言語聴覚士になるには・資格は必要?

言語聴覚士国家試験に合格することが、言語聴覚士への第一歩です。

まず、国家試験の受験資格を得るために、言語聴覚士の養成課程がある大学や短大・専門学校で3年以上学び、所定の課程を修了する必要があります。

言語聴覚士の国家試験は、例年65パーセント前後で推移していましたが、近年では10ポイント近く下落するなどばらつきもみられます。

この記事では、言語聴覚士のなり方や資格の必要性について解説します。

言語聴覚士になるまでの道のり

国家試験に合格する

言語聴覚士は国家資格であり、言語聴覚士になるためには言語聴覚士国家試験に合格しなければなりません

言語聴覚士の試験は誰でも受験できるものではなく、まずは高校卒業後に言語聴覚士の養成課程がある大学や短大・専門学校で3年以上学び、所定の課程を修了し、国家試験の受験資格を得ることからスタートしなくてはなりません。

国家試験の受験資格を得て、試験合格を目指す

このような養成学校に通っても、それだけで言語聴覚士になれるわけではありません。

言語聴覚士国家試験の受験資格を得て、試験に合格することが必要です。

そう簡単に資格を取ることはできませんが、それだけ専門性が高い資格といえるでしょう。

言語聴覚士になるまでのルート

言語聴覚士の資格・難易度

言語聴覚士の国家試験の難易度

言語聴覚士の国家試験は、例年65パーセント前後で推移していましたが、2019年の合格率は68.9%となり、前年の79.3%と比べると10ポイント近く下落するなどばらつきがあります。

国家試験は決して簡単でなく、しっかりと勉強をしておかないと不合格になる可能性は十分にあるため、気を引き締めて取り組んでいくことが大切です。

もし試験に落ちてしまったら?

残念ながら国家試験で失敗してしまった場合でも、言語聴覚士への道をあきらめる必要はありません。

言語聴覚士の職場となる病院やリハビリ施設によっては、アルバイトのような形で働きながら勉強を続けることもできます

一発で国家資格を取得し、資格を持ったうえで働くことに越したことはありませんが、次の試験で合格することを目標に頑張り続けることは可能です。

言語聴覚士国家試験の難易度・合格率

言語聴覚士になるための学校の種類(大学・専門学校・通信)

言語聴覚士になるための学校の種類

言語聴覚士の養成学校の数は、リハビリ職の需要の高まりとともに増え続け、現在では全国各地に存在しています。

ひとくちで養成学校といっても、大学と専門学校ではカリキュラムや在学中の過ごし方がだいぶ異なってきますし、学校ごとに校風も違います。

自分がどの学校に進学し、どのような勉強をしたいのかというのは入学してからの勉強のモチベーションに大きく関わってくるため、納得のいく学校選びをすることが大切です。

なお、言語聴覚士養成校以外の一般の大学を卒業している場合、

  • 指定された大学
  • 大学院の専攻科
  • 指定の養成所

で2年以上学ぶことでも受験資格が得られます。

大学か専門学校か

言語聴覚士の学校を選ぶとき、多くの人は大学に通うべきか、それとも専門学校に進学したほうがよいのかで迷ってしまうようです。

この点については、どちらが必ずよいと一概にいうことはできず、それぞれに異なる特徴やメリットがあります

大学

大学では学生生活が長い分、いろいろなことにチャレンジする余裕ができ、専門的な勉強以外に、一般教養などを通じて見聞を広めやすい面もあるでしょう。

きちんと勉強をしていれば、どのような学校を卒業しても国家試験に挑戦できますが、通う学校によって在学中の過ごし方はだいぶ変わってくることもあるため、よく考えておく必要があります。

専門学校

専門学校では「就職」を視野に入れたカリキュラムが色濃く出ており、言語聴覚士にとって必要なことを特化して学びたいという人には向いているといえます。

3年制の学校を選べば、4年制の大学よりも1年早く現場に出るチャンスも得られます。

社会人から言語聴覚士を目指す場合

言語聴覚士をはじめとするリハビリ職や医療職は、社会人として別の仕事を経験したのちに、あらためて「この仕事に就きたい」と考え、そこから養成学校に通う人も少なくないようです。

社会人経験があっても不利になることはありません

限られた時間で効率よく勉強を進めようとする意欲が強く、実際の現場に出てからも社会人として身につけたコミュニケーション能力を発揮できるなど、むしろ有利に働くことのほうが多いです。

数はあまり多くありませんが、なかには夜間制で言語聴覚士を目指せる学校もあるため、昼間に仕事をしながら学校で学ぶことも不可能ではありません。

仕事や家庭の都合などで昼間に時間を確保できず、学校に通う時間がないという場合には、夜間課程のある学校を探してみるとよいでしょう。

ただし、実習は昼間となるため、どれくらいの日数が必要となるのか調べておいたほうがいいでしょう。

なお、言語聴覚士の国家資格を、通信教育のみでは取得できません。

言語聴覚士の学校選びのポイントは?

言語聴覚士を目指せる学校はさまざま

言語聴覚士を目指せる学校は増えていますが、それぞれに特色があり、

  • 技術的な面を重視するのか
  • それとも理論的な面を重視するのか
  • 平均的に進めていくのか

などの考え方が、カリキュラムの内容に表れてきます。

しかし、学校選びを考えている段階でそこまで見抜くことは難しいかもしれません。

まずは、

  • 自分の学びたいことがしっかりと学べるか
  • 学校の雰囲気は合いそうか
  • 進路や就職などの相談にしっかりとのってもらえそうか

といった点を基準に考えていくとよいでしょう。

学校見学や体験入学などをして、

  • 直接自分の目で見る
  • 講師や在学生から話を聞く

といったことで自分の理想通りの学校に近づけるはずです。

どんな学校でも自分の姿勢が大切

養成校は、一般の大学や高校などと同様、どうしても偏差値でレベルが格付けされてしまっている部分もあります。

しかし、言語聴覚士の養成校である場合、どこに通ったとしてもきちんと勉強をして単位をとれば、国家試験の受験資格を取得することは可能です。

また学歴よりも、仕事に向き合う姿勢や日々の努力が必要とされる世界のため、言語聴覚士の資格を取ってしまえば、誰しもが同じ立場に立てることになります。

だからこそ、入学時点で学校の格付けを気にしすぎるよりも、主体的に学んでいこうとする気持ちが何よりも大切です。

こうした気持ちを持っていれば、どこの学校に通っても充実した日々を送れるでしょう。

言語聴覚士に向いている人

根気がある

リハビリテーションは、長期間かけて実施する必要があることも多く、忍耐力や根気が求められる仕事です。

また、人間の言語能力についてはまだ不明な部分も多く問題の原因もさまざまであるため、わからないながらも粘り強く原因を探り、解決策を考えられることも大事です。

コミュニケーション能力がある

言語聴覚士は、考えていることをうまく言葉で表現することが難しいという患者さんのサポートをしていくため、自身のコミュニケーション能力や相手の気持ちを察する能力も求められます

また、コミュニケーションが苦手な患者さんもいるため、包容力や相手を思いやる優しさも非常に大切です。

言語聴覚士に向いている人・適性・必要なスキル

言語聴覚士のキャリアプラン・キャリアパス

高齢化社会が進み続けるなか、高齢者の

  • 言語障害
  • 食べる
  • 飲む

などの能力に問題を抱える人が増えてきています。

今後もこの傾向は続くと考えられ、とくに福祉の分野において、言語聴覚士の需要は高まっていくでしょう。

また、今後は病院やリハビリテーションセンターだけでなく、地域で高齢者を支えていく活動も重要になり、自宅訪問などの仕事も増えていくと考えられます。

言語聴覚士を目指せる年齢は?

言語聴覚士の資格取得に年齢制限はなく、何歳からでも目指せます

未経験や異業種からの転職だけでなく、言語聴覚士の仕事はこれまで医師看護師が担っていたことから、こうした医療職に就く人が転職で言語聴覚士を目指すことも少なくないようです。

言語聴覚士は男性でもなれる?

言語聴覚士のようなリハビリ職は女性が多いイメージはあるものの、言語聴覚士として働く男性も多くいます。

正確な男女比は発表されていませんが、その割合は7:3から8:2程度で女性が多いといわれています。

言語聴覚士の活躍の場が増えるにつれ、男性の言語聴覚士が活躍していくことも増えてくることでしょう

言語聴覚士の雇用形態

現在、言語聴覚士が活躍できる領域は医療のみならず、福祉や教育などまで広がりを見せています。

そうしたなか、勤務先も総合病院や大学病院だけではなく、

  • リハビリテーションセンター
  • 老人保健施設
  • 学校教育現場

など多岐にわたっており、雇用体系や待遇もさまざまです。

同じ言語聴覚士といっても、働く場所によって生活の様子は大きく変わることもあるため、自分のライフスタイルなどに合ったものを選ぶ必要があるでしょう。

言語聴覚士の主な雇用形態
  • 正社員
  • アルバイト・パート
  • フリーランス

正社員の言語聴覚士

女性が働きやすい環境

高齢化にともない聴覚障害や言語障害・嚥下障害になる人が増えている昨今、医療業界において言語聴覚士は正社員として長く働き続けてほしい人材となっています。

言語聴覚士の仕事は、一般的に夜勤はなく、ほかの医療職とくらべて就業時間は規則的なため、働きやすい環境が整っているといえるでしょう。

女性も多く活躍している職種のため、育児しながらの仕事にも理解を示す職場が多く、女性に対する制度などのサポートが手厚い職場も多くみられます

事実、言語聴覚士協会の会員の80%は女性であることから、女性が働きやすい職業であるといえます。

託児所を併設している施設も多いことから、出産後も仕事を続けることが可能であり、復職率が高いのも言語聴覚士の特徴です。

公務員として働く

働ける場所は限られていますが、言語聴覚士が公務員として働くこともできます

主な就職先としては、

  • 公立病院
  • 保健所
  • 保健センター

などの都道府県や自治体の行政機関などがあげられます。

また、養護学校や聾学校などの特別支援学校の教員として働く場合も、公務員とみなされます。

ただし、求人数は少なく狭き門となることが多々あり、年齢制限があることも少なくないため注意が必要です。

また、言語聴覚士の場合は経験者採用というケースも多いので、一度民間の病院や施設で経験を積み、それから公務員としての就職を目指す人も少なくありません。

アルバイト・パートの言語聴覚士

リハビリ施設などでは、リハビリを行う時間帯のみのアルバイトやパート勤務で働ける場所もあります。

仕事内容は主に正社員として働く言語聴覚士のサポートとなります。

福利厚生は正社員ほどではありませんが、自分のライフスタイルに合わせて働けるのがアルバイト・パート勤務の利点といえます。

医療職が未経験の転職の際は、まずアルバイトやパートとして働きながら経験を積み、正社員を目指せることもあるようです。

フリーランスの言語聴覚士

数は少ないですが、医療機関などに所属せずフリーランスとして働く言語聴覚士もいます

フリーランスとして働く場合は、

  • 複数の医療機関や施設と提携
  • 自身で事業所やNPOを立ち上げる
  • 言語聴覚士の仕事を世の中により広めるために活動する

といった人もいるようです。

とくに、言語聴覚士による訪問リハビリテーションが開始されたことにより、訪問介護分野で活躍する人も増えています。

「言語聴覚士になるには・資格は必要? 」のまとめ

言語聴覚士は国家資格であり、言語聴覚士になるためには言語聴覚士国家試験に合格しなければなりません。

国家試験は決して簡単でなく、しっかりと勉強をしておかないと不合格になる可能性は十分にあるため、気を引き締めて取り組んでいくことが大切です。

一発で国家資格を取得し、資格を持ったうえで働くことに越したことはありませんが、次の試験で合格することを目標に頑張り続けることは可能です。