MRの需要・現状と将来性
MRの現状
MRは、医療分野で欠かすことができない医療用医薬品情報のスペシャリストです。
近年、少子高齢化社会が進行していることと、アレルギーなどの慢性疾患をもつ人が増加しているなどのこともあって、医療分野は全体的に市場拡大の一途をたどっています。
医薬品業界ももちろん、今後ますますニーズが増えていくことが考えられます。
しかしながら、MRの採用数自体は地域によっては頭打ちの状態ともいえるようです。
医薬品情報の担当者であるMRは、1990年以降にこの職業名称が固定され、「MR認定試験」の制度などが導入されるようになりました。
その頃からMRとして働く人は続々と増え続けており、2000年に入った頃には49,212人だったMR数は、2010年には61,246人になり、10年間で10,000人以上も増えるという激しい増加傾向を示しました。
ところが、2010年以降を見てみると、2013年に過去最高の65,752人になってから、2014年に64,657人、2015年には64,135人と、減少傾向が見られます。
その後も減少を続け、2020年度のMR数は53.586人となっています。
これには、MRの人数がある程度の数に達したことや、「ジェネリック」と呼ばれる後発医薬品が増えて大型の新薬の開発に携わる製薬会社が減ってきたことなど、さまざまな要因があると考えられています。
このように、MRの採用数がぐんぐん伸びる時代ではなくなっているため、これからMRを目指す人は求人募集の現状によく注意することが大切だといえます。
20代で正社員への就職・転職
MRの需要
MRの求人は景気の影響を受けにくいとされており、基本的には医薬品が新たに開発され続けている以上、MRの仕事に終わりはなく、需要が途絶えることもありません。
そのようなことから、よくも悪くも求人の増減が景気に左右されにくい職種であるといえます。
また、ベビーブーム世代のMRが定年を迎える年は、求人が一時的に増えることが予想されます。
しかしながら、ジェネリック医薬品の普及や市場拡大に伴い、MRの採用人数にそれが影響するともいわれています。
多くのMRを抱える製薬会社にとって、ジェネリックメーカーが参入してきた特定の薬のために人件費を割いてMRを投入するメリットはあまりありません。
そのため、ジェネリック医薬品が普及するほど、特許が切れた場合のその新薬の情報提供業務におけるMRの役割は重要でないものになります。
新薬専門の製薬会社にとってジェネリック医薬品の普及はMRの需要と大きく関係するため、景気などよりも、今後はジェネリック医薬品の普及やシェア拡大が直接的にMRの需要そのものに関わってくるともいえそうです。
MRの将来性
MRになるためには特別な学歴や国家資格は必要ありません。
製薬会社に採用された後に研修を受けて「MR認定試験」に合格することで、未経験者からMRになることが可能です。
このため、MRは文系学部の出身者が多く、一方、薬学部出身者は薬剤師を目指すことが多いのが今までの流れでした。
しかし、2004年頃から私立大学の薬学部開設が相次いだことで薬剤師志望者が増加しつつあります。
将来的には、「薬学部で勉強したものの国家試験に合格できなかった」「国家資格を取ったのに正社員の薬剤師として就職ができない」という薬学部出身者が増える可能性があります。
また、薬学科以外の学科が薬学部に設置される傾向はますます続いていくとみられ、薬剤師免許を持たない薬学部卒の学生が医薬業界での求人に押し寄せる可能性もあります。
こうした学生たちが、「習得した薬学の知識を生かしたい」という思いからMRを目指すことが増えていくケースも見込まれるため、製薬会社のMR職は競争が厳しくなる可能性を考慮に入れておいたほうがよいでしょう。
とはいえ、まだ地方ではMRが不足しているケースもあり、都市圏での勤務にこだわらないであれば、就職先に困ることはそれほどないでしょう。
20代で正社員への就職・転職
MRの活躍の場
MRが籍を置くのは製薬会社や医薬品メーカー、また「CSO(医薬品販売業務受託機関)」と呼ばれる機関です。
メインの取引先となるには、大学病院や総合病院など入院設備のある大きな医療施設、もしくは街の診療所やクリニックになります。
医薬品の営業担当者でもあるMRは、取り扱う医薬品の知識やデータ、医療情報などを携えて取引先を回り、医師や薬剤師などの医療従事者と面談の時間を持ち、レクチャーや説明をして情報提供に努めると同時に、医療現場からの生きた情報を吸い上げます。
また、学会や講習会、勉強会などの情報提供の場もMRが活躍する現場となります。
そこでは医薬品メーカーや製薬会社として参画し、最新の医療情報アップデートのサポートやフォローも行います。