トレーダーの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「トレーダー」とは

トレーダーの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

投資銀行や証券会社のトレーディング部門で、株式や債券などの売買の取引仲介を行う。

トレーダーとは、一般的に金融機関(投資銀行や証券会社など)のトレーディング部門に所属し、株式や債券などの売買の取引仲介を行う人のことをいいます。

お客さま(投資家)とディーラーの間に立ち、売り時・買い時の情報をお客さまに提供したり、お客さまから売買注文を受けてディーラーに伝えたりするほか、自ら売買を行うこともあります。

金融市場に関する専門知識を持ち、刻々と変化し続けるマーケットの動向を常に追い続けなければなりません。

また、売買では1分1秒を争うこともあるため、素早い判断力や決断力など、さまざまな能力が求められます。

ときに何百億円という資金を動かすため、責任は重大ですが、経済のダイナミズムを味わえる仕事です。

「トレーダー」の仕事紹介

トレーダーの仕事内容

投資家とディーラーの仲介人となる

トレーダーとは一般的に、金融機関にて、株式や債券、FX為替などの売買の取引仲介を行う人のことを指します。

お客さま(投資家)とディーラーの間に立ち、売り時・買い時の情報をお客さまに提供したり、お客さまから売買注文を受けてディーラーに伝えたりすることを役割とします。

マーケットは、世界中で複雑に絡まるさまざまな要因によって変化するため、最新の情報収集にも力を入れる必要があります。

たとえば日本株の売買を扱う場合でも、アメリカ株が暴落すれば日本株は影響を受けやすいため、他の国の株価の動きや経済ニュースなどは感度高く確認する必要があるのです。

絶え間なく動く株価や債券、為替の動向を把握し、適格な情報をお客さまに伝えていくことは、トレーダーとして非常に重要な業務です。

トレーダーの種類の違い

金融機関のトレーダーには「バイサイド」と「セルサイド」の立場の人がおり、それぞれ業務内容が若干異なります。

バイサイドは、銀行や保険会社に所属して、最適な執行のタイミングを探り売買を注文します。

一方、セルサイドは、証券会社に所属して、お客さまから受けた注文を取引所に注文し市場売買を成立させる役割を担います。

どちらの立場のトレーダーも、正確な取引をするよう十分に気を付けて、最大限の利益を得られるように工夫することが必要です。

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トレーダーになるには

まずはトレーディング部門のある金融機関への入社を目指す

トレーダーになるには、投資銀行や証券会社など、トレーディング部門のある金融機関に就職することが第一歩です。

多くの企業で「大卒以上」の学歴をもつ人材を求めますが、新卒採用における「トレーダー職」の募集はほぼありません。

「総合職」として一括採用を行った新卒者のなかから、適性や能力などを考慮して、トレーディング部門への配属者を決めることが多くなっています。

大手企業になればなるほど優秀なライバルが増えるため、より高いレベルの大学や大学院出身者が有利になると考えておいたほうがよいでしょう。

選ばれた一部の人しかトレーダーになれない

多くの金融機関では、新卒入社後は、まず営業などの仕事を経験します。

その後、金融マーケットの知識や営業センスが評価された人がトレーダーに任命されることが多いです。

ただし、トレーダーの仕事は難易度も高く、また向き不向きもあるため、希望してもトレーダーになれない可能性は十分にあります。

トレーダーを志望するのであれば、入社後にも普段から金融マーケットの動きを注意深くチェックし、世界中のニュースや企業の動向なども主体的に勉強し続ける姿勢が求められます。

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トレーダーの学校・学費

大学進学は実質的に必須条件となる

トレーダーになるために、必ず通わなくてはならない学校はありません。

しかし、金融機関では巨額の金額を動かす難しい役割を担うため、高学歴の優秀な人材がトレーダーとして選ばれることが多いです。

トレーダーになるためには大学進学がほぼ絶対条件といえ、大手金融機関を目指すなら難関大学に進学しておくことをおすすめします。

学部・学科に制約はありませんが、トレーダーとして選出されるのは経済学部や理系学部出身者が多いとされています。

トレーダーになった後は、経済の知識が必要になりますし、数字を分析する仕事に深く携わっていくため、それらに関する土台を大学在学中に培っておけば、就職後も生きてくるでしょう。

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トレーダーの資格・試験の難易度

業務に関連する専門的な資格がある

トレーダーになるうえでの必須の資格は存在しませんが、トレーディング業務に関連する資格はいくつかあります。

最も代表的といえるのが「証券外務員」です。

この資格は、トレーダーとして有価証券の売買をするためには必須となっており、通常は金融機関への入社決定後に取得を目指します。

難易度が易しいほうから「2種」と「1種」があり、2種は現物の有価証券売買ができる免許、1種は現物に加えて、先物・オプション等の有価証券関連取引のすべてについて取引ができるものとなっています。

トレーダー職に就く場合でも、証券外務員1種は取得することがほとんどです。

もうひとつ「証券アナリスト」もトレーダーに関連する資格です。

この資格を取得すれば、金融市場(マーケット)で働くうえで、知っておかねばならない知識と経験をもつ専門家であることを証明できます。

トレーダーの給料・年収

金融の専門職として高年収が見込める職業

トレーダーの給料・年収は、その専門性が考慮されて、同じ会社の他職種の社員に比べると、やや高く設定されることが多いです。

大手企業に勤務する場合、トレーダーになった時点で年収1000万円~2000万円を安定して得られるケースが多く、若くても実力によっては高年収が期待できます。

また、外資系金融企業では億単位の年収を稼ぐ人もいます。

トレーダー職に対しては、個人の成果・実績に応じたインセンティブを用意している企業が多いため、能力を存分に発揮できれば、より多くの収入を手にできるチャンスがあります。

個人の実力が強く問われる厳しさもある

トレーダーの仕事は、個人の成果が給料に反映されやすいことが特徴です。

実力がある人はどんどん収入アップを目指せるのに対し、実績が評価されないと給料が上がらないばかりか、トレーダーのポジションから降ろされてしまうこともあります。

よい収入の裏では、常に緊張感を保ち続けなくてはならないという厳しさがある仕事です。

トレーダーとして腕を磨いた人は、よりよい収入や待遇を求めて、別の企業へ自ら転職したり、ヘッドハンティングされたりするケースもあります。

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トレーダーの現状と将来性・今後の見通し

トレーダーの存在感は増す一方

刻々と変化する世界情勢や経済のど真ん中でマーケットの情報を追い、資金を動かすトレーダーの立場は、非常に重要かつ責任あるものといえます。

日本人の投資に対する興味も高まってきていますし、また日本経済が世界からあらためて注目を集めている昨今、海外の機関投資家層も増加しています。

この先は、世界を相手に戦っていけるトレーダーの需要がますます拡大するものと考えられます。

トレーダーは才能や能力を認められた一部の人だけがなれる職業であり、金融機関に入社できたとしても、トレーディング部門への配属は狭き門です。

金融市場に対する専門知識はもちろんのこと、圧倒的な語学力やグローバル感覚を備えていく努力を惜しまない人が、トレーダーとして活躍できるチャンスをつかめるでしょう。

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トレーダーの就職先・活躍の場

銀行や証券会社、投資会社など金融機関に勤務

トレーダーのおもな活躍の場は、トレーディング部門のある銀行や証券会社、投資会社、保険会社などの金融機関です。

新卒者の場合、たいていは入社後に営業などを経験し、能力や適性などが認められてトレーダーへの道を進むことが多くなっています。

なお、証券会社のトレーダーは「セルサイド」、それ以外の資産運用会社などのトレーダーは「バイサイド」と呼ばれ、役割や立場が少し異なります。

なお、トレーダー経験者は転職も活発であり、別の金融機関に何度も移りながらトレーダーを続けていく人も少なくありません。

トレーダーは実力が強く問われる職業であり、能力を発揮した人は高く評価される一方、成果が出なければポジションを外されてしまう可能性もあります。

トレーダーの1日

トレーダーは早朝から行動する

トレーダーの朝は早いことが特徴です。

取引が開始される朝9時ごろまでにマーケットの動向をチェックし、その日の必要になる情報をまとめたり、ファンドマネージャーと大まかな取引方針の打ち合わせをしたりします。

時差のある海外では、日本の深夜帯にも経済情勢が動き続けているため、朝起きてすぐにマーケットの変化や現状を確認することは欠かせません。

取引開始後は、マーケット全体や個別銘柄の値動きなどをリアルタイムでチェックし続けます。

ここでは、証券会社で働くトレーダーの1日を紹介します。

5:00 起床・朝の情報収集
7:00 出勤
8:30 朝礼・ファンドマネージャーと打ち合わせ
9:00 前場取引開始
11:30 昼休憩
12:30 後場取引再開
15:30 伝票整理などの事務作業
17:00 チームでミーティング
18:30 退勤

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トレーダーのやりがい、楽しさ

緊張感のある中で成功した時の達成感

トレーダーは、日々めまぐるしく動き続ける金融市場のど真ん中に立って、経済のダイナミズムを味わうことができます。

普段からマーケットの勉強をする必要があり、情報収集は欠かせませんが、そのぶん取引が成功した時の達成感は大きいです。

また、トレーダーの仕事では損益として数字が目に見えるため、自分の仕事の成果もわかりやすいです。

マーケットは突然大きく変動する可能性がありますが、それをうまく掴めば、大きな利益に繋がる可能性もあります。

上手に取引ができるトレーダーになれば、評価が高まり年収も大きく増やせる可能性があるため、金融業界において、自分の実力で勝負したいと考える人にとってもやりがいを感じやすいでしょう。

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トレーダーのつらいこと、大変なこと

成功できる者だけが生き残れる厳しい世界

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トレーダーに向いている人・適性

メンタルが強く、結果を求めることが好きな人

トレーダーの仕事では勝ち負けが瞬時に数字でわかるため、良くも悪くも自分の実力が数値化されやすいです。

調子のよい日、悪い日、いろいろとありますが、それらに一喜一憂してしまうようでは、とても精神がもちません。

たとえば、自分の予想が外れてマイナスを出しクヨクヨしていたら、判断能力が鈍り、その先もずっと失敗が続く可能性があります。

また、ときに同僚と成績や年収を比べて落ち込むかもしれませんが、うまく気持ちを切り替えて逆転させられるような行動が必要です。

メンタルが強く、それでいて向上心や野心にあふれ、結果を求めることを苦にしないタイプの人に向いている仕事といえます。

数字や英語を読むこと好き

トレーダー業務では、数字を見て判断することが多くなります。

数字をもとに仮設や検証を繰り返していくことが好き・得意な人には向いている仕事です。

また、海外のWebサイトやニュース記事を通して情報を入手する機会も多いです。

近年は海外の機関投資家も増えているため、英語を使っての仲介業務をするためにも、英語が得意だとなおよいでしょう。

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トレーダー志望動機・目指すきっかけ

金融業界と、マーケットの動きを予想することへの興味

マーケットの動きは「生き物のようだ」と例えられますが、実際、世界情勢や個々の会社の決算などのさまざまな事情で変化します。

トレーダーは、そのようなマーケットの動きを常にチェックし、複雑に絡み合う情報から自分で仮説を立てて動きを予想します。

トレーダーを目指す人は、経済学部などで金融を学んだことがきっかけになるケースもありますが、投資経験者がほとんどであり、金融業界特有の動きや流れに興味をもっています。

自分自身で投資の勉強をした結果、予想がよく当たると実感し、マーケットの動きを読むのが楽しいと思うことが志望動機につながるケースも多いです。

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トレーダーの雇用形態・働き方

銀行や証券会社の正社員として働くのが一般的

日系企業の銀行や証券会社などの金融機関で働くトレーダーは、正社員として雇用されることが多いです。

この場合、同じ会社の他職種の社員と同じように、会社の規則に沿って働きます。

大手金融機関は研修も手厚く、トレーダー候補者として何名か集められた若手が研修を受け、適性があると認められればトレーダーとして配属されるケースが一般的です。

一方、適性がないと判断されると、元の営業職などに戻されてしまいます。

外資系金融機関で働くトレーダーもいますが、日系企業よりも実力主義の色が濃いことが特徴です。

雇用形態は契約社員が中心であり、実力が認められなければ即契約解除になる場合もあります。

トレーダーの勤務時間・休日・生活

国内マーケットが動く時間を中心に、早朝から働く人が多い

トレーダーの勤務時間は、一般的な日勤の会社員と大きく変わりませんが、朝は自主的に7時半ごろまでに出社する人が多いようです。

国内市場では朝9時から取引が開始されるため、それまでに社内の「アナリスト」や「ディーラー」たちとマーケット動向を踏まえて、当日の執行方針を決定します。

15時を過ぎ、国内市場の動きが止まると情報収集や残務処理などを行い、効率的に仕事を終わらせて早めに帰宅する人もいます。

ただし、日本が夜の間も海外マーケットは動くため、トレーダーたちは帰宅後も経済ニュースを欠かさず見て、世界の動きをチェックします。

また、為替を取り扱う場合は月~金曜日までは24時間動き続けるため、24時間3交代制で順番に夜勤勤務をすることが多いです。

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トレーダーの求人・就職状況・需要

新卒でいきなりトレーダーに採用されることは少ない

トレーダーの需要は増えていますが、能力や才能を認められた人物しかできない仕事のため、採用は狭き門となっています。

新卒の場合、トレーダー職としての採用はあまりなく、「総合職」として一括採用されるのが通例です。

そのため、まずは銀行や証券会社などの金融機関に入社し、人事面談などでトレーダー職に就きたいというアピールをすることが大切です。

同時に、トレーダー候補に入れるように営業などの実績を上げて社内で目立つ存在になる必要があります。

トレーダーは、能力のある若手社員のなかでも極めて優秀な人材が選ばれやすく、一流国立大学出身者や、最難関レベルの私立大学出身者も大勢います。

非常に厳しい競争に勝っていく覚悟が求められます。

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トレーダーの転職状況・未経験採用

未経験からトレーダーへの転職は難しい

日系企業では、新卒者や未経験者がいきなりトレーダーとして採用されることはめったにありません。

しかし、トレーダー職そのものの需要は拡大しているため、いったんトレーダーとしての実績ができれば、その後は比較的簡単に転職ができます。

前職がトレーダー職以外でも、たとえば他の証券会社で営業成績が優秀だった人が、別の証券会社への転職をきっかけにトレーダーに抜擢されるケースは考えられます。

金融マーケットに関しての圧倒的な経験と知識、そして卓越した折衝力などが評価されれば、別職種からトレーダーになれるチャンスはあります。

トレーダーへの転職に有利なスキル

トレーダーの仕事では、金融マーケットの知識はもちろんですが、法人営業がベースとなるため、法人営業の経験があると有利になります。

また、億単位の大きな金額を何度も動かすことになるため、大きな金額の商材を取り扱っていた実績と責任感があると判断されれば、トレーダーになるチャンスを得やすくなります。

簡単になれる職業ではないため、自らの能力を証明しつつ、熱心に意欲を伝えていく姿勢も必要です。

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セルサイド・バイサイドとは

バイサイドのトレーダーはセルサイドのトレーダーの顧客となる

金融機関のトレーダーには「セルサイド」と「バイサイド」と呼ばれる立場の人がいます。

両者の基本的な役割の違いは、以下の通りです。

セルサイド

銀行や保険会社に所属。最適な執行のタイミングを探り売買を注文する

バイサイド

証券会社に所属。顧客から受けた注文を取引所に注文し市場売買を成立させる

バイサイドのトレーダーは自ら金融市場で銘柄を購入することはできないため、セルサイドのトレーダーに売買を注文します。

またバイサイドのトレーダーは、ファンドを運用する「ファンドマネージャー」とも連携して、最適な値段で金融商品の売買ができるように動きます。

一方、セルサイドのトレーダーは、バイサイドのトレーダーから受けた発注を市場に流します。

さまざまな投資関連情報を不特定多数の投資家に向けて発信するのも、セルサイドのトレーダーです。