女性の教師のキャリアパス・結婚後の生活

女性の教師の現状

文部科学省の学校基本調査(2019年度)によると、教師全体における女性教師の割合は53.3%、女性管理職の割合も29.0%といずれも過去最高となり、全体として女性の割合が増加傾向にあります。

女性の活躍を推進する日本政府の働きかけもあり、とくに教頭以上の女性管理職の割合はここ5年間の上昇が目立ちます。

民間企業の場合、課長相当職以上の管理職の女性割合は10%にも満たないので、それに比べると教師の仕事においては女性が活躍し、意思決定場面に参画できるチャンスも多いことがわかります。

ただし、経済協力開発機構(OECD)の調査(2018年)によれば、日本の女性教員の割合は調査に参加した48加盟国・地域のなかで最低となり、海外と比較すると女性の登用はまだまだ進んでいないといえます。

また教師の男女比率は学校種によって違いがあります。

小学校では女性教師の割合が6割以上に達しますが、中学校では約4割、高校では約3割と、男性教師のほうが多い現状です。

中学高校は教科担任制で、理数系科目を教える理系大学出身の女性が少ないことが女性割合の低さに影響しているとみられています。

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女性の教師の強み・弱み

女性教師の強み

女性教師は物腰が柔らかく細やかな気遣いを得意とする人が多いので、とくに小学校低学年の子どもたちにとっては母性を感じ、安心しやすいという面があります。

また既婚で子どもがいる女性教師であれば、保護者、とりわけ連絡を取り合うことの多い母親の悩みや心情に寄り添うことができ、子育てなどについても具体的なアドバイスができるので、保護者からの信頼を得られやすいといえるでしょう。

女性教師の弱み

教師は業務負担の多さから、朝早くに出勤し夜遅くまで残業するなど、長時間労働が常態化しています。

そのため、とくに家事や育児を担当することの多い女性の場合は家庭と仕事との両立に苦労し、仕事に集中しづらくなる面があります。

また出産や子育てをする場合は、どうしても一定期間は現場を離れなければならす、男性教師に比べてハンディキャップがあるとの声もあります。

教師の結婚後の働き方・雇用形態

教師は職場結婚が多く、結婚相手も同じ教師ということも少なくありません。

もし同じ学校内で教師同士の結婚が決まった場合は、子どもたちや保護者の混乱を避けるため、新学期のタイミングでどちらかが異動になることがほとんどです。

出産や子育てをする場合は産休や育休などの休暇制度を利用することができます。

職場復帰後は短い時間帯の勤務形態を選択できる育児短時間勤務制度、自治体によっては、早出遅出勤務ができる制度、残業時間を制限できる制度などを利用して働くことができます。

また管理職と相談して、雇用形態を正規教員から「非常勤講師」などに変更してもらったり、学級担任や部活動の顧問を外してもらったりして、限られた時間だけ働くといったことも可能です。

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教師は子育てしながら働ける?

学校においては、出産・育児についての休暇や手当の制度が整っているため、子育てをしながら働いている女性教師はたくさんいます。

出産に関しては、産前産後合わせて16週間の休暇を取ることができ、正規採用であればその間の給料も保証されます。

また育児休業は最大3年取ることが可能で、この期間中は、臨時教師が代理を務めてくれるので安心して休むことができます。

そのほかにも子どもが小学校に入学するまでの間、時間を減らして働くことのできる育児短時間勤務制度や部分休業などの制度もあります。

このように女性教師が働きやすい環境は整っていますが、実際に仕事と子育てを両立させていくには、相当の覚悟が必要になります。

教師は業務量が多く長時間にわたって拘束されることも多いので、自身の子どもと関わる時間を十分にもてずに苦労している女性教師もたくさんいます。

子育てをしながら仕事を続けていくには、配偶者や家族、そして職場からの理解と協力が不可欠であるといえるでしょう。

教師は女性が一生働ける仕事?

教師の仕事は給料の面においても男女間で違いはみられず、出産・育児に関する支援制度も整っているため、女性にとって働きやすい職種といえます。

結婚や出産・子育てを経験し、家庭と仕事の両立に苦労しながらも働き続けている女性教師はたくさんいます。

その経験を通して人間として成長し、それが教職にも生きているという声もあります。

最近では校長・副校長などの管理職に就いている女性教師の割合も年々増加しています。

教師を続けていきたいという情熱と覚悟、家族や職場の理解と協力があれば、定年まで教師としてキャリアアップしていくことができるでしょう。