公認会計士の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

公認会計士の仕事とは

日本では、証券取引所に株式を上場している企業や、資本金が5億円以上の企業のような大企業は、法律にのっとった経営をしているかどうかをチェックするための「監査」を受けることが義務付けられています。

この監査を行うのが、公認会計士のおもな仕事です。

公認会計士が、独立した第三者の立場から企業の経営状態をチェックすることで、企業が決算書にウソの数字を書く「粉飾決算(ふんしょくけっさん)」を防ぐことができます。

万が一、粉飾決算が発覚すれば、その企業の株式が暴落する可能性があります。

株主保護や市場を混乱させないためにも監査をきちんと行い、適切な決算をしているかを判断することが、社会における公認会計士の大切な役割です。

公認会計士は、企業の決算時の財務諸表などの資料の確認や、内部監査のフォローなどを行うことで、企業が不正をすることがないようにチェックします。

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公認会計士の業務の内容

おもな仕事は大企業の監査

公認会計士の多くは「監査法人」といわれる、監査を専門的に手掛ける組織に勤務しています。

監査法人では、監査時にお客さまとなる企業の収入や支出を記録した財務書類を調べ上げて、その内容に誤りがないかどうかを徹底的にチェックします。

上場企業では、本決算のほかに四半期ごとに決算開示が義務づけられており、公認会計士はこの決算の都度、企業の財務内容に誤りがないか確認します。

また、財務諸表などの決算書類だけではなく、ランダムに抽出された商流の計上や入出金の流れなども細かく確認して、正しい処理が行われているかをチェックします。

監査時期ではないときも定期的に企業を訪問して、内部監査のフォローを行ったり、日々の計上方法に誤りがないか確認したりと、積極的に企業と関わるようにしています。

コンサルティングや税務の仕事を担う場合も

公認会計士のおもな仕事は監査ですが、それ以外に、専門知識を生かしてコンサルティングや税務の仕事を担う場合もあります。

企業の経営や会計に関してアドバイスをする「コンサルティング」の仕事では、経営戦略やコストの削減や合併(M&A)について提案をすることで、企業の経営のサポートをします。

会計のプロフェッショナルとして企業の経営戦略に対してアドバイスを行うことで、企業の売上をアップさせたり規模を大きくさせたりすることができます。

また、公認会計士は「税理士」と同じように、税に関する書類の作成や申告を行う「税務」の仕事をすることもできるため、税理士会への登録さえすれば、無受験で税理士の資格が取得できます。

監査の仕事だけではなく、コンサルティングや税務の仕事など多方面からアプローチすることにより、公認会計士の仕事に付加価値を付けていきます。

公認会計士の役割

公認会計士が監査で粉飾決算がないかをチェックすることは、日本の経済社会において大変重要な意味をもっています。

日本を代表するような大企業が粉飾決算を行っていた場合、株主はウソの決算書を信じて投資を行ってしまうことになります。

万が一、粉飾決済が後になって発覚した場合、株価は大暴落して、その企業に投資していた株主の資産は激減してしまいます。

それだけではなく、その粉飾決算を行った企業の関連企業や取引先にとっての大きな損失につながり、多くの人の経済活動に混乱を引き起こしかねません。

公認会計士が第三者の目で企業の経営状態をチェックしているおかげで、わたしたちは企業を信用して株を買ったり商品を買ったりすることができるようになります。

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公認会計士の仕事の流れ

監査が必要な企業と契約をする際には、まず予備調査(ショートビュー)と呼ばれる事前調査を行い、監査契約を行ってよいかを確認します。

監査契約を結んだら、決算時期に合わせて監査計画を立てて、そのスケジュールにしたがって会計監査を行います。

監査では決算書を精査するために、領収書・請求書・通帳などのチェックや売上の分析、帳簿内容の確認、引当金の確認などをしていきます。

監査は、担当する会社の規模が大きければチェックする資料も多くなるため、数週間かけて行うこともあり、その時期は非常に忙しくなります。

四半期ごとの監査以外にも、期中に企業の支店を訪問して企業が行う内部監査のフォローやアドバイスを行うなど、公認会計士が担当企業に足を運ぶ回数はかなり多くなります。

公認会計士の就職先と仕事内容の違い

公認会計士の合格率は約10%と非常に難易度が高いため、資格を持っている場合、就職は比較的しやすい環境にあります。

公認会計士のおもな勤務先・働き方として、以下が挙げられます。

  • 監査法人(4大監査法人)
  • 監査法人(上記以外の中小監査法人)
  • 一般企業(大手中心)の財務部・経理
  • 独立・開業

ほとんどの公認会計士は企業の監査を行う「監査法人」に所属しています。

「あずさ」「EY新日本」「トーマツ」「PwCあらた」の4社が「日本の4大監査法人」と呼ばれており、社員数もそれぞれ3,000人を超えています。

これらの監査法人は、日本の上場企業の監査業務に対して8割程度のシェアとなっています。

それ以外にも日本全国に数多くの中小監査法人が存在しており、働き方や給与などの条件と比べて、大手か中小かどちらで働くか決める公認会計士が多いようです。

また、大手監査法人で経験を重ね、個人事務所を設立して独立を目指す公認会計士も多くいます。

その他にも、公認会計士の知識を生かして一般企業の経理部に就職し、予算の編成や管理などを行う場合もあります。

大手監査法人で働く公認会計士

大手監査法人で働く公認会計士は、担当する企業に合わせてチームを結成し、そのチーム内で自分に任された仕事をします。

チームは何十人で結成されることもあり、新人で大企業のチームに配属された場合は、チェックする項目が多い分、最初のうちはシンプルな項目の担当が続くこともあります。

企業の監査業務は、クライアントとなる企業の「決算月」によってスケジュールが決まってきます。

日本の企業は3月決算が多いことが特徴です。

3月決算の上場会社を担当した場合には、5月上旬には決算開示を行わなければいけないため、4月はその会社の監査で忙しくなります。

その他にも四半期ごとに決算開示があるため、その都度監査を行うことになりますし、それ以外にも企業の内部監査を手伝ったり、時には企業に向けて会計の勉強会を行ったりなど、1年を通してさまざまな仕事をします。

中小監査法人で働く公認会計士

所属数数人から数百人規模の中小監査法人では、一人ひとりの公認会計士の力が評価されやすく、「○○先生に任せたい」というクライアントから指名を受けて契約することが多いです。

最近では大手監査法人でも粉飾を見抜けなかったことなどもあり、企業が大手から中小へ監査法人を変更する動きが増えつつあり、中小監査法人の存在感が高まってきています。

監査業務自体はどこに所属しても変わりありませんが、担当する企業の規模は大手監査法人に比べると小さくなり、1人で伝票などの確認から決算書類の確認まで担うこともあります。

そのため、大手に比べると若手のうちから任される仕事が多くなり、担当企業との距離も近くなりやすいため、成長スピードが早いともいわれています。

一般企業で働く公認会計士

監査法人などで公認会計士の経験を積んだ後の転職先として、一般企業を選ぶ公認会計士も多くいます。

大企業で働く場合は、財務部や経理部などに所属して会計の内部監査を担当したり、計上方法などのチェックやアドバイスを行ったりするなど、会計に対するあらゆる知識が求められます。

IPO(株式上場)を目指すベンチャー企業で働く場合は、上場準備や上場企業に合わせた会計基準を導入していくような仕事をすることもあります。

規模が小さい企業ならば、幹部である「CFO(最高財務責任者)」として活躍する人もいます。

求められる役割に合わせて仕事をしますが、公認会計士という資格を持ったプロフェッショナルとして期待されているので責任も大きくなります。

独立・開業して働く公認会計士

大手の監査法人などで経験を積んだあと、独立や開業して働く公認会計士も数多く存在します。

ただし、多くの企業は大手監査法人と契約することが多いため、独立する場合、監査業務だけで成功するのは難しいといおわれています。

もし独立するのであれば、公認会計士の業務から派生した、会計コンサル(上場会社決算業務支援、内部統制構築・運用支援、IFRS支援等)、IPO・M&A・資金調達・事業再生等に関わるコンサルティング、税務業務など、多方面からのアプローチで付加価値をつける必要があります。

また、顧客も中小零細企業になることが多いため、経営者の資産管理会社の運営サポートや税務まわりにも詳しいと、契約が取りやすくなるでしょう。

公認会計士と関連した職業

公認会計士と似ている職業として「税理士」が頭に浮かぶ人も多いかと思いでしょう。

どちらも会計としてのプロフェッショナルとして働く職業ですが、「監査業務」は公認会計士しかできないことになっています。

なお、公認会計士の資格を取得した人は、同時に税理士としての知識や技術を持っているとみなされ、税理士会への登録さえ行えば税理士として働くことが可能です。

そのため、若いうちは公認会計士として大手監査法人で働き、経験を積んだ後に、自分の地元に戻って独立し、中小企業相手に税理士の仕事をする人も少なくありません。

税理士の仕事