検察事務官と検事の違い
検察事務官と検事の仕事内容の違い
検察事務官と検事(検察官)の仕事内容は似ている部分も多くありますが、一言で表すなら「検察事務官は検事の補佐をする」のが仕事です。
最大の違いは持っている権限で検事は日本で唯一、被疑者を起訴できる「起訴権限」を保有している職種です。
捜査、取り調べを行った上で被疑者を起訴するかしないかの判断は検事のみが行えるため、検察事務官はその判断をサポートするのが役割です。
検事と一緒に捜査をしたり、取り調べを行ったりしますが、ほかにも緊急逮捕とそれに伴う逮捕状の請求、第三者の取調べと鑑定嘱託、検察官の命による検視、差し押さえや身体検査の令状請求とその執行などの権限を持っています。
これらの権限を活用し、検事が起訴すべきかの判断をしやすくするとともに、スムーズな事件処理のためのサポートを行います。
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検察事務官と検事になる方法・資格の違い
検事は司法試験に合格し、司法修習を終え、さらに二回試験に合格することでやっと検事になる資格を得られます。
その時点ではまだ資格を得ただけで検事になれるわけではなく、任官志望者の中から能力や適性、人格など検事としての適性を判断した上で採用されます。
以上が検事になるための一般的なルートですが、司法試験の合格が最低条件となるので、日本でもトップクラスの難易度といってよいでしょう。
検察事務官は司法試験に合格する必要はなく、特別な資格は必要ありません。
ただし国家公務員として従事するため、国家公務員採用一般職試験に合格する必要があります。
区分は大卒程度試験(試験の区分「行政」)と高卒者試験(試験の区分「事務」)の2つがあるので、高卒からでも検察事務官を目指すことができます。
試験に合格した後は、各検察庁で面接を行い採用されます。
日本でもトップクラスの難易度である検事に比べれば採用されるハードルは下がりますが、国家公務員採用試験の対策はしっかり講じて臨むのがよいでしょう。
検察事務官と検事の学校・学費の違い
検事を目指す場合は通常、法科大学院課程を修了しなければ司法試験の受験資格が得られないため、4年制大学の法学部などを経て、法科大学院に進むのが一般的です。
4年制大学の学費は当然大学により異なりますが、国公立大学の学費の方が、私立大学より安いといえます。
そして、大学の学費だけではなく、法科大学院の学費もかかりますので、学費については、よく検討する必要があります。
対して検察事務官ですが、検察事務官になるための資格は特段必要ありません。
高卒でも目指せますので学部なども問われず、必要なのは国家公務員採用一般職試験の合格のみです。
より確実な合格を目指すため、公務員試験対策をしているスクールも多数あり、そうした講座を受講する場合は当然受講料が発生します。
コースなどにもよりますが、公務員試験対策を行うスクールを利用する場合、受講料だけでなく合格率、授業の内容など、複数のスクールを比較検討するとよいでしょう。
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検察事務官と検事の給料・待遇の違い
給料の面でいえば、検事の方が待遇はよいでしょう。
新任検事の場合は平均年収は330万円程度ですが、年収が600万円を超える検事もいます。
また、検事総長や次長検事など幹部職の年収は、1000万円を超えています。
次に検察事務官の給料ですが、国家公務員としての規定が適用されます。
初任給は同じ一般職でも大卒の場合は18万円前後、高卒の場合は15万円前後という発表もあり特段ほかの職業と比べて高いというわけではありません。
しかし一定の勤務期間を経ると職種の特殊性から「公安職(二)」の給料規定が適用され、年収600万円程度のケースもあるため高い水準といえます。
なお一定の勤務期間とは、大卒程度試験の合格者は1年程度、高卒者試験の合格者は5年程度とされています。
検察事務官と検事はどちらがおすすめ?
検察事務官と検事の仕事で共通しているのは、社会秩序を守ることが目的ということです。
そのため正義感の強い人や真実を追求したい人などに向いているでしょう。
その上で両者に違いがあるとすれば、検事は自分の判断で起訴するかしないかの判断を行うためより責任感が強い人が向いているかもしれません。
検察事務官は仕事の内容が「検事のサポート」に重きを置いているため、裏で支える役割にやりがいを持っている人が向いているといえます。
事務局部門に配属されれば、人事・給与管理や検察庁職員の福利厚生、検察庁の歳入歳出管理など、検事のみならず検察庁の職員をサポートする仕事を行うため、裏で支える役割はより強くなります。