塾講師の正社員になるには? 必要な資格はある?

塾講師になるまでの道のり

塾の採用試験に合格する

塾講師として正社員で働くための方法として最も一般的な方法は、塾の採用試験に合格することです。

一般的な就職活動と同様に、就職を希望している塾の経営理念や指導方針を分析し、自身の志望動機やアピールポイントを適切な言葉づかいではきはきと語れるように準備をしておきましょう。

職業の特性上、一定レベル以上の学力が要求されるため、試験が課せられることがほとんどです。

塾によってレベルはまちまちですが、少なくともセンター試験レベルの問題は解けるように対策しておきましょう。

また、塾講師はインターネットを始めとする各種媒体で比較的容易に求人情報を得ることができ、全国的に広く募集があるため、希望の勤務地域で求人をみつけることも可能でしょう。

非正規雇用が主戦力

塾業界で活躍する講師のうち、半分以上がアルバイトや非常勤などの非正規雇用者であるという現状があります。

求人が豊富な業界ではありますが、必ずしも正社員として登用されるとは限らないことを覚悟しておく必要があります。

もちろん、非正規雇用であっても働きぶりによっては正社員に推薦されることも珍しいことではないため、自身のスキルの向上を考えた上でも、地道に努力を重ねていくことが大切です。

また社員になると、講師業のみならず管理職としての業務を任されることも増えてくるため、あえて非正規のままでいるという人や、非常勤講師として複数の塾を掛け持ちすることで収入増を目指す人もいます。

塾の方針と授業形態をチェック

希望の勤務先を決める際、必ず見ておきたいのがその塾の方針と授業形態です。

就職の際には収入や勤務地に目がいきがちですが、塾講師の場合、それぞれの教育方針に沿った授業を展開しなくてはなりません。

難関校合格を目指させる、内申点の向上を目指させる、偏差値を10アップさせるなどといった謳い文句がどの塾であっても必ずあるはずです。

これを見て、自身の目指す学習指導と合致しているかどうかを判断しましょう。

また、授業形態の確認も忘れないようにしましょう。

塾には大きく分けて個別と集団といった2つの授業形態があります。

それぞれの授業形態をよく理解し、自身に合った指導方法をとっている塾はどちらなのか、しっかり考えておきましょう。

塾講師になるまでのルート

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塾講師の資格・難易度

塾講師は比較的未経験者を歓迎する職種で、それまで人にものを教えたことのない人であっても、やる気と情熱さえあれば積極的に採用する傾向にあります。

大学を卒業していることは必須条件ですが、学校の教師と違い、教員免許の有無は問われません。

もちろん、講師や教師経験のある人、教員免許を持っている人は採用の際の大きなアピールポイントとなり、優遇される可能性が高くなります。

塾講師になるための学校の種類

正社員の塾講師を目指す場合、大学を卒業していることが最低条件であると考えておいてよいでしょう。

どこの大学を出ておくべきだ、ということはありませんが、生徒の受験指導に関わるという面から、有名大学の出身であることが一つのアピールポイントになることは事実です。

教育に携わる者として高等教育機関で学んだ経験を有することはある意味、当たり前のことです。

塾講師に学歴は必要? 出身大学・学部で多いのは?

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塾講師に向いている人

塾講師は、何よりも指導力が求められる仕事です。

どんなによい学校を卒業していても、指導力がなければ生徒のやる気を引き出し、成績をアップさせることはできません。

また、保護者や生徒と話し合いを持つ機会が多いため、コミュニケーション能力を備えていることも大切な要素といえるでしょう。

塾講師に向いている人・適性・必要なスキル

塾講師のキャリアプラン・キャリアパス

アルバイトから正社員へ

塾講師は、アルバイトが大きな戦力として数えられているという特徴があります。

塾によっては、講師のほとんどをアルバイトでまかなっているというところもあるほどです。

正社員を目指す足掛かりとしてまずはアルバイト講師として働き、実績を積むというのもよいでしょう。

アルバイト講師は大学生でもできるため、就職活動前に経験しておくとよいアピールポイントになりますし、その働きぶりによっては、正社員登用の推薦を受けられることもあるようです。

塾講師から運営側へ

塾講師として経験を重ねると、教室長などの管理職や塾長などの管理職に就きます。

ただし、管理職になると授業から離れ、塾の運営者や経営者という要素が強くなるため、抵抗を感じる人も多く、必ずしも全員が管理職を目指すわけではありません。

塾長としてさらにキャリアを積んでいくと、地域の塾をまとめるマネージャー職や、本社や本部勤務となる場合もあります。

塾講師の働き方の種類・雇用形態

塾講師の雇用形態

塾講師の働き方は、正社員だけでなく、アルバイトで働く人もいます。

塾業界ではアルバイトは立派な戦力であり、有名大学の学生が講師となることは一般的です。

また、塾講師の中には副業や兼業として働いたり、独立して教室を開いたりする人もいます。

アルバイト・パートの塾講師

アルバイトも立派な戦力

塾によって差はありますが、勤務している講師のうちの半数以上がアルバイトなどの非常勤講師というケースは珍しくありません。

アルバイト講師はこの業界を支える大きな戦力であり、多くは現役大学生が占めています。

生徒にとっても年の近い講師はより身近に感じることができますし、志望する大学に在学している講師からのアドバイスは、大きな励みになっています。

時給は高いが楽ではない

塾講師の求人は、他のアルバイトに比べて高時給です。

ただし、塾講師の「時給」は、一般的なアルバイトのように「1時間」ではなく、「1コマ」で発生することもあります。

1コマは60分とは限らない上、授業に臨むにあたり、その何倍もの時間を予習や教材研究に費やす必要が生じます。

とくに新人のうちは1コマの授業準備に1日かかるという場合もあるほどです。

また授業直前に出勤し、終了直後に退勤できるわけでもないため、拘束時間が長いということも覚悟する必要があります。

時給が発生しない時間のことを考えると、考えているほど楽に稼げるアルバイトというわけではないことがわかるでしょう。

「個別」か「集団」か

塾における授業スタイルは、講師と生徒が1対1、もしくは1対2など、非常に少数で行われる「個別授業」と、いわゆる学校の授業のような形をとる「集団授業」とにわかれます。

このスタイルの違いは、教える立場からすると、大きく異なるものであるため、その特性をよく理解しておく必要があるでしょう。

個別授業の場合、比較的理解のスピードが遅かったり、学習に対してコンプレックスを持ったりしている生徒が受講する傾向があるため、きめ細やかで粘り強い指導力が求められます。

授業の難易度からするとそれほど高くない場合もありますが、それ以上の難しさがあるともいえるでしょう。

集団授業の場合は複数の生徒を相手にするため、一定のスピードと確実な到達点のある授業展開が求められるため、授業態度等、学習面以外でも指導を加える場面が多いのも特徴です。

個別授業と違って進度を講師側が設定する必要があるため、より綿密な授業準備が必要であるといえるでしょう。

賃金では、集団授業の方が高額に設定されることが多いですが、相応の負担があることを知っておきましょう。

アルバイトの域を超える責任

塾講師を務める際、生徒にとっては正社員であろうがアルバイトであろうが「先生」は「先生」です。

経験が浅かろうがベテランであろうが、生徒や保護者の率直な意見を受けて常に自身の指導方法を考え続けなくてはならないのが、塾講師の醍醐味でもあり、大変なところです。

もちろん、新人講師には先輩からのフォローがありますが、アルバイトだからといって負担が軽減されるということはありません。

強い責任感や使命感がない人には務まらないアルバイトであるといえるでしょう。

一方で、塾講師の仕事に対する強い想いがあり、実績を積んでいれば、アルバイトから正社員に登用されることも多いです。

副業・兼業の塾講師

非正規雇用の講師も多い

非正規雇用として、副業や兼業で塾講師を勤める人も多いです。

収入が安定しないという大きなデメリットを抱えながらも、比較的自由な時間を取りやすく、教材研究に集中しやすいといったメリットもあるため、あえてこのワークスタイルを選ぶ講師もいます。

収入面での不足を補うために、いくつかの塾を掛け持つ人も珍しくなく、手取りの収入としては正社員と大差ない額を稼ぐ人もいるほどです。

ただし、職務規定で他の塾での勤務が禁じられている場合もあるため、注意が必要です。

さまざまな兼業

塾での授業は夕刻から夜にかけて行われるため、日中、別に職業を持っているという人もいます。

むしろ昼間の職業が本業であり、空いている時間を利用して塾講師を務めているという人もいます。

飲食店の店員など、教育職とはまったく異なる職業に就いている人も珍しくありませんし、小説家ミュージシャンといった夢を追う傍らで塾講師として生計を立てているというケースもあります。

独立・開業の塾講師

自分の塾を持ちたいという夢

塾講師中には、「いつかは自分の塾を持ちたい」と独立・開業を目標としている人が少なくありません。

ただし、どのような業種であっても、経営者になるには経営理念が必要不可欠です。

これがしっかりしていないと、たとえ独立・開業を実現しても次第に集客できず、廃業となってしまうことにもなりかねません。

さらに塾の経営を行うにあたっては、教育理念も併せて必要となってきます。

どんな生徒を育てたいのか、最終的な到達点をどこにおくのか、その実現のために塾としてできることはなんなのかなど、確固たる理念なくして塾の経営は成功しません。

そのためには、まず塾講師として一定の経験を積むことが大切です。

フランチャイズでの独立

独立を考えた際、大規模展開している塾のフランチャイズに加盟して独立する道が挙げられます。

いわゆる「雇われ塾長」で、完全な独立・開業とは言い難いかもしれませんが、塾全体の運営を担うことになるため、一講師ではできない経験を積むことができるでしょう。

フランチャイズの場合、経営母体がしっかりとしているため、運営、営業等のノウハウも確立しており、安心して職務にあたれるというメリットがあります。

一方で、本部からの指示は絶対であり、自由が少なく、思い描いていた独立・開業とは異なると考える人も少なくありません。

競合他社をチェック

塾講師として独立するにあたり、どこに教室を開くかということは大変重要です。

学校が近所になく、そもそも子どもの数が少ない場所やすでに塾がいくつもあるような激戦区だと、集客にかなり苦戦することになるでしょう。

塾を経営するにあたっては、人口の多い地域の人通りがある場所に開くに越したことはありません。

また集客するための戦略、教室のテナント料や光熱費、宣伝費といった諸費用の準備も行わなくてはなりません。

少子化に加えて、Webを利用しての学習も一般的になりつつあり、塾業界を取り巻く環境は変わりつつあるため、しっかりとした理念と事業計画をもって、開業をすることが大切です。

塾講師を目指せる年齢は?

一般企業や、他の塾、学校の教員などからの転職という形で正社員登用を目指すことも十分に可能です。

とくに他の塾や学校などで過去に何かしらの指導経験がある人は経験者として優遇され、採用の際に有利になる傾向があり、年齢にもさほど制限はありません。

ただし、塾にはそれぞれの経営理念や指導方針があるため、あまりにも前の現場での経験を感じさせてしまった場合、逆に不利となることもあるため注意が必要です。

他業種からの転職は、塾によっては難しいこともありますが、コミュニケーション能力やリーダーシップなど、塾講師として必要な資質を上手くアピールできれば、好印象を持たれるでしょう。

塾講師は高卒から目指せる?

塾講師を目指す場合、大学を卒業していることは最低条件で、ほぼすべての塾が「大学卒以上」という学歴を求めています。

生徒の受験指導に関わる仕事であるため、自分自身が大学受験や大学生活を経験していないことは、塾講師をする上では非常に厳しいといえます。

学習塾に関するデータ(出所:経済産業省)

学習塾の売上高の推移

学習塾の売上高は少子化にかかわらず増加傾向にあります。2016年の売上高は4358億8900万円となっています。
学習塾売上高の推移_2016

学習塾の受講生数の推移

学習塾の受講生も増加の傾向にあります。2016年度の受講生数は、約1294万人となっています。
学習塾受講生数の推移_2016

学習塾の講師数の推移

学習塾の講師数もやや増加しています。2016年度の講師の数は、約8万9000人となっています。
学習塾講師数の推移_2016

学習塾 専任講師・非常勤講師の割合

学習塾の専任講師の割合は16.5%となっています。
学習塾専任講師非常勤講師の割合_2016