パイロット訓練生とは? 機長になるまでのキャリアパス
航空会社の「自社養成パイロット」として採用された場合、自社で訓練を受けることからスタートします。
「自社養成パイロット」は、入社時点ではパイロットのライセンスはなく、航空業界に関してなんの専門知識も技能も持ち合わせていないのが普通です。
まずは「パイロット訓練生」として地上勤務をしながら会社の仕組みや各部門の仕事の流れなどを学びます。
この記事では、パイロット訓練生とは? 機長になるまでのキャリアパスについて解説します。
地上勤務からスタート
まず、航空会社の「自社養成パイロット」として採用された場合、その名の通り自社でパイロットとして養成するための訓練を受けることからスタートします。
「自社養成パイロット」は、パイロットとしての適性がある人間を採用していることは間違いありませんが、入社時点ではパイロットのライセンスを持っていませんし、航空業界に関してなんの専門知識も技能も持ち合わせていないのが普通です。
そのためまずは「パイロット訓練生」として地上勤務をしながら会社の仕組みや各部門の仕事の流れなどを学ぶことになります。
パイロットとして採用されたにもかかわらず地上勤務をするということに疑問を抱く人もいるかもしれませんが、将来、副操縦士や機長になればさまざまな部門の人たちと協力して働くことになります。
そのために、営業部門や整備部門など、一見パイロットとは関係なさそうに思える場所で働いてみることは非常に大切なことなのです。
大手航空会社のANAの場合、この地上勤務の期間は約1年〜2年程度で、まず航空業界で働く者としての心構えや幅広い知識を身につける時期といえるでしょう。
20代で正社員への就職・転職
副操縦士を目指す
地上勤務の期間が終われば、いよいよ訓練士として、副操縦士を目指すための本格的な訓練が始まります。
副操縦士というのは機長の補佐的な役割を果たす操縦士のことです。
航空法上で2人の操縦士が乗務することが義務付けられている航空機においては、機長と副操縦士が1名ずつ乗務しています。
私たちが一般的に乗る大型の旅客機などもそれに当たり、
- 操縦に関する最終的な指示や判断=機長
- 機長の補佐や航空管制官との通信をしたり操縦を行う=副操縦士
ただし、副操縦士だけの乗務で操縦することは認められていません。
副操縦士になるには最低でも「事業用操縦士」の資格が必要となり、平均で5年ほどかかります。
副操縦士から機長へ
訓練の内容
副操縦士になるための訓練では、操縦技術はもちろんですが、
- 機器の故障
- エンジントラブル時の対応方法
- 飛行に影響があるような突然の気象変化があったときにどう判断するか
など、幅広い知識と深い思考力と判断力を身につけることになります。
まずは学科の勉強からスタートし、米国での実機訓練を経て事業用操縦士技能証明取得を目指します。
さらに計器飛行証明や陸上多発限定取得といった基礎訓練と副操縦士昇格訓練を経て、社内の審査に合格すれば、ようやく副操縦士になれるのです。
機長を目指して
副操縦士になった後は、経験や訓練を重ねていきながら、いよいよ機長になるために必要な資格「定期運送用操縦士免許」の取得を目指します。
副操縦士として合計10年間ほど経験と訓練を積み、航空局の機長昇格試験(実技審査)に合格すれば機長になれます。
訓練の間にも実技の審査が行われるなど、その道のりは大変険しいものです。
パイロットとしての訓練を開始してからは平均で15年ほどで、40歳前後で機長になるのが一般的といわれていますが、なかには30代のうちに機長になる人もいます。
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パイロット訓練生とは? のまとめ
航空会社の「自社養成パイロット」として採用された場合、その名の通り自社でパイロットとして養成するための訓練を受けることからスタートします。
大手航空会社の場合、地上勤務が1年〜2年程度あり、地上勤務が終わると、副操縦士を目指すための訓練が始まります。
「事業用操縦士」の資格を必要とし、なるためには5年ほどかかります。
副操縦士になるための訓練は、操縦技術はもちろん、機器の故障やエンジントラブル時の対応方法など、幅広い知識と深い思考力と判断力を身につけることになります。
副操縦士になった後は、機長になるために必要な資格「定期運送用操縦士免許」の取得を目指し、10年間ほど経験と訓練を積み、航空局の機長昇格試験に合格すれば機長になれます。