ホテルスタッフの給料・年収はいくら? 手取りやボーナスもくわしく解説

ホテル業界に魅力を感じる人にとって、これからのキャリアを考えるうえでどの程度の年収をもらえるかは非常に気になる点でしょう。

近年、外国人観光客の増加や東京オリンピックの開催などから、ホテル業界はさらに競争が激しくなり、過渡期を迎えています。

この記事では、ホテルスタッフの年収の相場やその理由、年収を上げるための方法などについて詳しく解説します。

ホテルスタッフの平均年収・給料の統計データ

ホテルスタッフの平均年収・月収・ボーナス

ホテルスタッフの平均年収は約300万円から400万円とされています。

これを民間企業で働く一般的な会社員の平均年収(436万円:令和元年分民間給与実態統計調査より)と比較すると、やや低めの数字と言えます。

ホテル業界は競争が激しく、景気の影響を受けやすいため、高額の収入を得るのは難しい場合もあります。

業績が好調なときは満足のいく給与を得ることができますが、業績が低迷すると、正社員から契約社員への切り替えや給料やボーナスの削減が行われることもあります。

ただし、ホテル業界には規模や種類が多様で、一部の企業は強力な経営基盤を持ち、ホテル以外の事業でも収益を上げている場合もあります。

年齢を重ねキャリアを積むにつれて、順調にキャリアアップし、業界内で評価を受けて収入を増やすチャンスを掴むことも可能です。

ホテル業界では、努力や経験によって高い評価を得ることで、収入の向上が期待できるといえます。

ホテルスタッフの手取りの平均月収・年収・ボーナスは

大型ホテルで正社員として勤務するホテルスタッフの場合、手取り月収は約24万円から25万円程度と推定されます(ボーナス年間で約40万円含む)。

ただし、これは家族構成や手当の種類によっても月収は変動します。

ホテルスタッフという職種にはさまざまな働き方があり、巨大な外資系ホテルから高級リゾートホテル、ビジネスホテルまでさまざまな種類があるほか、スタッフのポジションも多彩です。

そのため、平均年収はあくまで一般的な目安であり、個々の状況によって異なります。

またホテル業界では昇給スピードが比較的遅いとされ、手取り月収の目安として、新卒~3年目は約20万円、5年目~10年未満では約25万円、それ以上の経験がある場合には25万円~30万円以上という傾向が見られます。

ただし、これも一般的な傾向であり、個別の条件によって異なります。

ホテルスタッフの初任給は約19万円~21万円

ホテルスタッフの初任給は、他の職業と比較してやや低めといえます。

首都圏にある大手ホテルに入社した場合の学歴別初任給の目安は次の通りです。

大卒:約19万円~21万円程度
短大・専門(2年制)卒:約18万円~20万円程度
専門(1年制)卒:約17万円~18万円程度

これは一般的な数値であり、多くのホテルがこの範囲内で初任給を設定しています。

ただし、税金や社会保険料を差し引いた手取り月収はさらに低くなるため、一人暮らしをする場合、入社1年目は生活にあまり余裕がないかもしれません。

しかし、ホテルによっては食事手当や住居手当などの手当が多く付与されることがあり、これによって生活費をカバーする余裕が生まれることもあります。

給与条件はホテルごとに異なるため、就職先を検討する際には手当や福利厚生も確認することが重要です。

ホテルスタッフの福利厚生は充実している

ホテルスタッフの勤務先であるホテル業界は、充実した福利厚生が提供されていることが多いです。

社会保険や退職金制度、財形貯蓄制度、育児・介護休業制度など一般的なもののほか、通勤手当、住宅手当、食事手当、深夜・早朝勤務手当、早朝手当など、さまざまな手当が提供されます。

また不規則な勤務時間に対応できるよう、社員食堂や社員寮が提供されることがあります。

そのほか、ホテル業務の特性から、語学研修やサービスマナー研修など、国内外の多くのお客様と接するための研修が充実しているところが多いです。

さらに、ホテルが運営する施設やサービスを社員は割引価格で利用できる場合があります。

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ホテルスタッフの給料・年収の特徴

景気変動の影響を受けやすい

ホテルスタッフの給料が一般的な会社員の平均年収に比べてやや低いとされるのは、いくつかの理由があります。

まず、近年ホテル業界は急速に成長し、競争が激化していることが挙げられます。

新たなホテルが次々とオープンし、市場は飽和状態にあります。

競争の激化により、ホテルはサービス向上や価格競争による収益の圧迫に直面しています。

さらに、ホテル業界は景気変動に強く影響を受けやすい特性を持っています。

景気が悪化すると、旅行や出張が減少し、ホテルの稼働率が低下します。

特に観光業やビジネス客が減少することが収益へのダイレクトな影響を及ぼします。

ホテル運営の収益の主要な柱である「婚礼」や「宴会」も景気に左右されるものであり、不況期には需要が減少します。

このような状況下では、ホテルはコスト削減に迫られ、スタッフの給料削減やボーナスカットなどが実施されてしまいます。

ただし、一方で業績が好調なときには高いボーナスが支給されることや昇給幅が大きくなることもあります。

業績の変動に対する収入面の不安定さを覚悟する必要がある反面、頑張り次第で報酬を向上させる機会もあるといえるでしょう。

勤務体系によって収入差が出やすい

ホテル業界は、365日、24時間体制で稼働するため、多くのスタッフが交替制で働くことが一般的です。

夜間の勤務が含まれる場合、夜勤手当が支給されるため、給料をアップさせる手段となります。

そのため、基本給があまり高くない場合でも、夜勤を希望して収入を増やす人もいます。

また夜間や週末、祝日に働くことにより、追加手当を受け取ることができるため、給与面での差が生じます。

したがって、ホテル業界での収入は、個々の労働条件や希望に応じた働き方によって大きく変動するといえるでしょう。

ホテルスタッフの勤務先別の給料・年収

日系ホテル(高級・リゾート系)

高級・リゾート系の日本のホテルは、各企業ごとに独自のコンセプトや運営方針を強調しており、その特徴が差別化されています。

高価格帯の宿泊料金を設定するホテルは、安定した集客や成功した事業運営により、業界内で高水準の給料や充実した待遇を提供しています。

ただし、こうしたホテルは就職先として非常に人気が高く、スタッフに求められるスキルや能力レベルも非常に高い傾向があります。

高級ホテルでの勤務は、高度なホスピタリティスキルや外国語能力など、幅広いスキルと専門知識が求められます。

そのため、高い給与や手厚い待遇のかわりに、競争率が高いことをふまえる必要があります。

日系ホテル(ビジネス系、チェーン系)

ビジネスホテルの分野では、日本国内に何百ものホテルを展開するチェーン系の企業があります。

同じビジネスホテルでも、価格競争に参加し格安料金を提供する場合もあれば、高めの宿泊料金を設定し、おもてなしに力を注いでいる場合もあります。

大手ビジネスホテルチェーンでは、安定した給料と待遇を期待できることがありますが、異動頻度が高い場合や正社員として採用されるのは限られたスタッフに限られる場合もあります。

ビジネスホテル業界は需要が安定しており、多くのホテルが競争にさらされているため、働く環境や待遇はホテルや企業によって異なります。

ビジネスホテルでの勤務は、ホテル業界での経験を積む絶好の機会であり、サービス業におけるカスタマーサービススキルや組織力を養う場として魅力的です。

一方で、異動の頻度や採用の競争が激しいことも少なくなく、適切なキャリアプランを考えることが大切です。

外資系ホテル

日本には「ヒルトン」「インターコンチネンタルホテルズグループ」「マリオット・インターナショナル」などの外資系ホテルチェーンも多数進出しています。

外資系ホテルでの勤務は、成果主義の要素が強調され、若くても実績を上げると昇進や昇給が期待される特徴があります。

一方で、成果を上げられない場合、給与が減少したり、職位が降格されたりする可能性もあることに注意が必要です。

外資系ホテルは国際的な感覚で運営されており、外国人客とのコミュニケーションが頻繁に発生するため、英語などの語学力が高く、スムーズなコミュニケーションができるスタッフは高く評価されることがあります。

外資系ホテルでの勤務は、競争が激しく、高い実績が求められる一方で、国際的な視野を広げ、キャリアをスピーディに積んでいきたい人には非常に魅力的でしょう。

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ホテルスタッフが所属する代表的な企業の年収

会社名 平均年収 平均年齢
リゾートトラスト株式会社 537万円 36.2歳
株式会社帝国ホテル 475万円 39.8歳
藤田観光株式会社 416万円 40.5歳

出典:2023年現在(各社有価証券報告書より)

リゾートトラスト株式会社

リゾートトラスト株式会社は、会員制リゾートホテル事業を主力とする業界大手の企業です。

この企業は東京証券取引所1部および名古屋証券取引所1部に上場しており、ホテル事業以外にもゴルフ事業やメディカル事業など、幅広い事業を展開しています。

株式会社帝国ホテル

株式会社帝国ホテルは、東京にある老舗の高級ホテルである「帝国ホテル」を運営する企業です。

帝国ホテルは、その開業が1890年にさかのぼり、ホテルオークラやニューオータニとともに、ホテル業界の中で「御三家」と称されています。

近年、株式会社帝国ホテルは三井不動産と提携し、ホテル周辺地域の再開発にも力を注いでいます。

これにより、帝国ホテルの周辺地域が新たなランドマークとして発展し、観光やビジネスの拠点としてますます注目を集めています。

藤田観光株式会社

藤田観光株式会社は、主に「ワシントンホテル」などのビジネスホテル運営を中心に事業を展開している企業です。

さらに、「椿山荘」や「箱根小涌園」などの施設運営も行っています。

結婚式・宴会事業やレジャー事業でも高い評価を受けており、幅広い分野で従業員にキャリアの機会を提供している企業です。

ホテルスタッフの正社員以外の給料・年収

派遣社員

ホテル業界では、派遣社員が多く活躍しています。

特に飲食部門(レストランや宴会サービスなど)では、派遣社員の需要が高く、多くの求人があります。

ホテルが派遣社員を採用する理由として、一時的な人材不足や繁忙期に対応するため、迅速な補充が必要なことが挙げられます。

そのため、即戦力としてすぐに業務に参加できる人材が求められます。

契約期間が定められていることが一般的ですが、その期間中の給料は時給制となり、時給は一般的に1,300円から1,500円程度と高めの水準が設定されていることが多いです。

この高時給は、派遣社員にとって魅力的であり、ホテル業界での短期間の派遣労働を選択する人が増えている背景となっています。

アルバイト

アルバイトのホテルスタッフの求人は、主にビジネスホテルやリゾートホテルで見られます。

アルバイトとしてのホテルスタッフの仕事は、正社員と比べると責任範囲が狭く、初めはサポート的な役割が多いことが一般的です。

しかし、経験を積んでいくと、重要な業務を任される機会も増え、キャリアを築いていくことができます。

アルバイトのホテルスタッフの給料は、時給制が基本です。

地域やホテルによって異なりますが、一般的には時給1,000円から1,500円程度が相場とされています。

また、一部のホテルでは正社員登用制度を設けており、アルバイトとして長期間働き続けることで、上司の推薦や社内試験を経て正社員に昇格する道が開かれることもあります。

このように、ホテル業界でもアルバイトからステップアップするチャンスがあります。

ホテルスタッフになるには

ホテルスタッフが収入を上げるためには役職に就く

ホテル業界でのキャリアパスは多岐にわたり、自身のスキルや専門知識を高め、役職を得ることで給料アップにつながります。

大手ホテルは多くの場合、評価制度や昇進のチャンスが用意されており、経験を積み重ねることで基本給が増加し、役職手当などによって収入が向上することが期待できます。

また、事業が好調なホテルや企業に転職することで、給与面での向上が期待できます。

ホテル業界において収入アップを目指す際には、給与水準や福利厚生を他社と比較検討し、よりよい環境のホテルへの就職や転職を考えることが重要です。

ホテル業界は競争が激しい分野でもありますが、自身の能力を高め、キャリアアップを考えることで、収入を増やすチャンスが広がります。

自分の目標や希望に合ったホテルで働くためには、継続的なスキル向上だけでなく、他社の求人情報をチェックすることが重要です。

ホテルスタッフの年収のまとめ

ホテルスタッフの年収はさまざまな要因に左右され、職種や就職先によって幅があります。

ホテル業界は、高級リゾートからビジネスホテルまで多様な形態の施設が存在し、それぞれ異なる給与水準と待遇を提供しています。

一般的に、ホテル業界は競争が激しく、景気変動の影響を受けやすいため、年収は他の職種に比べやや低めとされていますが、高級ホテルや外資系ホテルでは、高水準の給与が期待できることもあります。