女性の家庭裁判所調査官のキャリアパス・結婚後の生活
女性の家庭裁判所調査官の現状
女性の採用が多い
家庭裁判所調査官は、多くの女性が活躍している仕事です。
過去5年間の裁判所の新卒採用では、男女の割合が同じくらい採用されいています。
家庭裁判所調査官だけを見てみると、30年ほど前の採用では男性が70%〜80%を占めるともいわれていましたが、現在は女性の方が若干多いようです。
2019年度実施の採用者数は、院卒者区分で16人のうち9人、大卒程度区分では47人のうち35人が女性と、過半数以上の人数が女性採用でした。
国の男女共同参画社会の推進
女性の採用が増えている理由として、国の男女共同参画社会の推進が背景にあります。
日本の少子高齢化社会に歯止めをかけるためにも、女性が子育てしながら働きやすい社会づくりをすることが必須だからです。
そして国家公務員においても、政府全体の国家公務員採用者のうち、30%以上を女性とする目標を掲げています。
産休、育児休暇などの福利厚生制度を充実し、活用しやすい取り組みを行っているため、多くの女性が活躍しています。
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女性の家庭裁判所調査官の強み・弱み
女性の家庭裁判所調査官の長所は、人当たりのよさや勘の鋭さがあげられます。
当事者や少年から話を聞き、事件の背景を調査するときには、相手の警戒心を解きながら、言葉の裏に隠された真意もキャッチしなければいけません。
また家庭内の紛争に巻き込まれている子どもたちから悩みを聞き、その家族にとって最適な働きかけをするときにも、女性の高いコミュニケーション力が生かせるでしょう。
子育て中の女性は、その経験も仕事に活かすことができるため、子どもの気持ちに寄り添ったり、お母さんの気持ちを代弁することにも役立ちます。
一方女性だから苦労するところは、女性の方が男性よりも共感力に優れているものの、感情が引きずられやすい傾向にあることです。
事件を調査するときは怒りや悲しい感情に直面することが多いですが、どこかで冷静な視点を持つバランス力が保てないと、精神的に疲れてしまい、ストレスを感じやすくなってしまいます。
家庭裁判所調査官の結婚後の働き方・雇用形態
家庭裁判所調査官は、充実した福利厚生とサポート環境が整っており、結婚後も働きやすいことが特徴です。
特別職の国家公務員ですが、ほかの国家公務員と同じ福利厚生制度が適用されます。
休日は土曜・日曜・祝日でカレンダー通り働くことができ、年次休暇、夏期休暇3日、結婚休暇5日などが取得可能です。
産前休暇、産後休暇、子どもが3歳に達するまで希望する期間が取得できる育児休業が用意されているので、育児休業の女性の取得率は100%となっています。
そのほか休暇制度は、早出遅出出勤、子の看護休暇、フレックスタイム制、介護休暇などが用意されていて、仕事と家庭を両立させるための制度が確立されているのが特徴です。
制度があるだけでなく、休みを取りやすい職場環境なので、結婚後も制度を活用しながら仕事を続けやすく、民間企業に比べると恵まれた環境といえるでしょう。
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家庭裁判所調査官は子育てしながら働ける?
家庭裁判所調査官は、子育てしながら働ける仕事です。
女性が育児休業を取得するのはもちろんですが、裁判所にはたとえば「男性職員の育児参加休暇」や「配偶者出産休暇」という制度もあります。
2017年の制度の利用状況は、育児休業を取得した男性は30%、配偶者出産休暇を取得した男性は85.9%と後者はほとんどの職員が取得しているのです。
このように家庭裁判所調査官は、女性だけでなく男性も一緒に子育てできる環境が整えられているため、仕事を続けることはもちろん、働きながら男女で協力して子育てすることが可能です。
男性職員の中には、定時で仕事を切り上げて、保育園に迎えに行きアフターファイブを子どもとの時間で充実させている人もいます。
また家庭裁判所調査官の女性の中には、フレックスタイム制を活用したり、もうすぐ2人目の産休に入る直前で最前線で活躍している人もおり、ライフスタイルに合わせて働くことが可能です。
家庭裁判所は家庭や子どもの悩みに寄り添っている場であるため、家庭生活の重要性に対する意識も高く、職員が家庭や子育てを大切にすることへの理解も得やすいでしょう。
家庭裁判所調査官は女性が一生働ける仕事?
家庭裁判所調査官は、女性が一生働ける仕事です。
裁判所では男女ともに働きやすい環境を作るという風土があるため、介護や子育ての問題を抱える職員へのサポート体制が整っています。
制度を活用しながら仕事と家庭を両立し、無理なく長く勤めることができるでしょう。
ただしサポート体制や働きやすい環境はあるものの、家庭裁判所調査官の仕事は、当事者や家族の人生の岐路に立ち会うという非常に責任の重い仕事です。
また一定の配慮はあるものの、職務上全国への転勤が避けられないケースもあります。
とくに引越しを伴う転勤の場合は、家族の協力や理解が必要となるでしょう。