ミュージシャンの年収・収入はいくら? サポートミュージシャンやスタジオミュージシャンについても紹介
これは主に売上に連動する要素が収入の大半を占めるためです。
一方で、新人アーティストであっても実績や人気が出れば評価が高まり、収入が増える可能性があります。
ここではミュージシャンの年収について詳しく紹介します。
ミュージシャンの平均年収・給料の統計データ
ミュージシャンの活動は多岐にわたり、その形態やスタイルは多様です。
どのように仕事をしていくかにより、収入源も変わってきます。
ミュージシャンの種類・活動形態別の収入
アーティスト(歌手やバンド)
ソロの歌手やバンド形態で活躍するアーティストは、CDや音楽配信で楽曲を発表し、ライブツアーやコンサートを行います。
音楽の売上やライブ活動によるギャラ、商品販売などが主要な収入源となります。
スタジオミュージシャン
スタジオミュージシャンは、楽器の高い演奏技術を発揮し、主にレコーディングスタジオで他アーティストの楽曲の演奏や録音に参加します。
スタジオセッションのギャラや、楽曲の使用料が主な収入源となります。
サポートミュージシャン
サポートミュージシャンは、アーティスト(歌手など)のライブに同行し、演奏をサポートします。
ライブやツアーへの参加に伴うギャラが主な収入源となります。
ステージ専属ミュージシャン
ステージ専属ミュージシャンとは、定期的に特定のステージで演奏を行うタイプのミュージシャンです(例: ライブハウスのレギュラーバンドなど)。
ステージでの演奏料や、来場者からの支援が収入源となります。
作曲家・編曲家・サウンドクリエイター
作曲家・編曲家・サウンドクリエイターは、音楽制作、楽曲の作曲やアレンジ、サウンドエンジニアリングなどを行います。
作曲や編曲の仕事における制作料、印税が主な収入源となります。
ミュージシャンの平均年収・月収・ボーナス
ミュージシャンの活動形態は一人ひとり異なることから年収の平均値を出すことは非常に難しく、公的な統計データはありません。
ミュージシャンの年収は、その活動の形態や人気度、売上の大きさによってかなり異なるといえます。
成功すれば高収入を得ることができますが、音楽業界は競争が激しく、成功するまでには時間も努力もかかります。
また、ある程度の運のようなものも必要で、年収が数千万円、数億円に達する人もいれば、音楽活動での収入は年間100万円に満たない人もいます。
とくにフリーで音楽活動をしている場合は収入が安定せず、音楽教室の講師やそのほかのアルバイトなどをしながら生計を立てていることが多いです。
以下は、ミュージシャンが収入を得る主な方法です。
音楽販売
アーティストが制作した楽曲やアルバムの販売収入があります。
これにはCDやデジタル音楽のダウンロード、ストリーミングサービスからの収入が含まれます。
ライブ活動
ライブコンサートやイベントでの出演料もあります。
成功したアーティストは、ライブ活動が主要な収入源となることがあります。
著作権収入
楽曲の著作権がある場合、その楽曲が使用されるたびに著作権使用料が支払われます。
たとえば、テレビCMや映画、アーティストへの楽曲提供などが含まれます。
スポンサーシップや広告収入
有名なアーティストは、企業と提携して商品やブランドを宣伝することでスポンサーシップや広告収入を得ることがあります。
音楽教室やプロデュース
ミュージシャンによっては、自身の演奏活動のほか、音楽教室で教えたり、他のアーティストをプロデュースしたりすることで収入を得るケースがあります。
ストリーミング収入
SpotifyやApple Musicなどの音楽ストリーミングサービスからの収入もあります。
この収入は再生回数によって変動します。
マーチャンダイジング
アーティストのロゴやグッズの販売による収入も考えられます。
ミュージシャンの手取りの平均月収・年収・ボーナスは
ミュージシャンの手取りの月収は、売れ具合によって数百万円になる場合もあれば、少ない人だと数万円程度になる場合もあります。
楽曲やアルバムの売れ行きが大きな影響を与えるほか、近年ではサブスクリプションが普及しており、それにはミュージシャン自身や楽曲がどれだけ支持を受けているかが影響します。
ライブコンサートやツアーでの収入もありますが、ライブ活動ができない期間は収入が減少します。
とくにインディーズでの活動や自主制作の場合、収入が不安定であり、成功までには時間がかかることがあります。
安定した生計を立てるためには、多くの場合、さまざまな収入源を組み合わせる必要があります。
ミュージシャンの初任給はどれくらい?
プロダクションとマネジメント契約を結んでいるミュージシャンは、プロダクションから固定給が支払われるケースもあります。
アーティストの場合、プロダクションの規模や契約内容により異なりますが、おおよそ10万円~20万円が相場です。
ただ、初期の段階ではアーティストの売り出しやプロモーションにかかる経費が多く、高額な給与を得るのは難しい状況があります。
スタジオミュージシャンはセッションごとにギャラが発生し、プロの演奏家としてのスキルや需要によって変動し、新人であれば1時間につき7,000円~8,000円程度が相場といわれています。
ライブサポートミュージシャンでは、ライブのサポート1日につき2万円~3万円程度が相場です。
ライブの規模やアーティストの知名度によって変動します。
ただ、これらの金額は一般的な相場であり、実際の契約や交渉においては個別の条件が影響します。
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ミュージシャンの福利厚生の特徴は?
ミュージシャンは基本的に個人事業主であり、とくにフリーで活動している場合は福利厚生がありません。
収入管理や税金の処理、健康管理などはミュージシャン自身が責任を持って行います。
プロダクションに所属している場合、アーティストがスタッフと同等の福利厚生を受けるケースがあります。
大手プロダクションでは、寮や社宅の提供、休暇制度、健康診断、保険加入などが用意されていることがあります。
プロダクションの規模や方針によりますが、所属アーティストにとっては安定感やサポートが期待できる一方で、プロダクションに対する所属契約料や一定の収益の還元が求められることもあります。
ミュージシャンの福利厚生に関しては、業界や個々の事情により異なるため、具体的な契約内容や取り決めを確認することが重要です。
ミュージシャンの給料・年収の特徴
ここからは、ミュージシャンの収入がどのように決まるのか、その仕組みや特徴を詳しく説明します。
ミュージシャンの収入の仕組み
プロ(メジャーレーベル)のミュージシャンは、「レコード会社(レーベル)」「プロダクション(事務所)」「音楽出版社」の3つと契約を行い、それぞれとお金のやりとりが発生します。
レコード会社(レーベル)
ミュージシャンは楽曲の録音権を提供し、アーティスト印税と呼ばれる収入を得ます。
アーティスト印税は通常、CDの販売枚数に応じて1〜3%程度です。
プロダクション(事務所)
プロダクションはミュージシャンのスケジュールを管理し、活動のサポートを提供します。
ミュージシャンはプロダクションに対して、全収入の20〜30%程度の管理手数料を支払う契約が一般的です。
初期の段階では、プロダクションに全収入が入り、固定給をもらう形態も存在します。
音楽出版社
音楽出版社は、楽曲とその著作権を管理する会社です。
レコード会社が著作権を所有できないため、楽曲使用に際して音楽出版社に著作権使用料が支払われ、その後、ミュージシャンに支払われる金額が決まります。
プロのミュージシャンにとって、これらの契約や収入の仕組みを理解し、バランスを取ることが非常に重要です。
収入は不安定になりやすい
ミュージシャンの収入の大きな特徴は、不安定であることです。
ミュージシャンの収入は成功に大きく左右され、CDのヒットやライブの成功などが直接的な影響を与えます。
これにより、一瞬で大きな収入を得ることもあれば、一時的な不振で収入が激減することもあります。
また音楽業界は才能ある新人が絶えず登場し、成功しても競争が激しいため、長期にわたり生き残ることが難しいとされています。
業界のトレンドや人気が急激に変動することもあり、アーティストは常に新しいアプローチやスタイルを求められます。
さらに、メジャーデビューを果たしているアーティストであっても、不安定な収入に備えてアルバイトや別の仕事をしているケースが見られます。
とくに若手や新進気鋭のアーティストは、生計を立てるために複数の仕事を組み合わせることが一般的です。
なおスタジオミュージシャンやサウンドクリエイターも仕事がある時はまとまった収入が得られますが、仕事がない期間が続くと無収入となる可能性があります。
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【参考】世界のミュージシャン収入ランキング
参考までに、世界のミュージシャンの収入状況をみてみましょう。
フォーブスが発表する世界で最も稼いだアーティストベスト10の2022年版によると、以下のようになっています。
1位は、イギリスのロックバンド、ジェネシスです。
ツアーのほか、過去の楽曲のロイヤリティ収入などで、2022年の1年間で2億3000万ドル(約310億円)の収入です。
2位となったのは、イギリスのミュージシャン、スティングです。
2021年に全楽曲の音楽著作権をユニバーサルに3億ドル(約404億円)で売却したことで、2022年だけで2億1000万ドル(約283億円)の収入となりました。
大多数のミュージシャンは収入が不安定で、音楽活動のみで生計を立てることが難しいですが、世界クラスのトップスターともなれば億単位の年収を稼ぐことができます。
そういう意味では、ミュージシャンは厳しいながらも夢のある職業といえるでしょう。
ミュージシャンの形態別の収入
ここからは、ミュージシャンの活動形態別の収入について、詳しく紹介します。
音楽アーティストの収入
アーティストの主な収入源は、CDや音楽配信の売上による著作権印税とアーティスト印税です。
そのほかには、カラオケなどでの楽曲使用に対する著作権使用料による印税、ライブやコンサートのチケット売上、グッズなどの売上、メディアやイベントへの出演料などがあります。
なお、グループやバンドで活動している場合、印税や収入はメンバーの人数で分配され、個々のアーティストの収入となります。
また、プロダクションに所属している場合、契約金や給料が支払われることがありますが、その一方で売上の20〜30%の管理手数料が引かれます。
一部の大人気アーティストは億単位の年収を稼ぐ一方、アルバイトで生計を立てるアーティストも少なくないのが現状です。
スタジオミュージシャンの収入
スタジオミュージシャンは主にレコーディングで演奏するだけでなく、アーティストのライブサポートも担当することが一般的です。
多くはフリーランスとして活動するか、プレーヤー事務所に所属しています。
仕事はプロミュージシャンの紹介、コーディネーター、インペグ(音楽家を斡旋する事務所)などを通じて獲得し、その報酬を得ています。
フリーランスの場合、仲介料などが引かれずに報酬を受け取れますが、契約、スケジュール管理、経理などは自己責任となります。
一般的な年収は300万円~500万円程度です。
スタジオミュージシャンの収入や活動スタイルは、プロのミュージシャンとしてのキャリアや経験によって異なり、有名アーティストのサポートが高い報酬につながることがあるようです。
サポートミュージシャンの収入
サポートミュージシャン(またはバックアップミュージシャン)は、主にプロのアーティストやバンドと共演し、彼らのパフォーマンスや録音セッションをサポートしています。
サポートミュージシャンは、基本的にアーティストやバンドのライブやショーに参加し、その演奏に対するギャラを得ています。
長期のツアーや移動が伴う場合、アーティストやバンドはサポートミュージシャンに対して交通費や宿泊費、食事などを補償していることがほとんどです。
また、スタジオでの録音セッションに参加し、その演奏に対する料金を得ることがあります。
一般的な年収はスタジオミュージシャンと同程度の300万円~500万円程度とされています。
そのほか、特定のアーティストと専属契約しているサポートミュージシャンは、契約に基づいてアーティストやバンドと合意した条件に従って収入を得ている場合もあります。
契約はプロジェクトや期間によって異なりますが、有名アーティストのサポートで多数のレコーディングやツアーに参加している場合は、年収1000万円を超えることも珍しくありません。
ミュージシャンが収入を上げるためには?
近年、CDの売上減少に伴い、アーティストの主な収入源がライブに移行しています。
ライブでの成功には大勢のファンの獲得と動員数の増加が不可欠です。
そのためには質の高い楽曲やパフォーマンスだけでなく、宣伝活動も欠かせません。
YouTubeなどの広告媒体を利用して視聴者数を増やすことで、広告収入を得ることも可能です。
また、グッズ販売や音楽講師、音楽制作の受託、楽曲提供なども収入源として重要です。
スタジオミュージシャンにとっては、仕事の安定には高い演奏技術や対応力だけでなく、実績と信頼が必要です。
実績を積み上げ、信頼を得るためにはコミュニケーション能力や人間力が不可欠であるため、人脈を築き、ライブが少ない時期にも仕事を確保できれば、収入が安定します。
「ミュージシャンの年収」まとめ
ミュージシャンの年収は実績や人気が大きく影響します。
大ヒットすれば一気に収入アップすることもありますが、成功できない場合は赤字になり、厳しい状況が続くこともあります。
このような業界では、自らの才能を最大限に発揮し、ファンを増やして支持を広げることが重要です。
競争は激しいですが、挑戦的で向上心のある人には魅力的な選択といえるでしょう。