飲食店社員の給料・年収はいくら? 月収やボーナス、店長の年収も解説



飲食店社員には、長時間労働や低収入というイメージを持つ人もいるかもしれません。

飲食業全体として給料が低いというイメージがありますが、居酒屋からレストラン、カフェなど働く店舗も多種多様であり、提供する料理のジャンルもさまざまであるため、一概には言い切れないところがあります。

この記事では飲食店社員の給料の詳細や、飲食業界の給料が上がらない理由を解説していきます。

飲食店社員の平均年収・給料の統計データ

飲食店社員の平均年収・月収・ボーナス

賃金構造基本統計調査

飲食店店員の平均年収_2021

厚生労働省の令和3年度賃金構造基本統計調査によると、飲食店店員の平均年収は、39.5歳で317万円ほどとなっています。

・平均年齢:39.5歳
・勤続年数:8.1年
・労働時間/月:164時間/月
・超過労働:8時間/月
・月額給与:243,300円
・年間賞与:252,100円
・平均年収:3,171,700円

出典:厚生労働省「令和3年度 賃金構造基本統計調査」
飲食店社員の平均年収の推移_2021

※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。

飲食店社員の手取りの平均月収・年収・ボーナスは

各統計を参考に平均年収を300万円と仮定すると、月収は25万円、実際の手取りは20万円ほどになると考えられます。

ボーナスが支給されている場合は、実際の月額支給額はさらに低くなります。

飲食店社員は一人当たりの責任や役割が大きく、長時間労働や残業なども多いため、それに見合った給料ではないと考える人も多くいます。

飲食店社員の初任給はどれくらい?

飲食店社員の初任給は、22万円前後となることが多いです。

ゼンショーホールディングスでは、初任給は222,000円(学部卒)、240,000円(院了)とされています。(2021年実績)

また、すかいらーくホールディングスでは、初任給を月給218,200円としています。(2022年4月現在)

飲食店社員の勤務先の規模別の年収(令和3年度)

飲食店社員の年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。

10〜99人規模の事業所に勤める飲食店社員の平均年収は286万円、100〜999人規模は301万円、1,000人以上の規模では345万円、10人以上規模の事業所平均は317万円となっています。

飲食店社員の年収(規模別)_r3

上記グラフの基タイトルは「飲食物給仕従事者」でソムリエホールスタッフなど他職業を含むデータです。

賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。

飲食店社員の勤務先の年齢別の年収(令和3年度)

飲食店社員の年収は、年齢が上がってもあまり変わらない傾向にあります。

全年代の平均年収は317万円となっています。

飲食店社員の年収(年齢別)_r3

上記グラフの基タイトルは「飲食物給仕従事者」でソムリエ、ホールスタッフなど他職業を含むデータです。

飲食店社員の福利厚生の特徴は?

ボーナスの支給は企業によって異なる

大手チェーンの場合、規定に則ってボーナスが支給される会社がほとんどです。

募集要項に賞与回数が記載されている会社であれば、よほどの事がない限り、ボーナスが支給されると考えていいでしょう。

これは月収が低めであったり、昇給が少なかったりといった点をボーナスの支給で相殺するという構造になっているのです。

一方、中小規模の飲食店の場合、ボーナスはほとんど期待できませんが、その代わり、売り上げの良い時期には大入りといった形で還元されたり、急遽ボーナスが出たりします。

なお、飲食業では社会保険などの福利厚生が整っていないところも珍しくありません。

手取り金額が多少良くても自身で保険に加入し、支払いを行わなければならない可能性もあることを理解しておきましょう。

企業・店舗によって待遇・働き方が異なる

全国にチェーン展開しているような飲食業の大手企業と、個人オーナーの飲食店では、福利厚生や待遇に違いがあります。

大企業の場合は、「社保完備」「賞与年2回」「交通費完全支給」など、一般的な福利厚生やボーナスを得られる場合が多く見られます。

一方で、中小企業や個人オーナーの飲食店では休暇制度やボーナスがなかったり、手当が充実していなかったりすることが多いです。

しかし、中小企業や個人オーナーの飲食店の場合、大手企業よりも出世が早かったり、メニュー開発やオペレーションなどに深くかかわることが出来たりするメリットもあります。

将来独立を目指していたり、経営まで学びたいという人は、中小企業や個人オーナーの飲食店を選ぶ傾向にあるようです。

年齢や経験を積めば年収はアップする?

飲食店に勤める場合、基本的には他の企業と同様、経験年数と比例して月給も上がっていきます。

大手企業の場合は、20代から30代の間で大幅にアップすることが多いです。

これは、飲食業は離職率が高く、20代のうちに辞めてしまうケースが多いことや、30代になると店長など管理職になることが多いからです。

飲食業は給料が低いというイメージがありますが、経験を積むにつれて給料は確実に上がっていきます。

一方で、中小企業や個人オーナーの飲食店の場合は、何年勤めても給料が上がらないというケースも見られます。

数年間は修行や下積みと考えて低収入で働く人も多いですが、勤務する際には、給与形態がどのようになっているかを確認することも大切です。

飲食店社員の給料・年収の特徴

業界全体として平均給与は低め

飲食業というと、長時間労働、低賃金といったイメージを持つ人も多いかもしれません。

令和3年賃金構造基本統計調査によると、16種類に分けられた産業別の正社員の平均年収では宿泊業・飲食サービス業は277万円と最も低くなっています。

ただし、これは飲食業全体の平均年収であり、飲食業は提供する料理のジャンルや経営状況も実に多種多様です。

また年齢や勤務するエリアによっても、年収は変わってくるため、必ずしも年収が低いとは一概に言えませんが、業界全体としては低賃金であるのが現状です。

役職がない場合の給料

中小規模の飲食店の場合、大手のように段階的な役職の振り分けが定められていないことが多いです。

したがって、給料も利益率で決まっていくことになります。

つまり月の売上から諸費用を引き、残った額が給料になるという形です。

1ヶ月に400万円売り上げたとして、おおよそ25~30万の間になるでしょう。

利益率の高い店舗であれば薄給といわれる飲食業界の中であっても、比較的高水準の収入を得ることは十分見込めます。

ただし、売り上げによる変動が大きく、安定しないというデメリットがあることも覚えておきましょう。

 

まかないなど食費の補助がある

正社員であれば、一般的な社会保障制度や有給が完備されていますが、そのほかにまかないや食事補助の支給があります。

つまり、自社で提供している食事を無料、または格安で利用できるのです。

これは飲食店ならではの特徴で、自身の食費を節約できるのは嬉しい特徴です。

また、大手チェーン店の場合は自社の店舗を格安または無料で利用できるという社内制度があります。

これは、福利厚生の一環としてのほか、社員が店舗を実際に利用することで自社のサービスの見直しや向上につながることが期待されているそうです。

 

年収の地域差は少ない

アルバイトとして働く場合は、地域によって時給が異なり、同じ仕事をしていても都心部と給料が大きく違うということは珍しくありません。

一方で、大手チェーン社員の場合はこうした地域差があることはほとんどなく、全国的に同じ給料が得られます。

なお、令和3年賃金構造基本統計調査によると、宿泊・飲食業界の年収が最も高いのは東京都です。

2位以下を見ると、滋賀県、愛知県、神奈川県、大阪府となっており、下位は宮崎県、青森県、岩手県、佐賀県、沖縄県などです。

飲食店社員が所属する代表的な企業の全社員の年収

会社名 平均年収 平均年齢
ゼンショーホールディングス 600万円 37.7歳
すかいらーくホールディングス 506万円 42.8歳
コロワイド 600万円 43.8歳

出典:2022年現在(各社有価証券報告書より)

ゼンショーホールディングスの全社員の平均年収

ゼンショーホールディングスの平均年収は600万円です。

外食最大手企業で牛丼チェーンの首位である「すき家」を主軸に、そのほか「はま寿司」やファミレス「ココス」を展開しています。

M&Aに積極的であることも特徴です。

すかいらーくホールディングスの全社員の平均年収

すかいらーくホールディングスの平均年収は506万円です。

ファミレス最大手の企業で、主力はファミリーレストランの「ガスト」ですが、中華「バーミヤン」、和食「夢庵」などさまざまな業態を展開しているのが特徴です。

コロワイドの全社員の平均年収

コロワイドの平均年収は600万円です。

居酒屋「甘太郎」など展開している企業で、子会社にアトムや「牛角」運営のレインズ、カッパ・クリエイトなどがあります。

他の飲食系職種との年収比較

飲食店社員の多くはホール・サービススタッフとして働いています。

キッチンを担当する調理師などは、資格や経験によっては同じ飲食店で働いていても給料が高くなると推測されます。

厚生労働省の令和3年度賃金構造基本統計調査によると、調理師の平均年収は44.1歳で333万円ほどとなっています。

ただし、調理師についても、労働時間や勤務体制、そして給与や待遇については店ごとにだいぶ異なるのが実情です。

トップ・シェフになれば、店舗の業態や規模にもよりますが年収は360~700万円ほどとなることもあります。

飲食業と比較されることが多い宿泊業の代表、ホテルスタッフの平均年収は300万円~400万円ほどとされ、会社員の平均年収に比べると、やや低めの水準です。

ホテル業界、飲食業界、どちらも景気にも左右されやすく、どうしても不安定な面があるのは否めません。

飲食店店長の平均年収は?

居酒屋やラーメン屋、カフェなどで店長として働く場合の給料は、月額にして平均25万円前後、年収にすると300万円〜400万円程度といわれています。

ただし、こうした店舗では個人が独立・開業して店を営んでいる場合がほとんどで、一般的な会社員のように毎月決まったお金が会社から給料として支払われるわけではありません。

店が繁盛すれば年収1000万円以上を得ることも夢ではありませんし、集客がうまくいかなければ年収200万円程度、場合によっては赤字になってしまうこともあります。

収入面での安定性を考えるのであれば、フランチャイズオーナーになる方法があります。

フランチャイズに加盟すれば、自分で一から店を開くよりハードルも低くなりますし、フランチャイズで経験を積んだのちに、自分の店をオープンするという人もいます。

フランチャイズの場合は一定のブランド力や集客力があるため、事業が軌道にのれば、年収1000万円以上を得ている人もいます。

飲食業の年収が低めである理由は?

 
 

離職率が高く同業他社への転職が多い

飲食業の年収が低めである理由としては、離職率が高く、同業他社への転職が多いことにあります。

飲食業はもともと長時間拘束されるうえに給料が低めとなっているため、他業種または同業他社へ転職してしまうケースが非常に多いのです。

一定の昇給が見込めるのであれば「低賃金でも頑張ろう」というモチベーションを保つこともできますが、仕事がきついのに給料が上がらないという現状に、若手のうちに転職してしまう人も多いです。

日本の業界の中でも、とくに離職率が高いのは飲食業界と言われるほどです。

人件費を削減したい店側の都合

飲食業界は、さまざまな業界の中でも利益率が低いことで知られています。

売上があっても、料理を提供するためのさまざまなコストがかかりますので、それを差し引いた額から給料を出さないといけません。

集客のために安く料理を提供したい、少しでも売上を多くしたいという店は、できるだけ人件費を抑えたいという気持ちがあります。

企業にとっては人件費もコストの一部であり、利益を出すために真っ先に削るというところも少なくありません。

飲食店社員が収入を上げるためには?

飲食店に勤めた場合、同規模の会社間であれば、給料に大きな差はないと考えていいでしょう。

そのため、よほどの大企業でなければ、転職したとしても給料はさほど変わりません。

昇給をのぞむのであれば、役職が上がるように実力をつけ努力することが大切ですが、昇級しキャリアを築いていけるのは、ごく一部の優秀な人のみです。

また、独立して自分の店舗を構えるという方法もあります。

自分の店舗を持てば、上げた利益がすべて自分の手元にのこる一方、経営や営業についても考えなくてはならないため、仕事の負担はより増えることを覚悟しておきましょう。

飲食店社員の年収・給料のまとめ

飲食店社員の給料は一般的な会社員に比べると低めであり、飲食業界全体としても年収は低めです。

また、企業によって給与水準や待遇の内容には大きな違いがあるのも特長です。

飲食店社員として収入アップをしたりキャリアアップしていきたいのであれば、できるだけ給与水準が高く、手当を含めた福利厚生が充実している企業を選ぶ必要があります。

さらに、将来は独立して自分で経営をするという覚悟も必要でしょう。