手話通訳士になるには? 必要な資格は?
目次
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手話通訳士になるまでの道のり
まずは手話技術の習得を
手話通訳を行うには、まず基本的な手話技術を習得する必要があります。
英語の学習に例えると、英単語や英文法を習得し、英会話をできるようになるまでの実力をつけるということです。
基本的な手話技術を習得した後は手話通訳の訓練をしましょう。
英語の学習でいうところの同時通訳の能力を養うということです。
手話通訳で社会に奉仕するために必要な資格はとくにありませんが、「手話通訳士」を名乗るためには厚生労働省が認定する手話通訳士の資格取得を目指すことになります。
この資格があれば政見放送や裁判等の公的な場で手話通訳を行うことができます。
手話通訳士の資格を持たなくても、「都道府県認定の手話通訳者」の試験に合格すれば多くの現場で手話通訳を行うことができます。
実際、全国で活躍する手話通訳を行う人のほとんどがこの試験の合格者ですし、また「市町村の手話奉仕員」として登録されれば市町村の依頼で手話通訳を行う機会を得られます。
試験を突破しなければ手話通訳士にはなれない
手話通訳士の資格を取得するためには、「手話通訳技能認定試験」に合格し、聴力障害者情報文化センターに登録されることが必要です。
この試験は合格率が10%前後とかなり難関であるため、突破を目指す人のほとんどが教育機関や通信講座で対策をします。
中には独学で合格を目指す人もいますが、手話通訳の技術を得るには実践経験が必要不可欠であるため、完全な個人学習では限界があると考えておきましょう。
就職するには?
現在の日本では、手話通訳のみで活躍している人はほんの一握りといわれています。
手話通訳士はおもに社会福祉法人や社会福祉協議会、市役所などで働いていますが、「手話通訳士」としての求人は非常に少なく、多くの場合は職員として採用され、他の仕事と兼務して手話通訳の技術を生かしています。
ただし、百貨店や商業施設、銀行、民間企業などでも少しずつ手話通訳士の需要が増えているようです。
手話通訳士の資格・難易度
手話通訳士(公的資格)
手話通訳に関連する資格は複数あり、そのうち厚生労働省が認定する公的資格が「手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)」です。
年1回開催される本試験に合格し、手話通訳士としての登録を行うことで、「手話通訳士」と名乗って仕事をすることができるようになります。
手話通訳の仕事をする上で資格取得は必須ではないものの、手話通訳士は手話通訳関連の資格の中では最も難易度が高く、合格すれば確かなスキルを持っていることの証明になるでしょう。
試験は20歳以上で3年程度の手話経験があれば誰でも受験可能ですが、通訳の実技試験はもちろん、学科試験として手話通訳や障害者福祉に関する基礎知識も問われます。
合格率は毎年10%~20%程度と決して高いものではありません。
学校やスクール、もしくは手話団体などで勉強してから臨まないと、合格は難しいといえるでしょう。
手話通訳者
各都道府県では、手話を必要とする聴覚障害者のコミュニケーション支援を図るため「手話通訳者」を設置しています。
所定の養成講座を受講し、全国手話研修センターが実施する「手話通訳者全国統一試験」に合格することで、手話通訳者として登録し活動することができます。(都道府県によっては登録試験があります)
この統一試験では、受験資格として「手話通訳者養成課程修了者」もしくは「手話通訳者養成課程修了者と同等の知識及び技術を有する者」という条件があります。
なお「手話通訳者養成講座」は基本課程(35時間)、応用課程(35時間)、実践課程(20時間)の計90時間で構成されており、各都道府県の福祉センターや聴覚障害者情報センターなどで開講されています。
手話奉仕員
市町村では「手話奉仕員」が設置されています。
市町村が実施する手話奉仕員養成講座(入門課程・基礎課程)を修了することで、手話奉仕員として登録することが可能です。(市町村によっては登録試験があります)
レベル的には手話通訳士、また手話通訳者より簡単なものになりますが、早ければ16歳以上で講座を受けられる市町村もあるため、手話に興味がある人や、将来的に手話通訳者や手話通訳士を目指そうという人が始めに受講するケースもあるようです。
手話技能検定(民間資格)
その他、NPO手話技能検定協会が実施する民間資格「手話技能検定」や、全国手話研修センターが実施する「手話検定」があります。
これらは手話通訳者や手話奉仕員のように所定の養成講座を受ける必要はないため、民間の資格スクールや独学で勉強し、力試しとして受験する人が多いようです。
手話通訳士になるための学校の種類
福祉系の学校で学ぶ
手話通訳の技術そのものだけを学べる学校はあまり数がなく、国家資格である介護福祉士や社会福祉士を目指す中で、手話通訳についても学ぶといったケースが一般的です。
「手話通訳士」専任としての求人は多くないため、手話通訳士の資格を持っていても、それだけで就職できるとは限りません。
また、手話通訳士は障害者と密に接するため、福祉に関する知識や、障害者の生活、考え方をきちんと理解していることが求められます。
そのため、もし将来的に手話通訳士として活躍したいのであれば、福祉系の大学・短大・専門学校で、介護や福祉に関して専門的に学ぶことが一つの有用な方法といえるでしょう。
講師はベテランの手話通訳士であり、個人指導も充分に受けることができる上、同時に他の資格を取得できるところも多いため、卒業後の進路選択もしやすいというメリットがあります。
なお、福祉系の大学や短大は全国に複数ありますが、世田谷福祉専門学校や国立障害者リハビリテーションセンター学院など、「手話通訳学科」を置く専門学校もあります。
民間スクールで学ぶ
民間の資格スクールなどでも、手話通訳の勉強を行うことができます。
レベルはスクールによってまちまちですが、初級から基礎的なことを学ぶことが多く、大半の人は受講後に地域のボランティアとして活動するようです。
自治体の講座で学ぶ
自治体の手話講座
都道府県や市町村では、地域の人々が気軽に習える手話講座を開催しています。
受講後は基本的にボランティアでの活躍になりますが、各自治体が掲げる受講条件を満たしていれば無料で受講できるなど、手話を気軽に勉強したい人にはよいでしょう。
自治体主催の手話通訳者養成講座
「手話通訳士」の資格がなくても手話通訳業務を行うことは可能で、難関である資格取得を目指す人は少数です。
実情としては各自治体が実施する「手話通訳者全国統一試験」に合格し、都道府県の独自審査を通過することで手話通訳をしている人が多いようです。
手話通訳は自治体を通して依頼、派遣をすることがほとんどですので、「都道府県認定の手話通訳者」として登録されていることが条件となっていることが多く、手話通訳者の養成講座は各自治体が行っています。
ただし、受講にあたっては手話の基礎技術が必要とされるため、まったくの初心者では受講できません。
通信講座で学ぶ
手話通訳士資格取得のための通信講座を利用するのも一つの方法です。
時間を有効に使えるため、主婦や仕事を持っている人にもチャレンジしやすい学習方法であるといえます。
近年ではDVDなどの映像教材も豊富であるため、自宅にいながら、臨場感のある学習が安価でできるというメリットもあります。
ただし手話通訳の技術は実践を通して初めて向上するものであるため、手話サークル等に参加して現場経験を積むことが必要になってくることを理解しておきましょう。
手話通訳士に向いている人
手話通訳士にとって大切なことは、人とコミュニケーションをとることが好きであることです。
手話通訳をする際には、聴覚障害者はもちろん、健聴者でもさまざまな年代の人とやり取りをします。
さまざまな人とのコミュニケーションを楽しみ、手話や会話を通じて話すことが好きであれば、この仕事を続けるのは苦ではないでしょう。
手話通訳士のキャリアプラン・キャリアパス
手話通訳士を目指す場合、まずは手話ボランティアなどとして働き、手話のスキルを高めていくことが大切です。
手話を習ったからといって、すぐに通訳ができるわけではありません。
聴覚障害者としっかりコミュニケーションがとれること、また通訳をするためにはまた別の技術が必要であることから、まずは経験を積むことが大切です。
ある程度経験を積んで、通訳に自信がついたところで手話通訳士の資格をとったり、手話通訳者として登録したりして本格的に働き始める人が多いようです。
手話通訳士を目指せる年齢は?
手話通訳になるために、年齢制限はありません。
経験を積み手話のスキルが高い人の方が重宝されることもあるため、年齢を重ねても働き続けることができます。
独学で手話通訳士になれる?
手話通訳士の試験は超難関
手話通訳士の試験は満20歳以上であれば誰でも受験することができますが、その合格率は10%前後と非常に低く、手話通訳士になるのは極めて難関であるといわれています。
したがって、生半可な気持ちでは合格することはかなり難しいといえるでしょう。
ただし、手話通訳士を目指すに当たって、独学によって手話を学んだという人も少なくありません。
手話は語学であるため、実践的に使わなくては身につかないという側面が非常に強く、独学で基礎を習得した後、手話サークルや自治体の講座等に参加し、技術を向上させる人がほとんどです。
習得は独学でも、その後、実践経験を積まなければ上達は望めないといえます。
通訳技術は独学では習得不可能
「手話で会話すること」と「手話で通訳すること」は似ているようでまったく異なり、手話通訳士はただ手話でコミュニケーションがとれるというレベルでは務まらないのです。
手話通訳士は話し手と聞き手の間に入り、コミュニケーションを円滑にする役割を担います。
この技術を独学で習得することは難しく、講座や学校等でしっかりと学んだほうがよいと考えたほうがよいでしょう。
個人で努力できることもある
手話通訳技術の習得と向上には実践経験が必要不可欠ですが、手話通訳士を目指すにあたり、個人で努力できることはたくさんあります。
手話に限らず、通訳をするためには語彙力や表現力を高める必要があります。
そのためには、日頃から多くの書物にあたって知識を増やしたり、時事問題を素早く理解したりするなどの努力を欠かすことはできません。
これは個人の学習で十分対応できますし、福祉に関する知識も独学で習得可能です。
個人学習と実践学習、バランスよく取り組むことが難関試験合格への近道であるといえます。