りもいますが、リハビリの効果を最大限に発揮するためには、それぞれの患者と良好な人間関係を築くことが必要です。
このため、作業療法士には、老若男女問わず、誰とでも仲良くできる、非常に高いコミュニケーション能力が求められます。
洞察力
人間の身体機構や精神構造は非常に複雑であり、病名としては同じであっても、障がいが発生する要因は患者によって異なります。
このため、作業療法士には、それぞれの患者の動きや心理をつぶさに観察・分析し、障がいの原因を突き止める力、端的にいえば洞察力が必要になります。
長年にわたって一人の患者を担当し続ける作業療法士だからこそ、医師や看護師では見落としてしまうような些細な変化に気づけることもあるでしょう。
また、患者のなかには日常復帰を焦るあまり、痛みを我慢して過度なリハビリを行ってしまうケースもあるため、患者にムリをさせないためにも、患者の心理を見抜く洞察力が重要になります。
作業療法士に向いていないのはどんな人?
興味の対象が狭い人
作業療法士は、料理や洗濯といった家事動作や、手芸や園芸、将棋などの趣味動作、計算やパソコン操作などの職業訓練動作まで、ありとあらゆる内容のプログラムを行います。
内容によっては、専門の講師を招いて訓練を行うケースもありますが、作業療法士は患者を指導する立場にある以上、作業療法士自身も興味をもってそれらに取り組むことが望ましいのは間違いありません。
したがって、作業療法士には、いろいろなものごとに興味を持てる好奇心旺盛な性格が適しており、ひとつのことを突き詰めたいという、興味の対象が狭い人はあまり向いているとはいえません。
工夫することが嫌いな人
世の中には、決まったルールに則って、決まった手順で作業することが求められる仕事もありますが、作業療法士の仕事はそうではありません。
患者の容態や年齢、性格、趣味嗜好はさまざまですので、作業療法士は、各患者に合わせてプログラムを臨機応変にアレンジすることが必要になります。
また、同じ内容のリハビリを続けると、マンネリ化して患者はやる気を失ってしまいますので、毎回新鮮な気持ちで取り組んでもらえるための工夫も求められます。
このため、毎回同じことをしたいというルーティンワークが好きな人は、作業療法士には向かないでしょう。