刑務官の年収はいくら? 給料についてくわしく解説
職務の特殊性から、事務などを担当する一般的な職員の給与水準よりもやや高めに設定されていることが特徴です。
この記事では、刑務官の給料・年収の特徴、手当や福利厚生、収入が上がる仕組みなどについて解説しています。
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刑務官の平均年収・給料の統計データ
刑務官の給料は、国家公務員法に基づく「公安職俸給表」によって決められています。
刑務官の平均年収・月収・ボーナス
刑務官の給料は国家公務員の「公安職俸給表(一)」が適用され、平均年収は約619万円です。
公安職俸給表(一)の平均給与は、41.4歳で月額379,615円となっています。これは毎月決まった給与(俸給)320,437円に手当の59,178円を加えたものです。
手当の内訳は、地域手当等31,608円、俸給の特別調整額6,062円、扶養手当12,922円、住居手当3,332円、その他5,254円です。
ボーナスは「期末・勤勉手当」として6月・12月の年2回、合計で俸給等の4.3月分が支給されます。(令和4年4月13日現在)
そこから算出すると刑務官の平均ボーナス額は約1,632,344円、平均年収は約6,187,724円と想定されます。
平均年齢:41.4歳
平均経験年数:20.1年
平均給与月額:379,615円
俸給:320,437円
手当計:59,178円
想定平均ボーナス:1,632,344円
想定平均年収:6,187,724円
実際の給料・収入は、経験年数や職務階級によっても異なるため、上記の数値はあくまでも参考として確認してください。
刑務官の初任給はどれくらい?
刑務官の初任給は、公安職俸給表(一)の1級3号俸が適用されます。
東京都特別区内に勤務する場合の初任給は213,600円(大学新卒採用の場合は243,840円)です。※令和4年4月1日現在
このほか各種手当(扶養手当、住居手当、通勤手当、超過勤務手当等)やボーナスも支給され、初年度の最終的な年収は400万円程度になると予想されます。
→参考:法務省 刑務官採用試験
公安職俸給表(一)経験年数・学歴別平均俸給額
以下の図は、公安職俸給表(一)経験年数・学歴別平均俸給額を表したものです(※2022年のデータより)。
公安職俸給表(一)級別平均俸給額
国家公務員の俸給は、各人の級によって変わります。公安職俸給表(一)において、それぞれの級の平均俸給を表したのが下記のグラフです(※2022年のデータより)。
公安職俸給表(一)の適用人数と男女比
以下の図は、公安職俸給表(一)の適用人数と男女比をグラフにしたものです(※2022年のデータより)。
20代から30代前半にかけては比較的女性の比率もやや高めですが、年齢が上がると男性比率が大きくなっていくことが特徴です。
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刑務官の給料・年収の特徴
一般の国家公務員よりも高い給与水準
刑務官の仕事は精神的・肉体的にハードな面もありますが、その分「給与面での配慮」があります。
具体的には、一般の国家公務員に適用される「行政職俸給表(一)」に比べて12%ほど高い給与水準の「公安職俸給表(一)」が適用されます。
民間企業のように不況による大幅な給料削減やボーナスカットが起こる可能性も低いため、比較的安定して働きやすい職種だといえるでしょう。
なお、刑務官には階級が存在し、階級によってもらえる給料額が違います。
まずは「看守」からスタートし、「主任看守、看守部長、副看守長」と昇進していく段階で給料も上がっていきます。
刑務官は本人の努力が反映されやすい実力主義の世界であり、上位の研修を修了すれば早く昇任することができます。
充実した各種手当
国家公務員法の給与に関する法律に基づき、刑務官にはさまざまな手当が用意されています。
手当の例としては、扶養親族がいる人への「扶養手当」、借家や賃貸住まいの人への「住居手当」、公共交通機関を利用した通勤者への「通勤手当」などがあります。
勤務先の敷地内にある官舎に住めば、毎月の家賃負担を大きく減らすことができます。
また、ボーナスに相当する「期末手当・勤勉手当」については年度によって額は変わりますが、必ず支給されています。
残業代は多め
刑務官は、ほかの公務員と比べて残業が比較的多めとされる職業です。
刑務官の残業が多い理由は、多数の受刑者を収容している刑務所の保安維持のため、常に誰かが勤務していなければならないからです。
刑務所においては、たとえ数分でも「刑務官が誰一人いない」という状況は絶対に避けなければいけません。
刑務官の数が不足している施設もあるため、配属先によってはさらに超過勤務が増える可能性もあります。
このように時間外勤務が求められる仕事なので、残業代(超過勤務手当)はほかの公務員と比べて多く付く人が多いと考えられます。
国家公務員共済組合の組合員になる
刑務官は国家公務員共済組合の組合員として、病気や事故、なんらかの高度な障害や出産といった場合に給付を受けることが可能です。
また、退職してからは共済年金の適用を受けることができます。
一般的に、保険料は厚生年金よりも数パーセントほど安く、支給額も厚生年金を上回っているのが現状で、民間よりも充実していると言われています。
刑務官の福利厚生の特徴は?
刑務官の1週間あたりの勤務時間は38時間45分と決められています。
基本的には、日勤にあたる「昼間勤務」と当直にあたる「昼夜間勤務」を交代で繰り返していきます。
週休2日制ですが、主な勤務先である刑務所や拘置所などは「24時間365日」稼働しているため、土日や祝日に出勤することは避けらないでしょう。
刑務所や拘置所などの施設にはいつでも一定の人員が必要であり、刑務官同士でローテーションを組んで対応するため「急な休みが取りにくい」という面もあります。
このように大変な部分はあるものの、福利厚生は充実しています。
年間20日間(任官一年目は15日間)の有給休暇や介護や病気による休暇、そのほか夏季休暇や結婚休暇なども利用できます。
また、勤務先の敷地内に官舎が用意されていることも多く、そこに住むことで住居費用を抑えることも可能です。
刑務所で事件が起こった際には休日でも対応が求められますが、落ち着いて働くための各種制度は整っているといえるでしょう。
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刑務官が収入を上げるためには?
刑務官が収入を上げる方法は、勤続年数や良好な勤務成績を積み上げて昇進していくことです。
刑務官として採用された後、初等科研修を修了して最初に任命されるのが「看守」の階級です。
その後、順調に昇進できれば階級が上がるにつれて給料も高くなり、「看守長」の階級からは管理職の立場となります。
なお、昇進には勤続年数や勤務成績のほかにも、「中等科研修」や「高等科研修」などを修了することや、昇進試験を突破することが求められます。
一般的に公務員は年功序列の色が強いですが、刑務官は本人の努力が反映されやすい出世のシステムができあがっています。
学歴差別などもなく、向上心をもって仕事に取り組める人にとっては非常にやりがいのある環境だといえるでしょう。