国家公務員の種類・職種の一覧(28選) 専門職もわかりやすく解説
国の機関に勤務する国家公務員は、所属する省庁・出先機関ごとに、専門性の問われるスケールの大きな仕事に携わります。
産業や福祉・医療、労働、教育、財政など、あらゆる分野で日本をリードする人材としての活躍が期待されます。
この記事では、主に試験の難易度・種類別で、国家公務員の仕事の種類を紹介していきます。
大卒程度
国家公務員の種類にはさまざまなものがありますが、そのほとんどが学歴の制限はなく、年齢要件等を満たしていれば誰でも受験することが可能です。
ただし、いわゆる「キャリア」と呼ばれる国家公務員総合職のように、現実的には大卒以上の人でなくては合格や採用が難しいとされている試験も存在します。
以下で紹介していく国家公務員の仕事は「大卒程度」の難易度の試験とされており、大学で学んできた人が受験するケースが大半です。
具体的な受験資格や試験内容は試験によってそれぞれ異なり、なかには合格率が低いものもあるため、しっかりと試験対策をして臨む必要があります。
以下で、それぞれの職種に関する概要を紹介します。
国家公務員総合職
国家公務員総合職は、各省庁等において政策の企画や立案などに携わる人のことをいいます。
法律の知識や発想力などを持って、法律案を作る業務を任されます。
公務員試験は大卒程度レベルの難しいものとなっていますが、将来の幹部候補生として重要なポストを任されます。
通常、いわゆる「キャリア官僚」と呼ばれる人は、この国家公務員総合職として採用された人を指しています。
法務省専門職員(矯正心理専門職、法務教官、保護観察官)
法務省専門職員は、法務省において人間科学の知識が必要な仕事に就く人のことをいいます。
専門分野により、「矯正心理専門職」「法務教官」「保護観察官」の3区分で試験が行われます。
法務教官は、少年院や少年鑑別所に勤務し、非行のあった少年に対して矯正教育や生活指導などを行います。
矯正心理専門職は、少年鑑別所や刑事施設に勤務し、少年や被収容者の資質の鑑別・調査を行います。
保護観察官は、保護観察その他の更生保護に関する業務を担当します。
法務教官の仕事紹介ページ
財務専門官
財務専門官は、「財政や金融のプロフェッショナル」として、国の予算執行調査や金融機関の検査・監督等を専門とする国家公務員です。
各管区の財務局を中心に活躍し、財務省本庁や金融庁との連携も強い仕事です。
国税専門官
国税専門官は、税金に関する調査や指導を行うスペシャリストです。
各地方国税庁や全国の税務署に勤務し、大きく「国税調査官」「国税徴収官」「国税査察官」の3職種に分かれて活躍します。
食品衛生監視員
食品衛生監視員は、厚生労働省職員の一種で、主に厚生労働省検疫所に勤務し、海外からの輸入食品の食品衛生等のチェックや、感染症の侵入を防ぐための検疫衛生業務などに携わります。
この試験を受けるためには、原則として大学で薬学や畜産学、水産学、農芸化学を専攻していることが条件となります。
労働基準監督官
労働基準監督官は、厚生労働省に所属し、労働基準法や労働安全衛生法に基づいて労働者と事業者のトラブルの解決、労働災害の予防、労働災害の調査などを行う職種です。
調査や指導監督のために、工場や工事現場などへ出かけることが多いことが特徴です。
採用人数が限られていることもあり、高倍率になることが多い試験です。
航空管制官
航空管制官は、航空機の安全な離着陸やフライト中の安全を守るために活躍する職種です。
国土交通省職員として各空港や航空交通管制部に勤務し、航空管制塔からフライト中のパイロットに対して飛行ルート等の指示や情報を出します。
職務の特殊性から、適性試験や外国語(英語)試験が行われるほか、視力や色覚、聴力などの身体要件も設けられています。
裁判官
裁判官は、全国各地の裁判所に勤務し、刑事訴訟や民事訴訟などの判決を下す職種です。
この職に就くためには、一般的には司法試験への合格後、司法修習を終えて裁判官に任官される必要があり、狭き門となっています。
家庭裁判所調査官
家庭裁判所調査官は、主に家庭裁判所において「家事事件」や「少年事件」の当事者や家族、および事件の原因や背景などについての調査を行う職員のことです。
心理的なサポートが必要な人にはカウンセリングをしたり、医療機関と協力を行ったりと、専門的な知識や実務遂行能力が求められます。
検察官
検察官は、警察等から送致を受けた事件等について捜査を行い、裁判所への起訴の決定や裁判執行時の指揮監督などを担当します。
4年制大学の法学部に進学後に法科大学院を修了、そして難関の司法試験に合格し、さらに司法修習を終えて検察庁に入庁するといった、長い道のりをたどらなくてはなりません。
とくに法律に関する広く深い専門知識が求められます。
警察官
警察官は、警察庁やその付属機関等に勤務し、主に安全に関わる法律づくりや犯罪対策のほか、都道府県警察の指揮監督を行う仕事です。
警察官は地方公務員として採用される人が圧倒的に多く、国家公務員の警察官は全体の中のごく少数です。
国家公務員の警察官は現場で捜査やパトロールなどを行うのではなく、日本全体の警察組織のありかたを企画・運営したり、全国の警察組織の調整業務に従事したりします。
入国審査官
入国審査官は、空港や港などの地方入国管理局および出張所に勤務し、日本に出入国する日本人・外国人の審査・管理を行う職種です。
仕事内容は大きく入国審査、在留資格審査、違反審査があり、外国人との接点が多いことが特徴です。
日本の安全と国民の生活を守りながら国際交流の円滑な発展のために力を尽くす、重要な役割を担っています。
外交官
外交官とは、外務省に所属する国家公務員として、国内の外務省や世界各地の大使館や総領事館に勤務し、外国との交渉・交流を行います。
海外では、現地の治安や災害発生などの情報を収集して日本国民へ速やかに伝えるほか、現地で暮らす日本人が事件や事故などに巻き込まれた時には、その安否を確認したり、日本にいる家族に連絡を取ったりします。
国会議員(衛視のみ高卒)
国会職員は、衆・参議院で開かれる国会への出席などによって法律の整備・改定を中心に、予算の決定や内閣総理大臣の選任を行います。
国家公務員のなかでも、その多くを占める一般職とは異なる「特別職」といわれる身分となります。
特定独立行政法人職員
特定独立行政法人職員は、独立行政法人のうち、印刷局や造幣局など、業務の停滞が国民生活や社会経済の安定に著しい支障をおよぼすと認められる施設で働く人のことをいいます。
高卒程度・大卒程度
ここでは、高卒者と大卒者のどちらも受験することができ、高卒・大卒ともに実際に採用されているケースが目立つ国家公務員試験の種類を紹介します。
試験の種類によって受験資格や試験種目などは異なりますが、それぞれ「高卒程度」と「大卒程度」の試験が別区分で実施されることが多いのが特徴です。
なお、皇宮護衛官のように、特定の行政分野の業務に従事する職員の採用試験は「国家公務員専門職試験」と呼ばれています。
また自衛官や海上保安官のように、まずは特殊な学校へ入学し、訓練を受けながら一人前を目指していくものもあります。
国家公務員一般職
国家公務員一般職は、各府省の本省や全国の出先機関において、主に政策の実行や運営、また事務処理などの定型的な業務を担当する職員です。
「大卒」と「高卒」の2種類の試験が実施されています。
大卒区分で採用された人のほうが、自身の担当業務に関して、より専門的な知識を求められる幅広い業務に携わることが多く、採用管区内での引っ越しを伴う異動も発生します。
一方、高卒区分で採用された職員の異動は限定的で、基本的には窓口業務や庶務などの事務を担当します。
皇宮護衛官
皇宮護衛官は、警察庁の附属機関である皇宮警察本部に所属し、天皇・皇后両陛下や皇族の護衛と皇居、御所、御用邸などの警衛を行う職員です。
警察官と同じように一定の体力や精神力が求められますが、加えて皇室にふさわしい気品やスマートな立ち居振る舞い、丁寧な言葉遣いなども重視されます。
検察事務官
検察事務官は、検察庁に所属し、検察官と組んで事件の捜査に当たったり、裁判で確定した懲役刑などの執行手続きを行ったりしながら、社会正義を追求する仕事です。
犯罪や事件の捜査や、裁判に関連する事務的な業務を担当することがあるため、正確でコツコツと仕事を進めていく能力が求められます。
また、人をサポートするのが得意な人にも適した職種です。
自衛官
自衛官は、防衛省の職員であり、特別職の国家公務員という身分になります。
「陸上自衛隊」「海上自衛隊」「航空自衛隊」のいずれかの組織に所属し、日本の平和と安全を守り、外部からの侵略に対して防衛することが自衛官の大きな役割です。
日頃は有事に備えて厳しいトレーニングや訓練を重ね、その他、自然災害や大規模事故時の人命救助、海外での平和維持活動なども行っています。
海上保安官
海上保安官は、海上保安庁に所属する国家公務員として、日本の海域を巡視船や航空機を使って監視し、海の治安と安全を守ります。
海上のパトロールや不審船の取り締まり、また安全な航海のための情報収集、海上交通の管理などを専門的に担当します。
周囲を海で囲まれた日本において、治安維持に貢献する重要な職種の一つです。
裁判所事務官
裁判所事務官は、全国の裁判所や事務局において事務処理を行い、裁判の円滑な進行と裁判所に務める人をサポートする職種です。
「総合職」と「一般職」で採用が実施されており、それぞれ給料や昇進体系、異動地域の範囲などの違いがあります。
裁判所事務官としてキャリアを重ね、内部試験を受けることにより「裁判所書記官」に登用される道も開けます。
20代で正社員への就職・転職
高卒程度
国家公務員のうち、高卒程度の難易度の試験に合格し、採用されることで就くことができる仕事を紹介します。
これらを目指す場合には、とくに年齢制限に注意が必要です。
たとえば高校を卒業してから時間が経っていたり、社会に出て何年もキャリアを積んでいる場合などは、年齢的に高卒程度の試験が受けられない可能性があります。
ただし、試験によっては社会人区分での試験も行われる場合があります。
刑務官
刑務官は、法務省に所属して刑務所や拘置所などの刑事施設の運営や警備に携わり、受刑者が更生し社会復帰するための指導などを行います。
入国警備官
入国警備官は、法務省に所属し、全国の地方入国管理センターなどにおいて、日本に入国・在留する外国人を管理し、日本の安全を守ります。
税務署職員
税務署職員は、主に全国の税務署に勤務し、租税の徴収や税に関する相談への対応、税務調査などを担当します。
学校(学生)
国家公務員のなかには、一般的な高校や大学などとは異なる特殊な学校へ入学し、訓練を受けることで専門的な業務を遂行できる種類のものがあります。
具体的には、以下のような学校が挙げられます。
- 防衛大学(自衛隊の幹部自衛官を育成するルートとなる)
- 海上保安大学校(海上保安庁の幹部となる人を養成する)
- 海上保安学校(海上保安業務に必要な知識・技能を学び、心身の鍛練を図る)
- 航空保安大学校(航空管制官や航空管制運航情報官、航空管制技術官等を養成する)
それぞれの学校へ入学した学生は、所定の期間、寮生活などを送りながら訓練を受け、各現場での勤務にあたっていきます。
なお、これらの学生は採用と同時に国家公務員の身分になるため、給料も支給されます。
防衛大学学生
防衛大学学生とは、将来的に各自衛隊の幹部自衛官となる人を養成する防衛大学校で訓練を受ける人のことをいいます。
海上保安大学校学生
海上保安大学校学生は、将来的に海上保安庁の幹部となる人を養成する海上保安大学校で訓練を受ける人のことをいいます。
海上保安学校学生
海上保安学校学生とは、海上保安業務に必要な知識・技能を学び、心身の鍛練を図る海上保安学校で訓練を受ける人のことをいいます。
航空保安大学校学生
航空保安大学校学生とは、空港などで航空の安全・安心を支える航空管制官や航空管制運航情報官、航空管制技術官等を養成する学校で訓練を受ける人のことをいいます。
「国家公務員の種類・職種」まとめ
国家公務員の大きな魅力のひとつは、「国」という大きなスケールで、公共のための仕事ができることです。
また、国家公務員は給与や待遇の面でも比較的好条件であり、安定性のある働き方が実現しやすいこともメリットといえます。
国家公務員にはたくさんの種類があり、さまざまな分野で活躍することができます。
高度な専門性を要する仕事も多いため、興味のある仕事については、ぜひ詳しく調べてみてください。
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