司法書士の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

司法書士は、法律の専門家として人や企業などから依頼を受け、法律上の手続きを代行する仕事をしています。

最も代表的な仕事は、土地や建物に関する所有権などの権利関係を登録する「不動産登記」と、企業に関する代表者などの情報を登録する「商業登記」です。

この記事では、司法書士の仕事内容や役割についてわかりやすく解説します。

司法書士の仕事とは

司法書士は、個人や企業などから依頼を受けて、法的に効力のある書類を作成したり、法律上の手続きを代行する仕事です。

司法書士は国家資格であり、業務を行うためには、法務省が管轄する司法書士資格を取得する必要があります。

司法書士の最も代表的な仕事は、土地や建物に関する所有権などの権利関係を登録する「不動産登記」と、企業に関する代表者などの情報を登録する「商業登記」です。

そのほかにも、以下のような法律が関係するさまざまな事柄について広く業務を請け負っており、必要書類を作成したり、相談に応じたりします。

  • 企業法務
  • 相続
  • 遺言
  • 債務整理
  • 協議離婚
  • 成年後見人
  • 帰化申請

また、所定の研修を受けて「認定司法書士」になると、簡易裁判所において審理される少額の訴訟事件については、弁護士と同じように依頼者の代理人として法廷で争うことも可能です。

「書士」とは、文書作成を専門的に行う職業名を表す言葉であり、かつての司法書士は事務手続きが主な仕事でしたが、近年はそれだけに留まらず業務内容は多様化かつ複雑化しているといえます。

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司法書士の業務の内容

ここからは、司法書士の詳しい業務内容を、3種類に分けて紹介します。

業務1.登記業務

法務局に対する登記申請業務は、司法書士だけが行うことを許された「独占業務」にあたります。

登記業務には、以下のようなものがあります。

  • 所有権移転登記
  • 法人登記
  • 債権譲渡登記
  • 不動産登記
  • 筆界特定登記
  • 土地や建物を売買する際は、その所有権が売主から買主に移ったことを公的に証明するため、法務局に対して「所有権移転登記」を申請する必要があります。

    同じように、会社を創設する際には「法人登記」が必要であり、所在地や役員、事業目的、資本金など、企業の重要事項に変更が生じるたび、その内容を登記に反映させる手続きを行わなくてはなりません。

    このほかにも、債権譲渡登記や不動産登記、筆界特定登記など、権利関係を明確にするための登記業務は多数あります。

    業務2.書類作成業務

    法務局や裁判所に提出する法的書類は、高度な専門知識を必要とする複雑な内容のものが多いです。

    そのため、それらの作成や提出手続きについて、司法書士は依頼者から代行することが一般的です。

    司法書士が手掛ける書類としては、以下のようなものがあります。

  • 遺言書などの相続関係書類
  • 離婚協議書
  • 内容証明書
  • 公的な性格の強いものが大半ですが、民間取引における契約書などを作成するケースもあります。

    役所などに提出する書類については、行政書士業務と一部重複しているものもあり、司法書士のなかには、行政書士とのダブルライセンスで働いている人もいます。

    業務3.訴訟代理業務

    平成14年の司法書士法改正によって、目的価額140万円以下の案件については、依頼者の代理人となって相手方と調停交渉したり、訴訟を起こすといった裁判手続きを行うことが司法書士でも可能になりました。

    現在では多くの司法書士事務所が、弁護士の経営する法律事務所と同様、消費者金融などに対する過払い金請求手続きを行っており、今後も少額訴訟における司法書士の弁護活動はより積極化していく見通しです。

    なお、これらの業務を行うためには、司法書士資格に加えて、「特別研修」と呼ばれる研修を受講し、法務大臣が実施する「簡易訴訟代理等能力認定考査」を受けて合格することが必要です。

    司法書士の役割

    ここからは、司法書士がどのような役割を持つ職業なのか、社会的役割と法律家としての役割の2つの角度から説明します。

    社会的役割

    司法書士の社会的な役割としては、適正な登記業務を行うことで、人々の財産を守ることが挙げられます。

    土地や建物といった重要な価値のある不動産は、法務局に所有権を登記することではじめて、公的にその所有者であることを証明できます。

    司法書士は、所有権や抵当権・借地権・地上権など、複雑な利害や多数の関係者が絡むこともある権利関係を明確にすることで、無用なトラブルを避け社会秩序の安定に貢献しているといえるでしょう。

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    司法書士の法律家としての役割

    近年では、増え続ける訴訟や民事事件に対応するための、法律家としての役割も大きくなっています。

    資格取得のための試験勉強や実務経験を通して、司法書士は、特定の分野については弁護士に匹敵する法律知識を備えています。

    国家としては、その専門スキルを司法制度にも役立ててほしいという意向があるため、今後は司法書士法が改正されるにつれ、司法書士の働き方はより弁護士に近似していくものと予測されています。

    司法書士の勤務先・有名な企業

    大半の司法書士は、司法書士事務所で勤務するか、自身で司法書士事務所を開業するかのどちらかのパターンで働いています。

    ただ、一般企業の法務部などに所属し、会社員として司法書士資格を生かしながら働いたり、あるいは弁護士事務所など別の士業事務所で働く人もいるといわれています。

    なお、司法書士事務所は、数名単位のスタッフで運営している小規模なところが多く、資格保有者は代表者1名だけというケースも珍しくありませんのでほかの業界のように有名企業と呼べる組織は多くありません。

    しかし、なかには、40名を超える司法書士が在籍し、全国に事業展開している「A.I.グローバル」や、行政書士法人と協同で運営している「コスモグループ」など、大手と呼べる司法書士法人も存在します。

    司法書士の仕事の流れ

    ここでは、司法書士がひとつの仕事をどのように進めていくのか、大まかな流れを説明します。

    1. 1.依頼受付

      司法書士の仕事は、法律関係の手続きが必要になる事柄について、依頼者の相談を受けるところからスタートします。

      依頼者と面談して事実関係や意向などをヒアリングし、問題解決のための最適な方法をアドバイスするとともに、手続きに必要な書類を案内したり、費用の見積もりなどを提示します。

    2. 2.書類作成

      依頼者から正式に業務を受け付けると、必要な事務書類を作成したり、役所や裁判所などをまわって公的な証明書類を集めたり、債務整理の場合は金利を計算したりします。
    3. 3.申請代行・手続き等

      書類がすべて揃ったら、不動産登記や商業登記の場合は法務局に出向いて申請を行います。

      また、訴訟関係の場合は裁判所で手続きを行ったり、相続関係の場合は当事者を集めて公正証書を作成したりします。

    4. 4.完了報告

      申請書類が問題なく受理されると、後日登記完了書類や事務処理が終了した書類などを依頼者に手交し、その対価として報酬を受け取って、一連の業務は完了します。

    司法書士と関連した職業

    ここでは、司法書士と関連した職業として、行政書士、弁護士、税理士の3つをピックアップして紹介します。

    行政書士

    行政書士は、司法書士と同じく、法的な書類作成を専門に手掛ける「士業」の一種です。

    司法書士が裁判所や法務局宛の書類を作成するのに対し、行政書士は役所など行政庁に提出する書類の作成を行うという違いがあります。
    行政書士の仕事

    弁護士

    弁護士は、民事事件や刑事事件に関する当事者の代理人を務め、和解交渉を行ったり、裁判で争ったりする職業です。

    司法書士制度改革に伴って、簡易訴訟など弁護士業務の一部は司法書士でも行えるようになっています。

    弁護士の仕事

    税理士

    税理士は、個人や法人からの依頼を受けて、税務に関する事務を代行したり、税務相談に応じる専門職です。

    相続に関する手続きなど、一部業務は司法書士と深い関係があり、相続登記は司法書士、相続税の計算は税理士といったように保有資格によって役割分担がなされています。

    税理士の仕事

    「司法書士の仕事内容」まとめ

    司法書士の仕事内容は、個人や企業などから依頼を受けて、法的に効力のある書類を作成したり、法律上の手続きを代行することです。

    法務局に対する登記申請業務は、司法書士だけが行うことを許された「独占業務」といわれるもので、司法書士資格の価値を保証するものでもあります。

    司法書士の仕事内容は、所有権や抵当権など、複雑な利害や多数の関係者が絡むこともある権利関係を明確にすることで、無用なトラブルを避け社会秩序の安定に貢献しているといえるでしょう。

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