大工になるための学校(専門学校・大学・訓練校)
大工になるための学校の種類
大工は、腕前がものをいう職人の世界であり、学歴や知識が必須というわけではありません。
このため、中卒や高卒で工務店に就職し、すべてを現場で身につける、つまり「身体で覚える」という道もあり、ひと昔前までは義務教育を終えたあと、すぐ親方に弟子入りするケースが一般的でした。
しかし、現在では大工にも一般教養や建築に関する専門知識が求められるようになりつつあり、大工を目指せる専門学校や大学も数多く存在します。
学校に通い、基礎的な知識や技術をあらかじめ身につけることで、大工としてのキャリアをスムーズにスタートさせることができ、また先生や卒業生から、働くうえでの心構えなどを教わることもできます。
就職するうえでも、ある程度の学歴はもっておくほうが有利になることもあるため、大工になるにあたって、いずれかの学校に進学することも有力な選択肢のひとつです。
以下では、大工を目指せる専門学校や大学について、その特徴や必要となる学費などをご紹介します。
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大工になるための専門学校
大工になるための専門学校としては、建築系・工芸系専門学校の、建築学科や建築設計科、大工技能学科、建築大工科などが挙げられます。
これらの学校では、大工に必要な技術や知識を学べるだけでなく、「2級建築士」や「CADオペレーター」など、大工と関連性の高い資格の取得も目指すことができます。
大工としてキャリアを積んでいくと、どこかの時点で「棟梁」として現場を任される立場になるでしょう。
その際に資格が必要になるケースもよくあるため、学生の間に資格を取得できれば、後で非常に役に立ちます。
また、勤め先によっては資格手当が支給されることもあるため、経済的なメリットも得られます。
大工の専門学校は2年制のところが一般的で、学費は年間100万円前後が相場です。
大工になるための大学
大工を目指せる大学としては、工学部の建築学科や技能工芸学部、住居環境学部、住居デザイン学部など、建築やものづくりを学べる学部・学科があります。
大学では、建築などに関する知識だけでなく、広く社会人としての一般教養を学ぶことができる点が特徴的です。
また、「大卒」という学歴が得られる点も、就職する上では大きなアドバンテージとなるでしょう。
学費は、専門学校と同じく年間100万円程度ですが、通う期間が専門学校より長くなるぶん、トータルでの負担はかなり重くなりがちです。
なお、大工に必要な技能を学べる学校としては「職業能力開発大学校」もあります。
こちらは一般的な大学と違って文部科学省でなく厚生労働省所管の学校となりますが、卒業すれば大卒資格が得られる点は同じです。
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大工になるための訓練校
職業訓練校は、現役の大工の指導を受けながら、実践的な技術を身につけるための施設です。
一般的な学校とは違って、教育機関というよりも、名前の通りあくまで訓練機関という位置づけです。
かつては、大工になる学校というと、この訓練校が最もメジャーでした。
しかし現在では、失業者や転職者など社会人の利用が主で、これから大工を目指す若い10代などが通うケースは減っています。
最大の特徴は、学費が格安であるという点で、短期の講座であれば基本的に無料、1年コースや2年コースでも年間12万円程度です。
さらに、要件を満たして「職業訓練給付金制度」の対象となれば、10万円前後の給付金が得られるため、経済的負担を実質的にゼロにすることも可能です。