児童指導員の求人・募集の状況は?
児童指導員の就職先にはどんなところがある?
児童指導員の就職先は、子どもたちに対してさまざまな福祉サービスを提供する児童福祉施設です。
児童福祉施設には、施設を利用する子どもの事情に合わせて複数の種類があり、またその運営母体は、地方自治体が運営する公立の施設もあれば、民間企業や社会福祉法人が運営する私立の施設もあります。
最も一般的なのは児童養護施設で、そこでは虐待や貧困、両親の病気や事故など、なんらかの理由で保護者と暮らせなくなった子どもたちが集団で生活を送ります。
次には、障がい児入所施設や発達支援センター、放課後等デイサービス事業所など、知的障がいや発達障がい、身体障がいを抱えた子どもたちを対象とした施設が挙げられます。
そのほか、非行に走る恐れのある子どもたちを預かり、更生させることを目的とした児童自立支援施設や、母子ともに保護して自立した生活を送れるようサポートする母子生活支援施設などもあります。
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児童指導員の求人の状況
虐待件数の増加などを受けて、社会的な保護を必要とする子どもは増え続けていますが、それにもかかわらず、児童指導員の求人数はさほど多いとはいえません。
その要因としては、そもそも児童福祉施設の数が限られており児童指導員の働き口自体が少ないこと、また施設の大半は経済的余力に乏しいために、スタッフの拡充に消極的であることなどが挙げられます。
政府としても、厳しい財政事情のなか、どうしても高齢者対策などを優先せざるを得ず、こうした児童福祉にまで十分に予算を行きわたらせることが難しいようです。
その一方で、近年は、民間企業が経営する放課後等デイサービス事業所からの児童指導員の求人が非常に多くなっています。
放課後等デイサービスは、昨今利用者数が急激に伸び、全国各地で相次いで新規事業所が開設されているうえ、2017年からは、事業所ごとに児童指導員を最低1名以上配置することが義務づけられました。
このため、児童指導員の求人の多くを、放課後等デイサービス事業所が占めるようになっているのが現状です。
児童指導員の求人状況は、施設によって事情がさまざまに異なっているといえるでしょう。
児童指導員の就職先の選び方
やりたい仕事内容で選ぶ
ひとくちに児童福祉施設といっても、施設によって提供している福祉サービスは大きく異なるため、まずは手掛けたい仕事内容で就職先を選ぶのがおすすめです。
たとえば、親代わりとなって子どもの生活全般をサポートしたいという人については、児童養護施設をはじめとした入所形式の施設を選ぶとよいでしょう。
一時的に子どもを預かって、障がいをもつ子どもの訓練を行ったり、保護者の育児負担を減らしたいという場合は、障がい児を対象にした通所形式の施設がおすすめです。
生活を直接支援するのではなく、悩みや不安に対する相談業務を手掛けたいという人は、発達支援センターなどが就職先候補となるでしょう。
待遇面で選ぶ
児童指導員の給料は、決して恵まれているほうとはいえません。
児童指導員は、困っている子どもたちを助けるという、大きな社会的意義とやりがいがある仕事とはいえ、長く安定的に働き続けるためには待遇面にもある程度考慮して就職先を選ぶ必要があるでしょう。
最も望ましいのは、地方公務員として働ける公共の施設に就職することですが、どこの施設も応募者が殺到し、非常に激しい競争となるケースが目立つため、誰もが就職できるとは限りません。
民間の施設に就職する場合は、基本的な月額給料に加えて、きちんと残業代が支払われるか、資格手当が付くか、休日出勤手当が付くかといった諸条件も比較検討してみるとよいでしょう。
労働環境で選ぶ
児童指導員の勤務体系は施設によってかなり差があるため、しっかりと確認してから就職先を選ぶことが大切です。
たとえば夜勤があるかないか、あるなら頻度はどのくらいか、残業時間は平均してどのくらい発生するか、休日事情はどうかといったことは、最低限必ずチェックしておくべきです。
また、利用する子どもの数に対してスタッフが少ない施設や、スタッフの入れ替わりが激しい施設は、仕事量が多いなどの理由で離職率が高いケースが目立つため、とくに注意するべきです。
できれば就職する前に一度施設を見学するなどして、労働環境を実際に見てみることが望ましいです。
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児童指導員の志望動機・面接
児童指導員を目指すきっかけの多くは「子どもが好きだから」という理由であり、また子どもを好きであるということは児童指導員として非常に重要な資質ですが、それだけでは志望動機としては不十分です。
児童福祉施設を利用する子どもの多くは、貧困や虐待などの複雑な家庭環境を抱え、心の傷を負っているがゆえに、コミュニケーションや行動に問題のあるケースも少なくありません。
児童指導員の志望動機については、そうした厳しい現状にも言及しつつ、困っている子どもたちを助けたいという、強い責任感と熱意が感じられる内容にすることが望ましいでしょう。
また、難しい境遇にある子どもたちと直に接する児童指導員にとって「人柄」は非常に重要であるため、採用面接は合否を大きく左右するポイントとなります。
想定問答集を作成したり、模擬面接を繰り返したりして、入念な準備を行ってから本番に臨みましょう。
児童福祉の課題や問題、今後の展望などについても、自分なりの意見をまとめておくとよいでしょう。
就職先はどのように探したらいい?
民間施設の就職先の探し方と注意点
児童指導員の求人情報は、民間施設の場合、一般的な求人サイトや福祉職専門の求人サイト、求人情報誌、ハローワークなどから探すことができます。
ただし、求人情報はパートやアルバイトといった非正規雇用が多く、正規職員の募集はそれほど多くはありません。
また正規雇用については、児童指導員の任用資格だけでなく、保育士や幼稚園教諭といったほかの資格まで求められる施設も少なくありません。
一方、非正規雇用については、児童指導員の任用資格を満たしていなくても「指導員」などとして採用する施設もあります。
ただし、その場合は児童指導員と比べて業務範囲が狭まるうえ、給料などの諸条件でも差がつけられているケースが一般的であるため、求人情報についてはよく確認することが大切です。
公共施設の就職先の探し方と注意点
公共施設の求人情報については、各自治体のホームページや、公務員試験の日程を取りまとめているサイトなどから見つけることが可能です。
その際に注意しなければならないのは、基本的に年に1回しかチャンスがないことです。
自治体によって多少の差がありますが、秋頃に募集があり、数度の試験を経て内定となり、翌年度4月から働きはじめるスケジュールが一般的です。
公務員試験の受験対策なども考えると、働き始める1年ほど前から就職活動をスタートすることが望ましいでしょう。