研究者の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

研究者の仕事とは

研究者は、主に科学技術分野において、新たな発見を求めて研究を行う仕事です。

現代社会で生きる私たちは、昔に比べると格段に便利で豊かな生活を送れています。

それを支えているのは、長い歴史の中で生み出されてきたさまざまな科学技術です。

たとえば、病気やケガを治療できる優れた医薬品と医療技術、安全な乗り物を実現するための運転制御システム、安全な食品を作り出すための食品加工技術などは今や生活に欠かせません。

また、地震大国である日本においては、地震や噴火という自然災害に立ち向かうための研究も、人々の命を守る上で必要不可欠です。

こうしたさまざまな分野でそれぞれの研究を行い、新たな知見を発表し、現代社会に生かしていくのが研究者のつとめです。

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研究者の業務の内容

研究者の専攻分野は、理系文系に関わらず非常に細かく分かれているのが一般的です。

たとえば、工学ひとつでも「安全工学」「遺伝子工学」「宇宙工学」「海洋工学」「原子力工学」「食品工学」「耐震工学」と、数十にも及ぶ分野に細分化されています。

このように細かく分かれた専門の中で、さらに自分だけのテーマや達成すべき課題を決めることからスタートし、実験をしたり調査をしたりしてデータを収集しながら、新たな発見につなげていきます。

膨大な予算や長期的なスパンでのスケジュールを組みながら研究を行うことになるので、思うような成果が出せないときには丁寧に計画を見直すことが必要です。

優れた発見をした場合は学会で発表したり学術誌に投稿したりするなどして、大々的に世間に成果を発表することもあります。

近年では日本からもノーベル賞の受賞者が相次いでおり、若い研究者たちにとって大きな刺激となっています。

研究者の役割

真理の探究

いつの時代にも、社会の発展の裏側には、優秀な研究者による画期的な発見があるものです。

自動車や電車、飛行機や宇宙船などの乗り物の発明は、人類が遠く離れた目的地に短時間で辿り着くことを可能にしました。

医薬品や医療器具、食品や飲料の開発は、健康的で豊かな暮らしをもたらしました。

また、文学や語学、哲学や史学の研究は、文化的で平和な社会をつくることに役立っています。

私達は、これまでに数え切れない研究者が画期的な発明や開発をしてくれたおかげで、便利で豊かな生活ができているわけです。

このように研究者が社会を良くするような貢献をすることを、「研究成果の社会還元」といいます。

研究というものは地道で地味な作業の積み重ねであり、思うような成果が出ない間は日の目を見ないまま長期間苦境に立たされることもあります。

しかし、ひとたび研究の成果が出たときには、人類の生活に大きな利益をもたらすものとなるのです。

研究者は自分が社会の発展のために重要な役割を担っていることを忘れずに、日々の研究に真摯に取り組むことが大切です。

世界の学術研究の向上

日本における研究水準は、世界的にも高く、最先端の技術を扱う研究所や、その分野の第一線で活躍している研究者も多くいます。

こうした研究者の活躍は日本の研究水準を向上させるだけでなく、世界全体の学術研究の推進に大きな役割を果たします。

日本の研究者は、自身が所属する大学や研究所だけでなく、日本全体、果ては世界全体の研究の発展に貢献しているのです。

科学の世界の倫理を守る

多くの研究者が真摯に研究に取り組む一方で、残念ながら科学の世界では一部の人間によるデータの改ざんや捏造、論文の盗用、無断転載などの不正行為がたびたび起きていることも事実です。

こうした不正行為は真実を歪められた研究成果の発表につながり、当然ながら、その内容は世間を不必要に大きく混乱させるものとなります。

近年では、日本でも「STAP細胞」の実験結果をめぐって大きな論争が巻き起こり、社会問題となりました。

こうした過ちが起きるのを防ぐために研究者がすべきことは、常に誇りと責任感、高い倫理観を持って研究に取り組むことです。

また、この世界はその専門性の高さから一般の人間が内容をチェックしたり疑問を持ったりしにくいという特徴があります。

研究者どうしで切磋琢磨しながら、ときには不正がないかどうかをお互いに目を光らせ合い社会に幸福をもたらすための研究を守ることも、研究者の使命のひとつです。

専門分野の「有識者」としての役割

国や自治体などでは、有識者として研究者を招集することがあります。

近年では、防災や都市計画などで研究者が活躍する場面が増えていますし、いじめや少子化などの社会問題でも研究者が有識者として活躍しています。

研究者が持つ専門知識を政策や対策などに反映することも少なくなく、研究成果以外にも研究者としての見識が問われる場面も多いのが特徴です。

学術振興への貢献

研究者の多くは、学会で研究した成果を発表しています。

それぞれの研究テーマにおいて学会が開かれ、同じテーマを研究している研究者が一堂に集まって研究成果を発表しあいます。

こうした活動は研究者ならではのもので、研究者であるからには学術振興に貢献する責務があるといえます。

ノーベル賞などに象徴されるような学術賞の多くも、こうした学術振興に貢献した功績から与えられるものです。

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研究者の就職先・活躍の場

国立の研究所

国立の研究所とは

研究者の活躍の場としてまず挙げられるのは、国立の研究所です。

研究者に関心がある人なら、「理研」という名前を聞いたことがある人もいるでしょう。

正式な名称は「国立研究開発法人理化学研究所」で、日本で唯一の自然科学の総合研究所として社会貢献度の高い研究を行っています。

研究分野は物理学・工学・化学・計算科学・生物学・医科学と幅広く、日本でもトップクラスの研究者が集まる研究機関といっても過言ではありません。

国立の研究機関

国立研究開発法人として指定されている国立の研究機関には、以下のようなものがあります。

なかでも、物質・材料研究機構・理化学研究所・産業技術総合研究所は、特定国立研究開発法人とされています。

内閣府所管

日本医療研究開発機構

総務省所管

情報通信研究機構

文部科学省所管

・物質・材料研究機構
・防災科学技術研究所
・量子科学技術研究開発機構
・科学技術振興機構
・理化学研究所
・宇宙航空研究開発機構
・海洋研究開発機構
・日本原子力研究開発機構

厚生労働省所管

・医薬基盤・健康・栄養研究所
・国立がん研究センター
・国立循環器病研究センター
・国立精神・神経医療研究センター
・国立国際医療研究センター
・国立成育医療研究センター
・国立長寿医療研究センター

農林水産省所管

・農業・食品産業技術総合研究機構
・国際農林水産業研究センター
・森林研究・整備機構
・水産研究・教育機構

経済産業省所管

・産業技術総合研究所
・新エネルギー・産業技術総合開発機構

国土交通省所管

・土木研究所
・建築研究所
・海上・港湾・航空技術研究所

環境省所管

国立環境研究所

大学の研究室

研究所以外の研究機関としては、国立大学や私立大学など各大学の研究室があげられます。

研究者というと理系のイメージが強いかもしれませんが、文系の研究者も数多く活躍しており、文系の場合は文学・語学・史学・哲学・心理学などの分野にわかれます。

大学の研究者は「教授」や「准教授」という役職になり、学生への指導や学校の経営と並行して研究活動を続けるのが一般的です。

なかには、大学に籍を置きながら民間の研究所や国や自治体の調査機関に呼ばれて勤務したり、国の施策に有識者として参加したり、企業の相談役として働いたりすることも少なくありません。

民間企業

民間企業で技術開発などの研究を担当する人たちは、社員として企業に貢献するための研究を行います。

研究職や研究所をおく企業は、主に食品メーカー化粧品メーカー、医療器具メーカーや製薬メーカー、自動車メーカーや化学メーカーなどです。

大手のメーカーの場合は、研究機関だけを独立させて子会社や関連会社にしている場合もあります。

いずれにしても就職試験の時点で「研究職」「技術職」「開発職」などの名称で職種別に採用されるのが一般的で、「研究者」としての名称での求人はほぼありません。

就職する企業によって専門分野が大きく異なるため、就職にあたっては自分の知識や興味関心を生かせるかどうかのマッチングが何よりも重要です。

研究者の仕事の流れ

研究者にとって主な仕事は、研究内容を論文にまとめ、発表することです。

実験や研究を行い、その結果を論文にまとめることで、世間に広く知ってもらいます。

研究者の研究をもとに、新たな製品がつくられたり、これまでにない知見が発見されたりします。

研究者自身は、発表した論文が評価されることで地位が上がっていきます。