パイロットの勤務形態と休みのスケジュールは? フライトのシフトについて解説
また、同じパイロットでも、国内線と国際線では勤務時間や休日に違いはあるのでしょうか。
この記事では、パイロットの勤務時間や休日について詳しく解説し、勤務体系の違いに焦点を当てながら、パイロットの生活スタイルについても触れています。
パイロットの勤務体系は職場ごとに異なる
パイロットの勤務先は多岐にわたります。
航空会社の場合、大手航空会社から格安航空会社までさまざまな勤務先があり、フライトの時間帯や長さは、各社が就航している便によって異なります。
個々のパイロットで見ると、国内線と国際線のどちらを担当するかによって、勤務スケジュールは大きく異なることがあります。
また、パイロットの勤務先としては航空会社以外にもあります。
- 警察や消防、海上保安庁、自衛隊(航空・陸上)などの官公庁
- 民間の航空機使用事業会社(ジェネラルアビエーション)
官公庁で働く場合、パイロットは「公務員」として各組織に採用され、公のための仕事をします。
もう一方の航空機使用事業会社とは、遊覧飛行、チャーター飛行、物資輸送、測量飛行、報道取材、農薬散布などのために軽飛行機やヘリコプターなどの小型機を運航する民間企業のことを指しています。
職場ごとに勤務時間や休日は異なりますが、一般的にシフト制が採用されており、パイロットはシフトに従って勤務します。
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パイロットの勤務時間は不規則になることも
国内線パイロットの場合
国内線パイロットの勤務時間は、一般的に朝6時ごろから夜22時ごろまでの間にフライトがあります。
国内線では、1日に2~4便ほどのフライトを担当するパターンが一般的で、1日の勤務時間は通常6〜10時間程度です。
朝一番のフライトを担当する場合、早朝4時頃に起床して空港へ向かう必要がありますが、その代わりにお昼過ぎには仕事が終わることもあります。
一方、午後から夜まで勤務することもあるなど、シフトの状況によってスケジュールは変わります。
国際線に比べれば働き方は安定していますが、担当フライトによっては数日家に帰れないこともあります。
国際線パイロットの場合
パイロットがとくに不規則な生活になりやすいのは国際線を担当する場合です。
国際線のパイロットは基本的に、キャビンアテンダントを含めたグループで行動します。
国際線では、乗務開始から次の休みまでを一つのまとまりとして「ペアリング」や「パターン」と呼び、月に5〜6つのパターンをこなしていきます。
各パターンはフライト時間や休憩時間、出勤日数などが異なるため、パイロットはそれぞれのパターンに従って業務を遂行します。
国際線では深夜に出発する便もあり、そのようなフライトを担当する日には、日本時間で夜中の間ずっと仕事をすることになります。
ヨーロッパやアメリカへのフライトでは、1日10時間以上の飛行時間がかかることもありますが、この場合は交代要員が乗務しているため、休憩や仮眠をとることができます。
そのほか、体調不良などで休みのパイロットが出た場合に備え、地上でスタンバイする日もあります。
国内線パイロットは一般的に規則正しい生活リズムを保ちやすい傾向がありますが、国際線パイロットはフライトスケジュールの不規則さや時差などの影響により、生活リズムの調整が必要です。
パイロットの休日・休暇
パイロットの休日や休暇について紹介します。
パイロットは不規則な勤務スタイルになることも多いですが、心身の疲れを取るために、休みはきちんと確保されています。
通常の休日は月に10日ほどある
パイロットの休日は月に約10日程度です。
勤務日であっても、朝早くに終わることや夕方からの出勤といった柔軟なシフトが組まれることが多く、比較的自由な時間を確保しやすいです。
とはいえ、フライトには万全の状態で臨む必要があるため、パイロットは自己管理に徹底的に取り組む必要があります。
フライト後には適切な休息や睡眠を取り、疲れを十分に回復させることが重要です。
とくに国際線の長時間フライトでは、時差や長時間の座りっぱなしの影響で疲労が溜まるため、しっかりと休息をとり、時差ボケの回復にも努める必要があります。
なお、航空業界は年中無休であるため、休みを必ず土日にとることはできません。
とくに航空会社で働くパイロットは、ゴールデンウィークやお盆、年末年始などの長期休暇が世間の繁忙期となるため、このような時期は出勤する確率が高くなります。
パイロットのスケジュールはおおよそ前月の終わりごろに発表され、それを確認することで自身の休みの日程を把握できます。
国際線で長距離フライトを終えた後は、身体の調子を整えるために約3日程度の連休が設けられることがあります。
パイロットの仕事は精神的・体力的にベストの状態で行う必要があるため、休日だけでなく、1日の乗務時間や休憩時間も厳密に定められています。
休息を十分に取りながら、安全かつ効率的なフライトを遂行することができます。
有給休暇は取得しやすい
パイロットは、繁忙期を除けば有給休暇を比較的取りやすい仕事といえます。
パイロットとしてきちんと訓練を積んでいる人であれば、安全に運航するための操縦技術はきちんと持っています。
そのため、休みを取りたいパイロットの代わりに、他のパイロットが業務を担当できることが多いのです。
ただし、繁忙期はより多くの人手が必要になることから有給休暇を取りづらいため、ゴールデンウィーク後などの閑散期に長期休暇を取ることが多くなっています。
パイロット訓練生は土日が休み
パイロットになる前の訓練生の勤務時間は、通常は1日8時間、週40時間が基準です。
訓練生は地上勤務などを行いながら、将来のパイロットとしてのスキルや知識を磨いていきます。
日勤をする部門に所属する場合、一般的には朝9時から午後6時までの勤務が行われます。
また、通常の休日は土曜日・日曜日・祝日で、きちんと休むことができます。
ただし、訓練内容や状況によって勤務時間や休日が変動することもあり、訓練の進捗やフライトスケジュール、天候によって突然調整されることがあります。
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パイロットの残業状況
パイロットはその業務の特殊性から、健康と安全が最優先されるため、通常の労働管理は厳しく行われています。
基本的にはフライト時間が変更されない限り、残業は発生しません。
ただし、フライトには気象条件や自然災害の影響を受けることがあります。
たとえば、風や雷などの気象条件が悪化した場合や、台風や地震などの災害が発生した場合には、乗客の安全確保のためにフライトの運休や遅延が発生する可能性が大きいです。
このような状況では、パイロットも状況によっては残業をすることがあります。
パイロットは激務?
パイロットの仕事は、人命を預かるという大きな責任を背負っているため、常に緊張感やプレッシャーがつきまといます。
フライト中は、雨や風などの気象条件、滑走路の状況、機内でのトラブルなど、さまざまな要素を常に把握する必要があります。
業務中、パイロットはあらゆる神経を使っています。
このような背景から、パイロットの仕事は相当にハードなものといえるでしょう。
だからこそ、身体的にも精神的にもしっかり回復するために、十分な休息時間が確保されています。
パイロットの労務管理は徹底されており、休暇や休日、乗務時間の制限など、さまざまなルールも設けられています。
これにより、パイロットは十分な休息を取りながら、安全かつ効率的なフライトを遂行することができるのです。
パイロットの休日の過ごし方
前述のように、パイロットはプレッシャーやストレスが溜まりがちな職業です。
とくに大型旅客機の機長のような立場になれば、多くの人命を預かる責任が重く、常に緊張感を持ちながら仕事に取り組む必要があります。
このようなプレッシャーやストレスから解放されるために、パイロットたちは休日を活用して自身の趣味やスポーツを楽しんだり、家族との時間を過ごしたりしてリフレッシュすることが多いです。
オンとオフの切り替えが上手なパイロットほど、長期にわたって現場で活躍し続けることができます。
適切な休息とリフレッシュは、パイロットの心身の健康と仕事のパフォーマンスに直結するため、重要な要素といえるでしょう。
「パイロットの勤務時間・休日」まとめ
航空会社のパイロットの勤務体系は国内線と国際線で異なりますが、月に約10日ほどの休日を取ることができます。
航空機は曜日関係なく運航するため、パイロットの休日は土日祝日になるとは限りませんが、普段の残業はほぼありません。
パイロットの仕事には緊張感やプレッシャーがあるぶん、オフの時間は趣味や家族との時間でリフレッシュすることが重要です。