管理栄養士のつらいこと、大変なこと、苦労(体験談)

専門性が見えにくい

管理栄養士に求められる専門性の1つに当然ながら「栄養管理」があります。

管理栄養士は、この能力を発揮しようと努力するときに、周囲の職場スタッフの栄養士との専門性の認識に戸惑うことが少なくありません。

言い換えれば、周囲が求める栄養士像と管理栄養士自身が思う栄養士像とのギャップに苦しむことがあります。

たとえば、献立・調理に関わるという1点が共通していたとしても、周囲が「栄養士といえば、献立を考えて調理・配膳を行う人」と思っている場合があります。

一方で、管理栄養士自身は「栄養士は、患者さんの臨床検査データを見てそれに合わせて個々人の栄養状態改善のための献立を考える」と認識しているとします。

そのために管理栄養士は患者さんそれぞれのカルテ(検査結果など情報を得るため)に目を通すことやスタッフ間で今後の治療方針についてディスカッションしたいと考えても、周囲にはなぜ管理栄養士がそんなことをするのかわからないのです。

このように、世間は「管理栄養士が一体どのような業務を専門とし、どのようなことを求めたらよいのかよく知らない」状況であるというのが実際でもあります。

管理栄養士が、この現実を知らずに就職した場合には、その認識の差に苦悩することになります。

少数派であること

管理栄養士が活躍している多くの職場では、管理栄養士がたった1人で勤務していることがよくあります。

救急指定の総合病院や大企業などを除いては決して珍しくないことで、なかには事務職や介護を兼務している人もいます。

この状況が、少数派専門職であるからこその特徴とはいいきれませんが、前述のように専門性が見えにくい職種であると同時に少数派だからこその力の弱さ、身を守る方法のような部分は少なからずあるでしょう。

日々の業務の中で、管理栄養士としての専門性を認めてもらう以外に1人の人間として認めてもらう努力も必要です。

それが個人の評価としてではなく、管理栄養士という職種、栄養部門の評価や周囲の認識に繋がることになります。

大変重要な立場だと理解して職務にあたる必要があるといえます。

社会的なイメージ

管理栄養士という職種は、よほど詳しい人でなければ栄養士と混同されています。

実際、管理栄養士であるということは栄養士資格も持っているのですから間違いではないわけです。

ですが、学校を卒業するともらえる資格と思われ、家事手伝い程度と思っている人は意外と多くいます。

実際に、管理栄養士であっても国家試験受験をしなくてもよい時代に取得した人もいます。

いわゆる給食調理のおばさんの認識がまだまだ根強く、栄養士といえば料理好きなおばさんといった感じでしょうか。

そのため、ちょっと栄養素に詳しい人が献立を考えているような感覚で扱われることもあります。それは、給与面・待遇面にも反映されています。

管理栄養士たちがより自分たちの存在意義を高めていけるか、日々の努力の積み重ねによって今後に期待される部分でもあります。