日本語教師の初めての実習(体験談)

緊張した初めての自己紹介

実際に外国人相手に教壇に立って教えるというのが日本語教育実習です。模擬授業での経験は、何度も養成講座の中で学生同士に行ってきたのですが、実際に初めて対外国人に教えるのには非常に勇気が入りました。

授業の前の自己紹介では、大勢の学生たちの目が一点に私に集まり、とても緊張したことを覚えています。学生たちは私とは逆にリラックスしていて、1人3分での自己紹介では足りないようで、なんとか日本語を駆使してしゃべりたいと全員の前に出てくるような状況でした。

それぞれのお国柄が出てきて、最終的には笑いを交えた楽しい雰囲気で最初の実習を終えることができました。指導教員からの「教えてあげるという態度では教えることはできない」という言葉が、実習を通じて身にしみて感じました。

実習がお絵かき大会に

実習前に、念入りに授業計画を立てました。フリートークが苦手な方なので、時間配分と何を話すのかシナリオまで書いての事前準備でした。

自分では、完璧に準備して望んだ初めての実習でしたが、実際に授業を始めてみると、学生たちの反応は予測外のことばかり。

質問攻めにあってしまい、そのたびに慌てふためくことになってしまいました。日本語ゼロの学生たちだったので、分からない単語の説明には、黒板に絵を書いて見せることもしました。

けれど、私に絵心がなくて、「看護師さん」を説明するために描いた絵の意味が伝わらず、学生たちは混乱状態に陥りました。学生たちは次々に黒板まで来て、「女性」「女の子」の絵を描き直し、正解しているか私に確認し始めたのです。

そうして時間はどんどん過ぎてしまい、私は焦り始めました。その内に、1人の学生が得意げに前に出てきてナースキャップをつけた女性の絵を描きました。

そこで、学生全員が私の説明した単語が「看護師」であったとようやく理解できたのです。そのときの実習は、日本語の授業ではなく、まるでお絵かき大会のような90分となってしまいました。

ですが、実習を通じて、「事前に準備したとおりにはいかない」ということを学ぶことができたことは、とても良い経験であったと思います。