柔道整復師に向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
柔道整復師に向いている性格・適性
患者さんと真剣に向き合えること
「医療従事職」といわれる職種はいろいろありますが、柔道整復師は他の職種に比べて、比較的長く患者さんと関わることが多い職種です。
それというのも、人間の自然治癒力を用いる柔道整復師の施術では、治癒するまでに時間がかかったり、長いスパンで回復を目指していったりすることもあるからです。
その間は、患者さんの状態の変化を見ながら、適切な施術やアドバイスを行っていく必要があります。
患者さんに対して正しい指導をするには患者さんの日常生活にも触れることになりますから、柔道整復師の仕事は患者さんとの信頼関係を築くことが大切です。
患者さんが感じている細かな不快や違和感などの話を聞いて、そして目で見て、触れて患者さんの様子を感じ取って治療をしていくのです。
そのため患者さんとしっかりと向き合い、コミュニケーションをとっていこうとする姿勢は、柔道整復師には必須といっていいでしょう。
さまざまな世代・立場の人に対応していくこと
近年、柔道整復師はさまざまな場所で必要とされており、接骨院や整形外科に勤める以外にも、介護保険関連施設やスポーツ関連施設、健康関連施設、美容サロンなどで働く人も増えています。
とくに高齢化した現在の日本では、介護保険関連施設において、柔道整復師が高齢者の筋力強化のための機能訓練指導などを担当することもあります。
柔道整復師の仕事では、子どもや学生から働き盛りの人、主婦、そして高齢者まで、幅広い年齢とさまざまな立場の人と接することが特徴です。
また、職場や活躍の場もさまざまな領域に広がってきているので、その場の状況や求められているものを理解して、臨機応変かつ柔軟に対応していくスキルが求められます。
人間の身体や健康に興味があること
柔道整復師の仕事を簡単にいえば、人を元気にしていくことです。
この仕事をするうえで、人間の身体の構造を理解しておくことは大前提です。
また、柔道整復師の施術の技術にはさまざまなものがあり、それを習得するにはそれなりの時間がかかります。
たくさんの患者さんを助けることができる柔道整復師になるためには、まず自分自身が人の身体や健康に興味があり、勉強を続け、それを突き詰めていきたいと思えることが大事だといえるでしょう。
本気で頑張る気持ちがあれば、どのような人であっても、柔道整復師として活躍できるチャンスはあります。
20代で正社員への就職・転職
柔道整復師に必要なスキル・能力
手先の器用さ
柔道整復師は骨や関節、筋や腱、靭帯といった箇所に発生する骨折や脱臼、打撲、捻挫、挫傷などを治療します。
治療では医師のように手術をせず、人間の自然治癒能力を利用して固定や整復といった手法をとっていきます。
病院であれば、包帯を巻くなどの仕事はおもに看護師が行う仕事ですが、柔道整復師の治療現場では、患部に当て木を当てたりギブスで固定したり、またはテーピングしたりするようなことは、専門的な知識のもとに柔道整復師自身が行わなくてはなりません。
そのため、柔道整復師は一定の手先の器用さが求められます。
最初はうまくできなくても、丁寧に作業を進めていこうとすることが大事です。
物事をわかりやすく説明するスキル
柔道整復師が施術をする際には、まず患者さんの状態を正しく理解する必要があります。
そして、患者さんが実際にどのような状態にあるのかや、症状を改善するためにどのような施術をしていくのかなどを、わかりやすく説明することも欠かせません。
たいていの患者さんは柔道整復師と違って専門的な知識を持っているわけではないため、難しい専門用語を多用したり、複雑な話し方をしてしまえば、患者さんに余計な不安を与えてしまう可能性もあります。
相手の立場を理解し、物事をわかりやすく説明することは、柔道整復師には必要なスキルのひとつだといえます。
柔道整復師に向いていないのはどんな人?
柔道整復師の勤務先はさまざまですが、全体的にいえるのは、個人の能力が強く問われる仕事だということです。
もちろん、何人もの柔道整復師が在籍する整骨院などでは、お互いに協力しながら営業し、患者さんと接していくようなこともあります。
しかしながら、施術の際には基本的に患者さんと1対1になり、患者さんは実際に担当してくれる目の前の柔道整復師を信頼して施術を受けることになります。
そのため、信頼される柔道整復師になると「〇〇先生にお願いしたい」と指名を受けることも増えてきますし、独立すればなおさら、自分自身をいかに信じてもらえるかが成功の分かれ道となります。
こうしたことから、柔道整復師は個人の能力を評価されたいと考える人には向いている仕事です。
逆に、そういう働き方はプレッシャーに感じてしまうタイプの人には、あまり向いていないかもしれません。
20代で正社員への就職・転職
柔道整復師にとって必要なこと・大切なこと
柔道整復師にとって必要なことは?
医学的な知識と、患者さんとのコミュニケーション
柔道整復師は、日々さまざまな症状を抱える患者さんと接しますが、症状の診断にあたっては医師のようにレントゲンなどの機器を使ったり、投薬や手術といった外科的な治療を行うことはできません。
柔道整復師が患者さんの症状を判断する方法は、もっぱら「問診・視診・触診」といったやり方になります。
まず、患者さんとしっかりコミュニケーションをとり、「いつ、どこで、どのような症状が起こったのか」ということから確認していく必要があるのです。
そのため、柔道整復師は患者さんと真剣に向き合って、相手を観察する力が求められます。
もちろん、そこから症状を導き出していくためには医学的な知識も必須で、人体全般に関して熟知している必要があります。
たとえば、患者さんの訴える症状が、実は外傷的なものではなく、内科的な疾患によるものということもあります。
そういった場合、柔道整復師は内科的な病気を扱うことはできませんから、専門医にかかるように促さなくてはなりません。
しかし、もしそこで誤まった判断の下に施術を続けていれば、症状を悪化させてしまう可能性もあります。
柔道整復師は、それだけ重い責任を担っているという意識を持って仕事に取り組む必要があり、地道に臨床経験を積んで、日々専門知識や技術を高めていくことが大切です。
それと同時に、いくら豊富な知識があっても患者さんと良いコミュニケーションがとれないようでは、適切な施術を行っていくことはできないということを、しっかりと理解しておく必要があります。
思いやりをもって、施術に全力を尽くすこと
柔道整復師は、いかなるときも患者さんの思いに寄り添える人であるべきです。
「人対人」で患者さんと向き合う仕事だからこそ、他人に対する思いやり、優しさといった感情がとても大切です。
技術をもって身体を治すのはもちろんですが、相手の落ち込んでいる心まで元気にしてあげることができてこそ、プロの柔道整復師だといえるでしょう。
整骨院や病院には、毎日大勢の患者さんが来院されます。
一人の患者さんと接する時間はほんのわずかになることもありますが、どれだけ忙しくても気を抜かず、その時間に全力を尽くしていくことが大切です。
実際、高齢の患者さんのなかには、柔道整復師との毎日のちょっとした会話を生きがいにしているような人もいます。
「人を喜ばせたい」「患者さんの悩みや苦しみを少しでも楽にしてあげたい」という気持ちを忘れずにいれば、必ず患者さんから信頼される柔道整復師へと成長していけるでしょう。
日々のスキルアップが大切
柔道整復師は、国家資格を取得してからが本当のスタートといえます。
現場に出て、さまざまな症状を抱える患者さんと接しながら日々経験を積むことで、学校で学んだ知識や技術を少しずつ自分のモノとすることができます。
柔道整復師がスキルアップしていくためには、さまざまな方法があります。
たとえば、日常業務以外の時間を使って外部の研修会に参加したり、勤めている整骨院内で定期的に勉強会が実施されるようなこともあります。
何年も最前線で活躍する柔道整復師たちも、常に上を目指して努力を続けています。
他の国家資格を取得し、業務の幅を広げる
すでに柔道整復師としてバリバリ活躍していながら、さらなる飛躍のために他の国家資格取得を目指す人もいます。
最近では、柔道整復師に加えて「鍼灸師(はり師・きゅう師)」のダブルライセンス取得を考える人が増えているようです。
両方の資格に重なる科目としては「解剖学」や「生理学」がありますが、一般的に柔道整復師のほうが難易度が高いといわれています。
そのため、先に柔道整復師の国家資格取得を目指してから鍼灸師へ、というパターンが多いようです。
身体を知り尽くし、骨折や脱臼、打撲などの症状にアプローチしていく柔道整復師に対し、鍼灸師は「はり」や「お灸」を使って、ツボを通して患者さんの痛みや体調不良を改善に導いていきます。
両者とも薬や手術は行わずに「手技」による施術を行うことが特徴ですが、いずれも国家資格となるため「この資格を持っていなければできない」ということがあります。
つまり、両方の資格を取得すれば、業務範囲はその分だけ広がっていくわけです。
また柔道整復師としての技術に、鍼灸師が持つ「東洋医学」の考え方を取り入れれば、患者さんの症状に対して、より多様なアプローチができるようになります。
たとえば、近年人気が高まっている「スポーツトレーナー」として働く場合も、両者のスキルを持っていれば、スポーツ選手の身体づくりからコンディション調整まで一貫して力を発揮することができます。
もちろん、ダブルライセンスが必須というわけではありません。
しかし、自らのやりたい仕事、キャリアを見据えてスキルアップに励んでいくことは大事です。
スキルアップを続ければ、将来的に独立開業を目指す場合にも大きな強みとなっていくでしょう。