管理栄養士と調理師の違い
管理栄養士と調理師の仕事内容の違い
管理栄養士と調理師は、どちらも「食」に関わっていく仕事ですが、具体的な仕事内容には大きな違いがあります。
管理栄養士は「栄養のプロフェッショナル」であり、食品の栄養成分についての深い知識を持って、さまざまな人の健康管理や栄養指導などに携わります。
病院や高齢者施設、学校などで活躍することが多く、一人ひとりの健康状態に合わせた食事に関する指導やアドバイスなどを行います。
また、給食を提供する施設では自ら献立を考えて、調理をすることもあります。
一方、調理師はひとことでいえば「調理のプロフェッショナル」です。
食材の切り方や味付け、そして盛り付けまで、調理全般に関する高度な技術を備えた料理人です。
調理師は、その技術を生かしておもに飲食店などで調理の業務に従事します。
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管理栄養士と調理師のなる方法・資格の違い
管理栄養士と調理師は、どちらも国家資格です。
管理栄養士として働くには、管理栄養士国家試験に合格し、管理栄養士免許を取得する必要があります。
国家試験の受験資格を得るためには、高校卒業後に指定された養成施設(大学や専門学校など)へ進学し、所定の課程を修了しなくてはなりません。
一方、調理師として働く場合には、さまざまなルートが考えられます。
調理師学校で1年以上学ぶと調理師免許が取得できますが、飲食店などで2年間の実務経験を積み、調理師試験に合格する方法でも調理師免許の取得が可能です。
なお、調理の仕事をするうえで、調理師免許が必須というわけではなく、料亭や料理屋に見習いから入り、経験を積んでから調理師免許を取得する人も多くいます。
ただし、調理師と名乗れるのは、調理師免許を取得している人だけとなります。
管理栄養士と調理師の資格の難易度の違い
管理栄養士の資格は、国家試験に合格しなければ取得することができません。
この試験は、新卒者と既卒者で合格率に大きな違いがあり、前者では90%以上であるのに対して、後者は20%程度になることが多くなっています。
養成学校で国家試験対策をしっかりとしていれば、ほぼ問題なく合格できる難易度といえます。
一方、調理師試験の合格率は平均して60%~65%ぐらいですが、年々難しくなりつつあるといわれています。
調理師試験の試験は食文化論・衛生法規・公衆衛生学・栄養学・食品学・食品衛生学・調理理論から出題され、数ヵ月ほど勉強をすれば合格できる難易度といわれています。
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管理栄養士と調理師の学校・学費の違い
管理栄養士の養成学校には、大きく分けて4年制の大学と専門学校があります。
そこでは一般教養にあたる基礎教養科目のほか、国家試験にも出題される栄養学や衛生について、また人体の構造と機能といった専門的な科目を多く学びます。
卒業が近くなると臨地実習も行われ、給食施設で実際の給食サービスに関する知識や技術を習得すると同時に、国家試験合格に向けた授業も行われていきます。
一方、調理師学校は1年制の専門学校がほとんどで、卒業すると無試験で調理師免許の取得が可能です。
調理師学校では調理の技術を磨くことに重点が置かれますが、食文化や衛生、栄養学などについての勉強もします。
学費については、管理栄養士を目指す場合は4年間で400万円~600万円程度が必要になることも多く、調理師学校では1年間で150万円程度が相場となっているようです。
管理栄養士と調理師の給料・待遇の違い
管理栄養士と調理師は、就職先や活躍の場にもだいぶ違いがあるため、一概に給料や待遇を比較するのは難しいところがあります。
管理栄養士の場合、平均年収は300万円~400万円とされていますが、国家資格を持っている強みもあって資格手当がつく職場もあるようです。
大きな収入を手にすることは難しくても、比較的安定して働ける職場が多いでしょう。
一方、調理師の場合は、個人の経験や技術によって大きな差が出ることが特徴です。
見習い期間中は、長時間労働に対して手取りの月給が10万円台前半にしかならない人がいる一方、実力がつけばつくほど昇給する傾向があります。
実力をつけて一流料理店の料理長・板長クラスになれば、給与額は大幅にアップするケースも珍しくありません。
管理栄養士と調理師はどっちがおすすめ?
管理栄養士と調理師のどちらにも興味を持っている人の多くが、食や料理・栄養に関わる仕事がしたいと考えているかもしれません。
両者の違いを見ていきながら、自分により適した職業を選ぶとよいでしょう。
管理栄養士は、健康な人はもちろん、病気の人や高齢で食事が思うようにとれない人などに対しても、栄養面での相談にのったり指導をしたりして力になることができます。
子どもからお年寄りまで、幅広い世代の人の健康づくりに貢献したいという考えがあれば、管理栄養士を目指すとよいかもしれません。
一方、おいしいものを食べたり料理をしたりすることが好きで、調理場に立ってプロの料理人として活躍したいのであれば、調理師のほうに向いているといえそうです。
調理師には、日々修業を積みながら調理技術を磨き続ける努力が求められるため、調理をすることが大好きという気持ちが欠かせません。