家庭裁判所調査官の需要・現状と将来性

家庭裁判所調査官の現状

社会的立場の高い仕事

家庭裁判所調査官は、家庭裁判所において裁判官審判で参考にする報告書を作成する重要な立場です。

国家公務員であり、採用されるのもひとにぎりであることから社会的立場は高い職業といえます。

また調査の仕事を通じて、こじれた家族の争いに最適な解決策を検討したり、非行を犯した少年が更生するための働きかけができるため、社会貢献につながる仕事です。

家事事件が増加傾向

家庭裁判所では家事事件や少年事件をあついますが、少年事件は減少傾向にあり、2017年は前年から11%も減り7万件ほどでした。

その原因のひとつとして少年人口の減少があげられますが、人口減少割合以上にここ10年間で少年事件が約62%も減っています。

一方、2017年の家事事件は105万件以上あり、この10年間で37%ほど増加していること、とくに「成年後見関係事件」や「相続関係事件」が増加傾向にあることが特徴です。

国民の権利意識の高まりなどから、これまでは家族の問題で済ませていたことを明確にするために家庭裁判所を活用する人が増えていると考えられます。

その分家庭裁判所調査官の業務も増え、解決困難な事件も多くなっているのが現状です。

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家庭裁判所調査官の需要

離婚問題や少年事件、虐待、DVなど家族の問題があとをたたない現代社会では、家庭裁判所調査官の需要はますます高まっています。

社会的貢献度が高いことから家庭裁判所調査官の仕事は人気が高く、家庭裁判所調査官補の募集には、全国から受験生が集まり毎年非常に激しい競争が行われるのが特徴です。

たとえば2019年度の家庭裁判所調査官補の合格者は、院卒者区分で申込者が141名に対し最終合格者は16名で倍率は6.9倍、大卒者程度区分で申込者が506名に対し最終合格者は47名、倍率は8.2倍でした。

受験する年によっては上下がありますが、院卒者区分で約7倍を超えたり、大卒者程度区分で約8倍を超える高い倍率になっているため、しっかりと準備してから採用試験にのぞむ必要があるでしょう。

参考:裁判所 採用試験実施結果ついて

家庭裁判所調査官の将来性

家庭裁判所調査官は、家庭裁判所で取り扱う家事事件や少年事件といった家庭内の身近に起こるさまざまなトラブルに対して、家族に寄り添い、問題を解決する役割をにないます。

家族の形は時代とともに変化しており、たとえばインターネット社会が引き起こす友人とのトラブルや核家族化、児童虐待、離婚の増加などが近年の事件の特徴です。

さらに家族のあり方や、少年を取り巻く環境の変化が事件に影響を与えていることから、あつかう事件もより複雑で、動機を解明することが難しい事件も増えてきています。

家庭裁判所調査官はそれらの時代の変化を読み取り、当事者の家族の心に寄り添い柔軟に対応しなければなりません。

研修や実際の業務を通じて知識やスキルを身につけ、少年の教育的側面や最適な法律的解決策を検討する家庭裁判所調査官の役割への期待は、ますます大きくなるでしょう。

また被害者感情をより尊重すべきという社会からの要請の高まりや、司法手続きのスピード化も求められており、家庭裁判所において業務改善や司法改革への対応も必要です。

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家庭裁判所調査官の今後の活躍の場

日本のグローバル化に伴い、国際結婚など日本で生活する外国人も増加し、家庭裁判所を訪れる外国人も増えています。

言葉でけでなく、文化や経済的背景のちがいを理解して対応する必要があるため、家庭裁判所内においても語学力や異文化への理解力がある人はスキルとして生かすことができるでしょう。

また家庭裁判所調査官の活躍の場は、全国にある家庭裁判所だけではありません。

諸外国の裁判制度の比較を行うために、海外での在外研修制度も設けられており、アメリカ、オーストラリア、フランス、ドイツに1年ほど長期滞在して研究するチャンスもあります。

また家庭裁判所だけでなく高等裁判所や、裁判部と事務局の相互間といった部門を超えた異動なども行われるので、専門性を深めるだけでなく、視野の広い仕事を行うことも可能です。