ホテルスタッフになるには
ホテルスタッフになるまでの道のり
学歴・経歴はさまざま
ホテルの従業員として働く人の学歴や経歴はさまざまで、高校卒業後にすぐホテルに就職する人もいれば、ホテル科や観光科のある専門学校卒業、または短期大学や4年制大学を卒業してから就職する人までバラバラです。
ホテルによって応募資格として掲げている学歴は異なり、大手ホテルの場合は「専門学校卒以上」を必須とすることが多いです。
海外のホテルスクールに留学し、そのまま現地のホテルスタッフを目指す人もいます。
外国人宿泊客の対応をすることも多いため、とくに外資系のホテルの場合は語学力があると就職に有利になることがあります。
正社員のほか、契約社員や派遣社員、アルバイトと、就業形態はさまざまです。
ホテルによっては、正社員ではなく、初めの数年は契約社員として採用し、後に正社員として雇用するというところもあります。
ホテルの専門学校が有利?
ホテルの専門学校では、ホテルスタッフとして必要な基礎知識やマナーなどの講義、ホテル実習などがおこなわれ、学生のうちからホテル業界について詳しく学ぶことができます。
専門学校のメリットとしては、就職に関する情報が手に入りやすいこと、ホテル業界と密接に連携しているため求人が直接くる場合があること、また周りは同業種を目指す人ばかりなので、切磋琢磨しながら向上していける点などが挙げられます。
学歴よりも人物重視
ホテルスタッフの採用試験で所属学部や専攻などが問われることはほとんどありませんし、4年制大学卒や短大卒でもホテルスタッフになる人はいます。
そのため観光系の専門学校卒が絶対に有利とはいえませんが、ホテルスタッフは学歴よりも「人物重視」の採用をすることが多いため、「学歴が高いから大卒が有利」という考え方は、他の業界よりも薄いといえそうです。
ホテルスタッフとして働く
ホテルに入社後は、接客やマナー、ホテルの設備についてなどの研修を数ヵ月受けることになります。
研修を終えると各部署に配属されますが、自分の希望が通るとは限りません。
初めは客室部門か飲食部門に配属されることが多いようです。
異動も多いため、希望の職種が決まっている場合は、粘り強く伝えることで、希望が通ることもあります。
20代で正社員への就職・転職
ホテルスタッフには基本的に資格は不要
ホテルスタッフになるためには、ホテルの採用試験に合格することが必要ですが、特別必要な資格はありません。
「ホテル実務技能認定検定」など、ホテル勤務で必要とされる知識の理解度を測る検定試験はありますが、学生のうちに資格を持たないまま就職する人もたくさんいます。
ただし、大手外資系ホテルを中心として語学の能力を重視する場合もあり、そのようなホテルでは「英検○級以上」や「TOEIC○○○点以上」といった基準を設けています。
英語だけでなく、中国語や韓国語に関しても、「日常会話ができる」などの能力を持っていることで有利になる場合も多いようです。
ホテルスタッフになるための学校の種類
ホテルスタッフになるために必ず通わなければいけない学校はありません。
高校を卒業してすぐに就職する人もいれば、専門学校や大学を出た後にホテルスタッフになる人もいます。
ホテルへの就職に少しでも有利な学校を選ぶのであれば、観光学部や観光学科を設置している4年制大学もしくは短大、観光やホテル系の専門学校に進むとよいでしょう。
ほとんどのホテルは採用の条件として高校卒業〜専門学校卒業以上を掲げているため、大卒だから有利だとはいえません。
大学よりも専門学校のほうがホテルとの繋がりを密に持っており、ホテルスタッフには学歴もさほど重視されないため、就職時においてはすでに専門知識のある専門学校卒の応募者を採用するパターンも多いです。
ただし、将来的に営業や広報、企画といった管理系の職種につくのはおもに大卒のスタッフである傾向が強いです。
進学する学校は、自分がホテルスタッフとしてどんなキャリアを積んでいきたいか考えた上で選ぶのがおすすめです。
ホテルスタッフになるためにはどんな学校に行けばいい?(大学・専門学校)
20代で正社員への就職・転職
ホテルスタッフに向いている人
気配り上手な人
ホテルでは高いレベルでのサービスが求められます。
子どもからお年寄り、外国人まで、どんなお客さまに対しても親しみを持って接し、細かいところにも気配りをできる人が求められます。
コミュニケーション能力が高く、笑顔で人を喜ばせるようなことができる人が向いているといえます。
語学力がある人
ホテルスタッフには語学力も必要です。
ホテルにもよりますが、外資系のホテルや有名ホテル以外でも海外の宿泊客は増えてきているため、日常会話程度はできることが望まれます。
近年では英語圏や中国語圏以外からも多くの外国人が日本を訪れるため、学生のうちに第2外国語を勉強しておくと働く際に役立ちます。
協調性がある人
ホテルスタッフにはさまざまな職種があり、大きなホテルになればなるほど、業務が細分化します。
フロントやコンシェルジュ、ドアマン、ハウスキーパーなど、一見すると別々の仕事のように思えますが、お客さまの滞在をより心地よいものにするにはスタッフ間の連携が不可欠です。
お客さまがフロントへ依頼したタクシーの手配がコンシェルジュに伝わっていなかった、ということはあってはいけません。
部署間のチームプレイができるような協調性のある人がホテルスタッフには向いています。
ホテルスタッフの雇用形態
ホテルスタッフの雇用形態はさまざまです。
正社員のスタッフだけでなく、派遣社員やアルバイト・パートとして働く人もいます。
ホテルによっては初めから正社員になるのではなく、数年ほど契約社員として働いてから正社員に登用するところもあります。
また、アルバイトやパートとして働いた後に、経歴を生かして別のホテルへ正社員として就職するパターンもあります。
反対に、正社員として勤務していた人が、子育てや介護などのためアルバイトとして働ける職場を探し直すケースもあります。
フロントやハウスキーピング、レストランなどでは学生のアルバイトを採用することも多く、それぞれの働き方やライフスタイルに合わせた雇用形態を選びやすい職業だといえます。
正社員のホテルスタッフ
正社員のホテルスタッフの仕事内容
専門学校や大学から新卒採用でホテルスタッフになる場合や、中途採用を目指す場合は、おもに正社員からのスタートとなります。
現場で働く正社員の場合、基本的な業務内容はアルバイトやパートスタッフとあまり変わらないでしょう。
フロント業務であれば、フロントに立ってチェックインやチェックアウトを担当する、予約の電話を取る、お客さまからの依頼に応えるといった仕事は、雇用形態にかかわらずおこないます。
しかし、ずっと同じ業務をこなしていればよいアルバイトとは異なり、ゆくゆくは現場を統括するのが正社員の役目です。
入社後に研修を受けるなどして、社内の業務を一通り把握している必要があります。
コンシェルジュなど特定の職種のプロを目指す場合も、他部署と連携を取りながら働くことになるため、各業務の詳細を理解していたほうがよいでしょう。
また、全国にチェーン展開するホテルの場合、部署だけでなく支店間での異動を命じられることもあります。
正社員のホテルスタッフの給料・待遇
正社員のホテルスタッフの給料は、働くホテルの規模や部署、役職などによって異なります。
新卒で入社する場合、大卒の初任給は月給20万円前後、短大や専門卒では17万円前後となるケースが多いです。
正社員の平均年収は300〜400万円台といわれており、全業種の平均額よりもやや低いことで知られています。
正社員のホテルスタッフの待遇としては、社会保険や残業手当、住宅手当、各種休暇といった基本的な制度は整っているのが一般的です。
ただし、人手が十分な一部の大手ホテルを除いては、残業が多く発生したり休みがなかなか取れなかったりするハードな職種でもあるため、就職の際には実際の取得状況をあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
派遣のホテルスタッフ
ホテル業界は派遣社員が多い
いまや一般企業でも派遣社員を雇っている会社は増えていますが、ホテル業界はとくにその傾向が強いといわれています。
なかでも、飲食部門(レストラン、宴会サービスなど)では、即戦力となる派遣社員が活躍していることも多いです。
派遣社員といえども、その道のプロフェッショナルであれば、お客さまにとっては質の高いサービスを提供できる立派なスタッフの一員だと見なされます。
派遣社員として働くために
派遣社員としてホテルで働くためには、まず派遣会社に人材登録する必要があります。
ホテル側が掲げる応募資格として、基本的にはホテルスタッフ経験者に限定することが多いです。
ただし、ほかの飲食店を含むサービス業に従事していた経験があれば、相談できる場合もあるようです。
また、正社員と同じように英語力など特別なスキルを持っていれば、アピールポイントになるでしょう。
派遣のホテルスタッフの勤務時間・給与
派遣社員の勤務時間は、正社員と同様にシフト制を組む場合もあれば、派遣先のホテルが定める勤務時間に応じて働く場合などまちまちです。
また、半年ごとに勤務期間を更新するホテルもあれば、特に定めず「長期歓迎」としているところもあります。
給与に関しては、派遣先のホテルが派遣会社に支払った金額から、派遣会社がマージン(仲介料など)を引き、残り分が時給として支払われます。
だいたい時給1300円〜1500円程度が相場となっていますが、派遣先や登録派遣会社によって差が出てきます。
アルバイト・パートのホテルスタッフ
アルバイトのホテルスタッフの仕事内容
将来ホテルの仕事をしてみたいけれど、「どんなことをするのか不安」「自分に合っているだろうか」などと思う場合は、まずアルバイトとして働いてみるのもよいでしょう。
アルバイトスタッフのおもな仕事内容としては、「宿泊サービス(フロント、ベル、ハウスキーピングなど)」もしくは「料飲サービス(ウェイター/ウェイトレス、宴会サービスなど)」などが挙げられます。
もちろん社員と比べて任される仕事の範囲や責任は異なりますが、現場の実務経験はその先のキャリアにも役立ちます。
1日4時間〜8時間程度のシフト制での勤務となるため、給与も時給制になっており、1000円〜1500円程度が相場です。
ただし、深夜勤務手当や残業手当がつくほか、がんばり次第で昇給が見込めることもあるようです。
募集しているのはビジネスホテルから中堅規模のシティホテルが中心となりますが、まれに一流ホテルといわれる大手ホテルでも、アルバイトの募集をかけることがあります。
求人情報は、アルバイトの求人情報サイトなどで探すことができます。
契約社員になれる可能性も
ホテルによっては、アルバイトから契約社員になる道が用意されている場合もあります。
そのためには、ある程度の期間しっかりと働き、仕事をきちんとこなせるようになることが大切です。
お客さまへの接し方が上手など、ホテルスタッフとしての適性があると見込んでもらえれば、ステップアップできる可能性は十分にあります。
ただし、ホテルによっては「アルバイトはアルバイト」と明確に分けている場合もあるため、将来的に契約社員を目指すのであれば、応募時に確認しておきましょう。
リゾートホテルの短期アルバイト
そのほか、ホテルのアルバイトで特徴的なものとして、リゾートホテルでの期間限定アルバイトがあります。
これは、リゾートホテルの繁忙期となる夏休みや冬休みなどに、リゾート地(高原やスキー場など)近辺のホテルに滞在し、ホテルの仕事をするというものです。
学生のアルバイトが中心なので、楽しみながらホテルスタッフを経験してみたいという人にはよいかもしれません。
ホテルスタッフのキャリアプラン・キャリアパス
専門学校や大学を卒業してからホテルスタッフになる場合、一般的には入社後5~10年ほどかけてさまざまな部署を異動しながら、ホテル業務の基礎を身につけていきます。
フロントやクローク、レストランなどいろんな職種を経験し、自分が将来どのようなキャリアを歩みたいかをイメージする期間です。
その後、適正を見ながら、特定の分野に特化した知識やスキルを発揮する「スペシャリスト」になるか、リーダー候補としてマネジメントに携わる「ジェネラリスト」を目指すかのどちらかに進みます。
スペシャリストにはコンシェルジュやシェフ、ソムリエなどの専門職が当てはまり、ジェネラリストは将来的にホテルの経営に参加することを期待されます。
中途採用の場合は、これまでの経歴や本人の希望を考慮して、初めにどちらのキャリアプランに進むかを確認してから即戦力として採用することが多いです。
ホテルスタッフを目指せる年齢は?
ホテルスタッフを目指すのに年齢制限はとくにありません。
シティホテルの場合は、職種ごとの専門性が求められるため、転職する際には経験が必要となることが多いでしょう。
しかし、ビジネスホテルであれば幅広い業務を総合的に担当するため、ホテルに関する専門的なスキルがなくても、社会人としての対応能力があれば採用となるケースもあります。
40代、50代でも積極的に採用するホテルも少なくありませんが、夜勤があるなど勤務が不規則になりやすい仕事なので、体力に自信がなければ厳しいかもしれません。