大工の資格・建築大工技能士の難易度は?
目次
大工に資格は必要?
大工になるにあたって、とくに何かの資格を取得する必要はありません。
大工に必要なのは技術と経験であり、工務店などに就職して腕を磨いていけば、誰でも一人前の大工を目指せます。
ただし、必須ではないものの、取得しておけばキャリアを築いていくうえで有利となる資格はいくつかあり、「組立等作業主任者」や「建築施工管理技士」「建築士」などが代表的です。
これらの資格がないと、工事を受注できなかったり、工務店を経営できなかったりするため、責任ある立場に昇格する際などには資格取得が必要になるケースもめずらしくありません。
とくに、講習を受けるだけで取得できる作業主任者資格や、難易度がそこまで高くない2級建築施工管理技士や2級建築士といった資格は、早期のうちに取得しておいて損はないでしょう。
建築大工技能士資格とは
上記に挙げた資格のほかに、大工としての技能を評価する「建築大工技能士」という国家資格があります。
大工は腕前が命の職人の世界ですが、そうした技術は目に見えるわけではなく、他人と比較することは困難です。
しかし、建築大工技能士資格を取得していれば、客観的にたしかな技術をもっているという証明になり、工事を発注する施主(せしゅ)からの信頼につながるため、取得を目指す大工は大勢います。
資格には、1級・2級・3級の三種類があり、1級資格の保有者は、大工のなかでも上級に位置付けられています。
近年は、現場によってはこの資格を持っている大工に限って募集するケースも増えつつあり、取得しておく価値の非常に高い資格といえます。
建築大工技能士試験の難易度は?
受験資格
試験は誰でも受けられるわけではなく、受験する級に応じた実務経験を積まなければなりません。
1級であれば実務経験7年以上、2級は2年以上、3級は半年以上です。
このため、とくに2級以上については、技能を証明する資格でありながら、同時に大工としてのキャリアを証明する資格でもあるといえます。
試験内容
試験は、1級・2級・3級すべて実技問題のみであり、制限時間内に課された作業をこなすという形式で実施されます。
1級については「振隅木小屋組」の、2級については「柱建て四方転び」の、それぞれ平面図や展開図などの図面を引いて、材木に墨付け(記し付け)やこしらえ(刻み)といった作業を施し、組立を行います。
3級については、「切り妻小屋組」の作成済み図面を基に、墨付けなどの加工を施し、桁や梁(はり)、つかなど、建物全体の一部を組み立てます。
1級と2級については、自身で図面を作成する必要がありますが、製図線が1mm以上ずれていると減点となってしまいます。
その一方で、それぞれの作業には工程ごとに個別の制限時間も定められており、時間を過ぎると減点対象となるため、正確さと同時にスピードも要求されます。
また、材木の切り出し角度なども自分で計算しなければなりませんが、関数電卓など機械類の持ち込みは禁じられているため、「さしがね」と呼ばれるL字形の定規を使って、手で計算しなければなりません。
1級では、四方すべてに勾配がついている「寄棟屋根」の複雑な切り口を計算しなければならず、非常に難易度の高い試験といえます。
現場での実務経験だけは対策は不十分であり、ストップウォッチなどを使って、試験専用のトレーニングを積む必要があるでしょう。