日本語教師の働き方の種類とその特徴
日本語教師の雇用形態
国内で働く日本語教師の雇用形態
国内の日本語学校・スクールなどで働く日本語教師の雇用形態は、正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイトなどに分類されます。
この中で、正社員は他の雇用形態に比べて最も給与水準が高めとなっています。
日本語教師の場合、学校と直接雇用契約を結んで働く「常勤講師」が正社員にあたることが多くなっています。
ただし、常勤講師のなかには、学校と雇用期間を取り交わして働く契約社員の雇用形態で働く人もいます。
契約社員は正社員と毎月の給料や勤務時間は変わらず、社会保険も完備されていることが一般的です。
しかし、現在のところ日本語教師として働いている人たちは、パートやアルバイトなどで働く非常勤講師が大半です。
非常勤講師は労働時間が少なく、賃金は時給で支給されます。
海外で働く日本語教師の雇用形態
海外の日本語学校の多くは、常勤の日本語教師を探しているようです。
雇用契約を結ぶときに、どれくらいの滞在許可または労働許可が得られるのかしっかりと確認することがとても大切です。
海外では日本とは常識が異なることも多く、国内の日本語教師とは違い、いろいろな面で自己管理することを心がけなくてはいけません。
たとえば、非常勤で雇用契約を交わしたはずが、教師の数が足りなくなったとの理由で、本人の知らないうちに突然次の日から常勤になっていたなど、海外では思いもよらないような出来事が起こる場合があります。
現地の日本人会や日本語教師の集まり、途上国であればJICAとのつながりを持つなどして、その国の情報には敏感になっておきましょう。
20代で正社員への就職・転職
正社員の日本語教師
国内の日本語学校・スクールでは、正社員として雇用される場合は「常勤」や「専任」といわれることが多く、それ以外の雇用形態で働く人はたいてい「非常勤」となっています。
学校によっては、非常勤のスタッフがほとんどということもありますし、逆に正社員の割合が大きなところもあります。
「日本語を教える」という点においては、どのような雇用形態でも変わりませんが、給与や待遇面のよさを考えると、やはり正社員として働きたいと考える人が多いようです。
正社員として働くメリット
正社員の魅力は、まず何といっても「安定性」だといえるでしょう。
給与や月給でもらうことができ、実力や実績に応じて昇給したり、勤務先によってはボーナスの支給もあります。
また、正社員になると講師としての業務のほか、教室運営や学校の企画業務などにも携わることができ、マネジメントの道に進んでいくことがしやすくなります。
非常勤の場合は、学校の都合で1日に授業を1コマしか受け持つことができなかったり、週に2~3日程度の出勤になることもあります。
給与や時給制やコマ数に応じた形で支払われるため、あまり多くの授業を持てない場合、どうしても収入が少なくなってしまいます。
しかし、正社員の専任講師であれば業務量は確保されているため、生計を立てていきやすいといえます。
正社員の日本語教師として働くには
国内の日本語学校・スクールでは、正社員とパート・アルバイト両方の求人を出すことも珍しくありません。
日本語教師として働くのであれば、雇用形態に関わらず「日本語教師養成講座420時間コース」を修了していることや、「日本語教育能力検定試験」に合格していることなどの条件が求められるのが一般的です。
ただし、正社員のほうが採用条件は厳しく、上記の条件に加えて数年程度の実務経験が求められることが多いようです。
また、「四年制大学卒業以上」の学歴を必須とする学校もあります。
日本語教師は、未経験者や経験の浅い人がいきなり正社員として就職するのは厳しいため、まず非常勤でしばらく講師としての経験を積み、そこから正社員にステップアップする道を選ぶ人が多くなっています。
アルバイト・パートの日本語教師
日本語教師の求人を探してみると、「アルバイト・パート」という雇用形態が目立つことに気付きます。
もちろん、正社員として働くこともできる職業ですが、現場ではアルバイトやパートで働く人も多く、そのような人はしばしば「非常勤講師」と呼ばれます。
日本語教師は経験が求められる傾向が強く、新人のうちはまず非常勤でスタートし、しばらく経験を積んで常勤の専任講師へとステップアップするのが一般的です。
日本語教師のおもな勤務先となる国内の日本語学校・スクールでも、よく「非常勤」と「常勤」の両方の求人が出ており、常勤の応募資格は「3年~5年程度の経験者のみ」となっていることが多いようです。
こうしたことから、新たに日本語教師として働き始める人は、最初はアルバイト・パートの形になる可能性が十分にあると考えておいたほうがよいでしょう。
アルバイト・パートとしての仕事内容
アルバイトの講師であっても、「日本語を教える」という点では、常勤の専任講師と仕事内容に変わりはありません。
担当の授業を持ち、事前に授業の準備をして、受け持つ生徒たちに対してわかりやすく正しい日本語を教えていきます。
日本語学校では、アルバイト・パートでも「日本語教師養成講座420時間コース」の修了や「日本語教育能力検定試験合格」が条件となっていることがほとんどですし、日本語教育について何の知識も持たない人がアルバイト・パートとして採用されることはほとんどないようです。
ただし、学校やスクールによっては経験が浅い人に向けた社内での研修が用意されていることもあり、自信をつけてから現場に出ることができます。
給与や待遇について
アルバイト・パートの日本語教師の給与は「1コマあたり」で計算されることが多く、時給にすると1,800円~2,500円程度が相場のようですが、経験や能力によっても変わってきます。
担当するコマ数が増えれば増えるだけ収入を得ることができますが、他の教師との兼ね合いなどもあり、1日に2コマ程度、週に2~3日程度の勤務しかできない場合もあるようです。
学校によってはアルバイトとして経験を積み、評価されると、正社員へ登用されるチャンスを掴むこともできます。
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派遣の日本語教師
グローバル化の加速によって日本で働く外国人が増えているなか、最近では「派遣」というスタイルで働く日本語教師の需要も増しているようです。
派遣の日本語教師のおもな仕事内容は、一般企業から依頼を受けて、在籍する外国人社員に対して日常会話やビジネスの場で必要な日本語を指導したり、全国の日本語学校・スクールなどで、日本語教師として働いたりすることです。
派遣の日本語教師として働きたい場合には、日本語教師の派遣・紹介事業を手掛ける企業に応募し、派遣登録をしておくとよいでしょう。
この場合も、日本語学校・スクールで正社員として働く場合と同様、養成講座の修了や検定試験への合格などの条件が求められることが多くなっています。
派遣で働く日本語教師の給料は時給制が基本ですが、個人の実力や経験によって、時給2,500円以上など高い金額を得ることも可能です。
フリーランスの日本語教師
日本語教師は、どこかの日本語学校・スクールなどに所属するのではなく、フリーランスの形で働くこともできます。
フリーランスとして働くために、必ずしも求められる資格や経歴などはありません。
しかし、他の雇用形態と同様に、日本語教育に関しての確かな知識やスキルが求められるため、多くの人はまず日本語教師養成講座に通い、さらに日本語教育能力試験にも合格するなどのルートをたどっています。
さらに、日本語学校・スクールでの指導経験を経て、ある程度の自信をつけてからフリーランスになるケースが多いようです。
フリーランスになると、基本的には生徒を自分で集め、指導をすることになります。
自宅でマンツーマンの指導を行う人もいますし、カフェなど外部の場所を使って日本語レッスンをするような人もおり、活躍の仕方はさまざまです。
レッスン代は自分で決めることができるため、実力のある日本語教師はたくさんの生徒に指導をし、大きく稼ぐことも可能です。
一方、生徒がいなければお金は入ってきませんし、生徒の都合によって働く曜日や時間が不規則になる可能性があることは、フリーランスになるデメリットといえるかもしれません。
副業・在宅の日本語教師
なかには副業・在宅勤務で日本語教師をしている人もいます。
このような形で働く場合は、「オンライン」での指導が主流となっているようです。
オンラインでの日本語教師は、パソコンやインターネット、スカイプ、ヘッドセットなどを使い、パソコンの画面の向こう側にいる生徒に日本語を教えていきます。
世界中の生徒が手軽に日本語を学べることもあり、オンラインの日本語教師の需要は最近では高まっています。
ただし、副業・在宅で日本語教師をする場合も、日本語教師養成講座の修了や日本語教育能力検定試験への合格といった経験は持っておくほうがよいでしょう。
副業として働く日本語教師は、どのような仕事の仕方をするかや、どの程度働くかによって、収入が大きく変わってくるといえるでしょう。
人気のある日本語教師なら、日本語学校・スクールに勤務する日本語教師と同じくらいの収入を得ることも不可能ではありませんが、実際にはそこまでよい収入が得られる案件はあまり多くありません。
そのため、別に仕事を持ちながら、空いた時間を使ってお小遣い程度に稼いでいる人も多いようです。