管理栄養士の苦労(体験談)
大量調理は大変!
管理栄養士の学校時代にも病院や学校給食の実習で大量調理を経験していましたが、実際に仕事の場でやると、まったく違う苦労がありました。
新卒では総合病院に勤務しましたが、食数が多かったので、食材の仕込みも調理の量も想像を絶するほどでした。野菜は切っても切っても終わらず、卵は永遠に割り続けなければならないのです。
疾患別の調理や、内容によっては個別対応もあったので、頭の中はパニック状態でした。仕込みをした日は夜、使った食材が夢に出てくることもあったほどです。
しかし、食数が少ない現場はずっと楽ですし、作業動線を身につければ効率よく動けるようになります。
特定保健指導の苦労
特定保健指導とは、メタボ検診のことを指します。「メタボ」という言葉がすっかりおなじみになりましたが、実際に指導する立場になると、苦労することが多々あります。
たとえば、これは病気ではなく予防の指導なので、対象者の方は「なんで自分が指導を受けなければいけないのか?」と怒ることもあります。
また、メタボは身長や体重に関係なく腹囲で判断するため、「不公平だ」という声も聞かれます。思わず「私に言われても…」と思うこともありますが、きちんとした説明をすれば大抵は納得してもらえます。
一人ひとりの方に理解していただけるように話すのはとても大変です。
相手を否定せずにアドバイスをすること
一番大変だと感じるのは、「食事にお金がかけられない」と言われてしまうときです。管理栄養士の立場からすれば、「健康のために野菜を食べる」「バランスよく食べる」ことは当たり前の感覚です。
しかし、中にはコンビニやファーストフードの食事で満足している人や、満足はしていないけれど安いからといった理由で、手軽に済ませている人もいます。
しかし「食事にお金がかけられない」と言う人ほど、血液検査の結果が悪いことが多いのが現状です。
さらに、いくら健康のためと思って運動を勧めても、実践してもらうのはとても難しいです。運動が嫌いな人もいますし、1日だけなら良くても、継続するには本人の強い意志が必要です。
「食事にお金がかけられない」「運動は嫌い」と言われても、その方の生活状況を把握したうえで、その方を否定しない言葉を選びながら、生活改善に結び続ける工夫をしていかなければなりません。