行政書士になるには
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行政書士になるには
行政書士として働くためには、まず行政書士の国家資格を取得する必要があります。
この資格を得る方法はいくつかあり、一般的なのは「行政書士試験」を受験し、合格することです。
そのほか、公務員試験を受けて国家公務員または地方公務員になり、官庁や役所などで通算17年~20年以上行政事務に携わることでも、十分に行政に精通しているとみなされ、無試験で行政書士資格を取得できます。
また、「弁護士」「弁理士」「公認会計士」「税理士」のいずれかの国家資格を取得すれば、同時に行政書士資格が得られます。
資格を取得したあとは、各都道府県を通じて「日本行政書士会連合会」に登録すれば、行政書士として業務を請け負うことが可能です。
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行政書士の資格・難易度
行政書士試験の難易度は、司法試験や、同じ法律系国家資格である税理士試験や司法書士試験ほどではありません。
ただ、それでも近年の合格率は6%~16%前後で推移しており、受験者の大半が不合格となる難関であることに変わりはなく、突破するためにはしっかりとした対策が必要です。
合格までの目安となる勉強時間は500時間~800時間といわれており、半年から1年ほどかけて準備するケースが一般的です。
行政書士になるための学校、予備校、スクールと必要な費用
行政書士になるための学校の種類
行政書士試験は、学歴などに関係なく誰でも受験できます。
たとえば司法試験を受けて弁護士になる場合などとは異なり、特定の学校に通わなければ受験資格が得られないわけではありません。
したがって、行政書士になるための学校の種類としては、大学などの教育機関をはじめ、民間の専門学校やスクール、あるいは通学を必要としない通信講座まで幅広い選択肢が考えられます。
ただし、どの進路にも一長一短があり、行政書士になるために最適なルートは人によって異なります。
以下では、それぞれのメリット・デメリットや、必要となる学費の目安などを比較しながら、種々の学校の特徴についてご紹介します。
自身の年齢や生活事情、経済事情などを総合的に勘案して、最も自分に合った学習方法を選択してください。
行政書士になるための大学と学費
行政書士試験では、民法や憲法、商法、行政法など、幅広い範囲の法律知識に加えて、政治、経済、社会といった一般常識についての知識が問われます。
弁護士や司法書士、税理士など、ほかの法律系資格と比べると行政書士試験の難易度はやさしいといわれているものの、大学に進学するなら法学部が有利であることは間違いないでしょう。
問題自体も、ほとんど丸暗記で対応できたものから、より法的思考力を問う応用問題の出題が多くなる傾向にあり、法解釈など独特の思考方法に慣れ親しんでおくとスムーズに試験勉強を進められます。
ただ、大学は4年間という長い期間が必要となるうえ、公立・私立に関わらず数百万円単位の学費がかかります。
進学先によっては、下宿費用など生活費もかかることを考えると、経済的負担はかなり重いといえるでしょう。
行政書士になるための専門学校と費用
大学の法学部ではなく、専門学校の「法律情報科」や「実務法律科」といったコースに通って行政書士を目指すという道もあります。
大学と比べると、授業はより実践的な内容になり、行政書士試験の対策を立てやすいでしょう。
また、行政書士試験に精通した専門の講師が在籍していることも多いため、わからないことがあったらすぐに質問できたり、試験対策のノウハウを得られることも大きなメリットです。
必要となる学費は、学校にもよりますが、年額にして80万円~100万円ほどが相場です。
学校やコースによっては、1年間で終了せず、2年、3年にわたるものもあり、大学ほどではありませんが、決して少なくない費用がかかります。
行政書士になるためのスクールと費用
昼間は大学に通っていたり、あるいは社会人として働いている人のために、夜間や休日に行政書士試験対策講座を開いているスクールも多数あります。
まったくの初学者を対象としたコースや、法律既修者コース、特定の科目に絞ったコースなど、幅広い選択肢のなかから自分にあったコースを選べることが大きなメリットです。
資格スクールに通学する場合の一般的な相場は、入学金、授業料、テキスト代など諸費用を含めて20万円ほどが相場ですが、スクールやコースによって実際の学費はかなり幅があります。
体験授業などを受けたりしながら、自身のレベルや進捗状況に見合ったコースを選ぶとよいでしょう。
また、単純に金額だけに着目するのではなく、カリキュラムの内容やサポート体制などをよくチェックして、じっくりと比較検討することが大切です。
行政書士になるための通信講座と費用
大学や専門学校などに通うことが困難で、また決まった時間帯にスクールなどに通学することも難しいという場合、通信講座を利用して勉強するという方法もあります。
市販のテキストなどを使って独学で合格を目指す人もいますが、とくに初学者はどのポイントが重要なのかわからず戸惑ってしまうケースもあるため、通信講座で効率よく対策することが望ましいでしょう。
経済的にみても、通信教育はテキスト、講座のDVD、Web動画などをすべて合計して5万円~8万円程度ですので、通学しながら勉強するよりもかなり費用を抑えることが可能です。
また、空き時間に自宅で勉強できるため、忙しい社会人や家事・育児に追われる主婦などはとくに通信教育を選ぶメリットが大きいでしょう。
インターネットを通してわからないところを質問できるシステムが取られていることも多く、サポートも充実しています。
行政書士になってからかかる費用
行政書士になるまでには、選んだ道によってかなり差はあるものの、上記のとおり一定の費用がかかります。
しかし、行政書士として業務を行うためには、資格取得後に「日本行政書士会連合会」の行政書士名簿へ登録しなければならず、行政書士になってからも相応の費用が発生する点には注意が必要です。
登録に必要な費用は、各都道府県によって異なりますが、事務手数料などを含めておおむね15万円~30万円です。
また、行政書士として登録し続ける限り、毎年5万円~10万円の年会費もかかります。
したがって、行政書士になるなら、資格取得後の登録費用まで勘案したうえで、学費にまわせるお金がいくらあるのか計算しておくべきといえるでしょう。
学費にすべての貯金を使い切ってしまうと、合格しても資格を使えず、アルバイトなどで登録費用を稼ぐ必要に迫られるかもしれません。
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行政書士は独学で合格できる?
行政書士を独学で目指す人はいる?
行政書士試験の合格率は近年10%前後で推移しており、受験者10人のうち9人は不合格となる狭き門といえます。
しかし、この背景には、受験者の大半が社会人であり、日々の仕事に追われて十分に勉強できないまま試験に臨んでいるケースが多いことが挙げられます。
試験の難易度としては、同じ法律系資格である「司法書士」や「税理士」ほど難しくはないとさるため、しっかりと対策さえすれば、独学で合格することも決して不可能ではないでしょう。
ただ、行政書士試験が難関であることに変わりはありませんから、独学で勉強することにはそれなりのリスクも伴います。
以下では、独学で行政書士試験合格を目指す場合のメリット・デメリットについてご紹介します。
独学のメリット
自分のペースで勉強できる
行政書士を目指す人のなかには、大学の法学部で学んでいた人もいれば、法律自体まったく勉強したことがないという人もおり、個人の知識レベルにはかなり違いがあります。
また、行政書士試験の出題範囲は広いため、各科目ごとの理解度もばらつきが生じやすいです。
独学で勉強する場合、ある程度足並みを揃えて授業を受けなければならない資格学校とは異なり、個々の事情に合わせてマイペースに勉強を進めることができます。
とくに、すでに社会人として働いている人や、家事や育児に追われる主婦などは、自分の都合で勉強量をコントロールできる独学を選ぶメリットは大きいでしょう。
費用を抑えやすい
行政書士を目指すことのできる全日制の専門学校に通う場合、年間に80万円~100万円ほどの学費がかかります。
夜間などに開講されている講座を受ける場合でも、コースによって差があるものの、入学金などを含めて20万円ほどかかることが一般的です。
これに対し、独学で勉強する場合、必要になるのはテキスト代程度であり、ほかの学習方法と比較すると経済的負担は非常に軽いといえます。
費用がかからない分、精神的にも気軽に試験勉強を始めることができるでしょう。
勉強場所を選ばない
資格学校などで講座を受講すると、スクールまで通わなければなりませんが、独学の場合は、自宅や近くのカフェ、あるいは電車やバスのなかなど、どこでも勉強することができます。
自宅から通いやすい場所にスクールがなかったり、仕事の都合でなかなか決まった時間・決まった場所に通いづらいという人は、独学のほうがむしろ勉強が捗るかもしれません。
最近では、行政書士試験勉強の進め方や対策などを、インターネット上に無料公開しているサイトも多数あるため、スマホなどを利用することで場所を問わず学習できるでしょう。
独学のデメリット
誤った方向に進んでしまう恐れがある
独学で勉強する場合の最大のデメリットは、独りよがりな学習内容に陥ってしまっても、それを指摘してくれる人がいないということです。
行政書士試験の勉強範囲は広大であり、闇雲に勉強してなんとかなる量ではありません。
それぞれの科目には出題傾向があり、対策の立て方も異なります。
ほとんど出題されない分野に注力した結果、勉強そのものがムダになってしまうという可能性もあるかもしれません。
行政書士試験の合格率からみてもわかるように、決して一発で合格できる人は多くなく、何年も連続して試験を受け続ているという人も珍しくありません。
そういう人のなかには、勉強方法自体に問題があるケースも目立ちます。
根気強さが必要
行政書士試験の合格に必要となる勉強時間は、500時間~800時間程度が目安とされており、短くても数か月、人によっては1年以上勉強し続けなければなりません。
独学で勉強する場合、長期間にわたってモチベーションを保ち続けられるかどうかが、大きなネックとなるでしょう。
資格学校やスクールに通うのは、講師から専門的な対策方法を学ぶ目的だけではなく、つらい試験勉強を乗り切るために、同じ資格取得を志す仲間同士で励まし合うという目的もあるようです。
応用力が身につきにくい
近年の行政書士試験は、単なる法律の丸暗記で対応できる問題ばかりではなく、法的理解や思考力を問う問題が増えています。
そのため、培った知識を利用するための「応用力」まで身につけることが必要になっていますが、独学でそこまでスキルアップするにはかなりの困難が伴います。
膨大な量の演習をこなして、自力で応用力を磨くよりは、長年にわたって行政書士試験を研究している資格学校などに通って、必要なノウハウを学んだほうが効率的かもしれません。
スクールに通うことが難しい、あるいは仕事や家事に追われて勉強にあてられる時間が限られているという場合は、通信教育を利用して、自宅で効率よく勉強するという選択肢もあります。
行政書士に向いている人
行政書士は、手掛ける業務範囲が非常に広いことが特徴であり、取り扱える書類は1万種類を超えるといわれています。
業種・業界を問わず、さまざまな案件を手掛けことになりますので、知的好奇心が強く、いろいろな知識を吸収できる人が行政書士に向いているでしょう。
また、実際の業務においては、相手の話にしっかりと耳を傾け、意向を正確に理解するとともに、法律などの難しい内容をわかりやすく説明することが求められます。
「聞く力」「伝える力」の両面にすぐれた、コミュニケーション能力の高い人は、行政書士として成功しやすいでしょう。
行政書士のキャリアプラン・キャリアパス
行政書士のキャリアプランとしては、組織に勤めるケースと、独立開業するケースの2パターンに大別できます。
行政書士の勤務先は、行政書士事務所をはじめ、建設会社や不動産会社、その他一般企業の法務部や総務部など多岐にわたります。
行政書士事務所以外では、資格を生かす機会はそれほど多くないかもしれませんが、資格を保有していることが自身の法律知識を証明することにつながり、キャリア形成において有利になりやすいでしょう。
独立開業する場合、行政書士事務所などに勤めてある程度の実務経験を積んでから開業する人もいれば、資格取得後すぐに開業する人もいます。
行政書士事務所は小規模なところが多く、求人数が少ないために、実務未経験でも開業せざるを得ないというケースもあるようです。
独立した後は、相続関係や外国人関係など、自身の得意分野を伸ばしていくキャリアや、司法書士などほかの士業資格を取得し、ダブルライセンスで働くキャリアが考えられます。
とくに近年は、競争環境の悪化などもあって行政書士資格単体で十分な収入を得ることが難しくなっているため、ダブルライセンス、トリプルライセンスの重要性が増しています。
なお、行政書士資格を未取得の人については、「行政書士補助者」として事務所に勤め、働きながら試験合格を目指すというキャリアプランも考えられます。
行政書士を目指せる年齢は?
行政書士試験に学歴や年齢制限などの条件はなく、誰でも受験可能です。
実際の合格者をみても、下は10代から上は70代まで、非常に幅広い年齢層の人が行政書士となっています。
また、行政書士として独立すれば一般会社員のような定年退職がないため、意欲さえあれば何歳まででも行政書士として働くことが可能です。
個人の都合や家庭の事情に合わせて、いつからでも目指せて、また生涯にわたって長く仕事を続けられる点は、行政書士ならではの大きな魅力といえるでしょう。
高卒・中卒から行政書士を目指せる?
行政書士試験に学歴制限はなし
行政書士になるためには、基本的に行政書士試験を受ける必要がありますが、同試験には受験資格がなく、高卒の人でも中卒の人でも、誰でも試験を受けられます。
また、試験自体の難易度も、司法書士や税理士など、ほかの法律系資格ほど難しくはないため、大卒者などと比較した場合の「学歴によるハンデ差」は、そこまで大きくないといえます。
もちろん、相応の努力が必要なことには変わりありませんが、たとえ法律についてまったく学んだことがない高卒者や中卒者でも、行政書士試験に合格することは十分に可能です。
行政書士試験を受ける以外の資格取得方法
試験を受ける以外にも、国家公務員や地方公務員として一定年数行政事務に携わると、行政書士資格を取得することができます。
国家公務員試験の場合は「一般職」、地方公務員試験の場合は「Ⅲ類」や「初級」といった名称で、高卒・中卒でも受けられる試験が実施されています。
それらを受けて公務員になり、高卒者は17年、中卒者は20年の業務経験を積むことで、行政書士資格を得るというルートも考えられます。
時間がかかってしまうことはネックですが、取得の確実性はかなり高いといえます。
高卒・中卒から行政書士試験に合格するには
学歴に関係なく誰でも目指せるとはいえ、行政書士試験の合格率は毎年10%前後という狭き門です。
合格率3%前後の司法書士などよりもチャンスが大きいことは事実ですが、合格するためにはしっかりとした対策が不可欠です。
民間の資格学校やスクールなどに通って、基礎から法律を学ぶことが望ましいでしょう。
すでに社会人として働いている人などでも、夜間に開かれている講座を受講することで、仕事終わりに勉強することが可能です。
また、経済的な事情や家庭の都合などで通学することが困難な場合であっても、完全に独学で挑むよりは、通信教育などを利用したほうがよいでしょう。
とくに高卒者や中卒者の場合は、法律既修者よりも余計に勉強時間が必要となるぶん、いかに効率を高められるかが合否を分ける重要なポイントとなります。
通信教育を利用したほうが、独学よりも要点をおさえた学習が可能であり、より行政書士資格取得に近づきやすいでしょう。
高卒・中卒から行政書士を目指す場合の注意点
登録は20歳まで待たなければならない
行政書士試験自体は何歳でも受験可能であり、なかには現役中学生や現役高校生の受験者もいます。
しかし、試験に合格しても、実際に行政書士としての業務を請け負うためには行政書士会への「登録」が必要であり、この登録は未成年ではできません。
このため、行政書士として働き出せるのは、最短でも20歳からである点には留意しておく必要があるでしょう。
10代のうちに行政書士資格を取得できた場合、「行政書士補助者」や事務員として行政書士事務所に勤め、実務経験を積みながら登録できるのを待つという道も考えられます。
就職時に不利に働く可能性がある
行政書士は独立開業型の資格ですが、まったく実務経験のないまま開業して自分の事務所をもつことにはかなりのリスクが伴います。
したがって、たとえ将来的に独立する意思があっても、資格取得後にはいったんどこかの事務所に勤めることが望ましいといえます。
ただ、就職活動に際して、高卒や中卒といった最終学歴がネックとなり、なかなか希望するところに就職できないという可能性もあります。
とくに行政書士事務所は少人数のところが大半であり、そもそも求人数自体が非常に少ないという問題もあります。
独立するための「修業期間」と割り切って、給料などの待遇面を妥協したり、あるいはアルバイトやパートとして就職したりすることも視野に入れないといけないかもしれません。
資格取得後も勉強し続けなくてはならない
たとえ資格を取得できたとしても、それはあくまで行政書士として必要最低限の知識を身につけたにすぎません。
行政書士の業務範囲は非常に広大であり、自身の手掛けられる案件の種類を増やしていくためにも、継続的な勉強は不可欠です。
大学で法律を学んでいた人と比べると、どうしても基礎知識で劣る高卒者や中卒者は、その分働きだしてから苦労することが多いかもしれません。
しかし、行政書士は専門知識の量や顧客を掴むための営業力などがものをいう実力主義の世界ですから、自身の努力次第では、大卒者より活躍することも十分に可能といえます。
一般的な会社員と比べると、行政書士は、学歴に関係なくフェアに競争できるといえるでしょう。
行政書士は女性でもなれる?
行政書士はデスクワークが主体であり、業務に男女間の有利・不利はまったくありません。
女性の行政書士も多数活躍しており、なかには事務スタッフまで含めて全員女性という行政書士事務所もあります。
また、夫婦間の問題や、離婚に関する相談などを手掛ける際には、女性同士のほうが本音で話しやすかったりと、女性であることが業務にプラスに働くケースも多いでしょう。
ほかの業界と同じように、政府主導の「働き方改革」が進むにつれて、より女性行政書士の活躍の場は増えていく見通しです。
行政書士の雇用形態
行政書士の働き方は、行政書士事務所などに勤めるケースと、自分で独立開業するケースの2パターンに大別できます。
前者については、正社員、派遣社員、アルバイト・パートなど、多様な雇用形態で働く行政書士がいます。
行政書士は、経験や実績が重視される実力主義の世界であるため、たとえ行政書士資格を取得しても、実務経験がないと正社員として採用されるのは難しいのが実情です。
そのため、まずはアルバイト待遇などで行政書士事務所などに勤め、行政書士としてのキャリアを積む人も大勢います。
また、後者についても、行政書士一本で働く人や、他士業とのダブルライセンス・トリプルライセンスで働く人、サラリーマンとして働きつつ副業で行政書士業務を行う人など、形態はさまざまです。
以下では、それぞれの働き方における特徴や待遇面などについて、比較しながらご紹介します。
正社員の行政書士
正社員の特徴
行政書士事務所は、少人数で運営しているところが大半であり、また複数の正社員を雇うだけの経済的余力に乏しいケースが多いため、行政書士の正社員は求人数自体が少ない点が特徴的です。
正社員は複雑で責任のある仕事を担当することが多く、多忙になる時期もありますが、業界全体としてそこまで残業がかさむことはないため、家庭生活と両立しやすいでしょう。
休日についても、官公署に合わせて土日祝日を休みとする事務所が多く、ワークライフバランスを取りやすいといえます。
正社員の待遇
正社員の待遇は、個人のスキル次第で大きな開きがありますが、実務未経験者の場合は月給20万円~25万円前後が相場とされています。
無資格で一般企業に就職した場合の初任給とほとんど変わらない水準といえますが、あくまで「仕事のやり方を教えてもらっている」という見習いの立場であることを自覚し、謙虚さを忘れないことが大切です。
ある程度の実務スキルがあり、単独で案件をこなせるようになれば、月給30万円や40万円を得ることも十分に可能です。
派遣社員の行政書士
派遣社員の特徴
派遣社員の特徴は、基本的に残業が発生しないため、業務後の時間を自由に使えることです。
結婚して家事や育児をする必要がある場合や、両親の介護をしている場合などは、正社員よりも派遣社員のほうが働きやすいケースもあります。
ただ、そのぶん雇用形態としては正社員と比べると不安定になり、雇用期間は数ヵ月のところが大半ですから、数年単位で長期に働く必要がある人にはあまり向いているとはいえません。
なお、勤め先によっては、契約期間満了後に正社員に登用する制度を設けているところもあるため、募集条件をよく確認してみるとよいでしょう。
派遣社員の待遇
派遣社員の給料体系は時給換算が一般的であり、時給1,200円~1,300円前後、月給にして18万円前後のところが多いようです。
ほぼ残業手当も期待できませんので、収入面では正社員におよばない可能性が高いでしょう。
ただし、行政書士資格に加えて、実務レベルの英会話能力があったり、他士業資格などがあったりすると、時給1,500円~2,000円前後の高時給が得られる可能性もあります。
派遣社員にこだわって効率よく収入を稼ぐなら、いずれかの業務のスペシャリストになり、専門性を磨く努力が必要になるといえます。
アルバイト・パートの行政書士
アルバイト・パートとして働く行政書士の事情はさまざまです。
将来的な独立開業を見据えた準備期間として、実務経験を積むために働く人もいれば、専業主婦が合間の時間に資格を生かして働くというケースもあります。
また、アルバイトやパートであれば、行政書士資格がなくても採用する事務所もあるため、資格取得を目指しながら働く人も少なくありません。
給料に関しては地域によって多少の差があるものの、時給900円~1,000円前後からスタートすることが一般的です。
行政書士だからといって特別に高給が望めるわけではないようです。
独立・開業する行政書士
行政書士は独立・開業型の資格であるため、自分の事務所を経営する行政書士は大勢います。
しかし、近年は事務手続きの簡素化・電子化が進み、行政書士需要が減りつつある一方、資格保有者は一貫して増え続けており、行政書士事務所間の競争は徐々に厳しくなっています。
このため、稼げる行政書士と稼げない行政書士の二極化が進んでおり、年収1000万円を得ている人がいる一方、大半の行政書士は年収500万円に満たず、食べていくのがやっとという人も珍しくありません。
独立して成功するためには、経営センスやマーケティングスキルに優れていたり、あるいは司法書士や社労士など、他の士業資格とのダブルライセンスで事務所を経営することが必要といえます。
副業・在宅の行政書士
一般企業などにサラリーマンとして働きながら、休日に限定して行政書士業務を行うことも可能です。
副業行政書士のなかには、いずれ脱サラして行政書士を本業にする心積もりがあるものの、いきなり独立するのはリスクがあるため、生計を立てられるかどうか、まずは副業で実験してみるという人もいます。
行政書士業務を行うにあたって、オフィスを借りたり、特別な機材を購入する必要などはありませんので、勤務している企業に副業禁止規定さえなければ、副業を始めること自体はさほど難しくないでしょう。
しかし、実際に副業として行政書士業務を行うのは時間的な制約などもあって、なかなかうまくいかないケースも多いようです。
公務員は行政書士に合格しやすい?
公務員と行政書士の関連性
行政書士は、「行政」という名称が使われていることからもわかるように、官庁や役所といった行政機関と密接な関係にあります。
行政書士の業務は多岐にわたりますが、権利義務や許認可に関する公的書類などの作成、およびその提出を依頼者に代わって行うことがおもな仕事です。
提出された書類は、それぞれの窓口担当者である公務員が受理し、書類に記載漏れなどの不備がないか、法的に定められた要件をきちんと満たしているかなど、入念なチェック作業を行います。
つまり、「作成する側」と「確認する側」という違いはあるものの、行政書士と公務員の業務は非常に似通った部分があり、それぞれに問われる業務知識は、本質的に同じであるとみなすことができます。
したがって、行政事務を行う公務員は、日々の業務を通じて行政書士に必要な知識を身につけているといえ、行政書士試験においてほかの受験者よりある程度有利なのは間違いないでしょう。
公務員から行政書士になるには
行政書士試験を受けて合格する
公務員が、いくら日常的に行政書士に必要な知識を身につけられるとはいえ、行政書士試験は難関であり、合格するためにはしっかりとした対策を行わなければなりません。
行政書士試験は、大きく「法律分野」と「一般常識分野」の2つに分けられ、法律分野については民法、憲法、商法、行政法についての知識が問われます。
このうち、とくに行政法については、公務員としての行政経験が生きやすく、スムーズに試験対策を進められるでしょう。
また、民法や一般常識分野については、公務員試験の内容と重複している部分も大きいため、過去の試験勉強で得た知識が役に立つでしょう。
それでも、行政書士試験は公務員試験とは異なり、法解釈などの法的思考力が問われます。
できれば業務後の夜間に資格学校に通うか、通信教育などで専門的な対策を積むことが望ましいでしょう。
勤続年数を積む
公務員の場合、試験を受けなくても行政書士資格を取得できる方法があります。
国家公務員または地方公務員として、高卒以上の場合は通算17年以上、中卒の場合は通算20年以上、行政事務を手掛けたキャリアがあると、無試験で行政書士資格が得られます。
無試験というと、一気にハードルが下がる印象を受けるかもしれませんが、逆にいうとそれだけ実務経験がものをいう職業であるという証拠でもあります。
行政書士が作成する書類をチェックしていた人が、時を経て今度は作成する側にまわるというのは、非常にそれまでのキャリアが生きやすく、自然な流れといえるでしょう。
しかし、行政書士資格を取得する頃には、最短でも30代後半~40代を迎えていますので、これから行政書士を目指す人にとってはあまりにも時間がかかりすぎる点がネックといえます。
実際、この制度を利用して資格を得ているのは、定年退職後に行政書士として再出発することを考えている60歳前後の人が大半であるようです。