介護福祉士になるには? 資格を取るには?

介護福祉士になるまでの道のり

介護福祉士は国家資格であるため、介護福祉士の資格を得て、登録を行う必要があります。

介護福祉士の資格を得るための方法は「養成施設を卒業する」または「国家試験を受験して合格する」という2種類の方法があります。

養成施設を卒業する

厚生労働大臣が指定する介護福祉士の養成施設(一般にいう学校)を卒業することで、介護福祉士の資格を取得することができます。

1.2年以上の養成施設(専門学校、短期大学、大学)を卒業する。
2.福祉系の大学で、指定科目を履修した者が1年間の養成施設を卒業する。
3.社会福祉士養成施設等を卒業(修了)した者が1年間の養成施設を卒業する。
4.保育士(保母)養成施設卒業者が1年間の養成施設を卒業する。

現在、2)と3)に該当するような1年間の養成施設はありませんが、保育士(保母)資格保持者を対象とした1年間の養成施設は全国にあります。

現在、国では介護福祉士の養成施設卒業者に関する議論も進められており、2022年度の卒業生からは養成施設ルートを選んだとしても、国家試験を受けることが義務化される見通しです。

(※なお、2017年から2021年度の卒業生は国家試験の受験を任意とし、未受験・不合格でも卒後5年間は介護福祉士になることが可能。その5年間で国家試験に合格するか、連続して介護の実務に従事すれば6年目以降も介護福祉士を保持できる、という方針が打ち出されています。)

国家試験を受験するために

介護福祉士の国家試験は誰でも受けられるわけではありません。

受験資格を得るには「3年以上の実務経験を積む」か「福祉系高校を卒業する」ことが必要です。

またそれぞれに必要な条件が違うため、しっかりと確認することが必要です。

3年以上の実務経験を積んだ場合

1.筆記試験と実技試験を受験
2.介護技術講習を受け、筆記試験を受験(実技試験は免除)
3.実務者研修を受け、筆記試験を受験(実技試験は免除)

福祉系高校を卒業した場合

1.旧カリキュラム(平成20年度以前入学者)→筆記試験と実技試験を受験
2.新カリキュラム(平成21年度以降入学者)→筆記試験を受験(実技試験は免除)
3.特例高校等(平成21年度以降入学者)→実務経験9ヵ月以上を積んだうえで、筆記試験と実技試験を受験するor介護技術講習を受けて筆記試験を受験(実技試験は免除)

最新の情報をチェックする

介護福祉士に関する法律は、毎年のように改正が行われています。

直近でも「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正により、第29回試験(平成29年1月下旬に筆記試験実施予定)から、実務経験ルートによる受験資格は「実務経験3年以上」かつ「実務者研修修了者」になることが公表されました。

受験資格に関する詳細および最新の情報をしっかりと確認することが必要です。

財団法人 社会福祉振興・試験センター

介護福祉士になるまでのルート

介護福祉士になるための学校の種類

介護福祉士の「養成施設」で学ぶ場合、専門学校・短期大学・大学などの教育機関があります。

専門学校では将来の仕事に直結した教育がなされる傾向にあり、短大や大学では介護や福祉に関する専門的な科目以外に、教養科目も学ぶことができます。

とくに4年制大学では幅広い勉強ができ、また同時に「社会福祉士」の養成課程も組まれていることが多いため、進路の選択肢が広げやすいことが特徴です。

大学の場合は約400万円、短大や専門学校の場合は約200万円程度の学費が必要です。

介護福祉士養成施設からの資格取得は、選択した学校によって試験内容や合格までの道のりが変わってくるため、事前にしっかりと確認することが必要です。

介護福祉士になるための大学

介護福祉士を養成する4年制の大学は全国にあります。

福祉や介護福祉学生活科学社会学などの学部の中に介護福祉士養成の学科が設置されていることが多く、介護福祉士の養成と同時に、幅広い科目を学ぶことができます。

大学は専門学校や短大に比べると期間が長いため、教養教育が充実しており、じっくりと視野を広げやすい環境だといえます。

介護福祉士養成施設として指定されている大学では、同時に「社会福祉士」の養成課程が組まれていることが多いため、進路を選ぶ際の選択肢も増えるでしょう。

実際、卒業後には福祉業界ではなく、一般企業に就職する学生の割合が高いことも大学の特徴です。

ただし在籍年数が長くなる分、短期大学や専門学校と比較すると入学金や授業料は高額になりがちで、4年間の学費は約400万円といわれています。

介護福祉士になるための専門学校

介護福祉士専門学校の特徴

介護福祉士の専門学校は、2年制または3年制の養成課程となっており、学校によって昼間課程だけでなく夜間課程を置くところもあります。

専門学校は全国に数多くあり、大学・短期大学と比べると幅広い年齢層の学生が学んでいるようです。

専門学校で学ぶこと

専門学校では、大学や短期大学に比べると、実践的で仕事に直結するカリキュラムが組まれています。

就職を意識した教育編成がされていることが専門学校の特徴であり、介護福祉士取得以外にも、「ガイドヘルパー」や「レクリエーションインストラクター」など、複数の資格が取得できる学校も多いようです。

夜間の介護福祉士専門学校

夜間に開講する専門学校は、働きながら学ぶことができるのが特徴です。

学生の年齢層は幅広く、さまざまな人が集まって介護福祉士になるため学んでいます。

夜間に行われるだけで、需要内容は昼間課程と変わりないため、昼間の仕事や学校などを継続しながら学びたい人にも通いやすいでしょう。

ただし、どうしても全日制と比べると授業時間が短くなってしまうため、昼間の課程では2年制が中心のところ、夜間の学校では3年制と学習期間を長くして対応しているところが多いようです。

働きながら学ぶ

夜間の介護福祉士専門学校では、福祉施設と提携して介護福祉士の養成に取り組んでいるところもあります。

昼間は福祉施設で働き、施設で福祉の現場で実務経験を積みながら、同時に収入を得ることができます。

この場合、職場である福祉施設は職員が学校で学ぶことに協力的なので、仕事のシフトでも相談しながら学びやすい環境であるようです。

ただし介護福祉士の資格を取得するためには、介護実習は必須で、450時間の現場実習が義務付けられています。

日中介護以外の仕事をしている場合には、連続して介護実習が行えるように休みをとる必要があるため、あらかじめしっかりと確認しておくことが必要です。

介護福祉士の学校選びのポイントは?

介護福祉士の各養成施設で勉強する科目や実習時間などは変わりありませんが、養成期間や卒業要件、教員体制、学校の施設、与えられる学位などに違いがあります。

介護福祉士の養成学校は全国に数多くあるため、ウェブサイトを見たり、オープンキャンパスやオープンスクールに参加したりして、さまざまな情報を集めるとよいでしょう。

学校の中には出張模擬授業や公開講座などを実施しているところも多いため、積極的に参加し利用すれば教員や学生から話を聞くチャンスもあります。

校風やカリキュラム、学費、就職率には大きな違いがあるため、よく比較して選ぶようにしましょう。

介護福祉士に向いている人

介護福祉士に向いているのは「人の役に立ちたい」などの福祉の精神を持っている人です。

困っている人や苦しんでいる人を助けて喜んでもらいたい気持ちがあれば、介護福祉士の適性があるといえるでしょう。

どんなに人と接することが好きでも、実際に介護をしていくと利用者から怒られたり苦情を受けたりすることもあるため、思いやりだけではなく、忍耐力も必要とされる仕事です。

介護福祉士に向いている人・適性・必要なスキル

介護福祉士のキャリアプラン・キャリアパス

介護福祉士のスタートラインはさまざま

介護業界ではさまざまな世代の人が新人介護福祉士として働いています。

高校卒業後に養成校を出て介護福祉士になった人と、長年の主婦経験を生かして介護福祉士になった人とでは、生活の経験値は大きく異なります。

若くて経験が少ないから介護福祉士として未熟だということではありませんし、社会人経験が豊富だからといっても、すぐに介護福祉士として活躍することができるというものでもありません。

スタートラインの年齢や状況は異なりますが、仕事をしていく上で同じ介護のプロとしては変わりがなく、介護に対するプロ意識や学ぶ意欲、自己研鑽の姿勢など、介護福祉士取得後にこの職務をどう培っていくかが問われます。

認定介護福祉士を目指す

現在、介護キャリアパスでの最上位資格に「認定介護福祉士」があります。

介護福祉士のリーダー的存在として位置づけられ、医療分野などと連携して介護を行える人材として期待が高まっています。

認定介護福祉士は、介護福祉士資格を取得し、かつ実務経験が5年以上あり、指定の養成研修を修了することで取得できます。

2017年に第1号認定介護福祉士が誕生したばかりの新しい資格ではありますが、今後は認定介護福祉士を目指す人が多くなり、介護福祉士のキャリアパスとして浸透していくと考えられます。

介護福祉士を目指せる年齢は?

介護福祉士試験には年齢制限は一切ないため、何歳からでもチャレンジすることができます。

40代以降の受験者も多く、現場では60代や70代で働く人も少なくないため、これから介護を本格的に始めたいという人にとって挑戦しやすい国家資格となっています。

介護福祉士の働き方

非正規で働く人が多い

介護福祉士をはじめとした介護職員の雇用形態は、非正規職員に大きく依存しています。

ある調査によると、施設に勤める介護職員では全体の41.4%(うち常勤17.2%、短時間24.2%)、訪問介護員(ホームヘルパー)の78.4% (うち常勤8.1%、短時間70.3%)が非正規雇用であるとされています。

全体としては訪問介護員(ホームヘルパー)のほうが非正規の割合がかなり多くなっていること、短時間労働が多いことが挙げられますが、これは訪問介護の仕事が時間の都合がつけやすいこと、また短時間でも働きやすいことがあげられます。

パート・アルバイトの介護福祉士の働き方

介護福祉士の正社員以外の求人も多く、訪問介護事業所のホームヘルパー、デイサービスの介護スタッフ、施設の入浴時の介護スタッフなどほとんどが短時間の時給制の仕事です。

多くは短時間で日中勤務の仕事ですが、夜勤専門で働くところもあります。

介護福祉士の仕事は施設の中心的な職員であるため、介護福祉士の資格を持つ人は正社員、そうでない人はパート・アルバイトとわけているところもあるようです。

とくに訪問介護事業所(ヘルパーステーション)でのサービス提供責任者(主任ヘルパー)は、正社員が多くなっています。

サービス提供責任者は事業所に常時いなくてはいけないため、パート・アルバイトとして雇うことはありません。

パート・アルバイトの介護福祉士のメリット・デメリット

正社員以外で働くメリットは正社員よりも勤務時間・日数が少ないことで、子どもが小さいため育児と両立をしたい人や、副業として働きたい人などに向いているでしょう。

また正社員以外でも介護の実務経験は同じとみなされるため、パート・アルバイトとして働きながら実務経験を得てケアマネジャー等の資格を取得する人も多いようです。

一方、パート・アルバイトとして働く場合、一番問題なのは収入面です。

どうしても低い時給で働くことになりますし、訪問介護の仕事であれば仕事がキャンセルになって収入が少なくなることもしばしばあるため、生計をたてていくのは厳しいといえるでしょう。

派遣の介護福祉士

介護業界の人材不足が叫ばれる中、派遣として働く介護福祉士もいます。

パート・アルバイトと大きく異なるのは雇用先が違うということです。

パート・アルバイトの場合は施設に直接雇用されますが、派遣の場合は派遣会社に雇用されて、各施設に派遣され働きます。

派遣には大きく分けて2種類あり、派遣会社と雇用契約を交わし一定期間働く「登録型」と、派遣先で正社員になることを目指す「紹介型」があります。

登録型の場合、通常は2.3カ月から半年の間での契約が多く、派遣先が合わない場合は契約を更新せず別な施設を紹介してもらうことができます。

紹介型の場合は基本半年程度業務をしながら、正社員として契約するかどうかを考えていきます。

派遣の介護福祉士のメリット・デメリット

派遣として働く場合、基本的にはパート・アルバイトよりも高い時給で働くことができ、あらかじめ決められた時間の中で働くため残業がほぼ発生しません。

また職場が合わない場合、契約を更新しなければ新しい施設を紹介してもらうことができるため自分にあった職場を見つけやすいというメリットがあります。

一方、ボーナスや賞与がない、地方では派遣を導入している介護施設が少ないなどのデメリットもあります。