裁判所事務官の需要・現状と将来性
裁判所事務官の現状
現在の社会において裁判は欠かせないものであり、今後も裁判所事務官が果たす役割の重要性は変わらないといえるでしょう。
しかし、裁判所事務官の細かな業務内容に目を向けると、仕事内容は少しずつ変わってきているとも考えられます。
なぜなら、裁判員制度の導入やロースクールの設立による弁護士増加の懸念、司法のあり方を問うマスコミの報道など、裁判をめぐる環境は変化し続けているからです。
また、職場によっては効率化を推進するケースも増えてきています。
公務員といっても、今後は民間企業と同様に「効率的な仕事の進め方」が求められる場面は増えていくと考えられるでしょう。
裁判所事務官の需要
基本的には裁判所が増設されることはないため、裁判所事務官の席数は半ば固定化されているといえます。
そのため、全体の求人数は決して多いとはいえませんが、一方で裁判所事務官は国家公務員ならではの「安定職」というイメージが強く人気の高い職業です。
以上のことから、裁判所事務官の採用試験の倍率は高い傾向が続いています。
毎年の募集要綱については各裁判所のホームページで確認することができますので、一度チェックしてみるとよいでしょう。
各裁判所における説明会やインターンシップの情報なども記載されていることがあり、それらに参加して裁判所事務官の仕事の理解を深めることも、試験を突破するためには重要です。
裁判所事務官の将来性
近年では裁判の内容も多様化を見せており、裁判の様子がテレビで流れることも増えてきています。
これにより、今までは多くの人にとって遠い存在であった裁判が、より身近になってきているとも考えられるでしょう。
裁判所事務官は「裁判所の広報活動」という重要な役割も担っている仕事です。
裁判がこれまでよりも身近になっている現代だからこそ、適切なマスコミ対応や、裁判の存在意義をわかりやすく人々に伝達していくことが求められているのです。
そのため、法律に関する専門的な知識はもちろんですが、今後は「高いコミュニケーションスキル」を持つ裁判所事務官が重宝される可能性が高いといえるでしょう。
裁判所事務官の今後の活躍の場
裁判所事務官で経験を積むことにより、「裁判所書記官」にキャリアアップすることができます。
裁判所書記官とは、「法律の専門家」として調書の作成や訴訟の進行管理、記録などをおこなう仕事であり、訴訟費用の確定や支払督促などの固有の権限も持っています。
このように高度かつ特殊な職務であることから、月給には調整額が加算されるなど、裁判所事務官よりも高待遇です。
裁判所書記官になるには、一定期間の勤務の後に「裁判所職員総合研修所入所試験」に合格し、合格後は1〜2年の研修が必要となります。
また、裁判所事務官の業務を10年以上経験することで、「司法書士」の資格を国家試験免除で取得できる可能性があります。
司法書士試験の合格率は「約3%」と、非常に難関な資格試験です。
司法書士の資格取得後は裁判所事務官での勤務で得た人脈を活かし、自ら事務所を立ち上げて独立するケースも考えられるでしょう。