経営工学とは? 大学で学ぶことや就職先は?





経営工学の概要・理念

経営工学とは、企業をはじめとする組織運営について、人・材料・お金・時間にまつわる問題を工学的な分析・設計によって解決し、ムリ・ムダ・ムラのない経営手法を追究する学問です。

経営学が経営に必要な知識や手法を学ぶのに対して、経営工学では数学物理学の理論によって問題を数理モデル化し、普遍的な法則を見出していきます。

そのため、経営学が文系の学問であるのに対して、経営工学は理系の学問とされます。

経営は組織に携わる「人」によって行われますので、言語化・数値化されていない感覚的な判断が働いているものです。

いわゆる経験や勘がモノを言う世界と思われがちですが、経営工学はこうした言語化・数値化されていない中から数理モデルによる法則化を試み、再現性の高いシステムを構築します。

このように、経営を科学的・数学的な視点から研究することを通して経営課題をモデル化し、客観的で普遍性のある資源として社会で共有・活用できるようにしているのです。

経営工学で学ぶこと

1年次には数学や物理学をはじめ、経営工学や情報処理の基礎を学びます。

2年次以降は経営分析を行うために必要なソフトウェア科学、プログラミングやデータ処理を含む情報システムといった分野について学んでいきます。

また,生産管理品質管理、労働工学などの生産システムに関する知識を身につけていくことで、経営を包括的に分析するために必要な素地を整えていきます。

3年次からは研究室に入り、経営課題を数理モデル化する経営科学(=OR:オペレーションズリサーチ)の手法を習得します。

卒業研究では生産システム、管理システム、社会システム、情報システム、経営数理の5系統に分かれ、それぞれの専門分野に関する研究成果をまとめます。

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経営工学の大学での授業科目の例

数学

データ処理に必要な数学の知識として、複素数や線形代数について学びます。

数理統計学

数字データを確率論など統計学の理論を用いて分析する手法を習得します。

生産管理論

経営における生産活動を効率化するための方法論について研究します。

経済性工学

企業の最適資源配分する方法について、原価工学、価値工学、エンジニアリング・エコノミーの観点から研究します。

情報システム論

経営に用いられるコンピュータやデータベース、ネットワーク技術などについて学びます。

経営工学のレポート・テーマの例

経営工学のレポートは、生産現場における具体的な問題点への解決策を問うものから、特定の経営課題に対して数理モデルを用いて仮説を立てて検証するものまで幅広いテーマがあります。

テーマによっては、実際にプログラミングによる開発を行った上で検証を実施し、その経緯や結果を報告する場合もあります。

  • ・生産工程におけるヒューマンエラーと防止策
  • ・生鮮食品の最適値引き戦略
  • ・組立ラインの工程作業における時間延長について
  • ・アジャイル型開発手法の有効性に関する基礎的数学モデル
  • ・サプライ・チェーン・リスク・マネジメントについて

経営工学と関連する学問

経営工学では数学や物理学の理論に基づいて解析を進めることが少なくないため、これらの学問分野とは深い関わりがあります。

企業などの組織で働く従業員の行動や心理を分析する上で、心理学や行動学の知識が求められることもあります。

プログラミングやソフトウェアについて学ぶ際には、情報工学とも関わりのある内容を学ぶことになります。

さらに、経営に関する知識については経営学、財務や会計については会計学、データ解析については統計学といったように、幅広くさまざまな学問と関連しています。

経営工学を学んで就職に有利な業界・仕事

経営工学は経営にまつわるあらゆる問題が研究対象となることから、生産管理、物流管理、財務会計、マーケティングなど多彩な知識が身につきます。

そのため、特定の業界への就職に有利になるというよりは、どの業界においても力を発揮できる専門性の高い知識が身につく学問といえるでしょう。

一例としては、シンクタンク、経営コンサルタント、金融、流通、商社、メーカーといった業界において、経営工学で学んだことを活かして活躍している方々がいます。

職種の選択の幅も広く、生産管理や会計はもちろんのこと、人事やマーケティングなど経営課題を解決する仕事であれば、経営工学で身につけた問題解決能力を発揮できるはずです。

また、プログラミングの知識や技能を活かしてITエンジニアの道へと進むことも可能です。

このように、経営工学を学ぶことで得られる科学的な思考や工学的な手法は、あらゆる業界・職種で働く上で活かしていくことができるのです。

経営工学の知識は人生でどう役立つ?

少子化が進む現代の日本において、労働人口の減少は避けて通ることができない深刻な問題です。

限られた経営資源をできるだけ効率的に活用し、企業価値を高めていくことを考えていく必要があります。

経営工学で体得した科学的な視点・思考は、ムリ・ムダ・ムラを排除した効率的な組織を築いていくためにも需要がさらに高まっていくことでしょう。

また、課題を数理モデル化して数学的に考える思考力は、人生において直面するさまざまな問題を客観的に分析して乗り越えていく上でも役立つはずです。

このように、経営工学を学んだ経験は、ビジネスの世界においてはもちろんのこと、これからの人生を生き抜いていく上でも応用していくことができるでしょう。

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